お家の雰囲気をガラリと変えることができる模様替え。年末に差し掛かるこの時期、大掃除と一緒に模様替えを検討している方も多いのではないでしょうか。そこで、模様替えのスペシャリストとしてさまざまなメディアでご活躍中の一級建築士しかまのりこさんに、模様替えの極意を伺いました。
COLLINO(コリーノ)一級建築士事務所代表
「~地球にやさしい 家族にやさしい~」をコンセプトに、延べ5,000件以上の住戸の設計・検査・審査に携わる。また、これまで300軒以上のリビング・寝室・子ども部屋の模様替えをおこなった実績から、模様替えのスペシャリストとして、日本テレビ「ZIP!」、テレビ朝日「グッド!モーニング」、扶桑社「住まいの設計」、小学館「週刊 女性セブン」などのテレビ・雑誌でも活躍中。
書籍「狭くても快適に暮らす、家具配置のルール」(2021年2月彩図社より発売予定)
https://collino-home.com
一級建築士のしかまのりこです。今回は模様替えについて解説します。模様替えの方法は大きく分けると、「家具レイアウトの変更」と「インテリアの見直し」の2種類。それぞれのポイントに加え、オススメの模様替えアイテムやNG例もご紹介していきます。
模様替えのポイントとメリット
家具レイアウトを変更する際は、動きやすい動線を意識することがポイントです。動線を整理することで、部屋の空間が中途半端に分かれている状態を改善できるため、部屋を広く使うことができます。もしも部屋が狭いと感じていたり、家族同士がすれ違うときに不便を感じていたりしている場合は、家具レイアウトの変更を検討してみてください。
インテリアを見直す際は、壁の色や家族構成に合った模様替えをすることがポイントです。模様替えの本やオシャレなInstagram投稿の一部を切り取って真似しようとしても、壁の色と取り入れたいインテリアの色がマッチしなければ違和感が生まれてしまいます。また、お子様が小さいうちはどうしても部屋が汚れがちなので、オシャレにはなったものの、汚れが目立ちやすくなるケースも。 気に入った参考例が見つかったら、すぐに取り入れるのではなく、まずは今の暮らしや環境に合うか、しっかり考える時間を作りましょう。
また、家具レイアウトの変更とインテリアの見直し、両方に言えることですが、模様替えは部分的に行うのではなく、部屋の全体像を見て行うことが重要です。「テーブルを動かすことでほかのスペースへの動線が複雑にならないか」「新たに導入予定のインテリアと今あるインテリアの相性は合うのか」というような視点をもつことで、動きやすく、デザインに統一感のある模様替えができます。
模様替えのメリット
家具レイアウトを変更して部屋の動線と空間が整理されると、快適さが大幅にアップします。これまで狭いと感じていた部屋が広く見えるようになり、新たに生まれたスペースを活用して収納を充実させることもできます。動線が確保されることで掃除がしやすくなるのもメリットですね。
また、インテリアを変えるだけで、部屋の印象は大きく変わります。気分転換になるのはもちろん、インテリアの色によって心身に与える影響が異なりますので、効果的に取り入れれば日々の感情が豊かになっていくことでしょう。また、リビングなどの共用スペースを、ご家族と一緒に模様替えすれば、コミュニケーションの増加につながります。実際に家族仲が深まったという話はよく聞きますね。
模様替えのスペシャリストが解説! リビングダイニングキッチンの家具レイアウト例
家具レイアウトの参考として、リビングダイニングキッチンの模様替え例をご紹介します。掃除がしやすくなる例や収納が増える例などのポイントと考え方を解説しますので、ご自宅で取り入れられそうなものがありましたら、ぜひご活用ください。
掃除がしやすくなる家具レイアウト例
ポイントは、「掃除機をスムーズにかけられる動線を意識しながら、シンプルな家具レイアウトにする」ことです。これを抑えるだけで、掃除のしやすいレイアウトがつくれます。家具と家具の間には掃除機をスムーズにかけられる動線を確保し、家具はなるべく壁にベタ付けするのではなく、掃除機のノズルが入るくらいの隙間を空けましょう。床掃除がスムーズにできるようになります。
ロボット掃除機を活用しやすい家具レイアウト例
ロボット掃除機を使っている場合、本体が家具の隙間に挟まらないように工夫しましょう。ロボット掃除機の大きさはだいたい高さ10センチ、幅35センチ程度なので、脚の高さが10センチ以上あるソファを使うと、下のホコリもきちんと掃除してくれます。
また、家具同士が密着しないようにレイアウトするといいでしょう。間隔を40センチ以上確保することが理想です。難しい場合は、小さい家具を一時的にほかの部屋に移すだけで、ロボット掃除機がスムーズに通れるような家具配置にします。
収納が増える家具レイアウト例
お家のなかの使っていない場所のことを、デッドスペースと言います。このデッドスペースを有効活用できるレイアウトに変更することで、収納力をアップさせることができるわけです。キッチンカウンター下、柱と柱やパイプシャフト(PS)の間は、デッドスペースの代表例なので、その空間を有効に活用するための家具レイアウトを考えます。
たとえば、ダイニングテーブルの位置をキッチン側から窓側に移動すれば、カウンター下に収納を置けますし柱と柱の間に壁面収納をつくることもできます。最近では「ラブリコ」や「ディアウォール」といった、誰でも簡単に壁面収納棚を作れるDIYアイテムが増えていますので、それらを活用することをオススメしています。
キッチンカウンター下のデッドスペースは、もっとも手軽に有効活用しやすい場所です。お家によってカウンターの奥行きや大きさは異なりますが、サイズに合った収納棚は探せば必ず見付かるので、ぜひ活用しましょう。
狭い部屋でも広く見せられる家具レイアウト例
狭い部屋を広く見せたい場合、固定観念にとらわれない家具レイアウトが大切です。たとえば「食事はダイニングテーブルでとり、ソファに腰掛けてくつろぐ」と考えてはいませんか? 十分な広さが確保できるお家ならば、ダイニングテーブルとソファの両方を置いても問題ないですが、
「模様替えビフォー図」のようにスペースに限りがある場合、両方の家具を置くと、部屋はますます狭くなります。動線も狭まるため、窮屈な部屋だと感じてしまうことも。
では、「模様替えアフター図」のようにダイニングとソファの両方の機能を兼ねるダイニングソファーに変えるとどうでしょう? テーブルがあるせいで狭かったキッチンダイニングの動線が広くなります。そのため、利便性が良くなり、空間にゆとりをもたせることもできますね。
考え方を少し変えるだけで、環境を改善できるケースがあるので、家具レイアウトを変えるときは固定観念にとらわれ過ぎないように意識してみましょう。
カーテンとラグの色を変えるだけで簡単に模様替えができる
インテリアの見直しをするにあたってオススメなのが、カーテンとラグの色を変えるという方法です。カーテンとラグは、それぞれ壁と床の面積を大きく占めるインテリアなので、手軽に効果的な模様替えができます。シチュエーションごとのカーテンとラグの選び方をいくつかご紹介しますので、興味を持たれたら取り入れてみてくださいね。
子育てに適したカーテンやラグの選び方
小さなお子様がいるご家庭には、カーテンとラグに黄色を使うことをオススメしています。黄色は部屋全体を明るく見せる効果があるので、気持ちの面でお子様にポジティブな影響を与えやすいです。また、柄のついたものを選ぶと汚れが目立ちにくくなるので、さらにオススメです。ソファを置く場合は、取り外し可能の、茶色のカバーリングソファにすると良いでしょう。 カーテンやラグの色と相性が良いですし、汚れが目立ちにくいのも嬉しいポイント。仮に目立つ汚れが付いてしまっても洗濯可能です。
高級感を演出するカーテンやラグの選び方
高級感のある部屋に模様替えしたいのであれば、カーテンとラグの色は、高級なイメージを引き立たせる重厚感のある黒がオススメです。ただ、無地の黒だと、生活感が薄くなってしまうので、金もしくは銀で柄が入っているものが良いでしょう。ソファの色は黒と対照色の白やベージュにすると、オシャレな印象をもたせることができます。
リラックスしやすくなるカーテンやラグの選び方
リラックスできる空間を演出したいときは、視覚的に癒しを感じやすい緑色のカーテンを選びます。ただ、緑色の割合が部屋の中で多すぎると全体的にチープな印象になってしまうため、ラグは濃いめの色を選ぶと良いでしょう。ソファの色はシンプルな白やベージュなどにしつつ、クッションのひとつを、緑と相性の良い黄色などを挿し色に使うと、落ち着いた雰囲気の中にも明るさがでます。
集中力が増すカーテンやラグの選び方
在宅作業の効率を高めたい場合などは、集中力アップや精神を落ち着かせる効果のある青色のカーテンがオススメです。しかし、全体的に青色で統一すると冷たい印象を受けてしまうので、カーテンは柄の入ったものにしつつ、ラグの色は明るいグレーにします。ソファの色は落ち着いた雰囲気に見える白か、黄色などの明るい色を使っても良いでしょう。
開放感を生み出すカーテンやラグの選び方
壁紙の色が白ならば、より開放感を生み出す模様替えが可能です。その方法とは、カーテンも白に統一すること。驚くほど部屋を広く見せることができますよ。注意点としては、あまりにも白が多すぎると無機質な印象を与えてしまうので、カーテンはお花や幾何学、モロッカンなどの柄が入った白を選ぶようにします。 ラグの色は、どんなインテリアにもなじむ柄入りの白かグレーがオススメです。ソファの色は濃いグレーや明るいベージュなど、どのような色を使っても問題ありません。
カーテン選びの詳細はこチラの記事も参考に。
カーテンの役割や種類、選ぶポイントを解説
部屋の印象を簡単に変えられる! オススメ模様替えアイテム4選
オススメ模様替えアイテム①観葉植物
観葉植物は、安価で購入できる上にインパクトがあるため、手軽に部屋の印象を変えられるインテリアとしてオススメです。中には、オリヅルランやミラクルニームといった空気清浄や調湿効果のある観葉植物もあるので、一石二鳥のアイテムとして重宝します。置き場所は、部屋の入り口から対角線上がオススメです。 この位置に背の高い観葉植物を置けば、視覚効果で奥行きがでて部屋が広く見えるようになります。また、小さい観葉植物をスツールに乗せるのも良いでしょう。スタイリッシュなイメージを際立たせることができますよ。
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オススメ模様替えアイテム②マグネットシート
子育て世代に欠かせないアイテムとしてオススメなのがマグネットシートです。学校からのお便りや集金袋などを冷蔵庫に貼って管理されている方も多いですが、どうしても見た目が悪くなってしまいます。しかし、マグネットシートは場所を選ばず、簡単に設置できるので、邪魔になることもありません。 キッチンカウンターやダイニングテーブルに面した場所など、好みに合わせて配置できます。
オススメ模様替えアイテム③LEDテープ
LEDテープとは、多数のLEDライトが等間隔に並んだテープ状のライトのことで、簡単に設置可能で配線も目立ちにくいことから、DIY好きを中心に注目を集めているアイテムです。透明の花瓶に入れたり、小物に巻き付けたりして、オシャレなインテリアにすることもできますし、壁際やベッドの下を飾り付けることもできます。 フットライトとしても活用できるので、階段まわりなどに設置すれば家庭内の事故防止にも役立つことでしょう。
オススメ模様替えアイテム④テキスタイル
テキスタイルとは、簡単にいえば布地の製品のことで、絵画を飾るように壁に掛けて使用できます。日本ではあまり浸透していませんが、欧米では簡単にできる模様替えテクニックとして普及していますね。壁に画鋲を刺して使うことが一般的ですが、賃貸住宅で画鋲を刺すことを避けたいという方は、布用の両面テープで固定することをオススメします。
実は逆効果⁉︎ 模様替えを始める前に押さえておきたいNG例
模様替えNG例①間接照明の配線が剥き出しにならないように注意
インテリアとして人気のある間接照明ですが、実は設置の難易度が高いアイテムのひとつです。その理由は、配線が剥き出しになってしまう恐れがあるから。一般的な間接照明の配線コードは太いものが多いため、コンセントから遠い位置に設置すると、ケーブルをつなげている状態が丸見えになるので、せっかくのオシャレなアイテムが台無しになってしまいます。 もし、コンセントから遠い位置に間接照明を設置したいのであれば、コードレスで充電式のものがあるので、そちらを購入すると良いでしょう。
模様替えNG例②ウォールステッカーを貼る
ウォールステッカーを貼って部屋のイメージを変えたいという意見を聞くこともありますが、あまりオススメしていません。部屋がどうしても子どもっぽく見えてしまいますし、気軽に張り替えることができないからです。きれいに剥がせないこともあるので賃貸住宅にお住まいの方は、特に避けたほうが良いでしょう。 本格的にウォールステッカーを張りたい場合は、プロの力を借りて施工を依頼するようにしましょう。
模様替えNG例③色を使いすぎない
模様替えは色を使いすぎないように注意してください。部屋に色が多すぎると、雑多な印象を受けやすくなってしまいます。理想は部屋の色の数を3色に分けること。床や壁、天井などのベースカラーが7割、カーテンや家具などのメインカラーが2.5割、クッションやお花などのアクセントカラーが0.5割になるよう色分けしましょう。 ベースカラーが白や茶色だと、どの色のカーテンや家具でも基本的にマッチします。そこにアクセントカラーを加えると、より空間が締まって見えるでしょう。
模様替えNG例④棚にはものを飾りすぎない
棚にものを飾りすぎるのもオススメしません。飾り付けた棚を単体で見れば、たしかに見栄えが良いのですが、部屋全体で見ると、ごちゃごちゃした印象になってしまいます。なので、棚に飾るものは1割から3割程度に留めて、7割以上の余白を残すようにします。
模様替えで運気を呼び込みたいならこちらの記事も参考に。
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気分転換&生活動線を整える模様替えテクニック まとめ
模様替えをしたい場所は、各家庭によってさまざまだと思います。今回ご紹介したポイントや考え方をご自宅に当てはめてみて、ピッタリくるようなものがあれば、ぜひ取り入れてみてくださいね。
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