お家のなかで事故が起こりやすい場所とは?一級建築士が教える家庭内事故の原因と対策

お家で起こるかもしれない不慮の事故、防ぐ準備はできていますか?

一級建築士のしかまのりこさんによると、家庭内には転倒事故や転落事故、ヒートショックなど、場合によっては命を失う危険が潜んでいるそうです。では、これらの事故を防ぐためにどのような対策が必要なのでしょうか。

しかまのりこ プロフィール
しかまのりこ プロフィール

COLLINO(コリーノ)一級建築士事務所代表
「~地球にやさしい 家族にやさしい~」をコンセプトに、延べ5,000件以上の住戸の設計・検査・審査に携わる。また、これまで300軒以上のリビング・寝室・子ども部屋の模様替えをおこなった実績から、模様替えのスペシャリストとして、日本テレビ「ZIP!」、テレビ朝日「グッド!モーニング」、扶桑社「住まいの設計」、小学館「週刊 女性セブン」などのテレビ・雑誌でも活躍中。
 書籍「狭くても快適に暮らす、家具配置のルール」(2021年2月彩図社より発売予定)
 https://collino-home.com

一級建築士のしかまのりこです。平成27年にまとめられた厚生労働省の人口動態調査によると、交通事故よりも家庭内事故によって亡くなられた方が多いとされています。そこで今回は、万が一の事態を防ぐために注意すべきポイントをご紹介します。高齢者や小さな子どもの身の回りで起こりやすい家庭内事故も取り上げておりますので、合わせてご参考にしてください。

家庭内事故を防ぐポイント①転倒事故が起こる原因と対策

階段からの転倒に注意
階段からの転倒に注意

階段からの転倒は、頻繁に起こってしまう家庭内事故のひとつです。事故の原因としては、手すりが設置されていないことや階段自体が滑りやすくなっていることなどが考えられます。改正建築基準法が定められた2000年6月1日以前に建てられたお家の場合、手すりがないこともあるので、後付けしてでも設置することを薦めています。

また、足を滑らせて転倒することがないように、段鼻(だんばな)と呼ばれる階段の先端部分に滑り止めを付けます。靴下やスリッパをはいての昇り降りは、素足よりも滑りやすくなるので、できる限り控えましょう。足元灯もあると便利ですね。人が近づくと自動的に点灯するものを選べば、夜間の転倒事故防止につながるでしょう。

家庭内事故を防ぐポイント②ベランダからの転落事故が起こる原因と対策

ベランダには足掛かりになる物を置かない
ベランダには足掛かりになる物を置かない

ベランダからの転落もよく起こる家庭内事故なので、前提として、子どもをベランダで遊ばせることは避けましょう。とは言え、元気なお子様の場合、ひとりで遊んでしまうケースが考えられるので、対策はしっかりしておきます。

ベランダの手すりの近くに野外用の机や椅子、プランターやエアコンの室外機など、足掛かりになる物が置かれていると、子どもが転落する原因となりますので、不要なものは置かないようにしましょう。これから新築一戸建てを建てられる方は、室外機の設置位置にも気をつけてください。また、手すりの柵と柵の間は10センチ以下にすることをオススメします。子どもの頭が通るほどの間隔が開いていると、不意に転落することも考えられるからです。

家庭内事故を防ぐポイント③ヒートショックが起こる原因と対策

屋内の温度差が原因で起こるヒートショック
屋内の温度差が原因で起こるヒートショック

ヒートショックは急激な温度差による血圧変動が原因とされており、寒い日の廊下や浴室、脱衣所で多く発症しています。対策として、これらの場所の窓は断熱サッシにしたり、付近にヒーターを置いたりして、冷気が溜まるのを防ぐといいでしょう。

新築する際は、リビングダイニングの隣に浴室や脱衣所を設置する間取りをオススメしてします。浴室、脱衣所までの動線をなるべく短くすることで、リビングダイニングの暖房が行き届き、温度差を感じることが少なくなるからです。また、入浴前にお水を飲むことで、血圧変動のリスクを軽減できると言われているので、日頃から意識して習慣づけるとよさそうです。

高齢者に多い家庭内事故とは? 原因と対策

小さな段差が転倒の原因になる
小さな段差が転倒の原因になる

高齢者の家庭内事故で非常に多いのが転倒事故です。意外に思われるかもしれませんが、階段などの大きな段差より、ちょっとした段差での転倒が圧倒的に多く、足が弱っている方の場合は骨折や寝たきりの原因になってしまいます。

高齢者は15センチ程度の段差であれば認識できますが、2センチから3センチほどの段差には気づきにくいと言われています。なので、動線上に電源コードを置かない、カーペットやラグがめくれないように端をテープで止めるなどの対策はしっかり行いましょう。また、浴室の転倒事故も事例として多くあり、なかでも浴槽を跨ぐ際は滑りやすく負担もかかりやすいので、手すりを付けることをオススメしています。

小さな子どもに多い家庭内事故とは? 原因と対策

壁や家具の角にぶつかって怪我をしてしまうケースが多い
壁や家具の角にぶつかって怪我をしてしまうケースが多い

小さな子どもの家庭内事故として多いのが、壁や家具の角にぶつかって怪我をしてしまうケースです。最近は内壁がタイル張りや石張りの家庭も多いですが、強度が強い分、当たりどころが悪いと流血することもあるので注意しましょう。ホームセンターなどで売られている、ぶつかり防止用のクッションは衝撃を吸収してくれるのでオススメです。ぜひ、壁の曲がり角や家具のコーナー部分につけてあげてください。

赤ちゃんや子どもに起こりえる想定外な家庭内事故とは?

赤ちゃんや子どもは、ときに大人が想定できないような行動をとることがあります。それが原因で起こりえる、盲点となりやすい家庭内事故を紹介しますので、小さなお子様を持つ方は特にお気をつけください。

・洗濯機や宅配ボックスに閉じ込められる
小さなお子様はかくれんぼを覚えると、日常的にどこかに隠れるといった行動をとることがあります。両開きに対応していない洗濯機や宅配ボックスに入って、閉じ込められてしまうケースがあるので注意してください。特にドラム式洗濯機は、子どもの手が届きやすいところに扉があるので、なかに入ることが危険であると言い聞かせるようにしましょう。

・お風呂場での溺死
お風呂場も子どもにとって、絶好の隠れ場所のひとつです。浴槽での溺死を防ぐために、お風呂場の入り口は必ず閉めておくようにしましょう。万が一、気づかないうちに浴槽に隠れてしまったとしても、溺れることがないよう、入浴時以外は“ため湯”しないことを徹底してください。

・グリルに触れてやけどする
グリルは、子どもの目線上にあることから、興味本位で手を触れがちなので気をつけましょう。メーカーによっては高温抑制扉という温度を抑制できるものもありますが、標準装備されていないことがほとんどです。キッチン周りに柵を設けるなどして対応しましょう。

・コンセントからの感電・火傷
いたずらでコンセントに物をいれたりすると、感電や火傷の原因となります。100円ショップなどで売られているコンセントキャップを付けて、むやみに触れさせないようにしましょう。また、分電盤に漏電遮断機がついているか念のため確認してみてください。ほとんどのお家の場合は付いていますが、築30年以上の古い住まいだと、設置されていないことがあります。もし付いてないのであれば、3万円から5万円ほどの工事費で済むので、火災予防のために必ず設置してください。

家庭内事故を防ぐための原因と対策法 まとめ

家庭内事故を未然に防ぐために、今の住まいが安全であるかの確認とそれぞれの対策は必ず行うようにしましょう。これからマイホームを建てる方にとっても、ご参考になれば幸いです。

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