女性一級建築士が解説する小学校入学準備! 子ども部屋とリビング学習空間のつくり方

お子様が小学校に入学するタイミングで、新居の購入や引っ越しをしたいという方は多いのではないでしょうか。しかし、どのように子ども部屋をつくればいいのか、リビング学習をさせる場合はどのようなことに気を付ければいいのか、分からないことが多いですよね。
そこで、一級建築士のしかまのりこさんに、子ども部屋づくりのポイントやリビング学習をさせるうえでの注意点などを解説していただきました。

しかまのりこ プロフィール
しかまのりこ プロフィール

COLLINO(コリーノ)一級建築士事務所代表
「~地球にやさしい 家族にやさしい~」をコンセプトに、延べ5,000件以上の住戸の設計・検査・審査に携わる。また、これまで300軒以上のリビング・寝室・子ども部屋の模様替えをおこなった実績から、模様替えのスペシャリストとして、日本テレビ「ZIP!」、テレビ朝日「グッド!モーニング」、扶桑社「住まいの設計」、小学館「週刊 女性セブン」などのテレビ・雑誌でも活躍中。
 書籍「狭くても快適に暮らす、家具配置のルール」(2021年2月彩図社より発売予定)
 https://collino-home.com

一級建築士のしかまのりこです。今回は自立心を育ませる子ども部屋のつくり方を解説いたします。合わせて、リビング学習に適した空間づくりや子育てしやすいお家のポイントなどもご紹介するので、マイホーム購入や引っ越しを検討している方だけでなく、現在住んでいるお家でお子様の成長を見守りたいという方も、ぜひご参考にしてみてください。

小学校入学前におさえておきたい! 子ども部屋づくりのポイント

教育方針に合わせて「リビングを通すor通さない」を決める

新居の購入や引っ越しを機に子ども部屋をつくる際は、お家のどの位置に配置するかを教育方針に合わせて決めるといいでしょう。配置場所は大きく分けて、「リビングを通るタイプ」と「リビングを通らないタイプ」の2種類。2階に子ども部屋を置くと仮定して、それぞれの特徴をご紹介します。

リビングを通って子ども部屋に行くタイプの間取り図
リビングを通って子ども部屋に行くタイプの間取り図

上の間取り図は、リビングを通って子ども部屋に行くタイプです。
玄関と階段のあいだにリビングを挟むので、子どもは基本的に家族がいる空間を通って自室に向かうことになります。そのため、お子様の様子や帰宅時間が把握しやすくなりますし、コミュニケーションの機会が増えるなどのメリットがあります。一方で、ついつい過干渉気味に接してしまうので、特にお子様が思春期を迎えた際は、プライバシーを尊重するよう、心がけましょう。

リビングを通らずに子ども部屋に行けるタイプの間取り図
リビングを通らずに子ども部屋に行けるタイプの間取り図

こちらはリビングを通らず、子ども部屋に行けるタイプの間取り図です。
玄関ホールのすぐ側に階段が設けられているので、子どもは帰宅してリビングを通らず、すぐ自室に向かうことができます。先ほどご紹介いたしましたリビングを通るパターンよりも、子どもの様子はうかがいにくくなりますが、思春期のプライバシーは保ちやすくなるというわけです。 これら2つのタイプに優劣はありませんので、お子様に対してどのように接したいかや教育方針に合わせて間取りを決めるといいでしょう。

子ども部屋の収納スペースは親子で一緒につくる

子ども部屋の収納スペースは親子で一緒につくる
子ども部屋の収納スペースは親子で一緒につくる

子ども部屋をつくる際、お子様主体で収納用の家具を選び、どこに置くかを決めさせるといいでしょう。自室の空間づくりを率先して行わせることで、自立心が育まれますし、自分で収納スペースを決めることで、片付けへの意識が高まります。

そして、子ども部屋を与えたあとは、ある程度管理を任せてみましょう。具体的には、自分で使ったものは、自分で決めた場所に、自分で片づける、というルールをつくります。大人が行うほど子供の片づけは完璧にはいきませんが、そこは口を出さずに見守ることが大切です。そして、ある程度片付けができているときは、ほめてあげましょう。

ただし、掃除機をかけたり布団を干したりといった家事作業は、親御様が行うことをオススメしています。すべての管理を任せてしまうと、どうしても整理整頓が行き届かなくなりますし、自分だけの部屋だという認識が強くなり過ぎると、家族間のルールや生活リズムを守らなくなる危険もあります。お子様に“部屋を借りている”という認識を徐々に自覚させるよう努めれば、思春期を迎えても部屋への立ち入りを拒否されにくくなり、結果的に大人への成長をうながすことにつながるでしょう。

兄弟・姉妹部屋をつくるメリット

兄弟・姉妹部屋の間取り図
兄弟・姉妹部屋の間取り図

なかには、兄弟姉妹に共同の子ども部屋を与えるというケースがあるかと思います。実は私自身、以前までは兄弟姉妹にはひとり1部屋ずつ与えた方がいいと考えていました。ただ、共同部屋で過ごされた方々に話を聞くと、意外にも「楽しかった」や「いい思い出として残っている」などの前向きな意見をいただくことが多く、びっくりした経験があります。各家庭の教育方針にもよりますが、幼少期は共同の子ども部屋にするのもいいかもしれません。

その際も、部屋の空間づくりと片付けルールはお子様と一緒に話し合って決めるようにします。共同の子ども部屋で過ごさせる目安は、小学校を卒業するまでです。子どものプライバシーを保つためにも、上のお子様が中学生になったら、部屋を分けてあげましょう。

また、兄弟姉妹部屋に設置するベッドは、分解できる2段ベッドがオススメです。これならば部屋を分ける際に買い直す必要がありませんし、お子様にとっても使い慣れたものなので、安心して眠ることができるでしょう。勉強机や椅子は成長しても使えるよう、あらかじめ高さが変えられるものを購入しておけば、後々買い替えることもなくなり、物を大切に使うという美徳も養えます。

小学1年生からはじめるリビング学習! 空間づくりのポイントは?

リビング学習用に「子どもゾーン」を設ける

リビング学習用に「子どもゾーン」を設ける
リビング学習用に「子どもゾーン」を設ける

最近ではお子様が小学校を卒業するまで、リビングで学習させる家庭が増えています。私の事務所にもリビング学習に関するご相談を多くいただくのですが、そのほとんどはリビングが散らかってしまうのを防ぎたい、というもの。その悩みを解決するため、リビングに1畳ほどの「子どもゾーン」を設けることを薦めています。

学習用品が散らかる原因のひとつは、リビングテーブルやダイニングテーブルなどの共用スペースで勉強をしてしまうから。そのため、学習専用の子どもゾーン、リビングダイニングゾーン、収納ゾーン、という風に空間を意識的に分けることが重要になります。

間仕切り収納で「子どもゾーン」を空間分けする

リビング学習には、間仕切り収納を使えば部屋の散らかり防止と空間づくりができる
リビング学習には、間仕切り収納を使えば部屋の散らかり防止と空間づくりができる

子どもゾーンを空間分けする際は、上記画像のように間仕切り収納を使いましょう。子どもゾーンに隣接した収納ゾーンに学習用品専用の収納スペースを設けることで、部屋が散らかるのを防ぎながら、お子様が集中できる適度に閉ざされた空間をつくることができます。この収納スペースは、ランドセルや体操着置き場などにするのもオススメです。学校に持っていくものをお家の一部に集約させることで、登校の準備もスムーズに行えるようになるでしょう。

リビング学習で共用テーブルを使う場合は近くに学習用品の収納スペースを用意

リビング学習で共用テーブルを使う場合は近くに学習用品の収納スペースを用意

現在お住まいのリビングに子どもゾーンを設けることが難しい場合は、リビングやダイニングにある共用テーブルを使うことになるかと思います。その際も、必ずテーブルの近くに学習用品の収納スペースを用意しましょう。

子育てに適した家の条件とは?

子育てに適した家、LDKまわりで洗濯・収納・料理などが完結する間取り図
子育てに適した家、LDKまわりで洗濯・収納・料理などが完結する間取り図

LDKまわりで洗濯や収納、料理などが完結する間取りは、子育てがしやすいお家と言っても過言ではありません。さらに、家事動線上に豊富な収納スペースがあれば完璧です。マイホーム建設時や一戸建てに引っ越しする際は、ぜひ家事動線や収納スペースにも意識を向けてみてください。

上の間取り図は収納率が20%確保されたお家の間取り図です。キッチンとランドリールームの動線を短くしつつ、家事室やパントリーも十分な収納ができる広さがとられています。また、ランドリールームは4畳あるので、ここで洗濯物をたたんだり、収納したりすることも可能です。

※収納率……住宅の総床面積に対する収納部分の面積の比率を指します。

ただし、これほどの収納を実現するのはなかなか難しいものです。その際はLDKまわりに袋棚とハンガーパイプを設置した「ファミリークローゼット」を設けて、収納率15%を目指すようにしましょう。この数字は住みやすいお家に共通する収納の多さと言われており、一般的な戸建てだと収納率13%程度、マンションだと10%程度が標準となります。

LDKまわりに家族兼用のファミリークローゼットを設けることで、お子様の衣類を子ども部屋まで運ぶ手間が省けますし、ライフステージの変化に合わせて納戸収納としても使えるのでとても便利です。

子ども部屋とリビング学習空間のつくり方 まとめ

子ども部屋のつくり方やリビング学習をさせるか否かは、各家庭の教育方針によって変わってくるかと思います。今回ご紹介した内容は私が勧める一例ではありますが、子育てをされている親御様の参考になれば幸いです。

新築一戸建て注文住宅購入者へのインタビュー記事はこちら

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