一戸建てを新築・購入する基本的な流れを解説。家づくりはどのタイミングで何をする?

一戸建て住宅を新築・購入するためには、いくつものプロセスがあります。建築プランの選択など家づくりはもちろんのこと、そのための契約手続きや住宅ローン審査、決済など、やるべきことがたくさんあります。住宅購入はほとんどの方が初めてだと思いますので、どのタイミングで何をするかわからないと思います。注文住宅の場合は特に、お金を支払うタイミングが複数回に分かれているので、しっかりと住宅購入の流れを把握しておく必要があります。今回は、一戸建て住宅を新築・購入する際の主な流れを解説します。

目次
1.一戸建てを新築・購入する流れ
2.一戸建てを新築・購入する際の支払いタイミング
3.一戸建てを新築・購入する流れ まとめ

一戸建てを新築・購入する流れ

一戸建てを新築・購入する際には何をすればよいのでしょうか。ここでは注文住宅を建てる場合の、基本的な流れを、10のステップに分けて紹介します。

新築住宅購入の流れ1-家づくりを計画・情報収集

新築住宅購入の流れ1-家づくりを計画・情報収集

家づくりの方針を決める

まずはどのような家を建てたいのか、家づくりの条件をまとめましょう。希望する広さや間取り、内外装、設備などの条件や、それらの優先順位を家族で話し合っておきます。また、子どもの人数や親との同居などにより、必要な部屋数や住まいに求めることが変わってきます。ライフステージに沿って、長期的な視野で計画を立てることも大切です。家づくりの条件がまとまったら早速、情報収集を始めましょう。

新築住宅購入検討時の参考記事:新築一戸建てのベストな部屋数は? 家族の人数やライフスタイルに応じた間取りの考え方

予算を決めて住宅ローン計画を立てる

同時に、資金面の計画も立てる必要があります。家づくりの計画中には「あれもしたい、これもしたい」と希望が膨らみがちですが、理想を追求するほどに建築費が嵩みます。住宅購入時には多くの方が住宅ローンを利用すると思いますが、頭金はどの程度準備できそうなのか、月々の返済額はいくら程度が妥当か、年齢から考える完済時期などから、住宅ローンでどの程度の費用を借り入れるのか算出します。金融機関のホームページなどで返済プランをシミュレーションする、もしくはFPに相談しましょう。大切なのは「借入可能額」ではなく「無理なく返済できる金額」を知ることです。
方針を決めたら、どの金融機関を選ぶのか、金利タイプは固定金利と変動金利のどちらが良いのか、借り入れは単独か夫婦でするのかなど決めておきましょう。事前審査を通過していないと、購入の契約ができないケースもあります。「事前審査が遅れたことで、希望する土地を他の人に買われてしまった」といった事態を防ぐために、早めの行動を心がけましょう。

新築住宅購入検討時の参考記事: マイホームを購入するときの自分の借入可能額が最短1分でわかる!?「家探し前クイック事前審査」を利用した新しい家づくりとは?

新築住宅購入の流れ2-ハウスメーカーなど依頼先を探す

新築住宅購入の流れ2-ハウスメーカーなど依頼先を探す

予算やどのような家を建てたいのかといった方針が決まったら、家づくりの依頼先を探しましょう。依頼先はハウスメーカーや工務店、設計事務所などがありますが、注文住宅を建てる方のうち最も多くの人が依頼先として選んでいるのが、ハウスメーカーです。全国各地に拠点があるメーカーから地域密着型でエリアを限定して営業するメーカーまでありますし、依頼するハウスメーカーの平均的な予算や得意分野を知ることも大切です。
モデルハウスや施工物件の見学会、施工例のチェックなどを通じていくつかのハウスメーカーを比較し、候補を絞ったら見積もりを依頼します。何ができて、どの程度の費用が掛かるのか確認し、諸経費やオプション費用、住宅完成後のアフターサービスや保証期間についても確認します。見積金額の安さだけでなく、内容をきちんと確認したうえで希望に合う依頼先を選びましょう。

新築住宅購入の流れ3-土地探し~購入

新築住宅購入の流れ3-土地探し~購入

土地を所有していない場合は、ハウスメーカーなどの施工会社選びと並行して土地探しを行います。(施工会社が家づくりと一括で依頼できるケースもあります)。限られた予算でどれだけの金額を土地に充てるのかにより、家づくりの方針も変わってきます。できるだけ早い段階で土地を購入したいところです。
最寄り駅までの距離や通勤・通学のしやすさ、実家までの距離、スーパーなど日常の買い物スポットや病院、役所や図書館といった公共施設がどこにあるのかなど、立地条件を確認します。気になる土地を見つけたら、地盤の強さや日当たり、前面道路の交通量なども調べましょう。子育てが前提の場合は学校や公園がどこにあるのか、同世代の人が多く住んでいるエリアかどうかもチェックしておきたいところです。

新築住宅購入検討時の参考記事:【失敗したくない人へ】ここがポイント! 注文住宅の土地探し・土地選びの注意点

新築住宅購入の流れ4-住宅ローンの借り入れ先を決める

新築住宅購入の流れ4-住宅ローンの借り入れ先を決める

購入する土地が決まったら、いよいよ住宅ローン審査です。事前審査(仮審査)は、年収や自動車など他のローンの利用状況、物件価格と希望する借入金額や返済期間といった自己申告情報をもとに、返済能力があるか審査されます。「審査が通るか不安」「希望する金額を借り入れできないかもしれない」と不安な場合は、複数の金融機関に事前審査を申し込んでおくのも手です。

ちなみに、土地から購入して注文住宅を新築で建てる場合、主に土地の購入代金から始まり、住宅の着工時や上棟時(中間時)、完成・引き渡し時に分けて支払いを行います。土地代金から住宅ローンの借り入れで賄いたい場合、住宅ローン契約が実行されるまで「つなぎ融資」で資金を得る必要が生じることもあります。つなぎ融資の金利は住宅ローンより高めに設定されているので、支払いのタイミングを事前に確認しておきましょう。

新築住宅購入の流れ5-土地の売買契約

新築住宅購入の流れ5-土地の売買契約

購入する土地を決めたら、希望する購入金額などを記載した「買付証明書」を売主に提出し、購入の意思を示します。受理されれば購入の権利を得たこととなり、売買契約に進めます。この段階で、住宅ローンの事前審査が通っていれば、いよいよ本契約です。不動産会社から重要事項説明を受けた後、契約を締結します。契約時には一般的に、土地代金の5~10%程度「手付金」が必要になります。万が一、契約後に買主側の都合でキャンセルをすることになった場合、基本的に手付金は返ってこないことを覚えておきましょう。

新築住宅購入の流れ6-プランニング

新築住宅購入の流れ6-プランニング

ハウスメーカーなどの施工会社も建てる土地も決まれば、家づくりの詳細なプランニングに入ります。初期に概算で出してもらった見積もりも、土地に合わせた間取りや細かな設備の要望などを反映させていくと金額が変わってきます。打ち合わせを重ねながら、限りある予算で何を優先するのか検討を重ね、新築住宅の設計プランを完成させます。

新築住宅購入の流れ7-本契約~建築確認申請

新築住宅購入の流れ7-本契約~建築確認申請

新築住宅の設計プランが決まり、本見積りが完成したら、正式な依頼となる「建築工事請負契約(本契約)」を結びます。代金をいつ、どれだけ支払うのかはそのときの契約内容によりますが、一般的には契約締結時の手付金として建築費用の10%、着工時に30%、上棟時に30%、建物の引き渡し時に30%程度が目安です。土地の場合と同様に、契約後にキャンセルをした場合、手付金は基本的に戻ってきませんし、契約から一定の期間が経ってから解約をする場合、違約金が発生するので注意が必要です。
また、この段階で、これから建てる住宅が建築基準法に適合しているかチェックする「建築確認申請」を行います。

新築住宅購入の流れ8-住宅ローンを契約

新築住宅購入の流れ8-住宅ローンを契約

契約が成立し、土地+建物の合計金額が確定したら、建築確認済証や工事請負契約書などの書類を準備し、正式に住宅ローンの申し込みを行います。金融機関による本審査で承認されれば、金融機関と金銭消費貸借契約(金消契約)を結ぶことになります。同時に、購入する住宅の土地と建物を担保とする抵当権の設定契約も行います。注文住宅の場合は、どのタイミングで住宅ローンが実行されるのか、施工会社が指定する期日までに振り込んでもらうことができるのか、事前にしっかりと確認してください。

新築住宅購入の流れ9-着工から上棟、竣工へ

新築住宅購入の流れ9-着工から上棟、竣工へ

住宅ローンの本審査を通過したら、いよいよ着工です。事前に近隣住民へあいさつをしておくことで、工事中に騒音などが問題視されて揉めるリスクを軽減できます。また、工事中は飲み物などを差し入れがてら、現場に足を運ぶことをおすすめします。進捗状況を自分の目で見て確認し、現場で働く人々が気持ちよく働けるよう心がけましょう。
地域や施工会社の意向により、地鎮祭や上棟式を行うこともあります。開催した方がいいのか、どの程度の規模で開催すべきなのか事前に確認しておきましょう。

新築住宅購入検討時の参考記事:「地鎮祭」「上棟式」とは?やったほうがいい?新築で一戸建てを建てる前に知っておきたい家づくりの基礎知識

新築住宅購入の流れ10-残金決済~引き渡しへ

新築住宅購入の流れ10-残金決済~引き渡しへ

住宅が完成したら、入居・引き渡しの前に施主が立ち会って竣工検査を行います。建物に問題はないか、設備の不具合はないか、傷や汚れの有無などチェックします。問題がなければ、建築費用の残金を支払い、引き渡しとなります。

一戸建てを新築・購入する際の支払いタイミング

項目 支払いの
タイミング
主な支払い名目
土地 土地の
売買契約時
手付金(土地代の5~10%)
仲介手数料(売買代金×3%+6万円+消費税10%)半金
印紙代
測量費用
土地の
引き渡し時
残りの土地代金
仲介手数料の半金
所有権移転登記費用(固定資産税評価額×1.5%)
司法書士手数料
固定資産税(日割り)
建物 本契約時 手付金(建築費用の10%程度)
印紙代
着工時 着工金(建築費用の30%程度)
建築確認申請費用
地盤調査費用
上棟時 中間金(建築費用の30%程度)
中間検査手数料(対象の建物のみ)
引き渡し時 残金(建築費用の30%程度)
完了検査費用
登記費用
住宅ローン 契約時 印紙税
住宅ローン
実行時
事務手数料
保証料(無料の金融機関も多い)
団体信用生命保険料
抵当権の設定登記費用
司法書士手数料
住宅取得後 不動産取得税(取得した年のみ)
固定資産税
都市計画税
火災保険料・地震保険料

注文住宅を新築で建てるには、家の規模などによりますが完成までにおおよそ1年程度の時間がかかります。土地探しに時間がかかった、打ち合わせの回数が多く仕様がなかなか決まらないといった場合には2年近くかかることもあり、その間に様々なタイミングで支払いを行います。
注文住宅は一般的に、土地の売買契約時と引き渡し時、建物の本契約、着工、上棟、引き渡しと複数のタイミングで支払いが生じます。住宅ローンを利用すれば、申請にかかる事務手数料や団体信用生命保険料などの費用もかかります。また、上記の表に記載した主な費用に加え、地鎮祭や上棟式を行う場合はその費用や、住宅完成後には引っ越し費用や家具・家電の購入費用などもかかります。どのタイミングでいくら支払うことになるのか、必要なタイミングで融資を受けることができるのか、事前の確認が必要です。

一戸建てを新築・購入する流れ まとめ

新築で注文住宅を建てる際は、土地探しから施工会社の選定、住宅ローンの借り入れ先も選ぶ必要があり、進捗に合わせて適時、土地や建物の代金を支払います。家づくりの段階になったときに慌てず対処ができるよう、一戸建てを新築・購入する流れを事前に把握しておきましょう。
大まかな基本の流れは以上ですが、これ以外に火災保険や購入後の確定申告、玄関や外壁、外構などの外回りからカーテンや照明などの内装も決めていく必要があります。家づくりは手間も時間もたいへんにかかりますので、無理のないよう、楽しみながら取り組んでいきましょう。

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