マイホーム購入を考え始めた時に購入予算をどのくらい見ればいいのか悩まれる方も多いと思います。注文住宅を建てるにあたり、ハウスメーカーや建築会社・工務店により坪単価が異なることもあり、平均や相場を見てもどの程度の金額の住宅が購入可能なのかわからない方が多いのではないでしょうか。今の生活や収入で可能な住宅ローン借入額や無理のない返済額等の資金計画、必要な頭金の額なども気になるところです。この記事では、マイホーム購入時の建築費用の考え方や価格のシミュレーションなどについて解説します。また、注文住宅の中でも建物価格を事前に把握できて予算を立てやすい「規格住宅」についてもご紹介いたします。
注文住宅を建てるにはいくらかかるの?
注文住宅を建てるのにかかる費用は、どのような土地にどのような家を建てるのか、土地の広さや延床面積、間取り、デザイン、設備、外構などの条件で変わり、相場や価格帯もさまざまです。大まかな仕様を決めて見積もりを作成した時点で初めて金額の目安が分かり、「こんなに費用がかかるなんて!」と頭を抱えてしまうケースが少なくありません。また、契約後に仕様変更が生じて「予定していた以上の費用が掛かってしまった」と後悔するケースもあります。まずは、家づくりにどのような費用がかかるのか把握しておきましょう。
注文住宅の費用に含まれるものは?
注文住宅を建てるのにかかる費用は、大きく「本体工事費」「付帯工事費」「諸費用」に分類できます。土地を所有していない場合は「土地購入費」もかかります。本体工事費と付帯工事費および諸費用の細かい内訳はメーカーによって異なりますが、それぞれの代表的な項目を見ていきましょう。
ハウスメーカーで注文住宅を建てる場合、坪単価〇〇万円という広告をよく目にします。例えば、延床面積40坪の家を建てる場合は坪単価50万円であれば建物価格は2,000万円となります。2,000万円という住宅価格は「本体工事費」を指していることが多く、実際には付帯工事費や諸費用が別途かかると認識しておきましょう。「本体工事費」は、主に仮設工事費や基礎工事費に加え木造住宅の場合には木工事費で構成され、更に内外装工事費や左官工事費などが含まれます。
主な本体工事費 | |
項目 | 内容 |
仮設工事費 | 足場の作成や、仮設の電気やトイレの設置、養生などの費用 |
基礎工事費 | 家づくりの土台となる基礎をつくる工事費用 |
木工事費 | 柱・梁・屋根組みなど大工仕事の費用(木造住宅の場合) |
内装工事費 | 建物内の壁や天井、床などの仕上げ工事費用 |
外壁工事費 | サイディングの施工や壁の塗装・吹きつけなど、外壁仕上げ工事の費用 |
左官工事費 | モルタルや漆喰などの塗装をはじめ、左官職人が行う工事の費用 |
「諸費用」は建物工事以外に必要な費用を指し、諸費用専用のローンを組む場合などを除き原則現金で支払う必要があります。住宅ローン手数料や登記費用などが該当し、どれだけのお金を準備する必要があるのか契約内容を確認のうえ準備しましょう。
主な諸費用 | |
項目 | 内容 |
住宅ローン手数料 | 住宅ローンの借り入れ・借り換えのために支払う手数料 |
登記費用 | 所有権保存登記費用や司法書士報酬 |
印紙税 | 不動産売買契約書を交わす際にかかる税金 |
各種申請費用 | 確認申請や優良住宅申請費用など |
地鎮祭・上棟式費用 | 工事開始時や棟上げ時などに行う儀式の費用 |
注文住宅の費用をわかりづらくしているのは「付帯工事費」?
前述の通り、注文住宅を建てる費用は仕様が決まらないと見積もりを出すことができません。何度も打ち合わせを重ね、やっと費用の目安が分かったところで「到底支払える金額ではない」となれば、打ち合わせにかけた時間や労力が無駄になってしまいます。
注文住宅を建てる費用を考える際に盲点となりがちなのが「付帯工事費」です。建物以外の工事などにかかる外構工事費や解体工事費および地盤改良工事費などを指し、冷暖房や照明、カーテン類の設置工事も含みます。ギリギリの予算で家づくりを行った結果、「最後に外構費用が足りなくなってしまった」といったことのないよう計画を進めましょう。
主な付帯工事費 | |
項目 | 内容 |
外構工事費 | 駐車場や庭、門扉など建物まわりの工事全般の費用 |
解体工事費 | 既存の建物を取り壊して撤去する費用(建て替えの場合) |
地盤改良工事費 | 地盤調査に基づき、地盤の強度を高めるために行う工事費用 |
引き込み工事費用 | 水道管やガス管、通信回線などを引き込む費用 |
事前に価格シミュレーションが可能な注文住宅とは?
このように、さまざまな項目の費用がかかる注文住宅は合計でどれだけの費用が必要なのか想像しにくい側面があります。しかし、単価が決まっているタイプの住宅や規格住宅といった「本体工事費」を明確にしているタイプの注文住宅であれば、事前にどれだけの費用が必要なのか把握しやすいでしょう。
坪単価が明瞭な「コミコミ」の注文住宅
注文住宅は、自由度が高ければ高いほど価格を事前に把握出来ないという不確定要素が多く、坪単価を明確に表記していないハウスメーカーが少なくありません。その一方で、敢えて坪単価を明記し「本体工事費」を計算しやすいよう配慮しているハウスメーカーも存在します。オプションや別途費用をできるだけ必要としないように心がけているので、総費用をイメージしやすく安心して家づくりを進めることができます。
本体工事費+オプションの総額が明確な「規格住宅」
「規格住宅」は、好みの設備や仕様をいくつかの選択肢から選ぶスタイルの注文住宅です。ベーシックなプランにどのようなオプションを加えるかにより、好みやライフスタイルに寄り添った家づくりが可能です。本体工事費+オプションの合計価格が明確なので、トータルコストを確認しやすく納得がいくまで「何にどの程度の金額をかけるのか」を確認しながら理想の家づくりを実現できます。
収入に見合った注文住宅の価格は?
「自分の年収でいくらくらいの家が買えるのだろうか」と考えたことがある方は多いと思います。住宅ローンを利用する場合、借入額の目安は「年収の5倍まで」という説がありますが、これはバブルが崩壊して間もない1992年に当時の宮沢内閣が、「東京をはじめとする大都市圏の勤労者世帯が年収の5倍程度で良質な住宅を買えるようにする」ことを目標として掲げたことに起因しています。
しかし、当時と比べて現在は金利や物価の水準が大きく変化しています。2018年度の「フラット35利用者調査」(※1)によると、物件取得価格に対する平均の年収倍率は、注文住宅が全国平均6.5倍、土地付き注文住宅が全国平均7.2倍であり年収の6~7倍以上の住宅を購入していることが分かります。
住宅購入後の暮らしを想像した資金計画を
注文住宅を建てる段階では、共働きで収入に余裕がある家族でも子どもが生まれて産休や育休を取ったり子どもの成長にともない進学費用がかかったりといった事情で、家庭のお財布事情は大きく変わります。親の介護費用を考えなければならない家庭もあるでしょう。そうしたライフイベントを事前に想定し、今後必要となるであろう費用や収入の変化を見越した資金計画を立てましょう。マイホームでの暮らしを楽しめる余裕のある暮らしの実現が大切です。
住宅ローンの借入額が簡単に分かる「家探し前クイック事前審査」とは?
様々なハウスメーカーの「規格住宅」をバーチャル住宅展示場で見学できる「MY HOME MARKET」では、インターネット上で気軽に建物価格を知ることができます。ここで気になるのが住宅ローンの借入額ではないでしょうか。
アルヒ株式会社が提供するサービス「家探し前クイック事前審査」を利用すれば、ARUHIフラット35における住宅ローンの借入額を最短1分で、事前に審査することができます。「MY HOME MARKET」で気になる家が見つかったときに自分の収入で購入できるかどうかの目安になりますし、家探しを始める前の段階で利用すれば予算に合わせた家探しが可能です。
詳しくはARUHIマガジンの記事を参照してください。
「家探し前クイック事前審査」を利用した家づくりの進め方はこちらの記事をご覧ください。
注文住宅を建てる前に、事前の価格シミュレーション確認を!
注文住宅を建てるのにかかる費用は建物の仕様により千差万別ですが、坪単価が明確な注文住宅やセミオーダー型の規格住宅であれば、ある程度の費用感を事前に把握することができます。また、事前に自身のローン借入額を把握し先々のライフステージも見据えて予算を決めることで、身の丈に合った家づくりができるでしょう。まずは、建物価格が事前に分かる「MY HOME MARKET」や、住宅ローンの借入額が分かる「家探し前クイック事前審査」でシミュレーションを行うところから始めてみてはいかがでしょうか。
「プロが解説! マイホームマーケットで扱う規格(企画)住宅のオススメポイント」もご参照ください
また、注文住宅を建てるには建物代金の他に諸費用や付帯工事費が掛かってきます。
どういう費用があるのかこちらの記事「注文住宅を建てるのに必要な諸費用や付帯工事費は?」で事前にチェックしておきましょう。
注文住宅は建売住宅のように完成後の建物を購入するわけではないため、完成イメージをもつことが難しいものでした。昨今はVRで完成イメージを確認できるサービスが出ていますので、事前にVR住宅内覧により完成後のイメージを確認しておきましょう。VR住宅内覧のコツは「住宅のプロ直伝! VR住宅内覧で効率よくマイホーム計画を進める方法とは?」をご覧ください。
ラジオパーソナリティを経てフリーライターに。
住宅・インテリア・不動産分野を中心として、介護・グルメ・トラベルなどのジャンルでも執筆。
リフォームや注文住宅関連の住宅情報誌をはじめ、雑誌、書籍、新聞、インターネットなどのさまざまな媒体で取材・執筆を手掛けている。