住宅ローン控除(減税)を利用できるのはどんな人?必要な要件や手続き方法を解説

住宅の新築や購入をした人は、一定の要件を満たすことで住宅ローン控除(減税)を受け所得税や住民税を減額することができます。どのような人が住宅ローン控除(減税)を利用できるのでしょうか。また、初めて住宅ローン控除(減税)を利用するときには確定申告を行い、申請手続きをしなければならず、どのような準備が必要か把握しておくことが大切です。ここでは、住宅ローン控除(減税)を受けるための主な要件や手続き方法を紹介します。

目次
1.住宅ローン控除(減税)とは?
2.住宅ローン控除(減税)を受けるための主な要件
3.住宅ローン控除(減税)の手続き方法
4.住宅ローン控除(減税) まとめ

住宅ローン控除(減税)とは?

住宅ローン控除(減税)とは?

「住宅ローン控除(減税)」は、マイホーム購入時やリフォーム時に住宅ローンを借り入れた場合、一定条件を満たせば所得税の減税を受けられる制度です。2024年からは年末時点の住宅ローン残高のうち、0.7%を所得税から控除することができます。所得税で控除しきれなかった分は翌年の住民税から控除されます。住宅ローン控除(減税)制度を利用するためには、購入した住宅に入居した翌年に確定申告をする必要があります。2年目以降は、給与所得者であれば年末調整の手続きをすることで控除を受けることが可能です。

住宅ローン控除(減税)の借入限度額や控除期間は?

住宅の種類(性能) 借入限度額 控除期間
子育て世帯
若者夫婦世帯
その他
一般世帯
新築住宅 長期優良住宅
低炭素住宅
5,000万円 4,500万円 13年間
ZEH水準省エネ住宅 4,500万円 3,500万円
省エネ基準適合住宅 4,000万円 3,000万円
その他の住宅 控除なし 控除なし
中古住宅 長期優良住宅
低炭素住宅
ZEH水準省エネ住宅
省エネ基準適合住宅
3,000万円 3,000万円 10年間
その他の住宅 2,000万円 2,000万円
国土交通省「令和6年度住宅税制改正概要」をもとに作成

住宅ローン控除(減税)を受けることで、いくらくらいの税金が控除されるのでしょうか。前述の通り、減税額は住宅ローン残高の0.7%ですが、住宅の種類(性能)や家族構成により、減税額や減税期間が異なります。

2024年に住宅ローン控除(減税)の内容が大幅に変わり、新築住宅の場合、一定の省エネ基準を満たしていないと住宅ローン減税が適用されず、控除が受けられないことになりました。借入限度額は「長期優良住宅」「低炭素住宅」が4,500万円(子育て世帯や若者夫婦世帯の場合は5,000万円)、「ZEH水準省エネ住宅」が3,500万円(同4,500万円)、「省エネ基準適合住宅」が3,000万円(同4,000万円)で、控除期間は最大13年間です。

例えば、長期優良住宅を購入した一般家庭の場合、借入限度額が4,500万円のため、4,500万円×0.7%=31万5,000円が1年あたりの最大控除額となります。控除期間は最大13年ですから、31万5,000円×13年=トータルで409万5,000円控除される計算となります。

子育て世帯や若者夫婦世帯に対する優遇は2024年に入居した人のみとなっていますが、国土交通省が2024年8月にまとめた「令和7年度国土交通省税制改正要望事項(P3)」によると、2025年も同様の優遇措置を設ける方向で検討が進められています。

住宅ローン控除(減税)を受けるための主な要件

住宅ローン控除(減税)を受けるための主な要件

住宅ローン控除(減税)を受けるには、いくつかの要件を満たす必要があります。新築住宅の場合の主な要件は、以下の通りです。

1.	自らが居住する住宅であること
2.	控除を受ける年の合計所得金額が2,000万円以下であること
3.	住宅ローンの借入期間が10年以上であること
4.	住宅の引き渡し、もしくは工事完了から6ヶ月以内に入居すること
5.	住宅の床面積が50平方メートル以上であること

まずは大前提として、自らが居住する住宅であることが挙げられます。別荘や投資物件、親や親族から取得した住宅も対象外となります。対象の住宅には引き渡し、もしくは工事完了から6ヶ月以内に入居し、住宅ローン減税の適用を受ける年の12月31日まで引き続き入居している必要があります。入居日は、登記簿や住民票の記載日で判断されます。 収入にも制限があり、住宅ローン減税を受ける年の合計所得金額が2,000万円以下であることが前提です。また、住宅ローンの借入期間が10年以上であることも要件となっており、返済期間が10年以上の住宅ローン残高が残っている必要があります。

住宅のスペックとしては、前述の住宅性能に加え、住宅の床面積が50平方メートル以上であること、店舗や事務所との併用住宅の場合は、床面積の2分の1以上が自己居住用であることも求められます。ただし、住宅の床面積は2024年末までに建築確認が取れている場合、40平方メートル以上50平方メートル未満で、所得金額が1,000万円以下である場合も対象となっており、国土交通省が2024年8月にまとめた「令和7年度国土交通省税制改正要望事項(P3)」によると、2025年も同様の優遇措置を設ける方向で検討が進められています。

住宅ローン控除(減税)の手続き方法

住宅ローン控除(減税)の手続き方法

住宅ローン控除(減税)は、住宅ローンを借り入れただけで自動的に適用される制度ではありません。定められた期間内に申告を行う必要があります。取得した住宅に入居を始めた翌年の確定申告が必要です。確定申告の時期は2月16日から3月15日(休日の場合は翌営業日)です。会社員などの給与所得者は2年目以降、勤務先の年末調整で簡単に手続きが可能です。

1年目の確定申告の際、準備が必要な書類は主に、以下の通りです。

・確定申告書
・住宅借入金特別控除額の計算明細書
・源泉徴収票
・住宅ローンの年末残高証明書
・土地や建物の登記事項証明書
・土地や建物の売買契約書(請負契約書)の写し
・住宅性能を示す証明書
・本人確認書類の写し(マイナンバーカードなど)

確定申告書」や「住宅借入金特別控除額の計算明細書」は最寄りの税務署で取得、もしくは国税庁ホームページからダウンロードできます。「源泉徴収票」は勤務先から、「年末残高証明書」は住宅ローンを利用した金融機関から取得します。土地や建物の「登記事項証明書」は請求対象の土地や建物を管轄する登記所又は最寄りの登記所で請求するか、オンライン申請システムを利用。「売買契約書(請負契約書)」や利用する住宅ローンの種類に応じた「住宅性能を示す証明書」は不動産会社やハウスメーカー、工務店が発行する書類です。そのほか、本人確認書類も準備しましょう。

住宅ローン控除(減税) まとめ

住宅ローン控除(減税)の制度は今のところ、2025年まで利用できる制度です。2026年以降も延長される可能性が高いものの、2022年度の税制改正時に住宅ローンの控除率が1%から0.7%へ、新築住宅は省エネ基準適合が要件化されたときのように、現行の制度から内容が大きく変わる可能性は否定できません。住宅ローン控除(減税)の恩恵を受け、できるだけお得に住宅を購入したいと考えている方は、ベストなタイミングで住宅を購入できるように、最新情報をこまめにチェックしてくださいね。

参考:住宅ローン減税|国土交通省