キッチンに吊戸棚はいる?いらない?キッチンに吊戸棚を設置するメリットやデメリット、収納方法も解説

キッチンの上部に設置されている、吊戸棚。ウォールキャビネットとも言われます。これから一戸建て住宅を新築したりマンションを新築で購入したりするのであれば、オプションの選択で吊戸棚を設置するかしないか、迷っている方もいるでしょう。収納スペースはできるだけたくさん欲しいものの「使いづらいのでは?」「開放感を損ないそうだからいらないのでは?」という声もあります。この記事では、キッチンに吊戸棚を設置するメリットやデメリット、設置する場合のポイントや収納方法も解説します。

目次
1. キッチンに吊戸棚を設置するメリット・デメリット
2. キッチンに吊戸棚を設置するときのポイント
3. キッチンの吊戸棚の収納方法
4. キッチンの吊戸棚 まとめ

キッチンに吊戸棚を設置するメリット・デメリット

メリットデメリット
狭いところにも設置でき収納量を増やせる
キッチン上部のスペースを有効活用できる
子どもやペットの手が届きにくいので安全
地震で倒れない
上段の高い位置は手が届きにくい
落下の可能性を考えると重い物は置けない
間取りにより圧迫感が出てしまう
手元が暗くなりやすい
キッチンに吊戸棚を設置するメリット・デメリット

キッチンに吊戸棚が必要なのか迷っている方は、キッチンに吊戸棚を設置するメリットとデメリットを理解したうえで、採用するかしないか考えてみましょう。

キッチンに吊戸棚を設置するメリット

キッチンに吊戸棚を設置する最大のメリットは、収納量を増やせることです。キッチンに収納したいものがたくさんある方にとって、吊戸棚は貴重な収納スペースとなり、デッドスペースとなりがちなキッチン上部を有効に活用できます。また、高い位置に設置することで子どもやペットの手が届きにくくなることもポイントです。キッチンばさみや包丁など、キッチンには子どもにとって危険なものがたくさんありますので「触れない」状況を作ることで事故を防ぎやすくなります。

キッチンに吊戸棚を設置するデメリット

キッチンに吊戸棚を設置するデメリットとして、上段の高い位置は大人も手が届きにくいことが挙げられます。頻繁に使用するものを吊戸棚の上段にしまってしまうと、使う度に踏み台を用意しなければならず面倒です。また、オープンキッチンなどの場合、吊戸棚を設置することで圧迫感が出てしまうこともありますので、開放感を重視している場合は注意が必要です。キッチンの高さや照明と吊戸棚の位置によっては、手元が暗くなってしまうこともあります。設置場所の確認や照明のセレクトが重要になることを覚えておきましょう。

キッチンに吊戸棚を設置するときのポイント

キッチンに吊戸棚を設置することに決めた場合、どのようなことに気を付けたら良いのでしょうか。順に見ていきましょう。

キッチンに吊戸棚を設置するときのポイント1―設置場所

キッチンに吊戸棚を設置するときのポイント1―設置場所

吊戸棚をどこに設置するのかによって、使い勝手や収納力、リビング・ダイニングから見たときの印象が変わってきます。一般的な設置場所としてはキッチンの真上で、オープンキッチンの場合はカウンター収納とセットで背面スペースに設置することも多いでしょう。キッチンの真上と背面の両方に吊戸棚を設置することもあります。

キッチンに吊戸棚を設置するときのポイント2―吊り戸棚のサイズ

キッチンに吊戸棚を設置するときのポイント2―吊戸棚のサイズ

吊戸棚のサイズは、収納量を多く取りたい場合は高さ70cm以上のタイプを、開放感を損なわないようにしたい場合は高さ50cm前後のコンパクトなタイプを選びましょう。 奥行きが深いほどに収納量は増えますが、深いほどに使いやすいとも限らず、奥がデッドスペースになってしまうことも。また、奥行きが深いほど視覚的に圧迫感が出やすく、調理中に頭をぶつけやすくなるので注意が必要です。一般的なキッチンの奥行きが60〜65cmなのに対し、吊戸棚は30㎝程度にすると使い勝手が良いでしょう。

キッチンに吊戸棚を設置するときのポイント3―設置する高さ

キッチンに吊戸棚を設置するときのポイント3―設置する高さ

キッチンの吊戸棚は、高い位置にあった方が調理の際に邪魔になる心配や陰になることがありませんが、低い位置にあれば吊戸棚の奥まで目線が届きやすくなります。使いやすい設置位置の目安は、目線よりもやや上、身長マイナス15~20cm程度です。キッチンを一番よく使う人の身長に合わせて決めましょう。キッチンの真上ではなく、背面収納として設置する場合は、目線よりやや下になるように設置すると使いやすいでしょう。また、レンジフードと横並びで設置する場合は、レンジフードの高さに揃えるとすっきり見えます。
ちなみに、火災予防条例により、コンロと吊戸棚の間は100cm以上(防熱板がある場合は80cm以上)離さなければなりません。身長に合わせて吊戸棚を低めの位置に設置したいと考えている場合は注意が必要です。

キッチンに吊戸棚を設置するときのポイント4―扉の開閉方法

キッチンに吊戸棚を設置するときのポイント4―扉の開閉方法

吊戸棚の扉には、さまざまなタイプがあります。最も一般的なのは「開き戸タイプ」で、取っ手を手前に引くと開きます。多くのキッチンメーカーで採用しているので多様な商品から選ぶことができますが、開けたままにしていると扉に頭をぶつけやすい点に注意が必要です。

「跳ね上げタイプ」であれば、扉が上方向に開くので開けたままにしても作業の邪魔にならず、どの食器を使おうか迷っているときなど見渡しやすく便利です。上部にスペースの余裕がないと設置できないので、採用したい場合は事前に確認をしましょう。

ふすまのように横に引くタイプの「引き戸タイプ」は、開けた状態を保ちやすく、上部に開閉スペースも不要です。ただし、扉2枚分の厚みが必要になるので、ものを入れることができる奥行きが狭まってしまいます。入れたいもののサイズによっては注意が必要です。

予算に余裕がある場合は「自動昇降タイプ」も検討できます。ワンタッチで収納部分が手の届きやすい場所まで降りてくるので踏み台が不要です。食器の乾燥機能などが付いている製品もあり、家事をラクにしてくれます。ただし、初期費用が高いだけでなく電気代やメンテナンス費用もかかることを覚えておきましょう。

キッチンの吊戸棚の収納方法

吊戸棚付きのキッチンにしたのはいいものの、うまく使いこなせていないという方も多いようです。最後に、吊戸棚を上手に活用できる収納方法を紹介します。

キッチンの吊戸棚の収納方法1―軽量のものを中心に収納

キッチンの吊戸棚の収納方法1―軽量のものを中心に収納

キッチンの吊戸棚のどこに何を入れるか考えるとき、万が一手を滑らせて落としてしまっても怪我をすることがないよう、できるだけ軽いものを中心に収納します。土鍋や備蓄用の缶詰など重いものや割れやすいものは、キッチンのコンロ下スペースやパントリーにしまいましょう。吊戸棚には、鰹節や昆布などキッチンでよく使う乾物類や、キッチンペーパーやラップといった使用頻度が高い消耗品などを収納するのがおすすめです。

キッチンの吊戸棚の収納方法2―使用頻度が高いものを下段に収納

キッチンの吊戸棚の収納方法2―使用頻度が高いものを下段に収納
筆者撮影

キッチンの吊戸棚に収納する際、使用頻度が高いものを取り出しやすい下段に、使用頻度が低いストック用品や季節の調理器具などは上段にしまいます。

食器類を収納したい場合は下段の手が届く高さにしまいましょう。このとき、食器をたくさん重ね過ぎてしまうと取り出しにくくなります。コの字型ラックを使うなど工夫しましょう。コの字型の下部は小さめの食器を置くのに最適です。また、水筒やラップなど長細い形状のものをしまう場所にすれば、奥行きを有効に活用できます。

踏み台がないと届かない上段には、おせちの重箱など一定の季節しか使用しないものや、客用食器、紙皿や紙コップといったパーティ用品、お菓子作りの道具などたまに使用するものをしまうと良いでしょう。割れる恐れがあるものを上段にしまいたい場合は、箱などにまとめて入れることで安全に取り出しやすくなります。

キッチンの吊戸棚の収納方法3―収納グッズを活用して空間を有効活用

キッチンの吊戸棚の収納方法3―収納グッズを活用して空間を有効活用
筆者撮影

しまうものに合わせて、収納グッズを使用することで空間を有効に利用できますし、出し入れがしやすくなります。例えば、100円ショップやホームセンターなどで購入できる取っ手付きの収納などを活用することで奥行きを最大限に活用して収納でき、「出す・しまう」のアクションも簡単になります。ボックスは入れたものが見える透明なものを使用するかラベルを付けると、どこに何を入れたか分かりやすく便利です。

キッチンの吊戸棚 まとめ

キッチンにせっかく吊戸棚を設置しても「奥に入れたものが取り出しづらい」「上の段は手が届かないからデッドスペースになっている」といったケースも多く、不便な思いをしたり、使わなくなってしまったりすることも多いようです。しかし、上手に活用できれば貴重な収納スペースとなり、調理中に動かずに物を出し入れできますので効率的な家事動線となり家事がラクになります。昇降式の吊戸棚であれば上段奥のスペースも有効に活用できるでしょう。これからキッチンの吊戸棚を設置しようと考えている方は、用途に合わせたサイズや高さ、扉の開閉タイプを選び、収納方法を工夫して吊戸棚のメリットを生かして活用してくださいね。

住宅ライター 斎藤 若菜
住宅ライター 斎藤 若菜

ラジオパーソナリティを経てフリーライターに。
住宅・インテリア・不動産分野を中心として、介護・グルメ・トラベルなどのジャンルでも執筆。
リフォームや注文住宅関連の住宅情報誌をはじめ、雑誌、書籍、新聞、インターネットなどのさまざまな媒体で取材・執筆を手掛けている。

新築一戸建て注文住宅購入者へのインタビュー記事はこちら

新築一戸建て注文住宅購入者のインタビュー記事