マイホームを検討中であれば「気に入った土地を購入し、新築でゼロから自分たちらしい一戸建て住宅を建てたい」と考えたことがある方は多いでしょう。そこで気になるのが「土地を購入して注文住宅を新築するという土地代込みの注文住宅購入費用はどのくらいの予算が必要なのか」という問題です。実際に土地を購入し、注文住宅を建てた人はどのくらいのお金をかけているのでしょうか。民間金融機関と住宅金融支援機構が提携して提供する最長35年の全期間固定金利の住宅ローン【フラット35】の利用者調査をもとに、住宅購入時の年齢や年収、そして土地と建物それぞれにかかった費用を見ていきましょう。
目次
1.土地付き注文住宅を購入しているのはどんな人?
2.居住エリアごとに見る、土地付き注文住宅にかかった費用
3.土地付き注文住宅にかかる費用 まとめ
土地付き注文住宅を購入しているのはどんな人?
購入時の年齢 | 40.8歳 |
---|---|
購入時の家族数 | 3.3人 |
世帯年収 | 704.1万円 |
住宅面積(敷地面積) | 111.2㎡(208.1㎡) |
土地取得費 | 1,497.6万円 |
建設費 | 3,405.8万円 |
1ヶ月あたりの返済予定額 | 14万3,200円 |
まずは、全期間固定金利型の住宅ローン【フラット35】の利用者を対象に調査した「2023年度 フラット35利用者調査」をもとに、住宅用の土地を購入して注文住宅を建てたのはどんな人なのか、平均値を見ていきましょう。住宅購入時の平均年齢は40.8歳で、家族数は3.3人。夫婦と子どもが1人から2人程度の家庭が多いと考えられます。世帯年収は704.1万円で、土地取得費は平均1,497.6万円、建設費は3,405.8万円、1ヶ月あたりの住宅ローン返済予定額は14万3,200円でした。
頭金はだいたい1割、住宅購入費用に占める住宅ローンの割合は?
住宅用の土地を購入して注文住宅を建てるのにかかった費用の平均は、土地取得費の1,497.6万円と建設費の3,405.8万円を合わせた4,903.4万円です。そのうち、住宅ローン【フラット35】の借入金額は平均4,171.2万円で、全体の85.1%にあたります。頭金(手持金)として事前に準備した金額は平均473.8万円で全体の9.7%、約1割となっています。
10年前と比較して住宅を購入した年齢や金額の変化は?
平均値 | 【参考】2013年度 | 2023年度 |
---|---|---|
購入時の年齢 | 37.0歳 | 40.8歳 |
購入時の家族数 | 3.5人 | 3.3人 |
世帯年収 | 591.0万円 | 704.1万円 |
住宅面積(敷地面積) | 114.1㎡(195.1㎡) | 111.2㎡(208.1㎡) |
土地取得費 | 1,277.4万円 | 1,497.6万円 |
建設費 | 2,359.9万円 | 3,405.8万円 |
1ヶ月あたりの返済予定額 | 10万9,500円 | 14万3,200円 |
住宅取得年齢は上がっている傾向
10年前の調査結果と比較すると、住宅を購入した年齢の平均は2013年度の37.0歳から2023年度は40.8歳と3.8ポイント上昇しており、住宅取得年齢が上がっていることがわかります。結婚や出産の年齢が上がっていることに加え、住宅価格が上昇している影響もあると考えられます。また、家族の人数は2013年度の平均3.5人から、2023年度は3.3人とやや減少しています。
収入は増加しても住宅面積はやや減少?
住宅を購入した人の平均世帯年収は2013年度の平均591.0万円から2023年度は704.1万円と、100万円以上増加しています。ただし、収入が増えたにも関わらず、取得した住宅面積は2013年度の平均114.1㎡から、2023年度は111.2㎡とわずかに減少していました。ただし、敷地面積は2013年度の平均195.1㎡から2023年度は208.1㎡とやや増加していることから、敷地いっぱいに家を建てず、建設費をコントロールしていると考えられます。
建設費の高騰などにより費用負担が増加
住宅用地の土地取得費は2013年度の平均1,277.4万円から2023年度は1,497.6万円、住宅の建設費は2013年度の平均2,359.9万円から2023年度は3,405.8万円、1ヶ月あたりの住宅ローン返済予定額は、2013年度の平均10万9,500円から2023年度は14万3,200円といずれも増加しています。特に建設費は1,000万円以上の大幅アップという結果でした。人材の不足やコロナ禍のウッドショック、円安などさまざまな影響から建設費が高騰している様子がうかがえます。
居住エリアごとに見る、土地付き注文住宅にかかった費用
住宅用土地の購入や住宅を新築する費用は、居住エリアによってどの程度違いがあるのでしょうか。土地取得費と建設費を合わせた土地代込みでの注文住宅購入費用総額の平均値を、エリアごとに見ていきましょう。
居住エリア別・土地付き注文住宅の費用1―総額費用
住宅用の土地取得費と住宅建設費を合わせた土地込みの注文住宅購入費用の総額は、全国平均で4,903.4万円です。地域別にみると、首都圏が5,679.6万円、近畿圏が5,265.3万円、東海圏が4,810.5 万円、その他の地域が4,299.3万円でした。居住エリアにより金額に差があり、都市部になるほど費用負担が大きい様子がうかがえます。
居住エリア別・土地付き注文住宅の費用2―土地取得費と建設費の内訳
エリアごとに、住宅用の土地取得費と住宅建設費の内訳を見てみると、住宅建設費はどのエリアも3,400万円前後であまり差がない一方、住宅用の土地取得費は全国平均が1,497.6万円なのに対し、首都圏は2,277.3万円、近畿圏は1,850.8万円、東海圏は1,319.4万円、その他の地域は915.3万円とエリアごとに大きな差があり、都市部は住宅用の土地取得費の割合が高くなっていることが分かります。
居住エリア別・土地付き注文住宅の費用3-年収から考える予算
土地を購入して一戸建て注文住宅を新築したいのであれば、土地取得費と建設費を合わせてどのくらいの費用を準備できるのか、事前に把握しておくことが大切です。住宅購入費用をどのくらいにしたらいいのかの目安になるものとして、住宅を購入された方の年収を見てみましょう。【フラット35】を利用して土地付き注文住宅を購入した人の世帯年収をエリアごとに見ると、全国平均で704.1万円なのに対し、首都圏が785.3万円、近畿圏が724.3万円、東海圏が699.9万円、その他の地域が647.2万円と、都市部ほど平均世帯年収が高額になっています。
また、住宅ローンが年収の何倍であるかを示す年収倍率という指標もあります。
地域 | 年収倍率 |
---|---|
全国 | 7.6倍 |
首都圏 | 8.0倍 |
近畿圏 | 7.9倍 |
東海圏 | 7.5倍 |
その他地域 | 7.2倍 |
【フラット35】を利用して土地付き注文住宅を購入した人の年収倍率をエリアごとにみると、全国平均が7.6倍なのに対し、首都圏は8.0倍、近畿圏は7.9倍、東海圏は7.5倍、その他の地域は7.2倍という結果でした。都市部であるほど年収が高く準備できる資金も多いはずですが、都市部のほうが年収倍率が高くなっているということは、都市部の住宅購入ではより多くの資金が必要であることがうかがえます。
また、金融機関や商品により違いがあるものの、一般的な住宅ローンは概ね年収の7倍程度を借入可能額としています。上記の結果はエリアを問わず年収の7倍を超えていることから、住宅ローンの借入可能額を超えた分は別途頭金等の資金を準備して住宅を購入していることが分かります。
土地付き注文住宅にかかる費用 まとめ
住宅用の土地を購入し、住宅ローン【フラット35】を利用して注文住宅を建てた人は、総額で平均5,000万円弱の費用をかけており、そのうち1割程度の金額を頭金として事前に準備していました。ただし、都市部であれば土地取得費により多くの予算を割く必要がありますし、建設費は年々上がっていることも考慮する必要があります。また、世帯年収に応じた借入可能額をもとに、余裕をもった資金計画を立てることが大切です。これから土地の購入とともに注文住宅を建てる予定の方は、住みたい地域の特性や、現在の年収で無理なく住宅ローンを返済できる金額を把握したうえで家づくりを進めましょう。