これから新築の一戸建てを建てるにあたり、部屋の間取りのうち「子ども部屋をどうするか」は、多くの人が悩むポイントです。将来的な子どもの人数や巣立つ年齢など、未確定の要素が多い中で考えて決めるのは難しいことですが、どのように考えればいいのでしょうか。ここでは、子ども部屋が必要な年齢や最適な広さなどを考える目安について解説します。
子ども部屋はいつから必要? 最適な広さは?
子ども部屋はいつ頃から、どの程度の広さを必要とするものでしょうか。株式会社groove agentが30〜40代の既婚女性を対象として実施した「子ども部屋に関するアンケート調査」によると、子ども部屋が必要になるのは「小学校高学年」だと思う人が40.0%、「小学校低学年」だと思う人が30.5%と、7割以上の人が小学生のうちに子ども部屋が必要になると考えています。
子ども部屋に必要な広さに関しては「6畳」が54.6%と半数を超え、「5畳」が17.3%、「4.5畳」が14.7%、「5.5畳」が9.7%という結果に。ベッドとデスク、クローゼットなど収納も設置できる広さということから「6畳」を想定する方が多いようです。
一方、「子ども部屋は最小限のスペースに抑え、普段はリビングで家族と過ごして欲しい」と考える方も少なくありません。そうした場合は、デスクとベッドと収納をぎりぎり設置できる広さの4.5畳程度あれば十分でしょう。
写真の子ども部屋は5.3畳とややコンパクトですが、ベッドとデスクを設置しても十分な広さがあります。デスクの隣には作り付けのクローゼットがあり、日常的に着る服などをすっきりと収納できます。
ベッドの下部を収納などのスペースとして活用すれば、6畳に満たない空間であっても子ども部屋に置くべきものをおいてなおゆとりのある広さにすることができます。
子どもの成長や性別をふまえた間取りやレイアウト
子ども部屋を作る際に難しいところは、子どもの成長とともに求められる条件が変わってくることです。また、人数分の子ども部屋を作ることができれば良いのですが、スペース的に難しい場合や、部屋数を確保すると広さが足りなくなってしまうこともあるでしょう。子どもの年齢が離れていて一度に複数の子ども部屋が必要ないケースもあります。子どもが巣立って家を出た後、子ども部屋のスペースをどう活用するのかという問題も考えておきたいところです。
子どもが小さなうちは遊び場優先
子どもが小さなうちは親と過ごす時間が長く、夜は親子で一緒に就寝する家庭が多いでしょう。必要なのは、おもちゃを広げて遊べる場所です。2人目以降の子どもが生まれても、小さなうちは同じ部屋で問題ないでしょう。家具もできるだけ置かず、ゆったりとしたスペースを確保しましょう。
子どもの成長に合わせてプライバシー確保の工夫を
小学生くらいから「子ども部屋の必要性」を感じる親が増えることは前述の通りですが、子どもの性格や家庭の方針により、どのタイミングで個室を設けるかが変わってきます。同性の子どもが2人以上いる場合、まずは全員でひとつの子ども部屋を設けるところから始めても良いでしょう。
中学生になって思春期を迎えると、プライバシーを保てる空間を必要とする子どもが増えてきます。1人ひとつの子ども部屋を確保するとともに、習い事や趣味によって必要な広さを検討する必要があります。女の子であれば「大きめのクローゼットが欲しい」といった希望も出てくるかもしれません。
大学生や社会人になったタイミングで、ひとり暮らしを始める子どもは多いでしょう。子ども部屋を夫婦の趣味室とするのか、ゲストルームとするのか、ビジョンを描いておくと空間を有効に活用しやすいでしょう。
子ども部屋をデザインする3つのポイント
子どもの成長に応じて適する子ども部屋の在り方は変わりますが、その都度子ども部屋を新しくするわけにはいきません。では、新築時にどのような子ども部屋にしておけば、快適に過ごし続けることができるのでしょうか。
可変性のある間取りにする
子どもの人数や性別が未確定な状態で子ども部屋を設ける場合、将来的に部屋を仕切って複数の個室にできるよう、大きな子ども部屋をひとつ設けると良いでしょう。その際、部屋を分割しても両方の部屋で十分な採光が得られるか、出入りに不自由はないか、壁で仕切る位置を想定し、窓やドアの位置を検討します。照明やコンセントの位置や数にも気を配り、できれば左右対称なレイアウトになるよう計画します。
照明の明るさ・位置に配慮する
大人のための空間であれば、雰囲気を重視したほの暗い空間も素敵ですが、怪我などのリスクが大きく、視力が安定しない子どもの部屋の照明は「明るく」が基本です。LEDのシーリングライトを設置する場合、一般社団法人日本照明工業会は、4.5畳の場合で2,200~3,199㏐(ルーメン)、6畳なら2,700~3,699㏐(ルーメン)を基準に照明を選ぶことを推奨しています。部屋全体を明るく均一に照らせるよう計画を立てましょう。また、電球色ではなく、蛍光灯のような白色~昼白色で統一します。調光機能が付いていると、就寝時に照明を落とすことができて便利です。
照明の位置も大切な要素です。特にデスクの照明は、目の疲れや視力の安定、集中力の持続にも影響します。デスクをどこに設置するのか想定し、机上を均一に照らせるように配置し、快適に勉強や読書ができるように配慮しましょう。
フレキシブルなスペースを確保する
子どもが自室に籠ってしまうことがないよう、子どもたちが共通で利用できるスペースを設けましょう。リビング・ダイニングのかたわらに家族で一緒に利用できるデスクカウンターを設けたり、遊んだりくつろいだりできる畳の小上がりを設けたり、余裕があれば子ども部屋以外に遊べる広いスペースを設けても良いでしょう。リビング・ダイニングと子ども部屋が吹き抜けで緩やかに繋がるレイアウトにしたり、子ども部屋はリビング階段を通って出入りする動線にしたりといった、間取りの工夫も有効です。家族が自然と集まり、一緒に過ごす時間が増えるでしょう。子ども部屋がコンパクトな場合は特に、こうしたスペースがあると重宝します。
まとめ
子ども部屋の間取りは、子どもの人数や性別に関わらず、フレキシブルに対応できるようにしておくと良いでしょう。スペースが限られていて十分なスペースを取れない場合は、収納を家族共用のファミリークローゼットとする、勉強はリビング・ダイニングのカウンターで行うことを前提にするなど、子ども部屋がコンパクトでも快適に生活できる工夫をしてみてはいかがでしょうか。
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