一戸建ての建て替え。何にどんなお金がかかる?建て替え費用の内訳と金額の目安を解説

「住み続けてきた家が老朽化してきた」「相続した一戸建ての住環境を整えたい」「ライフステージの変化に合わせて住まいを一新したい」「子どもが独立したので小さな家にしたい」「老後を見据えて平屋にしたい」など、マイホームを建てたときは終の棲家と思っていてもさまざまな理由から一戸建てを建て替えたくなることがあります。しかし大きな費用がかかることですから、建て替えを検討するにあたり、どのくらいの費用がかかるのか気になる方が多いのではないでしょうか。ここでは、一戸建てを建て替えるにはどのような費用がかかるのか、内訳や金額の目安を紹介します。

目次
1.一戸建ての建て替え費用の目安
2.一戸建ての建て替えにはどんな費用がかかる?
3.一戸建ての建て替え費用 まとめ

一戸建ての建て替え費用の目安

一戸建ての建て替え費用の目安

総額の建て替え費用の目安
国土交通省が公表している「令和4年度・住宅市場動向調査報告書(2.4資金調達に関する事項)」によると、建て替え費用は全国平均で4,487万円。そのうち自己資金比率は46.7%で、約半分の金額を預貯金で、もう半分は住宅ローンなどの借り入れでまかなっていることが分かります。
ちなみに、令和3年度の同調査で、建て替え費用の平均は3,299万円。ウッドショックなどを理由とする建築材料の価格高騰や、人手不足による人件費の上昇などが原因で、住宅価格が高騰していると考えられます。建て替えの際は最新の状況を踏まえ、建築工事費が多少上がっても無理なく支払える予算で家を建てることが大切です。

建築費用の目安
建て替え費用の中で最も大きな金額が、建築費用です。「令和4年度 住宅経済関連データ」によると、首都圏の注文住宅の建築費は平均4,077万円。延床面積は平均125.0平方メートル、1平方メートルあたりの建築費単価は平均32.6万円です(2021年度調査)。1坪は約3.3平方メートルなので、1坪あたりの単価は107.5万円程度という計算になります。30坪の家なら3,225万円、40坪の家なら4,300万円程度が目安ということになります。

一戸建ての建て替えにはどんな費用がかかる?

一戸建てを建て替える際は、税金、引っ越し費用などの新築で建てる場合と同じ費用に加えて解体費用や仮住まいの費用などさまざまな費用がかかります。前述の建築費用以外にどのような費用がかかるのか、内訳を見ていきましょう。

一戸建ての建て替え費用1―解体工事費

一戸建ての建て替え費用1―解体工事費

一戸建てを建て替える際は基本的に、既存の建物を解体し、更地にすることから始まります。解体工事にかかる費用は建物の構造やサイズによって異なりますが、木造の場合は1坪あたり3~5万円程度、鉄骨造の場合は5~7万円が目安、鉄筋コンクリート造であればさらに費用がかさみます。隣家が近く配慮が必要な場合や廃材の運搬が難しい立地など、敷地条件によりプラスアルファで費用が発生する可能性も視野に入れておきましょう。

一戸建ての建て替え費用2―敷地調査費

一戸建ての建て替え費用2―敷地調査費

一戸建てを建てるにあたり、新築する場合も建て替える場合も敷地調査が必要です。測量により敷地の正確な形状や高低差などを把握することができます。土地の売買や分筆などのために境界線を確定する際は「確定測量」が必要ですが、建て替え時には一般的に、やや簡易的な「現況測量」をおこないます。現況測量にかかる費用は広さにより異なりますが、概ね数万円~20万円程度です。なお、建て替え前の測量図がある場合は測量を省略することもあります。ただし、周辺環境や法律が当時と変わっている場合は、再度測量をしたほうが良いでしょう。
合わせて、地盤が建物を支えるのに十分な強度があるか調べる「地盤調査」も必要です。地盤調査にはいくつかの方法がありますが、木造の一戸建てを建てる際は主に、スクリューウエイト貫入試験(旧名称:スウェーデン式サウンディング試験)を実施します。
地盤調査は半日程度でおこなうことができ、費用の相場は5~10万円程度です。ただし、地盤調査の結果、地盤改良工事が必要になった場合は、プラスして数十万円~数百万円の費用がかかります。

一戸建ての建て替え費用3―印紙税

一戸建ての建て替え費用3―印紙税

建築工事の契約時に交わす「工事請負契約書」や住宅ローン契約に必要な「金銭消費貸借契約書」は課税文書のため、印紙税を支払う必要があります。金額は契約金額により異なり、例えば請負工事金額が「1,000万円を超え5,000万円以下」の場合、2万円分の収入印紙を貼ることになります。ただし、2024年3月31日までは印紙税の軽減措置が適用され、1万円となります。住宅ローン契約は軽減措置の対象外のため、印紙税は2万円です。

詳細:国税庁「No.7108 不動産の譲渡、建設工事の請負に関する契約書に係る印紙税の軽減措置

一戸建ての建て替え費用4―登記に関する税金

一戸建ての建て替え費用4―登記に関する税金

一戸建てを建て替えるにあたり、不動産の登記手続きが必要です。まずは既存の建物を取り壊してから1ヶ月以内に「建物滅失登記」をおこない、登記簿謄本に記載する必要があります。建て替えが完了したら、1ヶ月以内に「建物表題登記」を、住宅ローンの借り入れ時には「抵当権設定登記」、完済時には「抹消登記」の申請が必要です。いずれの登記も実費は数百円~数千円程度ですが、司法書士に手続きを代行してもらうケースが多く、代理申請費用がそれぞれに1~10万円程度かかります。
また、建物の所有者が誰であるのかを明確化するために必要な「所有権保存登記」の際には登録免許税を納める必要があります。登録免許税は、建物の固定資産税評価額×税率で計算でき、税率は0.4%です。ただし、2024年3月31日までは軽減措置が適用されるので0.15%となります。

詳細:国税庁「No.7191 登録免許税の税額表

一戸建ての建て替え費用5―不動産取得税

一戸建ての建て替え費用5―不動産取得税

不動産の取得時には60日以内に「不動産取得税」を申告する必要があります。税額は取得した不動産評価額(課税標準額)の4%が基本です。ただし、2024年3月31日までは軽減措置により、特例で税率3%が適用されます。
また、一定の要件を満たせば不動産評価額から1,200万円(認定長期優良住宅の場合は1,300万円)の控除を受けることができます。適用される要件は「居住用もしくはセカンドハウス用であること」と「課税面積が50平方メートル以上、240平方メートル以下であること」「新耐震基準に適合していると証明できること」で、すべてを満たせば税負担を大幅に軽減できます。

詳細:東京都主税局「不動産取得税

一戸建ての建て替え費用6―住宅ローン手続き費用

一戸建ての建て替え費用6―住宅ローン手続き費用

住宅ローンの借り入れ時には一般的に、前述の登記費用や印紙代に加え、事務手数料もしくは保証料、団体信用生命保険料、火災保険料、地震保険料が必要です。
事務手数料は定率型の場合、借入金額の2.2%程度に設定している金融機関が多く、例えば3,000万円の借り入れ時には66万円の事務手数料がかかる計算です。ネットバンクの住宅ローンは概ね、保証料の代わりに事務手数料がかかるタイプです。保証料の場合は、借り入れ時に一括で支払う外枠形式か、金利に上乗せする内枠形式を選択する形となります。外枠形式は繰り上げ返済時に保証料の一部が返還される仕組みで、早期に完済を予定している方におすすめです。
団体信用生命保険料は金利に上乗せされている商品が多く、その場合は別途支払う必要がありません。火災保険や地震保険は長期一括で契約した方が、保険料が安くなります。一括契約の場合は何十万円というまとまったお金が必要になることを覚えておきましょう。

一戸建ての建て替え費用7―固定資産税・都市計画税

一戸建ての建て替え費用7―固定資産税・都市計画税

土地や家屋を所有していれば、毎年固定資産税や都市計画税の納付が必要です。建て替え前に引き続き支払う税金で、固定資産税評価額に標準税率を掛けた額、固定資産税であれば1.4%、都市計画税は0.3%が基本です。ただし、住宅用地の特例により、面積が200平方メートル以下の「小規模住宅用地」の場合は固定資産税が6分の1に、200平方メートルを超える部分は3分の1に軽減されます。
もし、固定資産税が課税される1月1日時点に更地となっていた場合、6分の1ルールが適用されず、満額の固定資産税を支払うことになります。ただし、4つの要件を満たせば特例を継続することができます。要件は以下の通りです。

・前年の1月1日時点で住宅用地であること
・1月1日時点で住宅の新築工事に着手し、翌年の1月1日までに完成していること
・住宅の建て替えが同じ敷地でおこなわれていること
・前年の1月1日と当該年の1月1日で、土地・建物の所有者が同じであること

特例を継続するには、建物の着工や完成のタイミングに注意が必要です。また、事前に申請書の提出が必要なので、忘れずに手続きをするようにしましょう。

一戸建ての建て替え費用8―仮住まい・引っ越し費用

一戸建ての建て替え費用8―仮住まい・引っ越し費用

建て替え工事の期間中は、仮住まい先で過ごすことになります。そのため、仮住まい先の家賃と敷金・礼金、仲介手数料がかかりますし、仮住まい先へ引っ越す費用、建て替えた家に引っ越す費用もかかります。解体工事と新築工事の期間を合わせて、半年程度かかることを想定しておきましょう。

一戸建ての建て替え費用 まとめ

一戸建ての建て替え時には、建築工事の費用以外にもさまざまなお金がかかります。今回紹介した費用以外にも、建て替えにともない家具の買い替えが必要になることもあるでしょう。地盤改良など予定外の出費にも対応できるよう、余裕を持った資金計画を立てるとともに、不動産取得税の軽減措置など節税につながる制度は積極的に活用し、後悔のない建て替えができるようにしましょう。

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