室内と外を繋ぐ「窓」は、採光や通風、換気などたくさんの役割を担っています。どの種類の窓を選びどこに設置するかにより、家の快適性を大きく左右します。また、窓から見える眺望や外観デザインにも大きく影響します。一戸建てを新築する際は、窓にはどのような種類がありどのような特徴があるのかあらかじめ把握して、部屋に合った最適な窓を選べるようにしたいですね。ここでは家が完成してから後悔しないために、新築一戸建てでよく使われる窓の種類と特徴から窓選びのポイントを解説します。
目次
1.新築一戸建ての窓の種類―主な窓の開き方と特徴
2.新築一戸建ての窓の種類―主な窓の設置場所と特徴
3.新築一戸建ての窓の種類 まとめ
新築一戸建ての窓の種類―主な窓の開き方と特徴
窓には数え切れないほどの種類があり、どこにどのようなサイズの窓を設置するか、どんな開き方の窓を選ぶか迷ってしまう方も多いでしょう。ここでは、窓の主な開き方と特徴を紹介します。
1. 新築一戸建ての窓の種類:引き違い窓
日本の住宅で最も一般的な窓で、2枚以上のガラス窓をスライドして開閉します。シンプルな作りなので比較的安価に設置しやすいこと、開け閉めがしやすいこと、窓の開口、開き幅を調整しやすいことも特徴です。左右2枚のガラス窓で構成された一般的なタイプの場合、窓を全開にすれば窓面積の半分ほどの開口が取ることができます。
2. 新築一戸建ての窓の種類:片引き窓
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引き違い窓と同様、ガラス窓を左右にスライドして開閉する窓で、片側がFIX窓(後述)、もしくは壁になっています。室内側の窓が動くタイプと、外側の窓が動くタイプがあります。
片引き窓の一種に、FIX窓の左右にスライドできる窓を設置した、3枚の窓ガラスで1組の「両袖片引き窓」があります。フレームのないFIXガラスが中央に入っているので、開口部を大きくとることはできませんが、眺望を楽しみたい場所に向いているタイプです。
3. 新築一戸建ての窓の種類:すべり出し窓
家の内側から外に向かってすべり出しながら開く窓で「横すべり出し窓」と「縦すべり出し窓」に分類できます。いずれも最大90度まで開くことができ、開いた窓ガラスに風が当たることで、効率よく室内へ取り入れて通気できること、窓1枚分のスペースがあればよいので狭い場所にも設置しやすいことがメリットと言えます。開口できる角度を小さめに設定すれば、空き巣の侵入などのリスクを軽減することもできます。
また、横すべり出し窓は窓ガラスが庇のような役割を果たし、雨が室内に吹き込むことを防ぎやすい特徴があります。
縦すべり出し窓のサイズは様々で、幅の狭いタイプをいくつか並べて設置することで、外観のアクセントにしている住宅もよく見かけます。人が出入りできない幅にすることで、採光を取りながら侵入を防ぐ防犯対策にもなります。
4. 新築一戸建ての窓の種類:開き窓
左右いずれかの窓枠を軸として1枚の窓を開閉する「片開き窓」と、左右を軸として2枚の窓が開閉する「両開き窓」があります。大きな開口から外気を取り込みやすいことが特徴ですが、風が強いとあおられて窓ガラスが割れてしまうリスクがあります。そのため、ストッパーが付いた可動域を調整できるタイプがおすすめです。
5. 新築一戸建ての窓の種類:オーニング
複数の横すべり出し窓を連結した窓で、ハンドル操作により複数の窓を同時に開閉できます。角度を変えることで風の量を調整でき、気密性や断熱性、防犯性にも優れていることが特徴です。複数の窓を連結している分、他の窓と比べて設置費用が高めです。
6. 新築一戸建ての窓の種類:ルーバー窓
細長いガラス板をブラインドのように取り付けてあり、オーニングと同様、ハンドル操作により角度を変えることで風の量を調整できる窓です。「ジャロジー窓」とも呼ばれます。効率よく換気ができ、目隠しもできるのでトイレや浴室などに設置されることが多い窓ですが、ガラスとガラスの間に隙間ができてしまうため、気密性や断熱性、防犯性能が低めです。設置費用も高く、近年は採用する住宅が減少しています。
7.新築一戸建ての窓の種類:上げ下げ窓
上げ下げ窓(写真右)は上下に、引き違い窓(写真左)は左右にスライドして開閉します
引き違い窓は左右にスライドするのに対し、上下に動かして開閉するタイプの窓です。上下どちらの窓も動かせるタイプと、片方だけ動かせるタイプがあります。風が通り抜けやすく換気向きの窓です。窓を持ち上げるのにやや力が必要で、引き違い窓と比べて開閉しづらく感じる方もいるかもしれません。開けづらい分、外部からの侵入を防ぎやすいタイプと言えます。
8.新築一戸建ての窓の種類:FIX窓
窓枠に固定されている窓のことで「はめ殺し窓」とも呼ばれます。開閉できないので風を通して換気をすることはできませんが、その分だけ気密性が高いことが特徴です。採光や眺望はもちろん、デザインのアクセントとして採用されることも多い窓です。
新築一戸建ての窓の種類―主な窓の設置場所と特徴
窓を選ぶ際は、設置する場所に適したタイプを選ぶことが大切です。採光と通風をより重視したいのか、防犯性能が大切なのかといった優先順位を明らかにするとともに、窓にどれだけのスペースを充てることができるのか検討しながら選びましょう。ここでは、窓の主な設置場所と特徴を紹介します。
9. 新築一戸建ての窓の種類:掃き出し窓
前述の引き違い窓のなかで、最下部が床面に接している窓のことを指し、家の中と外を行き来しやすいことが特徴です。室内のごみを外に掃き出す窓だったことに由来した名称だと言われています。多くの家で採用されている窓で、テラスなどに隣接する窓としてよく採用されています。掃き出し窓よりも開放感を高めたい場合は、窓を折り畳んだり、引き込んだりすることでフルオープンにできる「全開口窓」を選ぶと良いでしょう。
10.新築一戸建ての窓の種類:腰高窓
その名の通り、腰の高さくらいに設置する窓です。出窓(後述)も腰窓の一種です。採光や通風の目的で設置することが多く、一般的に窓のサイズは掃き出し窓よりも小さめで、窓の下に壁があるので下部に家具を設置しやすいことが特徴です。掃き出し窓のように人の出入りはできませんが、その分だけ防犯性が高い窓とも言えます。
11.新築一戸建ての窓の種類:天窓
屋根など天井に設置する窓のことで「トップライト」とも呼ばれます。自然光を真上からダイレクトに取り入れることができ、部屋を明るくしやすいことが最大の特徴です。晴れた日に室内から青空や星空を眺めることができることもポイント。開閉できるタイプであれば、低い位置にある窓と同時に開けることで風が流れやすくなり、通風の効果も高いですし、住宅密接地の場合は覗き込まれにくい天井に窓を設置することでプライバシーを確保しやすいこともメリットです。採光性に優れているゆえ、夏は室内が暑くなりがちなので、ブラインドを設置するなど対策を考えておきましょう。
なお、壁の高い位置に設置する「ハイサイドライト」と比較されることがありますが、天窓は設置場所が限られているのに対し、ハイサイドライトは基本的に壁がある場所であれば設置でき、斜めに光が入るので広範囲に効率よく自然光を取り込めます。純粋に明かり取りとして設置する場合は天窓が向いています。
12.新築一戸建ての窓の種類:出窓
外壁より外側に張り出すように設置された窓です。建築基準法により、床からの高さが30cm以上で張り出した長さが50cm未満であれば、張り出し部分を床面積に含みません。室内を少しでも広く見せ、奥行を感じさせたい場合に有効です。飾り棚としても人気がありますし、ガラスの面数が多く自然光を取り入れやすいのでグリーンを置くスペースとしても最適です。眺望が開けた場所に設置すれば、ピクチャーウィンドウにもなります。外気の影響を受けやすいので、結露には注意しましょう。
13. 新築一戸建ての窓の種類:室内窓
その名の通り、外壁ではなく部屋と部屋の間に設置する窓です。「室内を仕切りたいけれども、全面を壁にしてしまうと閉塞感が気になる」「エアコン効率を考えて壁で仕切ったものの、採光や通風は確保したい」といった場合に有効で、ゆるやかに空間のつながりを感じさせたい場合におすすめです。窓越しに家族とのコミュニケーションをとることもできます。デザイン性が高い製品が多いことも特徴です。
14. 新築一戸建ての窓の種類:内窓
既存の窓の内側に設置する窓で「二重窓」とも呼ばれます。窓と窓の間に空気層が生まれることで断熱性や気密性をアップすることができます。寒暖差が軽減されるので、結露が発生しづらくなることも特徴です。窓が二重になる分、空き巣などが侵入しづらくなり、防犯性能も期待できます。
新築一戸建ての窓の種類 まとめ
窓には開き方や設置場所により様々な種類があり、採光や通風、換気などの役割を担っています。目的に応じて、どこにどのような窓を設置するのか事前に計画することで、新居の住み心地を高めることができます。また、性能面だけでなく、外観などのデザインにも大きな影響があります。窓の種類とそれぞれの特徴を把握して、その場所にぴったりな窓を選んでくださいね。
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