警察庁が発表した、平成30年度「侵入窃盗の発生場所別認知件数(※1)」によると、一戸建て住宅が42.5%と最も多く、3階以下の共同住宅が11.9%、4階建て以上の共同住宅が4.1%。マンションに比べて一戸建ては侵入窃盗の被害に遭いやすい傾向にあります。 「せっかくマイホームを購入したのに、泥棒が侵入してしまった」という事態を防ぐために、今回は一戸建ての防犯対策をご紹介します。
目次
1.一戸建ての防犯対策-購入する前にチェックしたいこと
2.一戸建ての防犯対策-建てるタイミングでチェックしたいこと
3.一戸建ての防犯対策-侵入経路の代表格、窓やベランダ
4.一戸建ての防犯対策 まとめ
一戸建ての防犯対策―購入する前にチェックしたいこと
もし、あなたがこれから土地探しをするのであれば、泥棒に狙われにくい立地を選びましょう。泥棒は、空き巣に入る前に現地を下見すると言われています。つまり、下見をしやすい立地は泥棒に狙われる可能性が高いというわけです。
泥棒に狙われやすい立地とは?
公園やコンビニ、スーパー、コインパーキング、自動販売機、観光スポットの近くなど、長時間滞在しても不自然に思われにくい場所にある住宅は、泥棒にとって下見がしやすいと言われています。最寄り駅に近い立地も泥棒にとって好都合。犯行後に人ごみに紛れて逃げてしまうかもしれません。
一方、人通りが極端に少ない立地にある住宅も要注意です。日中は賑やかなのに夜はほとんど人が通らない場所であれば、日中に下見をして、誰もいない夜間に犯行をしやすいのです。また、住宅密集地では死角が生まれがち。泥棒が侵入しても、誰の目にも触れない可能性が高いため、注意が必要です。
泥棒に狙われやすい道路環境とは?
泥棒に狙われやすい住宅かどうかは、立地に加え、どんな道路に面しているかにもよります。例えば、人目に触れやすい角地に建つ家は、あちこちから目につきますので、その分だけ下見がしやすいと言えます。路地に入ったところに建つ家も、泥棒が一度侵入してしまうと隠れやすいです。 都市部に多い「旗竿地」は周辺相場より安価で魅力的に映るかもしれませんが、奥まっている分だけ死角が多く泥棒にとっては願ってもない環境です。
一戸建ての防犯対策-建てるタイミングでチェックしたいこと
既に土地を所有している場合など、防犯目線で土地を選ぶことができない方も多いでしょう。でも、大丈夫。家づくりの工夫で、空き巣などのリスクを軽減することができます。
外構は、死角を作らない配慮が必要
家づくりに熱中するあまり外構費用が足りなくなり、庭はお金が貯まるまで土のまま放置している家を見かけることがあります。美観的観点はもちろん、防犯の観点から見ても、雑草が茂ったままの家は泥棒に狙われやすくNGです。
死角を作らないように植栽は剪定し、雑草も手入れをしましょう。防犯砂利を敷けば、誰かが侵入した時に音で気づくことができます。プライバシーを配慮するあまり、高い塀で家を覆ってしまうのも考えもの。一度泥棒が侵入してしまうと、誰の目にも触れず危険です。
格子状の塀で中の様子が分かるようにしたり、塀の高さを抑えたりといった配慮が必要です。物置や室外機を踏み台代わりにして2階の窓から侵入するケースもありますから、それらを配置する場所にも気を配りましょう。
また、外から見て一目で留守だと分かってしまう家も、泥棒に狙われます。留守がちな場合は、暗くなったら自動的に点灯するセンサーライトを導入したり、警報ブザーを設置したりと対策を講じましょう。
家庭用防犯カメラを設置すれば、犯罪の抑止効果があるだけでなく、いざという時に犯罪の証拠となり、犯人逮捕にも役立ちます。
一戸建ての防犯対策-侵入経路の代表格、窓やベランダ
警察庁(※2)によると、侵入窃盗の際に最も侵入経路として使われているのが「窓」。侵入窃盗被害に遭った一戸建ての57.6%が、窓から侵入されています。特に1階の窓は出入りがしやすいため、強度の高いガラスを利用するのはもちろん、防犯ガラスの採用や防犯フィルムの利用、補助錠の設置など対策をとりましょう。
場所によっては面格子の設置もおすすめします。夜間はシャッターを下ろせば安心です。
2階は1階に比べると侵入しづらいものの、ベランダやバルコニーの形状や周辺環境によっては侵入経路となり得ます。特に、プライバシーに配慮するために壁で覆ってしまうと死角になり危険です。視認性がある格子や半透明のパネルを採用するなど、2階だからと油断せず防犯性を高めましょう。
玄関は「ワンドア・ツーロック」が基本
前述の侵入経路に関するデータで、窓の次に多く利用されているのが「玄関」。鍵の掛け忘れは論外ですが、シリンダー錠は工具を使えば簡単に開錠できてしまいます。ピッキング被害に遭わないように、防犯性に配慮した鍵を導入しましょう。
これから家を建てるのであれば、標準装備でピッキング防止の鍵を採用しているケースが多いと思われます。できれば、ひとつの扉に2つの錠を設置する「ワンドア・ツーロック(二重鍵)」にしたいですね。鍵を2つ開けるには時間がかかるため、泥棒の侵入をより防ぐことができます。
また、最近は電子錠を採用する家が増えています。ホテルでお馴染みのカードタイプや暗証番号、指紋認証など開錠方法は様々ですが、いずれも防犯対策として有効です。中古物件を購入した場合は、既存の鍵穴に後付けで設置できる電子錠を検討しましょう。
加えて、カメラモニター付きインターホンの設置も忘れずに。「招かれざる客」が侵入するリスクを更に軽減できます。
一戸建ての防犯対策-まとめ
一戸建ての家はマンションのように、何重ものオートロックシステムは搭載されていませんし、管理人も常駐していません。防犯カメラも、一戸建ては個人で導入しなければならず、ハードルが高いでしょう。しかし、ちょっとした心遣いで防犯対策を講じることができます。
見慣れない車や人がいたら空き巣の下見の可能性を考えて注意深く観察する、心配があれば警察に相談する、宅配便や警察官の巡回、水道の点検などは本物かどうか確認し招かれざる客に玄関をあけないように注意するなど、まずはできることから、始めてみてはいかがでしょうか?
一戸建てとマンションのメリット・デメリットを確認したい方はこちらの記事「一戸建てVSマンション、あなたはどちらを買う?メリット・デメリットを比較!」をご覧ください。
【参照】
※1) 警察庁 平成30年度「侵入窃盗の発生場所別認知件数」
※2) 警察庁 平成30年度「侵入窃盗の侵入口」
ラジオパーソナリティを経てフリーライターに。
住宅・インテリア・不動産分野を中心として、介護・グルメ・トラベルなどのジャンルでも執筆。
リフォームや注文住宅関連の住宅情報誌をはじめ、雑誌、書籍、新聞、インターネットなどのさまざまな媒体で取材・執筆を手掛けている。
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