マイホームの購入を検討するにあたり、一戸建てにするか、マンションにするかで迷っている方が多いのではないでしょうか?自分にとってベストな選択ができるように、それぞれのメリットとデメリットを把握することが大切です。ここでは、一戸建てとマンションの特徴をご紹介します。
マンションを購入するメリットは?
防犯・セキュリティ面の安心感
分譲マンションの多くがオートロックシステムを備えており、エントランスや共用廊下、エレベーターなど様々な場所に防犯カメラが設置されています。管理人が常駐しているマンションも多いでしょう。また、高層階であれば、窓から侵入しにくいこともメリットです。ただし、屋上からベランダに移動するなど侵入経路が全くない訳ではありませんので、窓の施錠は忘れないようにしましょう。
気密性が高く、快適に過ごせる
一戸建てと比べ、マンションは室内が暖かいと言われています。これは、木造が一般的な戸建てと比べ、鉄筋コンクリート造が主流のマンションは厚い壁でおおわれているため、気密性や断熱性が高いからです。外気を遮断し、熱を室内で閉じ込めやすいため、冷暖房が効きやすいことも特徴です。
共有施設を活用できる
ある程度大規模なマンションであれば、24時間365日利用可能なごみステーションが設置されているでしょう。ごみの日を気にすることなく自分のタイミングで捨てることができますし、雨の日に傘を差してごみ捨て場に行く必要がありません。
宅配ボックスも、多くのマンションで採用している設備です。様々なサイズがあり、受け取るものに合わせて利用できるマンションが多く、家を空けがちな忙しい方たちに好評です。最近は一戸建てでも設置するケースが増えていますが、マンションと比べればこれからといったところ。荷物が集中して届いてしまっても、複数の宅配ボックスを一度に利用できる環境もマンションならではと言えそうです。
また、ゲストルームやパーティルームがあれば、家族や友人を気軽に招きやすいでしょう。自身の居住スペースに客用布団をしまったり、ゲスト用のスペースを設けたりする必要がなくなるため、専有スペースを有効に使えるメリットもあります。
マンションを購入するデメリットは?
プライバシーを確保しづらい
マンションは壁や床を隔てて、同じ建物に他の家族が暮らしています。音の問題には、やや気を遣うかもしれません。仕事から帰って「洗濯機を回したいな」と思っても、騒音を気にするあまり躊躇してしまいがち。お子様が家の中を元気に走り回る姿は、一戸建ての家なら笑って見守ることができる風景ですが、マンションでは階下に足音が響いてしまうため「静かにしなさい!」と叱りつけなければならないでしょう。
反対も、また然り。部屋の配置などによっては「隣の音が気になってなかなか寝付けない」といった悩みを抱えてしまうケースもあるようです。
マンションの所有権があっても駐車場は有料のケースが多い
駐車場が必要な場合、分譲マンションの多くが賃貸方式を採用しているため、敷地内であっても駐車場代がかかります。自身の部屋から近い平置き駐車場であればまだ良いのですが、部屋の位置によっては駐車場まで行くことが面倒になってしまうケースも。機械式駐車場であれば、車種の制限も出てきます。ドライブ好きな方、日常生活に車が欠かせない方にとっては、車の出し入れが面倒に感じるかもしれません。
自分の意思に関係なく維持費がかかる
便利な共有施設の数々はどれもとても魅力的ですが、いずれも維持費がかかります。マンションが老朽化すれば、維持するにも、メンテナンスをするにも費用が嵩みます。そうした費用は、毎月区分所有者が支払っている管理費や修繕積立金から払うことになります。自分が全く利用していない共有施設であっても、維持費用は負担しなければなりません。毎月の管理費と修繕積立金の負担は決して小さくなく、家庭のお財布事情によっては、支払いが苦しくなってしまう可能性もあります。
一戸建てを購入するメリットは?
プライバシーを保ちやすく、騒音トラブルが起きにくい
一戸建てはマンションと比べて建物の独立性が高いため、隣接する住戸の音や視線を気にせずに暮らしやすい環境と言えます。廊下やエレベーターなどで住人とすれ違うことが多いマンションと比べて、一戸建ては設計次第で周囲の視線を遮ることができます。
また、小さなお子様がいる家庭なら、一戸建ての方が、赤ちゃんの泣き声や子どもが駆け回る足音、ピアノを練習する音などで苦情を受けるリスクを軽減できるでしょう。ペットを飼いたい方にとっても同様で、マンションほど神経質にならなくても飼うことができます。ちなみに、マンションは管理規約により、ペットの種類や頭数、サイズ、飼い方などに制限を設けているケースがほとんど。「バルコニーに出さない」「共有部では抱いて移動する」といったルールも守る必要があります。大型犬を買いたい方や、多頭飼いを考えている方は一戸建てを検討しましょう。
庭のある生活や、敷地内の駐車スペース確保を実現しやすい
庭があれば、小さなお子様を遊ばせたり、家庭菜園を楽しんだり、バーベキューをしたりと、様々な使い方ができます。土に触れる経験が、お子様の五感を刺激し、感受性を養うとも言われています。ウッドデッキを設置したり、芝生を植えたり、庭づくりも楽しく、好きな人にとっては最高の環境です。
平置きの駐車場を設けやすいこともポイントです。一戸建てであれば玄関の目の前に駐車スペースを設けることができますが、マンションは敷地が広く、自分の部屋からやや離れた場所まで歩かなければならないケースが多いようです。自動車を所有する前提であれば、一戸建てが便利でしょう。
落ち着いた住環境で暮らしやすい
一戸建ての多くが、繁華街から少し離れた閑静な住宅街に建てられます。静かな環境で落ち着いて暮らしたい方や、お子様をのびのびと育てたい方、自然の光や風、緑を感じながら暮らしたい方には一戸建てが向いているでしょう。都心部の住宅密集地の場合、この限りではありませんが、敷地形状や周辺環境に合わせて、採光や通風、眺望などを考えながら設計した家であれば、希望する環境を叶えやすいでしょう。
一戸建てを購入するデメリットは?
バリアフリーの観点では、マンションに軍配か
一戸建てで暮らすとなれば、平屋を建てない限り階段の昇り降りが生じます。マンションはワンフロアが基本で、元々段差が少なめです。そのため、歳を重ねて足腰が不自由になってくれば、マンション暮らしの方が便利に感じるかもしれません。ただし、段差をなくす、手すりをつける、階段昇降機やホームエレベーターを設置するといったリフォームを行うことで、一戸建てでも高齢者が住みやすい住まいにすることが可能です。
防犯設備の設置もメンテナンスも自分次第
ある程度の規模のマンションであれば、ほぼ標準的にオートロックシステムや防犯カメラが備わっています。対して一戸建ては、自身で防犯対策を講じる必要があります。ピッキングに強いディンプルシリンダータイプの鍵を採用する、防犯ガラスにする(窓ガラスに防犯フィルムを貼る)、防犯シャッターを設置するなど、できることはたくさんあります。ホームセキュリティシステムを導入すれば、なお安心です。
また、マンションのように修繕積立金を毎月支払う必要はありませんが、建物のメンテナンスやリフォームは、自身が責任を持って計画的に行う必要があります。自分のタイミングで、好きな施工会社を選んで行うことができるのはメリットである反面、あらかじめ貯蓄をしておかなければ、いざという時に困ってしまいます。お金のやりくりも、メンテナンス計画も「他人まかせ」にできないことは、ものぐさな方にとってはデメリットとなるでしょう。
ご近所づきあいが苦手な人には煩わしい面も!?
一戸建てで暮らす場合、まずは町内会への加入を求められるでしょう。自治会は強制ではありませんから、無理に入る必要はないのですが「断りにくいムードで結局入ってしまった」という声も。ごみ置き場の掃除当番が回ってきたり、古紙回収を行ったり、お祭りの準備に参加を求められることもあるでしょう。近隣に住む方々と交流を深め、いざという時に助け合える関係を築くチャンスと捉えることができればいいのですが、内向的なタイプの人であれば、やや煩わしく感じるかもしれません。
費用面を比較すると、一戸建てが割安!?
一戸建てもマンションも、それぞれにメリットとデメリットがあり「どちらがいい」と断言することはできません。「結局、どちらにすればいいの?」という声が聞こえてきそうですが、その答えは購入時期によっても変わってきそうです。
以下、東京カンテイの「一戸建て住宅データ白書2019(首都圏)」※によると、首都圏における新築一戸建ての一戸当たりの平均価格は4,064万円なのに対し、新築マンションは5,904万円。比べると、一戸建ての方が1,800万円以上も安いことになります。
なぜ、新築一戸建ては安いのでしょうか。それは、東日本大震災後の復興需要や2020年開催の東京オリンピックに向けて各種施設の建設が相次ぎ、インフラ整備も進む中で、建築費用が高騰し、人材不足が加速していることと関係しています。建築費用の高騰が顕著な鉄筋コンクリート造の建物に対し、木造が主流の一戸建ては影響をさほど受けないため、一戸建ての価格は安定しているのです。
また、東京オリンピックの影響で、都心部を中心として地価が上昇しています。好立地に建てられることが多いマンションの方が、一戸建てと比べて販売価格に響きやすいこと、マンションは投資や節税を目的に購入する人も多いことから、マンションと一戸建ての価格差が生じていると考えられます。
まとめ
一戸建てとマンション、どちらを購入すべきなのか判断するには、自身やご家族のライフスタイルを振り返り、住まいに求める優先事項を洗い出すことが大切です。同時に、資金計画も重要です。住宅ローンの返済に加え、固定資産税もかかりますし、マンションの場合は毎月の管理費や修繕積立金も必要になります。予算を見極めながら、自身の身の丈に合ったマイホーム計画を立てましょう!
【出典】
(株)東京カンテイ「一戸建て住宅データ白書2019(首都圏)」
https://www.kantei.ne.jp/report/102hakusyo-syutoH.pdf
一戸建てに興味があるけど土地は持ってない方は「【失敗したくない人へ】ここがポイント! 注文住宅の土地探し・土地選びの注意点」をまずご覧ください。
家を買うにはどのくらい費用が掛かるものなのか?住宅ローンはいくらくらい借りられるのか?について知りたい方は「注文住宅を建てるのにかかる費用は? 借入可能額を簡単に知る方法もチェック!」、「注文住宅を建てるのに必要な諸費用や付帯工事費は?」をご覧ください。
どんな家があるのか、実物などを見たくなった方は「モデルハウスの内覧・見学はいつすればいい?プロがすすめるマイホーム計画の立て方」をご覧ください。
今は自分のスマホでVR内覧も可能です。「プロが解説! マイホームマーケットで扱う規格(企画)住宅のオススメポイント」もぜひ読んでみてください。
ラジオパーソナリティを経てフリーライターに。
住宅・インテリア・不動産分野を中心として、介護・グルメ・トラベルなどのジャンルでも執筆。
リフォームや注文住宅関連の住宅情報誌をはじめ、雑誌、書籍、新聞、インターネットなどのさまざまな媒体で取材・執筆を手掛けている。