マイホームの計画を立てるとき、まずはなにをするべきなのでしょうか? はじめのうちはネットや雑誌で住宅情報を調べた方がいいのか、それとも、いきなり住宅展示場に足を運んでみるのがいいのか、経験が無いと分からないものですよね。そこで、住生活ジャーナリストの田中直輝さんに、マイホーム計画の立て方について伺いました。
住生活ジャーナリスト
昭和45年(1970)、福岡県生まれ。早稲田大学教育学部を卒業。約10年間にわたって住宅業界専門紙に勤務。主に大手ハウスメーカーを担当、取材活動を行う。その後、独立し、現在は東洋経済オンライン、オールアバウトなどで執筆している。
住生活ジャーナリストの田中直輝です。前回の記事では、住宅取得にあたり内覧や見学ができる場所とその特徴について、ご紹介しました。今回はこれらの活用方法と、マイホーム計画を立てる上で重要となるポイントを解説します。
余裕を持ったマイホーム計画を立てよう
一般的にマイホーム計画は、結婚や出産、お子様の入学など、ライフステージの変化をきっかけに考えはじめる方がほとんどかと思います。ですが、いざそのタイミングが訪れても、日々の仕事や子育てに追われるなかでは、思うように計画を進めていくことは難しいものです。
そこで私が推奨しているのは、住宅情報収集の習慣化。早い段階からネットや雑誌で情報を集めることを習慣にしておけば、急なライフステージの変化にも対応しやすくなるわけです。最初は、住宅取得の計画がおぼろげであっても構いません。将来、どのようなお家に住みたいのか、ご家族と話し合うことも習慣化し、余裕を持って計画を進められるようにしてください。
では、本格的にマイホームを検討しはじめた場合、まずはなにをすればいいのか? 新築一戸建てを建てるのならば、私は住宅展示場に行くことを薦めています。ほかにも、マイホーム計画を進めるうえで内覧や見学すべき場所はいくつかありますので、その順序についてもご説明します。
オススメ内覧・見学フロー①住宅展示場
マイホームの検討をはじめたら、まずは住宅展示場に行きましょう。モデルハウスを実際に内覧することで、これまでネットや雑誌などを見ながら思い描いていた新居への理想を、より明確にすることができます。
また、住宅展示場には「総合住宅展示場」と「単独住宅展示場」の2種類があります。簡単に言うと、総合住宅展示場は複数のハウスメーカーの内覧専用モデルハウスが並んでいる展示場、単独住宅展示場はひとつのハウスメーカーが単独で運営している展示場のことです。それぞれ、モデルハウスの見学ができることに変わりはありませんが、まずは総合住宅展示場で各ハウスメーカーの住宅を比較し、その後、興味のあるハウスメーカーの単独住宅展示場に行って、イメージをより固めるのがいいでしょう。
住宅展示場では営業マンとコミュニケーションを取ろう
住宅展示場にはハウスメーカーの営業マンが常駐しています。営業マンは住宅について一定の知識を持っているので、家探しを前向きに検討している場合は積極的にコミュニケーションを図ってみると良いでしょう。営業マンと会話することで、これまでご自身でも気づいていなかったマイホームで大事にしたいポイントを気づかせてくれるかもしれません。
また、住宅購入についてしっかりとした見通しが立っていない場合は、営業マンとのコミュニケーションを億劫に感じてしまうこともあるでしょう。その際は、まだ新居へのこだわりが明確に定まっていない旨などをはっきりと伝えます。ご家庭の事情を共有することで営業マンも対応の仕方を変えてくれますし、計画段階にあった内覧方法を提示してくれることもあります。
オススメ内覧・見学フロー②現場見学会
住宅展示場で気になるハウスメーカーが見つかったら、その会社が開催する現場見学会に行ってみてください。現場見学会ではお家の基礎や骨組みを施工している様子を見学することができます。営業マンが施工風景を見ながら基礎や骨組みについて丁寧に説明してくれるので、カタログを読むだけでは分からないポイントについて、理解を深めることができるのです。
現場見学会はハウスメーカーの雰囲気を確認できる絶好の機会!
現場見学会は施工を行うハウスメーカーの雰囲気を確かめられる機会でもあります。私が現場見学会に行く際は、作業員がヘルメットをしっかりと着用しているか、挨拶をしてくれるか、ものが散乱していないきれいな現場であるかなどをチェックしています。信頼できるハウスメーカーであるかどうかは、そこで働く“人”を見ることで、分かることが多いからです。
オススメ内覧・見学フロー③内覧会
現場見学会で信頼に足るハウスメーカーが見つかったら、内覧会に行ってみましょう。内覧会は、人が住みはじめる前のお家を見学できる「完成住宅見学会(内覧即売会)」と、人が住みはじめてから行われる「オーナー住宅見学会」があります。どちらも、人が住むことを前提として建てられたお家が見られるので、施工したハウスメーカーの気遣いとも言える部分が確認できるわけです。
田中流!! 見学会で絶対にチェックしておきたい2つのポイント
分譲住宅の見学会では、「そのお家に一生住み続けることができるのか?」という観点で気になる部分をチェックしてみましょう。私の場合、階段の傾斜が急ではないか、2階のトイレにもトイレットペーパー置き場が備わっているか、この2つは必ず確認するようにしています。これらを見る理由は、ハウスメーカーの都合で施工を行っていないかを見極めるためです。
階段の傾斜が急すぎると、年齢を重ねるとともに上り下りがきつくなりますし、二階のトイレにトイレットペーパー置き場がなければ、わざわざ1階まで取りにいくという手間が増えてしまいますよね。ハウスメーカーが住む人のことを考えて施工しているのか、実際に生活することを想像しながら見て回るといいでしょう。オーナー住宅見学会の場合、リアルな体験談が聞けることも大きなメリットとなります。
オススメ内覧・見学フロー④ショールーム
施工してもらうハウスメーカーが決まったら、営業マンとともに導入する設備機器を決めるため、ショールームに行きましょう。こだわりたい設備を明確にし、どの設備にどの程度のコストをかけるのか、実物を見ながら決めることで、より理想的なマイホームを建てることができます。
決まった内容は必ず記録に残して営業マンと共有
ショールームで導入したい設備機器などが決まったら、必ず決まった内容を記録として残し、営業マンと共有しましょう。ほとんどの営業マンは時系列に沿って、決まった内容を書類として保管してくれていますが、仮に届いた設備が想定していたものと違った場合はトラブルに発展しかねませんし、お家の施工期間も伸びてしまいます。大切なマイホーム計画なので、任せきりにはせず、ご自身で決めたことはしっかりと把握しておきましょう。
マイホーム計画の立て方 まとめ
今回は新築一戸建てを建てる際のマイホーム計画、その一例を紹介させていただきました。しかし、分譲住宅を購入する場合でも、施工したハウスメーカーの現場見学会や完成住宅見学会などでチェックすべき項目は変わりません。住宅情報収集の習慣化も意識して、余裕のあるマイホーム計画を立てられるようにしましょう。