注文住宅を建てるのに必要な諸費用や付帯工事費は?

自由設計により、理想のマイホームを手に入れることができる「注文住宅」。間取りや設備・仕様が既に決まっている「建売住宅」と比べて様々な希望を反映させることができますが、パッケージ化されていない分、土地や建物以外にかかる諸費用が気になるところです。この記事では、注文住宅を建てる場合にかかる諸費用について解説するとともに、注文住宅の中でも全体費用を把握しやすい「規格住宅」についてもご紹介します。

注文住宅を建てるには建物や土地代金以外に何が必要? 諸費用とは?

注文住宅を建てるには建物や土地代金以外に何が必要

総額が分かりやすい建売住宅と異なり、注文住宅は土地購入代金や建物価格の他に、様々な諸費用が必要です。どのような費用が必要なのか、順にチェックしていきましょう。

土地購入時に必要な費用は?

                       
土地に関する費用
諸費用の種類内容おおよその金額
不動産取得税不動産を取得した時、土地にかかる税金土地の評価額×1/2×3%(2021年3月までの税率)※ただし、4万5,000円もしくは土地1平米当たりの評価額 × 1/2 × 課税床面積×2(200平米まで)×3%のうち大きい方の額を控除
仲介手数料不動産会社(仲介業者)に支払う手数料(物件価格×3%+6万円)+消費税10%
固定資産税・都市計画税土地や家屋の所有に際してかかる税金居住エリアや広さ、購入時期により異なる
測量費用現況測量を行うことで、建築確認申請ができる数万~数十万円
地盤調査費用地盤の強度を測定する費用10万円前後
建築確認申請費用新築の着工前に確認済証の交付を受ける際の費用数万円程度

注文住宅を建てるにあたり、土地を所有していない場合はまず土地を購入するところから始まります。不動産業者を通じて土地を購入した場合は、土地代金に加えて仲介手数料が発生します。

      
仲介手数料=(物件価格×3%+6万円)+消費税10%

上記を上限金額とし、契約時に半分、引き渡し時に残り半分を支払うケースが一般的です。また、固定資産税都市計画税は1月1日時点の所有者に対して課税されますが、売買契約を結んだ場合、最初の年は日割り計算で支払う方法が一般的です。

また、現況測量を実施し、建築確認申請を出すための費用や、地盤調査費用地盤改良が必要な場合はその費用も必要です。

住宅(建物)に関する諸費用は?

                         
登記費用・税金
諸費用の種類内容おおよその金額
不動産取得税不動産を取得した時、建物にかかる税金建物の評価額×3%(2021年3月までの税率)※ただし、50~240平米の新築住宅の場合は、1,200万円を控除
登記費用所有権保存登記費用や司法書士報酬所有権保存登記:固定資産税評価額の0.15%(2020年3月までの特例措置)司法書士報酬:5万円前後
印紙税不動産売買契約書を交わす際にかかる税金1,000万円超 5,000万円以下で1万円、5,000万円超 1億円以下で3万円
固定資産税・都市計画税(都市計画税は市街化区域のみ)物件所在地によって数万円~数十万円
設計監理料設計(プランの作成)や施工のチェックに対する費用施工費の10%程度。ハウスメーカーでは工事費に含まれるケースが多い
地鎮祭・上棟式家を建てる際に行う儀式の費用規模により数万~数十万円
上下水道の加入金新しく水道を引く際、自治体により、負担を求められる費用給水管の口径により異なり、数十万円程度

建物を建設するためには、様々な諸費用が必要です。不動産取得税は注文住宅の場合、軽減措置の恩恵により実際の納税額は0円となるケースが多いでしょう。
新築した建物は所有権保存登記が必要ですので、申請費用司法書士報酬が発生します。不動産売買契約書に貼る印紙固定資産税・都市計画税も必要な他、設計監理料地鎮祭・上棟式を行う費用、自治体によっては上下水道の加入金を求められることもあります。

付帯工事費とは?

                   
付帯工事に関する費用
諸費用の種類内容おおよその金額
解体費用建て替えの場合など、古い建物を解体する費用数万~数十万円
地盤改良費用地盤調査の結果、改良が必要な場合にかかる費用数十~数百万円
引き込み工事費用水道管やガス管、通信回線などを引き込む費用工事内容による
外構工事費用建物まわりの工事全般の費用工事内容による

建物本体以外にかかる付帯工事費も必要です。まず、建て替えや古家付きの土地を購入した場合の解体費用。家を建てる土地の状況によっては、地盤改良工事費用も必要です。更に、水道やガスおよび通信回線を利用するための引き込み工事費用も必要です。また、門扉や庭といった外構工事費用も大きな割合を占めています。

その他の費用は?

                     
その他の主な費用
諸費用の種類内容おおよその金額
引っ越し費用引っ越し業者に支払う費用引っ越し業者、移動距離、引っ越し時期、家族構成、荷物量、作業範囲などによるが、5~50万程度。
仮住まい費用前居を退去・または売却後、新居が完成するまで住む住居の費用家賃×仮住まい期間プラス諸費用(敷金・礼金や退去時のクリーニング費用、仮住まい先への引っ越し費用など)
家具・家電購入費用家具や家電を買い揃える費用購入数・購入対象によるが、おおよそ30~100万円程度
住宅性能評価書取得費用住宅ローンの借り入れや保険の加入条件を満たすため、評価書を取得する費用30~40万円程度
その他前居の不用品廃棄費用など数万円

これまで挙げてきた諸費用の他にも、引っ越し費用仮住まい費用家具・家電購入費用住宅性能評価書の取得費用も別途必要です。前居の家具などを新居に持ち込まずに処分する場合は不用品廃棄費用も必要です。

住宅ローンにも諸費用が?

                           
住宅ローン関連費・各種保険料
諸費用の種類内容おおよその金額
住宅ローン保証料万が一、住宅ローンの返済が続けられなくなった場合に備えて保証会社を利用するための費用金利+0.2%が一般的
事務手数料住宅ローンの融資手続きのために、金融機関に支払う手数料金融機関により定額型と定率型がある。定額型は3~10万円程度。定率型は1~3%程度(いずれも消費税別)
つなぎ融資の事務手数料注文住宅が完成する前に支払うお金を用意するための融資手数料10万円前後
抵当権設定費用住宅ローンを借り入れる際、建物と土地に担保権を設定するための登記費用登録免許税:借入金額の0.4%(軽減措置の適用があれば0.1%)司法書士報酬:5~10万円程度
印紙税住宅ローンの契約書(金銭消費貸借契約書)を交わす際にかかる税金1,000万円超 5,000万円以下で2万円、5,000万円超 1億円以下で6万円
団体信用生命保険料住宅ローン返済中に、契約者が死亡、または高度障害になった場合、以後のローンの返済が不要となる生命保険の保険料基本的には金利に含まれる。フラット35は金利の内0.28%
火災保険料返済期間中の火災などに備えて加入する損害保険の保険料建物構造と保証内容、免責金額により異なる。契約期間は最長10年。
地震保険料火災保険に加えて、地震に備えて加入する損害保険の保険料地域、建物の免震、耐震性能により異なる。保険金額1,000万円あたり(保険期間1年)、7,000円~3万円程度

住宅ローン保証料は、メガバンクや地方銀行などの金融機関で求められることが多く、ネットバンクやモーゲージバンクでは事務手数料に重きを置いているケースが目立ちます。事務手数料は定額制の場合と、借入金額によって異なる定率制の場合があります。
注文住宅は建築費用を分割して支払うことが多い一方、通常の融資は引き渡しのタイミングにならないと借入金を受け取ることができません。土地取得費用や中間金を支払うためにつなぎ融資を利用する場合は、その手数料が必要です。また、住宅ローンの借り入れは土地や建物を担保とするため、更に抵当権設定費用が発生します。住宅ローンの契約書を交わす際に貼る印紙の代金も必要です。合わせて、ほとんどの金融機関が団体信用生命保険の加入を義務付けています。その他、火災保険地震保険の加入もほぼ必須といえるでしょう。

諸費用も住宅ローンで支払いができる?

諸費用も住宅ローンで支払いができる?

注文住宅を建てるには、様々な諸費用が必要です。現金で用意できればいいのですが、「預貯金があまりない」「手元に現金を残しておきたい」と考えている方が多いのではないでしょうか。
住宅ローン借り入れ時の手数料、印紙代や火災保険料などの費用は住宅ローンの対象外ですが、現金での支払いが難しい場合は、諸費用ローンを利用することができます。土地と家を担保とする住宅ローンと異なり、無担保のため通常の住宅ローンと比べて金利が高く設定されています。無理なく返済できるか、よく検討した上で利用しましょう。

注文住宅を建てると補助金がもらえる?

注文住宅を建てると補助金がもらえる?

ここまで、注文住宅を建てることにより発生する諸費用をご紹介してきましたが、住宅購入者を支援するための補助金制度により、費用負担を軽減することができます。最も有名なのが、「住宅ローン減税」でしょう。返済期間10年以上の住宅ローンを利用している場合は、最長13年間、所得税や住民税の一部が控除されます。また、「すまい給付金」は住宅購入者が収入に応じた給付金を受け取れる制度で、年収775万円までの人が対象となります。
その他では、新築した住宅が一定の条件を満たしている場合にポイントが発行され、様々な商品に交換できる「次世代住宅ポイント制度」や、地方自治体の住宅購入支援制度もあります。詳しくは過去記事「住宅購入前にチェックしたい! 国や地方自治体の補助金制度」をご確認ください。

注文住宅にかかる諸費用・総費用のまとめ

注文住宅を建てる際は、土地や建物の代金に加え付帯工事費や諸費用も必要です。そのため、現金を多めに用意するかつなぎ融資を利用する必要があります。
注文住宅の中でも設備やデザインの選択肢がパッケージ化された「規格住宅」であれば、建物にかかる費用総額を把握しやすく、トータルでどれだけの支払いが生じるのか比較的正確に予測することができます。ある程度の希望を反映させながら予算に合わせた家づくりをしたい方は、規格住宅も検討してみてはいかがでしょうか。

住宅ライター 斎藤 若菜
住宅ライター 斎藤 若菜

ラジオパーソナリティを経てフリーライターに。
住宅・インテリア・不動産分野を中心として、介護・グルメ・トラベルなどのジャンルでも執筆。
リフォームや注文住宅関連の住宅情報誌をはじめ、雑誌、書籍、新聞、インターネットなどのさまざまな媒体で取材・執筆を手掛けている。

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