家の中で一番長い時間を過ごす場所といえば、リビングではないでしょうか。一戸建て住宅を新築するにあたり、間取りを計画する際にまず考えたいのが「どこにリビングを設けるか」という問題です。1階の南側に配置されることが多いリビングですが、3階建ての住宅や上下分離型の二世帯住宅では2階にリビングを設けることが多く、都市部の住宅密集地でも同様のケースが少なくありません。この記事では、一戸建て住宅のリビングを2階に設けることで、どのようなメリットやデメリットがあるのか解説します。
目次
1.一戸建て住宅を新築するなら検討したい、2階リビングのメリット
2.一戸建て住宅を新築するなら知っておきたい、2階リビングのデメリット
3.一戸建て住宅の新築時に2階リビングを採用する際の注意点
4.2階リビング まとめ
一戸建て住宅を新築するなら検討したい、2階リビングのメリット
一戸建て住宅を新築するにあたり、リビングを1階に設けるか、2階にするかは大きな決断です。2階にリビングを設けることで、どのようなメリットがあるのでしょうか。
2階リビングのメリット1―日当たりや風通しがよい空間を作りやすい
バルコニーに面した2階LDKに家族が集う、ジブンハウス「HACO HACO」の詳細はこちら
住宅密集地で1階にリビングを設けると、隣家の陰になってしまい十分な日当たりが見込めなかったり、壁に阻まれて風が入りにくかったりするケースがあります。こうした問題は、リビングをワンフロア高い2階に設けることで解決できます。
大きな窓を設置したり、バルコニーに面した空間としたり、天窓を設けたりといった光や風を家の中に取り入れる工夫をすれば、より明るく快適なリビングを実現できます。
2階リビングのメリット2―天井の高い空間を作りやすい
最上階にリビングを設けることで、屋根の高さギリギリまで空間を活用することができ、開放感を高めることができます。天井は一般的に水平ですが、屋根の形状を活かした勾配天井にすれば、より伸びやかな空間を演出できます。
天井高がある場合は、ロフトを設けることもできます。収納スペースとしてリビングをすっきりとした空間にすることも、リビングから目が届く子どもの遊び場とすることもできます。
2階リビングのメリット3―プライバシーを確保しやすい
リビングが1階にある場合、窓を開けたときに家の中が丸見えになってしまう懸念があります。隣家が近い、もしくは人通りが多い道路に近い立地の場合、リビングを2階に設けることでプライバシーを確保しやすい状況を作ることができます。狭小地に一戸建て住宅を新築する際は特に、2階リビングにすることで外の視線が気になりにくく、カーテンを開けたままでも過ごしやすくなります。大きなバルコニーを設けて隣家や道路と室内の間にワンクッションを置けば、より周囲の視線を気にせずに生活ができるでしょう。
2階リビングのメリット4―眺望を楽しみやすい
贅沢な広さのバルコニーで眺望を楽しめる、ジブンハウス「HACO HACO」の詳細はこちら
広い庭がある家であれば、1階リビングでも庭の景色を楽しむことができます。しかし、住宅街や高い建物に隣接した場所では建物などが見えるばかりで、景色を楽しめないことも。2階リビングとすることで目線が高くなり、その分だけリビングからの眺望を楽しみやすくなります。庭を設けるスペースがなくてもバルコニーを設ければ、開放的で景色を眺めやすい空間が作れます。敷地の広さや周辺環境によりベストなリビングの配置が異なるので、新築の際はじっくりと検討しましょう。
2階リビングのメリット5―災害に配慮した家づくりをしやすい
木造住宅の2階にリビングを配置する場合、1階に寝室や子ども部屋、書斎などの居室を設け、2階をLDKとする間取りが一般的です。LDKのようなひと続きの大空間と比べて、居室を多く設ける間取りは柱や壁を多く設けることになります。その結果、住宅の強度が上がり、耐震性能が向上する可能性があります。
また、万が一台風やゲリラ豪雨などによる床上浸水などの被害に見舞われたときも、リビングが2階にあればいつも通りの生活を維持しやすくなります。
一戸建て住宅を新築するなら知っておきたい、2階リビングのデメリット
2階にリビングのある間取りにはたくさんの魅力がありますが、注意点もあります。2階リビングにするデメリットも踏まえた上で、部屋の配置を計画しましょう。
2階リビングのデメリット1―階段の上り下りが増える
生活の中心の場である2階にリビングがあるということは、外出する度に階段を上り下りしなければなりません。通常時であればそれほど大変に感じない方でも、重い荷物を運ばなければならないときなどにはつらく感じてしまう可能性もあります。また、足腰に不安がある高齢の家族がいる場合は、階段の移動がより大きな負担となります。少しでも上り下りがしやすいよう、階段の幅や段差を広めにする、手すりをつけるといった工夫により、ラクに安全に階段を利用できる環境を作りましょう。
2階リビングのデメリット2―夏季は暑さを感じやすい
暖かい空気は冷たい空気と比べて軽く、上昇する性質があります。そのため、1階リビングと比べて2階リビングは熱気が籠りやすく、暑さを感じがちです。屋根に近いことから熱が室内に伝わりやすいこと、窓越しに直射日光の影響を受けやすいこと、ベランダからの照り返しも暑さの原因となります。室温の上昇を軽減するには、屋根や壁、窓の断熱性能を高めるなどの工夫が必要です。同時に、天井にシーリングファンを設置すれば、空気を撹拌することで冷暖房効率が上がります。また、ベランダは庇が長いほど日差しを軽減できますが、室内の明るさや冬の暖かさにも影響するので、ほどよい長さとすることも大切です。
2階リビングのデメリット3―1階の気配が伝わりづらい
2階リビングにした場合のデメリットとして、玄関まで距離ができ、1階の様子の変化に気づきにくくなることがあります。家族の帰宅時や、不審者の侵入に対応が遅れてしまう可能性も。また、来客を出迎えるために階段の上り下りが必要となり、そうした対応がおっくうに感じてしまうこともあります。子ども部屋などの個室を1階に設けた場合、玄関から直接部屋へ入ってしまい、コミュニケーションを育みづらいという問題もあります。
防犯面に関しては、玄関に人感センサー付き照明や防犯カメラを設置する、防犯ガラスの採用や格子を設置するなど、設備を整えることでリスクを軽減できます。
2階リビングのデメリット4―1階に音や振動が響きやすい
小さな子どもがいる家庭では、家の中で最も広いリビングで子どもが走り回ったり、ジャンプをしたりする度に階下へ音や振動が伝わります。物を落としてしまったときにも衝撃音が響きます。2階にリビングを配置する際は、2階の生活音が1階に響きやすくなることを念頭に、1階の生活に合うような防音対策をおこなう必要があります。
2階リビングのデメリット5―大型家具を搬入できない恐れがある
2階リビングに設置するものは、基本的に階段を通って搬入することになります。ソファやテーブルなどの大物家具の場合、階段のサイズやタイプにより搬入できない可能性がありますので注意が必要です。クレーンで2階の窓やバルコニーから運ぶケースもありますが、通常の搬入時よりも費用がかかります。設計段階から家具の搬入経路を確認するとともに、2階でも比較的家具が搬入しやすい、幅の広い直線階段を検討しましょう。
一戸建て住宅の新築時に2階リビングを採用する際の注意点
リビングを2階に設けることでたくさんのメリットがありますが、デメリットもあります。2階リビングを採用する際には、どのようなことに注意をすればよいのでしょうか。
リビングを2階に設けることで、階段の上り下りが増えます。この負担を軽減するために、キッチンはもちろん、洗面室や浴室、トイレといった水廻りを2階にまとめることで、生活動線をできるだけ短縮しましょう。寝室が1階であれば、トイレは1・2階の両方に設置するとベストです。また、老後に足腰が弱くなっても住み続けやすいように、階段の勾配をゆるやかにするなど、新築時からユニバーサルデザインを心がけて計画すれば、将来的に最小限のリフォームで快適に住み続けることができます。
バルコニーの設置もおすすめです。開放感のある空間となるだけでなく、リビングの延長線上にあるセカンドリビングとして、大人の目が届きやすい子どもの遊び場として、多目的に使用できる便利な場所になります。洗濯物を干すにも便利で、洗濯機置き場やクローゼットも同じフロアに設ければ、毎日の家事がラクになります。
2階リビング まとめ
一般的には1階に設けることが多いリビングですが、最近では2階に設けることも多くなっています。住宅街に一戸建て住宅を新築する場合、2階リビングとすることで「プライバシーを守って周囲の視線を気にすることなく暮らしたい」「採光や通風、眺望も楽しめるリビングにしたい」「限られた面積でも開放的なリビングにしたい」といった希望を叶えることができます。これから家を新築される方は、敷地の広さや周辺環境に合わせて2階リビングも検討してみてはいかがでしょうか。
一戸建ての新築に参考になる記事
一戸建てを新築・購入する基本的な流れを解説。家づくりはどのタイミングで何をする?
新築一戸建ての快適性を左右する「窓」の選び方は?窓の種類ごとに特徴を解説
一戸建てに宅配ボックスを設置するメリットは? タイプ別特徴も解説
一戸建ての二階が暑いのはなぜ?その原因と暑さを緩和する対策を解説
ラジオパーソナリティを経てフリーライターに。
住宅・インテリア・不動産分野を中心として、介護・グルメ・トラベルなどのジャンルでも執筆。
リフォームや注文住宅関連の住宅情報誌をはじめ、雑誌、書籍、新聞、インターネットなどのさまざまな媒体で取材・執筆を手掛けている。