玄関ドアは住まいの顔であり、室内への出入り口となる、住まいの中でも重要な役割を果たす場所です。一戸建てを新築するとき、玄関ドアはデザインや色を重視して選びがちです。もちろん、それらは外観の第一印象を左右する重要なポイントですが、ドアのタイプや性能の違いが毎日の使い勝手に大きく影響します。また、ドアの仕様は、断熱やセキュリティ面にも関わってきます。ここでは、一戸建てを新築する際に知っておきたい、玄関ドア選びのポイントを解説します。
目次
新築一戸建ての玄関ドア―形の種類
新築一戸建ての玄関ドア―色や素材
新築一戸建ての玄関ドア―機能
新築一戸建ての玄関ドア まとめ
新築一戸建ての玄関ドア―形の種類
ドアの種類 | 特徴 | メリット | デメリット |
---|---|---|---|
開き戸 | 押す・引く動作で開閉する |
・デザインの種類が豊富 ・断熱性や気密性が高い傾向にある |
・開閉するためのスペースが必要 ・ストッパーがないと開けたままにできない |
引き戸 | 左右にスライドして開閉する |
・玄関前のスペースを有効に使える ・両手がふさがっているとき、ベビーカーや車椅子でも出入りしやすい |
・開き戸よりも高額な傾向 ・開き戸に比べて断熱性・気密性が落ちやすい |
新築一戸建ての玄関ドア―開き戸
最近建てられた一戸建て住宅の玄関ドアとして一般的なのが「開き扉」です。中でもシンプルな片開き扉は多数の住宅メーカーが標準仕様としており、採用している住宅が多いタイプです。ポピュラーなタイプなので様々な色やデザインの製品が出ているため、豊富なラインナップから選びやすいこと、断熱性や気密性が高い傾向にあることがメリットです。一方、デメリットは、扉を開閉するためのスペースが必要なこと、荷物の搬入時など扉を開けたままにしておきたくても、ストッパーを使用しないと開けたままにできないことが挙げられます。
開き戸には、片開き扉に小さな扉を組み合わせた「親子扉」や、片開き扉の横に採光のためFIXガラスを入れた「片袖扉」、片開き扉の左右にFIXガラスを入れた「両袖扉」、同じサイズの2枚の扉を開く、観音開きタイプの「両開き扉」があります。親子扉は、普段はメインの扉だけを使用し、大きなものを搬入する際などは小さな扉も開くことで広い開口を確保できます。両開き扉であればより広い開口となり出入りがラクになりますが、その分だけスペースが必要になります。
新築一戸建ての玄関ドア―引き戸
和風建築など歴史ある住宅で多く見かけるのが「引き戸」です。扉を横にスライドさせて開閉するので、玄関前のスペースを有効に使うことができ、狭小地でも採用しやすいタイプです。開口幅を広く取りやすく、扉を開けたままにしやすいことからベビーカーや車椅子でも出入りしやすいですし、「傘を差したい」「郵便物を手に持っている」など両手がふさがっているシーンでもラクに出入りできます。ただし、ハウスメーカーではオプション扱いになることが多く開き戸よりも高額な傾向にあること、引き戸はレールの設置が必要な関係で開き戸よりも断熱性・気密性が落ちやすいことに注意が必要です。
引き戸には、2枚の扉を左右にスライドできる「2枚引き違い扉」や、扉を4枚にすることで大開口にできる「4枚引き違い扉」、扉を壁側に引き込める「片引き扉」「両引き扉」などがあります。開口幅がどの程度必要かによって選ぶと良いでしょう。
新築一戸建ての玄関ドア―色や素材
玄関ドアを何色にするか、どのような素材を選ぶかによって印象が大きく変わります。選ぶ際の主なポイントを紹介します。
色
玄関ドアの色は、単体でチェックするのではなく、壁や屋根に合う色を選ぶことが大切です。防犯の観点からも、目立つ色を選ぶよりも、外観に馴染む色がおすすめです。外壁と同系統の色を選ぶと良いでしょう。ホワイト・アイボリー・ベージュなど白系を選べば明るい印象に、木製や木目調のブラウン系はナチュラルな雰囲気に、メタリックのシルバー系はスタイリッシュに見せることができます。ブラックは和洋問わず幅広いデザインに調和しやすいでしょう。ホワイトやブラックは泥はねなどの汚れが目立ちやすいため、こまめな手入れが必要になる可能性を念頭に選びましょう。
素材
玄関ドアの材質は大きく分けて、金属製と木製に分類できます。一般的に採用されることが多いのは金属製で、アルミ製やスチール(鋼)製、ステンレス製が主流です。中でも比較的軽く耐久性に優れたアルミ製の玄関ドアが多く、スチール製は耐火性能が高く重厚感があり、ステンレス製はサビに強く海に近い住宅などでよく採用されます。
木製の玄関ドアは、自然素材ならではの質感や表情、経年変化を楽しめます。ただし、雨や日差しに長期間晒されると、表面に水濡れや乾燥から守る加工をした製品でも反りやシミ、歪みが出ることがあります。そうした事態を避けるため、奥行きのある庇を設けるなど新築時の工夫に加え、表面の塗装が剥がれて機能が損なわれないよう、定期的なメンテナンスが必要です。
新築一戸建ての玄関ドア―機能
玄関ドアは、採光や通風への配慮や、断熱・防犯・防火といった性能もチェックして選ぶ必要があります。主なポイントは以下の通りです。
採光・通風
YKK AP株式会社の通風デザインを追加した玄関ドア「コンコードS30」の詳細はこちら
暗くなりがちな玄関に光を入れたい場合、FIXガラスやランマ(ドア上部のガラス部分)が入っている玄関ドアを選ぶことで、外の自然光を玄関にもたらすことができます。
風を取り入れて換気をしたい場合は、通風窓が付いた玄関ドアを採用しましょう。
玄関は靴などのニオイがこもりやすい場所ですが、玄関ドアを開け放して換気すると、特に春や夏は虫が侵入しやすくなります。 そこで、風通しを良くするために、内開きの「通風窓」「採風窓」のついた玄関ドアを取り入れてみましょう。網戸付きのタイプであれば、開閉のタイミングで虫が家の中に入ってしまうリスクを軽減できます。
断熱性能
YKK AP株式会社の断熱材を使用した玄関ドア「コンコードS30」の詳細はこちら
家の断熱性能を向上させたいとき、壁だけでなく窓やドアなど開口部の断熱性能も高めなければ、暖房を使用しても熱が逃げてしまいます。内部構造に断熱材を使用している高断熱の玄関ドアを採用すれば、外の冷気や日射熱が室内に伝わりにくくなり、冷暖房効率が上がります。外気の影響を受けにくくなれば、結露のリスクも抑えることができます。
防犯性能
空き巣や強盗が侵入する際の経路として、窓の次に多いのが玄関です(詳細:備えあれば患いなし! 一戸建てを建てるならチェックしたい防犯対策)。玄関ドアを簡単に開けることができないよう、ディンプルシリンダー錠などピッキングできない複雑な構造の鍵と鍵穴を採用すること、侵入するまでの時間を稼ぐために二重以上のロック機能を搭載することでリスクを軽減できます。スマートキーの導入も効果的です。(詳細:新築一戸建てを建てるならスマートキーを導入すべき? メリットとデメリットを解説)。
合わせて、ドアに誰かが近づくと反応するセンサーライトや防犯カメラを設置すれば、より防犯性を高めることができます。
防火性能
一戸建てを新築するエリアが、都市計画法第9条で指定された防火地域、もしくは準防火地域の場合、延焼の被害を抑えるため、建築基準法により防火性能を持つドアを設置する必要があります。国土交通省の認可を受けた製品を選ぶ必要があるので、お住まいのエリアが該当するのか、事前に確認しましょう。
新築一戸建ての玄関ドア まとめ
玄関ドアを選ぶ際はデザインだけでなく、開き戸と引き戸のどちらが使い勝手に合っているのか、どのような素材が適しているのか、どんな機能が必要なのか考えることが大切です。玄関ドアが変わるだけで、見た目も住宅性能も大きく変わります。今回紹介した内容を参考に、設計士などにも相談しながら納得のできる玄関ドアを選びましょう。
玄関とともに家の顔である表札についての記事はこちら
一戸建ての新築住宅を購入する場合、表札は設置する? 表札を出すメリットとデメリット、注意点などを解説
断熱についてはこちらの記事もご覧ください
「高気密・高断熱」のお家とは? 女性一級建築士がメリットとデメリットを解説
防犯についてはこちらも参考にされてください
一戸建ては狙われやすい?!防犯対策としての防犯カメラの選び方と設置条件とは?
一戸建ての防犯対策は街選びから? 防犯住宅診断士が教えるマイホームの土地選び