一戸建てを購入すると発生する必要な維持費とは? 固定資産税や修繕費用、火災保険も解説

新築一戸建ての購入時には、土地の購入費用や建物価格、税金などの諸費用、引っ越し費用などがかかり、それらの出費に合わせて住宅ローンの借り入れを検討する人が多いでしょう。一通りの費用を捻出する算段がつけば一段落……と思ってしまいがちですが、実は一戸建てに住み始めてからも、維持費がかかります。 住宅ローンの支払いと並行し、どのような維持費がどの程度かかるのか、事前に把握し、余裕を持った資金計画を立てて準備をしておくことが大切です。この記事では、一戸建て購入後の維持費について解説します。

一戸建ての主な維持費は「税金」「修繕費用」「保険料」

一戸建てを購入した後にかかる主な維持費として、毎月の住宅ローンの返済に加え、主に固定資産税や都市計画税といった「税金」、経年劣化に対応するための「修繕費用」、火災保険や地震保険といった「保険料」がかかります。また、賃貸住宅と同様に「光熱費」がかかりますし、一戸建てに住むと「自治会費」も必要になるケースが多いでしょう。 これらは一戸建てを維持するためにかかる最低限の費用で、プラスしてリフォーム費用やエアコンなど付帯設備の修理・交換費用がかかることも想定しておく必要があります。

固定資産税をはじめとする「税金」

一戸建ての維持費:①固定資産税をはじめとする「税金」

一戸建ての維持費として大きなウエイトを占めるのが、土地や家屋などの固定資産を所有している人が納める「固定資産税」です。固定資産税の税額は、課税標準×標準税率1.4%が基本の計算式となります。(異なる税率を設定している自治体もあります)。
ただし、住宅用地の特例措置として、1戸あたり200㎡以下の「小規模住宅用地」に関しては、課税標準を6分の1に減額とし、200㎡を超えた分は「一般住宅用地」として課税標準を3分の1に減額して算出します。また、新築住宅の特例措置として、2022年3月31日までに新築した一戸建ては3年間、固定資産税額が2分の1に減額されます。(認定長期優良住宅の場合は5年間の減額となります)。

また、固定資産税と同時に「都市計画税」も課税され、税額は課税標準×0.3%が基本の計算式となります。(異なる税率を設定している自治体もあります)。「市街化区域」ではない地域に土地や建物を所有している場合、都市計画税はかかりません。

固定資産税は、立地や家屋の構造、設備などにより上下するため平均的な金額を出すことが難しいのですが、年間で10万円台の出費となる家庭が多いでしょう。都市計画税は、年間で数万円程度です。固定資産税に関するより詳しい情報は、「マイホーム購入時にかかる固定資産税とは?納税額の計算方法や減税制度、支払い方法も解説」をご覧ください。

修繕費用の総額は平均556 万円。「外壁」の修繕が最多

築年数 人数 割合 平均
全体(平均35.8年) 495名 100% 556万円
30~34年 184名 37.2% 495万円
35~39年 200名 40.4% 583万円
40~44年 80名 16.2% 602万円
45~49年 27名 5.5% 608万円
50年 4名 0.8% 750万円
アットホーム調べ/自宅修繕にかけた費用の総額

アットホーム株式会社が、新築一戸建てを購入後30年以上住んでいる人を対象として2016年に実施した「『一戸建て修繕の実態』に関する調査」によると、これまで自宅修繕にかけた費用の総額は平均556 万円。アンケート対象者の住まいの平均築年数は35.8年でした。築年数別に見てみると、築 30~34 年で平均 495 万円、築 35~39 年で平均 583 万円という結果で、築年数が古くなるほど、修繕費がかかっている傾向がうかがえます。
35.8 年で556 万円の修繕費用という平均値から単純計算すると、1年につき15.5万円程度、修繕のために準備が必要ということになります。

修繕場所 修繕回数平均 修繕費合計平均 1回目修繕時の
築年数平均
外壁 1.8回 135万円 20.1年
給湯器 1.8回 49万円 19.1年
トイレ 1.3回 51万円 23.3年
風呂 1.3回 107万円 24.7年
屋根 1.7回 137万円 23.3年
キッチン 1.2回 131万円 25.2年
洗面台 1.3回 30万円 23.4年
壁紙・内壁 1.5回 74万円 22.2年
1.3回 65万円 24.4年
ベランダ・バルコニー 1.4回 47万円 21.1年
玄関 1.1回 53万円 24.3年
シロアリ関連 1.7回 40万円 18.3年
給水管 1.5回 54万円 23.6年
床下 1.3回 48万円 23.8年
※修繕回数・修繕費合計・1 回目修繕時築年数は、いずれも修繕を1 回以上した人の平均
アットホーム調べ/主な修繕場所と平均費用

修繕費用は毎月コンスタントにかかるのではなく、特定の箇所を修繕する際にまとまった費用が発生します。上記の表は、一戸建て住宅で修繕した人が多い場所順に並べた主な修繕場所と平均費用です。修繕した人が最も多かった場所は「外壁」、次いで「給湯器」、以下「トイレ」「風呂」「屋根」と続いています。 最も多くの人が修繕している「外壁」の修繕回数は平均 1.8 回で、修繕費の合計平均は 135 万円、1回目の修繕は平均築年数20.1年で実施しています。

「一戸建て修繕の実態」調査の詳細はこちら

火災保険や地震保険の「保険料」

一戸建ての維持費:②火災保険や地震保険の「保険料」

住宅ローンに加入する際、火災保険の加入が義務付けられているケースが多いことから、一戸建てを購入した人のほとんどが「火災保険」に加入しています。火災や台風などの風災、大雨・洪水といった水災、落雷などに見舞われた際、建物や家財に対する損害を補償します。補償範囲が広いほど保険料が高額になり、保険請求をする際の自己負担金(免責金額)を大きくすれば、保険料は安くなります。

「地震保険」は火災保険とセットで加入します。火災保険は加入する損害保険会社によって商品内容も金額も異なりますが、地震保険の内容は損害保険会社を問わず一律です。火災保険料は建物構造やエリア、補償内容などにより金額が大きく変わりますが、地震保険料を合わせて、10年契約で20万円程度の出費となる家庭が多いでしょう。 地震保険に関する詳細は「地震保険は必要?住宅購入時に考えたい地震保険について、補償内容や都道府県ごとの地震保険料、割引制度も解説」をご覧ください。

一戸建てとマンションの維持費の違いは?

一戸建てとマンションの維持費の比較

一戸建てもマンションも、購入後は維持費がかかります。その費用は、どちらが安いのでしょうか。

まず初めに、一戸建てはマンションのように共有施設の管理をする必要がなく、管理費や修繕積立金はかかりません。その代わりに、一戸建ての場合はメンテナンスのタイミングや費用の目安を想定し、自身で計画的に資金の準備をする必要があります。

続いて固定資産税を比較しましょう。マンションの場合、所有している土地の面積は敷地面積を戸数で割って算出します。一戸あたりの土地面積が小さく、固定資産税の大半を建物が占めています。また、建物の耐用年数を見ると、一戸建てが22年なのに対し、マンションは47年と長めに設定されています。 マンションの方が建物の減価償却期間が長いので、固定資産税の高い状態が続きます。そのため、固定資産税はマンションの方が高くなる傾向にあります。

一方、火災保険料に関しては、一般的な木造の一戸建てがH構造(非耐火構造)なのに対し、マンションのM構造(マンション構造)は耐火性能が高く、マンションの方が保険料は安くなるケースが主流です。

まとめ

一戸建てを維持するには、税金や修繕費用、保険料などの維持費用が継続的にかかります。住宅ローンの返済で手一杯では、必要なときに必要な維持費用を捻出できない可能性があります。維持費用が掛かるタイミングと概算の金額を事前に把握し、無理のない資金計画を立てるようにしましょう。

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