眠りとお風呂の専門家 小林麻利子さんに聞く! 睡眠&入浴のお悩み相談

最近“睡眠の質”という言葉を耳にする機会が増えました。世界の中でも短いと言われている日本人の睡眠時間ですが、さらに減少し続けているそうです。実際、慢性的な寝不足で悩んでいたり、日々の睡眠に満足できていなかったりなど、眠りに関するお悩みを抱えている方は多いのではないでしょうか? そこで、睡眠改善インストラクターの小林麻利子さんに、睡眠に関するさまざまな悩みにアドバイスをいただきました。小林さんによると、睡眠の質を上げるには入浴が欠かせないとのことで、お風呂についても伺いましたよ。さらに子どもの睡眠&お風呂に関する“あるある”な悩みも答えていただいたので、子育て中のママ・パパも必見です!

睡眠改善インストラクター・小林麻利子のプロフィール
小林 麻利子 プロフィール
SleepLIVE(スリープライブ)株式会社 代表取締役社長
公認心理師、日本睡眠環境学会・日本睡眠改善協議会正会員、睡眠改善インストラクター

4000人以上の睡眠改善実績を持つ睡眠コンサルタント。科学的根拠に基づいた最新データと研究を活かし、一人ひとりにあった無理のない実践的な指導が人気。書籍出版のほか、『初耳学』『アッコにおまかせ』『王様のブランチ』など多くのテレビ、雑誌、ラジオのメディアで活躍。第32回日本睡眠環境学会奨励賞受賞。医療レベルの脳波測定を基に国家資格「公認心理師」による睡眠指導「JCSP日本睡眠改善カウンセリング」を全国の店舗やオンラインでおこなう。企業向けには、マンションやホテルの睡眠環境コンサルティングや受託睡眠研究をおこなう。
JCSP日本睡眠改善カウンセリング:https://sleeplive.jp/lp/

睡眠改善インストラクターの小林麻利子です。これまで、個人の相談から企業のコンサルティングまで、数多くの睡眠改善に携わってきました。日本社会は寝る間を惜しんで働くことを美徳とする考えが強く、世界と比較しても睡眠が軽視される傾向にあります。しかし、睡眠は人間の心身に大きな影響を与えるため、眠りの質が悪ければメンタル不調や体調不良の原因になってしまうこともあるんですね。実際に「夜中に何度も目が覚めてしまう」や「なかなか寝付けない」といった眠りに関するお悩みを抱えている方は多いのではないしょうか? そこで、睡眠や眠りの質に直結するお風呂について、私のもとに寄せられたお悩みや疑問を解説したいと思います。睡眠の質を上げるヒントがたくさんありますので、ぜひ参考にしてください。

目次
1.【睡眠の悩み①】眠りが浅いのか、途中で何度も起きてしまいます
2.【睡眠の悩み②】早起きしなければならないときほど眠れません、眠れないときに寝る方法を知りたい
3.【睡眠の悩み③】仕事が忙しくて睡眠時間が毎日3~4時間です、このまま睡眠不足が続くと、どんな悪影響があるのでしょうか?
4.【睡眠の悩み④】寝るときはパジャマを着たほうが良いですか? パジャマの素材は何がオススメですか?
5.【お風呂の悩み①】髪を洗う、体を洗う、湯船に浸かる……正しい入浴の順番はありますか?
6.【お風呂の悩み②】冷え性なので半身浴をしていますが、改善されません
7.【お風呂の悩み③】お風呂で歯磨きやメイク落とし、スマホを触るのはOKですか?
8.【お風呂の悩み④】睡眠不足のためか、お風呂でウトウトしたり寝てしまったりします
9.【子どもの睡眠&入浴の悩み①】5歳の子どもが蹴ったり急に起き上がったりして何度も目が覚めてしまいます
10.【子どもの睡眠&入浴の悩み②】毎日9~10時間寝ている小学1年生の子どもの目の下のクマがひどい
11.【子どもの睡眠&入浴の悩み③】3歳と6歳の子どもが「寝ている間に呼吸が止まっているのでは」と不安で熟睡できません
12.【子どもの睡眠&入浴の悩み④】子どもがお風呂をめんどうくさがって、入りたがりません
13.【子どもの睡眠&入浴の悩み⑤】小学6年生の子どもが夜遅くまで起きていて心配です
14.睡眠とお風呂のお悩み相談 まとめ

【睡眠の悩み①】眠りが浅いのか、途中で何度も起きてしまいます

【睡眠の悩み①】眠りが浅いのか、途中で何度も起きる

A.眠りにつくタイミングが良くないのかもしれません。ポイントを押さえて、睡眠の質を向上させましょう! 目が覚めたときの行動にも気を付けて。

睡眠時の途中覚醒に悩まされている方は多く、私が以前調査した際も、たくさんの声が寄せられました。まず、睡眠中の覚醒の回数が1~2回で、起きてもすぐに寝付ける場合は問題ありません。人間の脳は、睡眠中も何度か覚醒していることは脳波の研究でわかっています。毎日3回以上目が覚めてしまって、一度起きるとなかなか眠れない方は睡眠課題がある可能性が高いですね。

原因として考えられるのは就寝のタイミング。脳や内臓の温度である「深部体温」が下がりつつあるタイミングでベッドに入るのが、中途覚醒せずに熟睡するポイントです。深部体温は19時ごろに最も高くなり、就寝時刻の2~3時間前からだんだんと下がって、早朝4時ごろが最も低くなります。深部体温がピークになる時間帯や、最も低い3~4時ごろに寝ると、人の脳と体は眠り続けることが困難な状態に。深部体温が下がりつつあるタイミングが重要なので、コントロールするためにお風呂を活用しましょう。

40℃のお湯に15分浸かると、深部体温は約0.5℃以上、上がることがわかっています。全身浴、可能なら、しっかりと首まで浸かる「完全浴」でお風呂に入り、深部体温を一時的に上げるのが睡眠の質を上げるコツです。個人差はありますが、就寝1時間前にお風呂から上がるようにすれば、ちょうど寝るころに深部体温が平熱から急降下、そのままぐっすり眠れるようになりますよ。

睡眠の質を上げる方法について詳しく知りたい方はコチラ

夜中に目が覚めてもスマホや時計で時間を確認しない

また、夜中に目が覚めてしまったとき、やってはいけないのが時計やスマホを見ることです。パッと目が覚めて、時計を確認して「起きる時間じゃないのに、また起きちゃった」と落ち込む……その一連の行動で「交感神経」が刺激される可能性があり、脳が覚醒してしまうかもしれません。交感神経は活動しているときに活発になるため、眠るときには「副交感神経」が優位となる必要があるんです。しかし、寝る前や夜中に起きたときに交感神経が刺激されるようなことがあると、その後なかなか寝付けません。寝付けたとしても、睡眠の質が低下して、その後の睡眠中の覚醒の原因にもなりえるので、目が覚めても時計やスマホを見ないようにしましょう。

【睡眠の悩み②】早起きしなければならないときほど眠れません、眠れないときに寝る方法を知りたい

【睡眠の悩み②】早起きしなければならないときほど眠れない

A.早起きしなければいけない日でも、いつもと同じ時刻に寝ましょう! 眠れないときは、「どうしよう寝れない」……などと“考えないこと”が大切です。

翌日の起床時間が早いからといって、いつもより早い時間に寝ていませんか? 早起きの前日でも、できるだけ生活リズムを変えず、同じ時間にベッドに入ることが大切です。体温が下がり始めるタイミングは基本的に同じなので、いつもより早く寝ようとしても体温が高くて途中で起きたり、眠りが浅くなったりしてしまう可能性があります。また、睡眠を促す「睡眠物質」というものが覚醒中に脳内に蓄積されていき、睡眠に入るとそれがドバっと使われて深く眠れるのですが、早くベッドに入ると睡眠物質が十分に蓄積されず、うまく入眠できない可能性も。早起きで睡眠時間が短くなるなら、その分睡眠の質を上げましょう。前述した通り、40℃のお湯にしっかり15分間、首まで浸かって、就寝の1時間前に上がるようにしてください。

ベッドに入っても寝付けない場合は、副交感神経が優位になるような“眠る準備”をしましょう。「早く寝なくちゃ」と焦ってしまうと交感神経が刺激される可能性があり、ますます眠れなくなります。「寝よう寝よう」と考えるのではなく、まずは体や脳が眠たくなるような行動に移せば良いのです。リラックスできる音楽を聴いたり、ストレッチをしたり、アロマなどの良い香りを焚くのも副交感神経を優位にするには有効です。手軽なのは呼吸法で、息を3秒吸って2秒止め5秒かけて吐く、10秒1セットの呼吸を1分間に6回、10分間繰り返すと、呼吸と共鳴して心臓の速度もゆっくりになるという研究報告があります。

眠る準備の際、部屋の電気は目に光源が入らないフットライトなどの間接照明だけにすることも大切です。シーリングライトなどの明るい照明が点いていると、睡眠ホルモンである「メラトニン」の分泌が妨げられるので要注意。ちなみに、睡眠時間が6時間未満など、普段から睡眠負債が蓄積されている場合は、この機会に就寝時刻を早めるのも良いと思います。その場合も、いきなり数時間早めるのではなく、15分、30分ずつなど少しずつ前倒しにしていくのが良いでしょう。

【睡眠の悩み③】仕事が忙しくて睡眠時間が毎日3~4時間です、このまま睡眠不足が続くと、どんな悪影響があるのでしょうか?

【睡眠の悩み③】仕事が忙しくて睡眠時間が毎日3~4時間しかない

A.夜勤の方なら午前中を中心に睡眠を、ハードワークで寝る時間がない場合は働き方の見直しも視野に入れましょう。

夜勤中心の生活で夜の睡眠時間がとれないなら、午前中に睡眠をとるようにしましょう。その際も、お風呂の温熱作用を利用します。夜勤後、できるだけ早く眠りに入ったほうが良いので、洗髪は後回しで湯船にチャプンと7~10分ほど浸かり、ベッドへ速やかに移動することをオススメします。ゆっくりとお風呂に浸かって洗髪までしてしまうと、とくに髪の長い方はお風呂上がりに髪の毛を乾かす時間なども加わり、眠る身支度に時間がかかりすぎて昼寝時刻が遅くなってしまいます。そうすると最も大切にする必要のある“夜の睡眠の質”を低下させてしまう危険もあるので、注意が必要なのです。

一方で、とにかく忙しくて深夜まで働いている場合は、働き方の見直しも検討してほしいと思います。本来、成人に適した睡眠時間は6時間半から8時間未満です。その半分ほどしか眠れない状況は、人間らしい生活とは言い難いのではないでしょうか? さまざまな研究から、平均睡眠時間が短い方は生活習慣病のリスクが高まることがわかっており、50〜60代からは脳梗塞や心筋梗塞の発症率が上がるといったデータもあります。私自身、20代のころに過労で倒れてから睡眠の重要性に気付きました。個々人の事情はさまざまですが、自分の心と体のためにも、働き方について考えてみてくださいね。

【睡眠の悩み④】寝るときはパジャマを着たほうが良いですか? パジャマの素材は何がオススメですか?

【睡眠の悩み④】寝るときはパジャマを着たほうが良い?

A.パジャマは着ましょう! 夏でも長袖・長ズボンがベストです。

人間が深く眠るためには、深部体温を下げる必要があるため、寝始めてから3時間は汗を大量にかき、体の表面から放熱します。そのため、しっかりと汗を吸い取る衣類を着ていないと、放熱がうまくできずに睡眠を妨げてしまう可能性があるのです。夜から朝にかけては気温差もあるので、寒さ対策としても長袖・長ズボンのパジャマを着用しましょう。パジャマの素材は汗をよく吸って肌触りが良い、天然素材100%のものを選ぶと良いですね。夏なら通気性が良くて涼しい麻や綿を、冬はウールなどが好ましいと思います。また、パジャマを着ること自体が「今から眠るんだ」と認識するスイッチにもなりますから、スウェットや部屋着で寝ていて睡眠に課題を感じる方は、パジャマに変えてみてはいかがでしょうか?

ちなみに、睡眠時の着用についてよく質問を受けるのが「靴下」。寝るときに履く・履かない、どちらが正しいのか疑問に感じている方が多いようですが、答えは「履かない」です。体からの放熱に重要な部分は、手と足なので、靴下を履いたまま寝ると熱がうまく逃がせません。お風呂から上がった後に靴下を履くのはOKですが、ベッドに入ったら脱ぎましょう。冷え性の方はレッグウォーマーで足首を温めると良いですよ。

【お風呂の悩み①】髪を洗う、体を洗う、湯船に浸かる……正しい入浴の順番はありますか?

【お風呂の悩み①】正しい入浴の順番を知りたい

A.まずは、髪を洗ってから湯船に浸かりましょう。以下の順番がオススメです。

①髪を洗う
②湯船に浸かる
③体を洗う

最初に洗髪をするのは、効率良く短時間で温熱作用を得るため。いきなり湯船に浸かっても体はなかなか温まりません。頭の血流を良くすることで、お湯に浸かったときの血圧の急上昇も防げます。頭皮表面の血管が拡張して血圧が急に上がってしまうと、交感神経が優位となりリラックスできなくなってしまう可能性があるので、髪を洗ってから湯船に浸かるようにしましょう。

お風呂でリラックスできると質の高い睡眠につながります。浴室でリラックスするためには、照明をオレンジ色にするか、いっそのこと消して脱衣室の明かりだけで入るのも◎。お風呂に浮かべるタイプの照明もオススメです。ゆったりした雰囲気のなかで湯船にゆっくり浸かりましょう。お湯の温度は40℃、首まで浸かる「完全浴」をおこないます。頭を浴槽のフチに預けて、ボーっと浮力を感じながら脱力。15分経ったら体を軽く洗って、浴室内で優しく拭いてください。お風呂でのリラックス状態を保ったまま、ゆったりと髪を乾かし、スキンケアをしたら寝室へ直行します。寝室の明かりは、フットライトやフロアライトなどの間接照明だけにしておきましょう。寝る1時間前にお風呂から上がるようにスケジュールを立て、毎日のルーティンにしてくださいね。

【お風呂の悩み②】冷え性なので半身浴をしていますが、改善されません

【お風呂の悩み②】冷え性なので半身浴をしているが改善されない

A.冷え性の方こそ「完全浴」を。半身浴は健康にも美容にもメリットがありません。

多くの方が半身浴は“体が温まる”“汗をかく”と勘違いしているようですが、全身浴のほうが温熱効果も発汗作用も当然高まります。心臓病などの持病があって医師から半身浴をすすめられている方以外は、全身浴をしましょう。さらに言うと、首まで浸かる「完全浴」が一番です。40℃のお湯に15分間、首までしっかりお湯に浸かると、血管が拡張されて温まった血液が全身を循環するので、すぐに寒さや冷えた感覚が静まるはずです。汗も、半身浴は体がよく見えるので、たくさんかいているように感じるだけ。全身浴のほうがはるかに多く発汗します。全身浴だと浮力や温熱作用、水圧作用でリラックスできますが、半身浴は浸かるお湯の面積が少ないぶん、入浴のメリットが半減してしまいますよ。

また、半身浴では長時間の入浴が良いとされていますが、お湯に浸かれば浸かるほど、天然保湿因子が乾燥の原因になったりして、健康面でも美容面でもオススメできません。

【お風呂の悩み③】お風呂で歯磨きやメイク落とし、スマホを触るのはOKですか?

【お風呂の悩み③】お風呂にスマホを持ち込むのはOK? NG?

A.歯磨きやメイク落としはOK! スマホは湯船に浸かるきっかけになるならアリ。

歯磨きは、お風呂に入りながら、または上がってすぐのタイミングなら良いと思います。歯磨き粉のメントールなどの清涼感のある香りで眠気が覚醒してしまう可能性があるため、寝る直前は避けたほうが良いでしょう。入浴中のメイク落としも時短になるのでOKです。

また、当然ながらスマホは浴室に持ちこまず、リラックスするのがベスト。しかし、お風呂に入るタイミングを逃すくらいなら、スマホやタブレットを持ち込んでも良いと思います。シャワーで済ますよりは、スマホを見ながらでも湯船に浸かるほうが温熱作用で深部体温のコントロールができるためです。ただし、ドラマなどの鑑賞にとどめ、指先はなるべく使わないようにしてください。頭を浴槽のフチに預けて、ゆったりと過ごしましょう。体調を整えたい、心もリカバリーしたい方にオススメなのは「マインドフルネス入浴法」です。気持ちが良いので、スマホの存在も忘れてしまいますよ。お風呂に入るきっかけとしてスマホなどを持って入るのはアリですが、マインドフルネス入浴法にステップアップして眠りの質を上げましょう。

睡眠の質を上げるお風呂の入り方やマインドフルネス入浴法についてはコチラ

【お風呂の悩み④】睡眠不足のためか、お風呂でウトウトしたり寝てしまったりします

【お風呂の悩み④】お風呂でウトウトしてしまう

A.お風呂で寝るのは危険なのでやめましょう。すぐに実践できる改善策をお教えします。

お風呂で寝てしまうのは「睡眠負債」が溜まっている可能性があります。お風呂以外でも、うたた寝をすることがありませんか? いつでもどこでも寝られるという方は要注意。夜の睡眠以外、とくに15時以降に眠ってしまうと、覚醒時に脳内に蓄積され、睡眠を誘発したり維持したりする「睡眠物質」を使ってしまいます。すると、本来使うべき時間帯より先に睡眠物質を使うことになってしまうので、夜にうまく眠りに入れなかったり、睡眠の質が悪くなったりする可能性があるのです。悪循環にならないよう、お風呂で寝ないようにしましょう。

もし夜の眠りの質を高めても、入浴中に眠気を感じるなら、頭を洗う → 湯船に浸かる、顔を洗う → 湯船に浸かる、というように、“出る・入る”を繰り返すと、眠気を抑えられます。お風呂で眠ってしまい死亡事故につながったケースもありますから、入り方を工夫して改善してくださいね。

【子どもの睡眠&入浴の悩み①】5歳の子どもが蹴ったり急に起き上がったりして何度も目が覚めてしまいます

【子どもの睡眠&入浴の悩み①】子どもが蹴ったり急に起き上がったりして何度も目が覚めてしまう

A.同じ布団で寝ていませんか? 別々の布団で、できれば親子別室で寝ましょう。

何度も目が覚めて寝不足になるのは辛いですね。お子様と同じ布団で寝ると、くっついてきたり蹴られたりと熟睡できないどころか、逆に怪我をさせてしまうケースもあります。親は睡眠の質が悪くなってしまい、日中の仕事や家事、育児に集中できなくなってしまうかもしれません。子どもは、目が覚めなかったとしても、親のいびきや寝返りなどで眠りを妨げられている可能性もゼロではないでしょう。親子揃って快眠を得るなら、別室がベストです。

すぐに別室にするのが難しければ、睡眠時に親御さんのほうに行かないよう、布団は必ず別々にして、ベッドガードを付けるなどの対策もしましょう。頭を置く場所を認識させるのも良いですね。タオルを敷いて「ここに頭を置くんだよ」と意識させると、寝返りが大きくならないケースもあります。枕ではなく薄いタオルで良いので、頭の位置を決めてあげることがポイントですね。

ただ、やはり可能なら、一番の対策であるお子様と違う部屋で寝ることを検討して欲しいと思います。確かにお子様と一緒だと、寝顔を見られるだけでなく、異変にいち早く気付けるなどのメリットもありますよね。しかし、寝言や寝返りだけでなく、わずかな物音や振動でも安眠が妨害されてしまうのは、大人も子どもも同じです。私は2児の母で乳幼児期から別室で寝ていますが、不用意に起こされることがないので熟睡できていますし、子どもたちもそれぞれぐっすり眠れています。部屋数は少ない方ですが、下の子をリビングで寝かせるなどの工夫をして、親も子もぐっすり眠れる環境をつくりました。

親子別室を導入するタイミングは、お子様の年齢を考慮するとスムーズです。まだ自覚のない赤ちゃんのころから、“ひとりで眠るのは自然なこと”なのだと認識させるのが非常に重要だと考えています。赤ちゃんの時期を逃しても、2歳ごろまでは比較的導入しやすいのですが、3歳以降になると意思表示がはっきりしてきて「ママと一緒に寝たい」と譲らない子も少なくありません。そういった場合は、睡眠の重要性を小さいときから絵本などを通して伝えつつ、誕生日や下の子が生まれたタイミング、学年が上がってから、旅行後……などなど、ひとりで眠るきっかけをつくってあげるのも良いでしょう。

子どもの睡眠の質も量も十分であれば、癇癪をおこさずいつもニコニコ、朝もすっきり自分ひとりで目覚め、勉強や遊びにしっかり集中することができるようになります。もちろんママも、感情的にならずにお子様と接することができるようになりますし、美容面や健康面などでさまざまなメリットもありますので、親子揃って熟睡できるように改善するのがオススメです。

【子どもの睡眠&入浴の悩み②】毎日9~10時間寝ている小学1年生の子どもの目の下のクマがひどい

【子どもの睡眠&入浴の悩み②】子どもの目の下のクマがひどい

A.しっかり睡眠時間がとれているので、いびきをかいたり、呼吸が止まったりしていなければしばらく様子をみましょう。

まだ小さいのに目の下のクマは気になりますよね。厚生労働省が推奨する小学生の睡眠時間は9〜12時間ですので、睡眠時間は十分にとれていると言えるでしょう。ただし、いびきをかいたり、呼吸が止まったりしているのなら要注意。骨格の問題で、眠りの質が下がっているかもしれません。とくに顎が小さい子は、スルメのような固いものをよく噛んで食べるようにしましょう。顎が大きくなってキレイに歯が生え揃い、いびきをかきにくくなることも。目の下のクマは、涙袋の影の可能性もあるので、それ以外に問題がなければ様子を見ると良いでしょう。

【子どもの睡眠&入浴の悩み③】3歳と6歳の子どもが「寝ている間に呼吸が止まっているのでは」と不安で熟睡できません

【子どもの睡眠&入浴の悩み③】子どもの睡眠状態が不安で熟睡できない

A.寝ている間に何かあったらと考えると、不安になりますよね。でも今はまず、ママの睡眠を優先的に考えましょう。

眠れないほど不安なのですね。この不安感は睡眠不足が大きく関係している可能性があるので、お子様と睡眠時に距離をとったほうが良いでしょう。お子様が安全に寝られるように環境を整えて、別々で寝ることを検討してみてください。たとえば、窒息しないように柔らかすぎない布団を選んだり、熱中症にならないように夏なら室温26℃台、湿度50%台に設定したりしましょう。ひとつの部屋で大人数が寝ると、温湿度だけでなく二酸化炭素濃度も高くなってしまうので、睡眠の質を上げるにはひとり一部屋がベストです。

ずっとお子様を気にして、常にアンテナを張り続けているのは辛いですよね。親の眠りの質が悪くなると、子どもにイライラして怒ってしまうだけでなく、美容や健康面で課題が生じる可能性もあります。睡眠不足は生活習慣病などの疾病、老化、うつ病などの原因となるので、お子様のためにも質の良い眠りをとってくださいね。

【子どもの睡眠&入浴の悩み④】子どもがお風呂をめんどうくさがって、入りたがりません

【子どもの睡眠&入浴の悩み④】子どもがお風呂に入りたがらない

A.子どもが入りたくなる入浴剤をたくさん用意しましょう。

面白い入浴剤がロフトやハンズなどの大型雑貨店に売られているので、お子様がその日の気分で選べるくらいたくさん揃えておくと、お風呂が楽しい場と感じるはずです。一緒に買いに行って、好きなものを選んでもらっても良いですね。お風呂に浸かるのが好きになると睡眠の質が上がり、睡眠時間が長くなる可能性もあるので、すべてが良い方向に向かうかもしれません。

昨今、子どもの寝不足が問題になっているのをご存知ですか? 寝不足は、メンタル面、体力面だけでなく、学力面にも影響があると言われます。なので、お子様がお風呂に入るようになって成績が上がったり記憶力が向上したりしたら、「毎日お風呂に入っているからだね」と結び付けてあげましょう。子どもは「お風呂に入っているから睡眠の質が良くなり成績が上がった」とは考えないはずなので、親御さんが教えてあげてください。メリットを自覚できると、進んでお風呂に入るようになると思いますよ。

【子どもの睡眠&入浴の悩み⑤】小学6年生の子どもが夜遅くまで起きていて心配です

【子どもの睡眠&入浴の悩み⑤】子どもが夜遅くまで起きている

A.睡眠不足が何を招くのか家族会議を開き、家族のルールを決めましょう。

お子様が遅くまで起きていると心配ですね。小学生の生活は、中学生・大学生・社会人……とその後の人生すべてにつながっていきます。とくに重要な睡眠に関しても、学校では習わないので、親が教えてあげるしかありません。子どもの成長には質の高い睡眠と十分な睡眠時間が必要不可欠です。寝不足になるとどのような影響があるのか、親御さんが勉強して子どもに教えてあげましょう。

夜が更けても起きているのは、眠れないからでしょうか? なかなか寝付けないのなら、子どもの場合、就寝直前にお風呂に入るのが良いですね。厚生労働省のぐっすりガイド(こども版)によると、小学生は9~12時間の睡眠が必要とされています。6時30分に起きるのなら毎日21時30分までに布団に入る必要がありますから、逆算して入浴するようにしましょう。子どもは深部体温が上がるまで湯船に浸からなくても良いので、お風呂から上がったらすぐに布団に入るよう促してあげてください。

また、子どもに「早く寝なさい」「お風呂に入りなさい」と注意するのは、親子どちらもストレスですよね。まずは睡眠に関する家族会議を開き、全員の入浴時間や就寝時刻など、家族のルールを決めてはいかがでしょうか。お風呂に入る順番を表にするのも良いと思います。お子様と一緒に、よく眠るとどのようなメリットがあるのかも話し合ってみてください。「かっこよくなる」「かわいくなる」「身長が伸びる」「足が速くなる」「勉強がわかるようになる」……どれも当てはまります。お風呂に入ってしっかり眠れば、それが叶うんだよとお子様に教えてあげてください。毎日熟睡して元気に過ごせるよう、睡眠の知識を身に付けて家族全員で解決していきましょう!

睡眠とお風呂のお悩み相談 まとめ

睡眠とお風呂の悩みについて、私の見解からアドバイスをさせていただきました。同じような悩みを持つ方や、「自分もそうかも……」と感じた方は、ぜひ参考にしてくださいね。日本では、睡眠に課題のある方が数多く存在する一方で、わかっていても改善に取り組めないという方も少なくないように感じます。まずは睡眠の重要性を知り、少しずつ生活を変えていきましょう。子どもについても同様で、まず親御さんから眠ることの大切さを教えてあげてくださいね。

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