
ここ数年、食品や日用品の値上げ、電気料金などエネルギー価格の高騰が続き、家計のやりくりが大変ですよね。節約しようと思っても「うまくいかない」「長続きしない」と悩む方は多いのではないでしょうか? そこで、さまざまなメディアで活躍されている節約アドバイザーの和田由貴さんに、節約の基本や家計管理のコツなどを伺いました。我慢しないで長続きする節約の考え方、衝動買いを減らすテクニック、貯蓄につながる家計管理のコツ、家計管理に慣れてきた方向けのオススメ家計簿アプリなどをご紹介します。節約が苦手な方もこれから節約を始めたい方も、きっとヒントが見つかるはずですよ!

節約アドバイザー
消費生活アドバイザー、家電製品アドバイザー、食生活アドバイザーなど、幅広く暮らしや家事の専門家として多方面で活動。私生活では2人の子を持つ母で現役の節約主婦でもあり、日常生活に密着したアドバイスを得意とする。「節約は、無理をしないで楽しく!」がモットーで、耐える節約ではなく快適と節約を両立したスマートで賢い節約生活を提唱している。著書は『即実践!即効果!節約のプロがおしえる家計防衛術100』など多数。
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節約アドバイザーの和田由貴です。誰しも思う存分、好きなだけお金を使えたらどんなに良いことでしょう。でも、大金持ちでもない限り、そんなわけにはいきませんよね。「気付いたらお金がなくなってしまった」「いつまでたっても貯蓄ができない」という事態を避けるためには、限られたお金をどう使うのかがとても重要です。そのために欠かせないのが、節約と家計管理。しかし、節約と家計管理は頑張っても挫折してしまったり、何から始めれば良いのかわからなかったりするケースが少なくありません。実は節約には基本の考え方やコツがあり、身に付ければ無理なく続けられるようになるんですよ。まずは節約の基本的な考え方からお話していきましょう。
目次
1.我慢の節約は続かない!? 和田由貴さんが教える節約のコツ
2.家計簿は無理に続けなくても良い? 節約アドバイザーが教える家計管理のコツ
3.支払い方法は費目別に統一! キャッシュレス決済はチャージタイプ、現金は袋分け管理がオススメ
4.食費は節約しないほうが良い? 一番節約できるものは固定費の節約
5.家計管理と貯蓄のコツを節約アドバイザーが解説 まとめ
我慢の節約は続かない!? 和田由貴さんが教える節約のコツ

「節約」と聞くと、「ケチケチする」「我慢する」といったマイナスなイメージを持たれている方が多いと思います。しかし、本来の節約とは“お金を使うべきところに使うために無駄を省くこと”。何でもかんでも出費を削ろうとすると、かえってストレスが溜まり、長続きしないことが多々あるんですね。
お金を使うべきところは人それぞれで、「マイホームを建てたい」「子どもの教育費を貯めたい」などの大きな目的もあれば、「家族で旅行に行きたい」「美味しいものを食べたい」といった日々の楽しみもあるでしょう。節約は、メリハリあるお金の使い方で生活を豊かにするためのひとつの手段であり、決して辛いものではないんですよ。
では、どうしたら自分に合った“辛くない節約”ができるのでしょうか? 生活のなかで大事にしたい部分を理解しないまま一般的な節約術を試しても、効果が出にくく、続かないことも少なくありません。まずは自分と家族のライフスタイルを振り返って「何にお金を使いたいのか」を考えてみましょう。
使いたいところにお金を使うため、それ以外で節約するんです。たとえば、「今日はご飯をつくるのが面倒だから」とデリバリーサービスを頼むのと、家族で大好きなお寿司屋さんに出かけるのとでは、同じ「食」に使ったお金でも満足感が大きく異なります。お金をただ使うのではなく、満足感を得られる“生きたお金”として使うことが大切です。お金は、なんとなくではなく本当に欲しいものや必要なもののために使いましょう。
買う理由を考え始めたら要注意! 10分の冷却時間が衝動買いを減らす

買い物をしていると、買おうかどうか迷うことがあると思います。しかし、迷っているときは大抵、「安くなっているから買っても良いかも」「2点で○○円なら買っちゃおうかな」など、“買うための理由”を考えているはず。部屋の電球が切れていた場合、新品を買うのに迷う方はいないでしょう。本当に必要なものを買うときは、迷いは生じないというわけです。
買うための理由を考え始めたら必要ではない可能性が高いので、10分ほど冷却時間を設けてみてください。たとえば、デパートのセールで洋服を見ていて、どうしても欲しくなってしまったら、地下で食品を眺めてみましょう。そのうちに「似たような服があったな」「持っている服と合うかな?」と冷静になって、衝動買いを抑えられるはずです。さらに、「我慢して買わなかった」ではなく、「もっと素敵なものがあるかも」「もっと安く手に入る方法があるかも」といった感じでポジティブに考えられるようになれば、節約がどんどん楽しくなっていきますよ!
極論を言ってしまうと、買っても買わなくても後悔する可能性は十分にあるのです。それでも「あのとき買っておけば良かった」と「買わなきゃ良かった」、どちらの後悔が少ないかと言うと、圧倒的に“買わなかったとき”。お金を使って、大していらないものを買ってしまった後悔は取り返しがつきませんから、迷いがあるときは慎重になりましょう。
お得 ≠ 節約!? 安く買うのは節約にならない

節約が苦手だったり続かなかったりする方に多いのが、「お得」と「節約」の混同です。たとえば、キャッシュレス決済の還元キャンペーン。買い物をしたらその分の何%かは戻ってくるからと、お得に買い物できたような気分になりますが、そもそも買わなければゼロ円なんですよ。キャンペーンという買うための理由を与えられることで、必要のないものを購入している可能性があるわけです。
また、「安く買う = 節約」でもありません。セール品や特売品をつい買ってしまって、結局使わなかった経験のある方は少なくないでしょう。「節約のためにできるだけ安く済ませたい!」という動機でお金を使ってしまう場合、実は節約になっていないパターンが多いんですね。
ほかにも、あと千円で送料が無料になる場合、余計なものを買っていませんか? 目の前の損得ばかり考えていると、節約している錯覚に陥ってしまいます。「割引のクーポンがあるから」「ポイントがたくさん付くから」と目先の損得に振り回されて、結局必要ないものを買ってしまっては元も子もありません。ものを買ったりサービスを利用したりするときは、「本当に必要なのか?」をじっくり考えてみましょう。送料を無駄にしたくないのなら、ほかに必要なものが出てくるまで買わない、または送料が無料になるまで待ちましょう。本当に必要なものなのであれば、送料がかかっても購入するはずですよ。
家計簿は無理に続けなくても良い? 節約アドバイザーが教える家計管理のコツ

毎月いくら食費に使っているか答えられますか? なんとなくお金を使っているという方は、ざる勘定できちんと家計管理をしておらず、知らないうちにお金がなくなっていたことがありませんか? 節約をするためには、まず家計の現状を把握し、毎月何にいくら必要なのか、費目と金額を洗い出してみましょう。
家計管理で大切なのは「予算立て」です。毎月の費目ごとの予算を決め、その範囲でやりくりすればOK。何にいくら使っているのかまったくわからない方は、1〜2ヶ月だけ家計簿をつけましょう。家計簿と言っても、細かく記録する必要はありません。お小遣い帳レベルで良いので、費目ごとの出費だけを記録していきます。家計簿をつけたことのない方は、おカネレコなどの家計簿アプリを試すのも良いでしょう。すると、大体何にいくら使っているのかが見えてくるはずですよ。
食費・光熱費・通信費……家計管理の費目設定のポイント

家計管理ビギナーさんのために、参考までに家計管理の一般的な費目を挙げてみましょう。
●食費
●日用品代
●光熱費
●住居費
●通信費
●保険料
●交通費(電車やバスなど)
●車両費
●医療費
●服飾費
●美容費
●レジャー費
●教育費
食費や日用品代はどの家庭でも必要ですが、なかには毎月発生しないものもあると思います。年に数回のものは雑費として処理し、毎月発生するものを費目として考えます。外食が多いご家庭は、食費とは別に外食費を設け、月1〜2回程度の外食なら食費に入れましょう。お出かけが多い場合、出かけた先で外食するのであれば、レジャー費として考えると良いですね。夫婦共働きか、お子様がいるかなど、世帯によっても費目が違いますから、ご自身に合わせて設定してくださいね。
費目ごとの支出は1円単位で把握する必要はなく、「どんぶり勘定」で問題ありません。家計管理は「ざる勘定はダメだけれど、どんぶり勘定はOK」だと言われているからです。どちらもお金にルーズな意味をもつ言葉ですが、どんぶり勘定は、「何にいくら使ったか詳細な金額はわからないけれど、どんぶりの中には収まっている」ということですね。食費を月5万円に設定したら、毎月5万円以内に収まるようお金を使っていけばOKという考え方です。1ヶ月で5万円というルールさえ守れば、ほかの細かいことは考えなくて済むので、家計管理が苦手な方も長続きすると思います。
支出が一目瞭然! 銀行口座を家計簿代わりにする方法

毎月の費目と予算が決まったら、費目ごとに口座を分けておくと、家計簿をつけなくても使った金額がはっきりわかって便利です。家計管理をしやすくするには、収入と支出が混ざらないことが重要。給与が振り込まれる口座からは、直接支払いをしないようにしましょう。費目ごとの口座は、交通費と車両費のように分類がほとんど同じであれば一緒にしても構いませんが、一口座一費目のようになるべくシンプルなほうがわかりやすいですね。
ちなみに家計管理と言えば、家計簿をつけることが必須だと考えている方が少なくありません。しかし、家計簿はあくまで支出を記録して見える化するためのものですから、しっかりつけていないと節約にならないというわけではないんですよ。むしろ「今日から家計簿をつけるぞ!」と思っても、頭の中がこんがらがったり、記録し忘れてしまったり……何かひとつでも抜けてしまうと、嫌になって続かなくなる、なんてことも。そうなると節約自体へのやる気も削がれかねません。
毎月の費目がわからない場合は、一時的に家計簿をつける必要がありますが、苦手な方は続けなくて良いというのが私の考え方です。とくに、きっちり家計簿をつけようとすればするほど、途中で挫折する傾向ですから、自分に合っていないと思ったらやめてしまいましょう。家計簿をつけることで、節約のモチベーションアップにつながるという方であれば、もちろん続けていただければと思います。
貯蓄は先取り一択! 定期預金や財形貯蓄、iDeCoなど簡単に引き出せないところに貯める

貯蓄をするなら、必ず先取り貯蓄をしてください。「余ったお金を貯金に回そう」と思っても、実際にはなかなかできないもの。あらかじめ貯蓄分を確保してから、残った金額でやりくりしましょう。貯蓄は、手軽に引き出せないシステムを活用することが重要です。普通預金だとコンビニのATMでもすぐに引き出せてしまうので、手続きしないと引き出せない定期預金や会社の財形貯蓄、60歳まで受け取れないiDeCoなどを選ぶのが良いでしょう。
支払い方法は費目別に統一! キャッシュレス決済はチャージタイプ、現金は袋分け管理がオススメ

続いて、お金を使うときのポイントについてお話しします。わかりやすいのは、費目ごとに支払い方法を統一することですね。ひとつの費目でQRコード決済もするし現金でも払うというように、いろいろな方法が混ざっていると混乱しやすくなるので注意しましょう。家計管理が楽なのは、記録が残るキャッシュレス決済です。なかでもオススメは、あらかじめチャージをして使うタイプ。月の初めに予算を入れて、その範囲内でやりくりすると支出が明確になりますよ。クレジットカードのような後払いだと、明細を取っておくか、ウェブにログインして使用履歴を確認しないといくら使ったかわからなくなりやすいので、家計管理ビギナーにはチャージタイプがオススメです。
また、メインで通うスーパーなどが現金払いのみ対応であれば、食費だけは現金に統一しましょう。ただし、現金での管理は使途不明金が出やすいので要注意。袋に分けてシンプルに残額の確認をする管理方法であればわかりやすいと思います。
食費は節約しないほうが良い? 一番節約できるものは固定費の節約

費目ごとの予算をやりくりしているうちに、「もうちょっと節約できないかな?」と思い始めたら、固定費に着目してみてください。すぐに減らせそうだからと食費のような日常的にかかるお金を削ろうとする方もいますが、いつもより安い食材を選んだり量を減らしたりすると、毎日我慢や工夫をしなければいけないため、ストレスが発生しやすいんです。節約を長続きさせたいのであれば、食費の節約は最初に取りかからないほうが良いですね。
精神的な負担がなく、節約の効果が大きいのは通信費や保険料などの固定費です。固定費は節約しても普段の生活に大きく影響しません。たとえば保険の見直しをしても、おかずが一品減ったり、何かを我慢したりする必要はないですよね。固定費の節約は、保険会社を比較したり、各社の携帯電話のサービス内容を調べたり、手続きや書類の取り寄せなど、面倒でハードルが高く感じるかもしれません。しかし、一度見直しをするだけで、しばらくの間、節約効果があるんですよ。
固定費の見直しは効果が大きいので、毎月数千円〜数万円の節約になることも。すると「こんなに節約できた! ほかにもできるかもしれない!」とモチベーションが上がるはずです。前向きに節約を続けていく気持ちになったら食費のような日々の生活に目を向けていきましょう。無理せず段階を踏んでやりくりすることが、節約を楽しく続けるコツですよ。
家計管理に慣れたら支出を分析! 節約アドバイザーがオススメする家計簿アプリ

家計管理に慣れてきて、支出を詳しく分析した方がモチベーションも上がりそうと感じたら、家計簿アプリを使ってみるのも良いでしょう。「何にお金を使っているのか」「節約できそうな費目はないか」が簡単にわかりますよ。無料の範囲で十分に役立つオススメ家計簿アプリをご紹介します。
●お金が貯まる家計簿アプリ「Zaim」 手軽に家計管理をしたい方、とくにキャッシュレス決済を利用する方にオススメの家計簿アプリです。銀行やクレジットカードと連携可能で、収支を自動記録してくれるため、一括管理できますよ。また、レシートを撮影するだけで品名や金額などを読み取ったり、ポイントサービスと連携したりといった便利な機能もついています。
●簡単でお得な人気家計簿アプリ「Dr.Wallet(ドクターウォレット)」 撮影したレシートをオペレーターが手入力でデータ化してくれる家計簿アプリで、手書きの領収書なども読み込み可能。細かい費目までしっかり分類・記録したい方にオススメです。
家計管理と貯蓄のコツを節約アドバイザーが解説 まとめ
節約の基本と家計管理についてお話ししました。肝心なのは、日々の生活で「これは無駄では?」と気付いたちょっとした部分を削ぎ落としていくことです。節約が苦手な方は、節約を特別なこととして考えすぎているように思います。まずは自身の現状を把握して、無駄な部分だけを省き、貯蓄につなげましょう。我慢をしたり、生活に無理があったりすると長続きしませんので、できそうなところから始めてみてください。難しく考えず、「迷ったら買わない」「支払い方法は統一する」などシンプルに考えることが大切です。今回お伝えしたことを参考に、自分に合った豊かな生活を送るための節約ポイントを見つけてくださいね。
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