SNSトラブルやネット犯罪、ネット依存から子どもを守る! 親ができる対策を専門家が解説

現代社会において、なくてはならないものとなったインターネット。今の子どもたちは、生まれたときからスマホやデジタルが身近にあり、さまざまなデバイスを使いこなしています。しかし、そんなネット社会で問題となっているのが、インターネットを介した犯罪やトラブルです。ネット犯罪の件数は年々増加しており、子どもが被害者となるケースも数多く起きています。子育て中の親御さんは、自分の子がネット犯罪の被害に遭ったら、SNSトラブルに巻き込まれたら……などと、不安に感じることもあるでしょう。そこで、SNSや若者のネット事情に精通するITジャーナリストであり、一児の母でもある高橋暁子さんに、親御さんが子どものためにできるネット犯罪・SNSトラブル対策などを伺いました。ネットリテラシー教育やペアレンタルコントロール・フィルタリングの重要性、YouTube依存を防ぐ方法や子どもの課金トラブル対策などもご紹介します。被害を防ぐための対策やアドバイスは、子育て中の親御さん必見です!

ネットリテラシーのプロ・高橋暁子のプロフィール
高橋 暁子 プロフィール


Tジャーナリスト。成蹊大学客員教授。SNSや情報リテラシー等が専門。SNS、10代のネット利用実態とトラブル、スマホ&インターネット関連事件等をテーマとして、NHK『あさイチ』、NHK『クローズアップ 現代+』などメディア出演多数。『ソーシャルメディア中毒』(幻冬舎)など 著作多数。
https://www.akiakatsuki.com/

ITジャーナリストの高橋暁子です。SNSや情報リテラシーを専門に研究し、10代のネット利用の実態とトラブルに関する講演や情報発信をおこなっています。現在、日本でのインターネット利用率は国民全体の8割を超えており、10代の青少年に限定すると9割にものぼるそうです。インターネットはどこにいても世界中にアクセスできる便利なツールである反面、人の悪意が多く潜む危険性も持ち合わせています。お子様が安全にインターネットを利用するには、親御さんはしっかりと見守りつつ、ネット犯罪やSNSトラブル、ネット依存の対策をする必要があります。今回は未就学児から小中学生の子どもを持つ親御さん向けに、ネットリテラシーを学ぶことの大切さや具体的なトラブル対策法などを解説させていただきます。

目次
1.大切なのは親の“知識”と“意識”! ネット犯罪やSNSトラブルから子どもを守るためのネットリテラシー教育
2.子どものために知っておきたい「ペアレンタルコントロール」と「フィルタリング」の重要性
3.幼児にYouTubeを見せるのはアリ? YouTube依存を防ぐ方法
4.日常のコミュニケーションがカギ! 子どものSNSを把握して犯罪被害やSNSトラブルを防ぐ
5.小学生からインターネットを使うメリットと問題点
6.知らないうちにゲームに数万円!? 子どもの課金トラブル事例と対策
7.ネット犯罪やSNSトラブルから子どもを守る! 親ができる対策 まとめ

大切なのは親の“知識”と“意識”! ネット犯罪やSNSトラブルから子どもを守るためのネットリテラシー教育

ネット犯罪やSNSトラブルから子どもを守るためのネットリテラシー教育

子どもがインターネットを適切に利用するためには、親もネットリテラシーを学ぶことが大切です。ネットリテラシーとは、インターネットを安全に利用するための知識と能力のこと。現在はSNSの発達などにより、インターネットを通じて子どもが被害に遭う事件やトラブルが増加しており、性被害も多く起きています。警察庁の資料によると、被害者の多くは中高生ですが約1割は小学生というデータもあるので、お子様が小さいうちから目を向けておくべき問題だと言えるでしょう。

ネットリテラシーを高めるには、まず“知ること”から始めてみてください。インターネットが関係している事件などが起きた際に、その事例を教材としてお子様と話し合ってみましょう。未就学児や小学生はもちろん、中高生でも自主的にネット犯罪のニュースをチェックしている子って、実は少ないんですよ。親子ともにネットリテラシーを学べるよう、親御さんから積極的にコミュニケーションすることが重要です。

子どものために知っておきたい「ペアレンタルコントロール」と「フィルタリング」の重要性

子どものために知っておきたい「ペアレンタルコントロール」と「フィルタリング」の重要性

子どもがネット依存で学校に行かなくなった、知らないうちにゲームに課金していた、変なアプリをダウンロードしていた……私のもとには、お子様のインターネット利用についての相談が数多く寄せられます。しかし、そうしたトラブルのほとんどが、実は「ペアレンタルコントロール」によって防ぐことができるんです。携帯電話のキャリア各社やアプリの運営会社はさまざまなネットトラブルを把握しているので、対策機能も用意されているわけですね。

ペアレンタルコントロール機能には「利用時間の制限」や「不適切なコンテンツのブロック」、「アプリ内課金の制限」などがあります。たとえばiPhoneの「スクリーンタイム」を使えば、画面を見ることができない「休止時間」の設定や、アプリのカテゴリ別に利用時間を制限することも可能。もちろんアプリのダウンロードや課金の制限もできますし、コンテンツのフィルタリングもできます。フィルタリング機能を設定していれば、小さなお子様に見せたくないコンテンツや広告に飛ぶことも防げるので安心です。

iPhoneを例に挙げましたが、Androidなどほかのスマホでもペアレンタルコントロールやフィルタリング機能は付いています。Switchなどの家庭用ゲーム機にも備わっていますし、各種SNSも設定を変えることでさまざまな制限が可能。難しく感じる親御さんもいるかもしれませんが、ペアレンタルコントロールは保護者がやるべきことです。お子様にさまざまなデバイスやアプリを使わせる前に、使い方によって生じるトラブル、その対策のための制限機能や設定方法をしっかりと勉強してくださいね。

ペアレンタルコントロールについて詳しく知りたい方はコチラ

幼児にYouTubeを見せるのはアリ? YouTube依存を防ぐ方法

幼児にYouTubeを見せるのはアリ? YouTube依存を防ぐ方法

未就学児の親御さんから多いのが「子どもにYouTubeを見せて大丈夫なのか」という悩みです。世間にはスマホ育児 = 悪のような考え方もありますが、私はそうは思いません。食事の準備などで手が離せないとき、病院での長い待ち時間など、お子様がスマホを見ていてくれると助かりますよね。大切なのは時間を決めて適切に使わせること。ここからは、小さなお子様にYouTubeを見せる際の注意点についてお話したいと思います。

お子様にYouTubeを見せる場合、気を付けたいのは利用時間の長さです。YouTubeを見ていると、次から次へと「おすすめ動画」が出てきて子どもはずっと見続けてしまいます。長時間利用やYouTube依存を防ぐためには、親御さんがきちんと制限してあげましょう。

自動再生をオフにする、YouTubeキッズの視聴時間制限機能、ペアレンタルコントロール機能で利用時間を制限する方法もオススメですが、小さなお子様の場合は目の前にタイマーを置いて、「これが鳴ったら終わりにしようね」と“約束”する方法が分かりやすいかもしれません。そして、約束の時間になったら「今見ている動画が終わったら、外に遊びに行こう!」など、次の活動に移すような声掛けをしてあげてください。約束と声掛けというコミュニケーションで気分を切り替えてあげればYouTube依存を防ぎやすくなります。外に出かけられない夜間や家事が忙しいときなどは、YouTubeの代わりに知育アプリで遊ばせてあげるのも良いですね。デバイスを使わない絵本やおもちゃで気分を変える方法もあります。

小さなお子様には「YouTubeキッズ(YouTube Kids」)」をテレビで視聴させるのがオススメ

小さなお子様には「YouTubeキッズ(YouTube Kids」)」をテレビで視聴させるのがオススメ

小さなお子様にYouTubeを見せる場合は、13歳以下の児童向け「YouTubeキッズ」を活用しましょう。通常のYouTubeは、さまざまなSNSと同様に13歳以上の利用を推奨しています。つまり、小さな子ども向けではない動画や、親が“子どもに見せたくない”と感じるコンテンツも表示される可能性があるんです。しかしYouTubeキッズでは、そうした動画が運営側であらかじめフィルタリングされており、子どもの年齢に合わせた家族向けコンテンツを選択することができます。また、保護者が許可したコンテンツのみを表示させる制限モードを利用すれば、お子様が自分で検索できないようにすることも可能です。

デバイスをテレビに繋げてYouTubeを視聴させるのがオススメ

ただし、YouTubeキッズでも注意しなければならないのが通称「エルサゲート」と呼ばれる動画です。子ども向けを装いながら暴力表現や性的表現などがあるコンテンツで、一見すると普通の動画に見えるため、フィルタリングをかいくぐって表示されてしまうことがあります。そうした動画を避けるためには、デバイスをテレビに繋げてYouTubeを視聴させるのがオススメです。テレビなら親御さんの視界にも入るので、怪しい動画だった際にすぐに視聴を止めることができます。それにスマホやタブレットに比べて画面からの距離が遠くなるので、視力の低下を防ぎやすくなりますよ。

日常のコミュニケーションがカギ! 子どものSNSを把握して犯罪被害やSNSトラブルを防ぐ

日常のコミュニケーションがカギ! 子どものSNSを把握して犯罪被害やSNSトラブルを防ぐ

小学生になると、自分のスマホを持つようになったり、SNSを使い始めたりと、子どものインターネット利用の幅はグンと広がります。ほとんどのSNSは13歳以上の利用を推奨していますが、年齢を偽ってSNSに登録する小学生は少なくありません。アプリやWEBサービスが年齢制限を付けているのは、性被害や誘拐、詐欺などのネット犯罪に巻き込まれるリスクから子どもを守るためです。SNSはできるだけ13歳以上になってから使ってほしいということを前提として、小学生の親御さん向けにSNS利用についてのアドバイスをしたいと思います。

SNS上ではさまざまな人とつながることができますが、そこには良い人もいれば悪意を持った人もいます。お子様がSNSを通じて犯罪やトラブルに巻き込まれないためには、SNS上でどんな人とやり取りしているのかを把握しておきましょう。カギとなるのは、親子間のコミュニケーションです。いきなり「どんな人とやり取りしているの?」と聞くのではなく、まずは親御さん自身のSNSを見せましょう。LINEなどの友だち欄を見せて「これはママの小学生のころからの友だちだよ」「この人は○○ちゃんのママだね」など、自分がつながっている人を教えてあげます。親御さんの情報を開示すると、お子様も自分のことを話してくれるようになるんですね。そして学校の友だちとのやり取りなどを聞きながら、徐々にSNS上で知り合った人の話につなげていくと良いでしょう。このようにお子様とコミュニケーションして、SNSの使用状況を把握しておくことがトラブル対策になりますよ。

また、それぞれのSNSにある制限機能を利用することも対策のひとつです。Instagramの場合は親子間での承認後、お子様のアカウントを管理できるペアレンタルコントロール機能があります。利用時間を設定できたり、どのような人がフォロワーにいるのかも確認できたりするので、お子様に必要性を伝えたうえで活用しましょう。TikTokならコメントやメッセージを制限し、さらに設定欄の「プライバシー」から「非公開アカウント」を「オン」にして承認したユーザーのみ動画が見られるようにすると、悪意ある大人が近づくリスクを軽減できます。

小学生からインターネットを使うメリットと問題点

小学生からインターネットを使うメリットと問題点

小学生になると、学校から貸与されたデバイスを使ったり自分のスマホを持ち始めたりと、インターネットがより身近なものになってきます。小学生からインターネットを利用することで、情報収集能力やICT活用力など、これからの社会に必要な能力はグンと成長します。また、情報収集の過程やインターネットを通じたやり取りによって表現力や語彙力が増え、コミュニケーション能力も高めてくれることでしょう。インターネット上にはネイティブな英語の動画もあるので、英語力が鍛えられるのも良い点ですね。

しかし、そうしたメリットの一方で、使い方によってはデメリットや問題も生まれます。とくに長時間利用には注意が必要で、動画サイトやSNSなどに夢中になっていると、宿題や運動などほかの活動をするための時間や睡眠時間が足りなくなってしまいます。お子様の発達や健康のためにも、デバイスのペアレンタルコントロール機能などを活用しながら時間の管理をおこないましょう。

学校支給のデバイスはどう制限する?

学校支給のデバイスはどう制限する?

スマホやゲーム用のデバイスなどはそれぞれにペアレンタルコントロール機能があります。しかし、学校から配布されるデバイスは保護者が設定を変えることができません。利用制限などの設定は学校や自治体によって異なるため、フィルタリングをしていなかったり、設定が甘かったりすると対策が難しいんですね。フィルタリングがされていても、それを突破して動画を見たりゲームをしていたりするケースもあるようです。また、学校支給のデバイスを使ったネットいじめの事例も報告されています。

学校支給のデバイスは宿題やお家での学習で使用するものなので、親御さんも見逃してしまいがちな存在です。お子様に不適切な使い方をさせないためには、デバイスを使用している際、積極的に話し掛けるようにしましょう。さらに、宿題や課題が終わったら親御さんが端末を預かってしまうなど、物理的な対策をするのも良いと思います。

知らないうちにゲームに数万円!? 子どもの課金トラブル事例と対策

知らないうちにゲームに数万円!? 子どもの課金トラブル事例と対策

子どもによるオンラインゲーム・アプリの高額課金トラブルは後を絶ちません。とくに長期休み明けなどは消費者センターに保護者からの相談が多く寄せられるそうです。高額課金トラブルの原因として挙げられるのは「決済にパスワード入力を必須にしていなかった」「ログアウトしていないアカウントで購入された」「子どもにパスワードがバレた」「キャリア決済を使われた」「クレジットカードを勝手に使った」などがあります。

高額課金対策として、まずクレジットカードはしっかりと管理します。さらに支払い関係のパスワードは必ず設定し、お子様に簡単に破られないようなものにしましょう。領収書や領収メールを毎月忘れずに確認することも大切です。領収メールを子どもが削除していたという事例もあるため、定期的にクレジットカードの支払履歴のチェックもおこなうと良いですね。

しかし、親に隠れてすることや高額であることが問題なのであって、課金そのものが悪いわけではありません。お子様が課金したがっている場合は、一度話を聞いてあげることをオススメします。一緒にゲームをプレイして課金したくなる理由を考えてみてあげてください。そのうえで話し合って、「1回だけね」と課金してあげるのも良いと思います。お子様の気持ちに寄り添い、理解することが大きな課金トラブルの回避につながるでしょう。

ネット犯罪やSNSトラブルから子どもを守る! 親ができる対策 まとめ

今回は、未就学児や小中学生の親御さん向けに、ネット犯罪やSNSトラブルから子どもを守るための対策についてお話しました。大切なのは親御さん自身がその危険性や事例を知り、ネットリテラシーを学び、実践することです。たとえば「利用時間の制限」や「不適切なコンテンツのブロック」、「アプリ内課金の制限」などの困る行動は、ペアレンタルコントロール機能で制限することができます。インターネット経由の犯罪は年々増加しており、その手口も多岐にわたります。そうした危険からお子様を守れるよう、ペアレンタルコントロール機能やフィルタリング機能をしっかり活用しつつ、常に情報をアップデートして対応しましょう。

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