オススメはビルトインor卓上? 最新の食洗機事情を家電アドバイザーが解説

食後にゆっくりのんびりしたいのに食器洗いが残っているとゆううつですよね。手が荒れたり、鍋やフライパンなどの大きな調理器具を洗ったりするのも大変です。数ある家事のなかでも面倒で手間がかかる食器洗いが苦手という方は多いのではないでしょうか? そこで導入したいのが食洗器。食洗機は季節を問わず便利なだけでなく、時短にも節約にもなるそうです。しかし、導入するならビルトイン型と卓上型でどちらが良いのか、さらに複数のメーカーからいろいろな種類のものが販売されているので、なにが自分に合っているのか、迷いますよね。

この記事では、各メディアで活躍中の人気家電ライターの藤山哲人さんに、オススメの食洗機やトレンドなどを解説していただきました。

家電ライター・藤山哲人のプロフィール
藤山哲人  プロフィール

家電の紹介やしくみ、選び方や便利な使い方などを紹介するプロの家電ライター。独自の測定器やプログラムを開発して、家電の性能を数値化(見える化)し、徹底的に使ってレビューするのをモットーとしているため「体当たり家電ライター」との異名も。「マツコの知らない世界」(番組史上最多の6回出演)や「アッコにおまかせ」、「NHKごごナマ」などをはじめ、朝や昼の情報番組に多数出演。現在、インプレスの「家電Watch」「PC Watch」や「文春オンライン」「現代デジタル」などのWeb媒体、ABCラジオで連載やコーナーを持っている。

家電ライターの藤山哲人です。食洗機のメリットや普及率については、2019年にマイホームマガジンでお話させてもらいました。今回はさらに詳しく、タイプごとの解説やオススメ製品の紹介をしたいと思います。まずはビルトイン型と卓上型の特徴やそれぞれのメリット・デメリットについてお話していきましょう。

食洗機はどちらがオススメ? ビルトイン&外付け卓上型のメリット・デメリットを解説

食洗機はどちらがオススメ? ビルトイン&外付け卓上型のメリット・デメリットを解説

日本における食洗機の普及率は年々上がっていて、今では3割強のご家庭で使われています。食洗機を導入するメリットはたくさんありますが、まずお伝えしたいのが手洗いよりもキレイに洗えること。通常の台所用洗剤は手の皮脂が落ちにくい成分でつくられているのに対し、食洗機用の洗剤はもっと強力な洗浄成分が含まれているんですね。さらに70℃以上のお湯を使うので、油が完全に溶け落ちつつ、除菌効果の高い温度帯で洗うので、手洗いよりもキレイになります。

節約も食洗機が上で、実は節水できるんですよ。食洗機なら水を循環させて洗浄するので、水の使用量は手洗い時の10分の1ほどで済むわけです。そして、時短にもなります。洗い物にかかる平均時間は20分と言われており、1日2回だと40分、食器の量が多ければもっとかかりますね。その時間が空くと考えれば、仕事に家事に子育てに……と忙しい方にとって、間違いなく重宝することでしょう。

省スペースと大容量が魅力のビルトイン型食洗機

省スペースと大容量が魅力のビルトイン型食洗機

食洗機には、キッチンに組み込むビルトイン型と、外付けで設置する卓上型があります。私がとくにオススメしているのがビルトイン型。シンク下やキャビネット部分に取り付けるので、省スペースでスッキリとしたキッチンになります。また、卓上型と比べて容量が大きいので、家族の人数が多くても心配ないですし、大きめな調理器具なども洗えて便利です。デメリットがあるとすれば、壊れた場合の修理や交換に手間がかかる点。また、導入には工事が必要となるため、お家を新築するときやリフォーム時のほうが取り入れやすいでしょう。

お手頃価格とかんたん設置がうれしい卓上型食洗機

お手頃価格とかんたん設置がうれしい卓上型食洗機

卓上型の良さは、なんと言っても導入のしやすさ。分岐水栓のための小規模な水道工事だけで済みますし、すでにキッチンが分岐水栓であればもっとスムーズに導入可能。さらにタンク式を選べば、工事すら必要ありません。価格も安いものは2万円台からあるので、ビルトイン型よりもリーズナブルですね。

一方で、本体が大きいものだと、ある程度のスペースを確保しなければならないし、置いた後もけっこう圧迫感が出ちゃうんですよ。水栓や蛇口からの距離やコンロからの距離も考慮する必要があります。ビルトイン型と比べて導入しやすい反面、置き場所に困るのがデメリットだと言えるでしょう。とは言え、最近はスリムタイプも登場していますから、いろいろな種類を調べて検討してみるのが良いと思います。

ビルトイン食洗機はやっぱりパナソニック! 家電ライター藤山さんオススメ製品もご紹介

ビルトイン型でイチオシなのが、パナソニック製の食洗機です。パナソニックは1960年から食洗機をつくり始め、撤退した時期もありましたが、1988年から生産を再開しました。現在も市場で大きなシェアを誇り、卓上型も含めると累計出荷台数は1000万台にのぼります。

パナソニック製ビルトイン食洗機の魅力は、ラインナップが14種類と非常に多い点。容量や機能によってさまざまなものが選べます。各製品のクオリティももちろん高く、10年以上の長期間使用を想定した耐久実験を重ね、開発しているそうです。さらに、すべての製品が滋賀県の草津工場でプレス加工から組み立てまで一貫生産され、熟練工による丁寧な検査がおこなわれています。

ちなみに、パナソニックに限った話ではありませんが、国産の食洗機は“お茶碗”を洗うのに適した構造なので、米食のご家庭向けと言えます。海外製ではドイツの家電メーカー「Miele(ミーレ)」が人気ですが、洋食器に合わせてつくられているからか、茶碗や汁椀が入れづらいんですよ。日本でもファンが多いメーカーではありますが、私はやはり国産の食洗機をオススメしますね。

ナノイーX搭載で清潔&安心 パナソニックのビルトイン食洗機『9Plus』シリーズ

ナノイーX搭載で清潔&安心 パナソニックのビルトイン食洗機『9Plus』シリーズ

パナソニックのビルトイン食洗機でオススメなのは、「ナノイーX」が搭載された『9Plus』シリーズです。食洗機は排水路からの臭いの逆流を防ぐため、すすぎ水が残る構造になっていることをご存知ですか? けっして、すすぎ後の水が汚いわけではないのですが、菌やウイルスに強いナノイーXが搭載されていればより安心、というわけです。キッチンはカビなどが生えやすい場所ですから、食洗機に消臭・除菌効果があると心強いのではないでしょうか。

洗剤の自動投入機能が付いているのもグッドですね。約30回分が入るタンクに洗剤を入れたら、あとは食器の量や汚れに応じて洗剤を自動投入してくれるので、かなり楽ができますよ。

コスパ重視で節電&節水もしたいなら パナソニックのビルトイン食洗機『M9』シリーズ

コスパ重視で節電&節水もしたいなら パナソニックのビルトイン食洗機『M9』シリーズ

コスパ重視の方はスタンダードモデルの『M9』シリーズを検討してみてください。先ほど紹介した『9Plus』シリーズの価格が30〜40万円ほどなのに対し、こちらは20〜25万円ほど。比較的リーズナブルですが、「ストリーム除菌洗浄」でしっかりキレイに洗えます。

また、膨大なデータをもとに開発された「AIエコナビ」によって最適な乾燥時間、すすぎ量、加熱量を割り出し、運転してくれるのも特徴です。年間で25,000円ほど節約できるそうなので、家計にも優しいと言えるでしょう。

卓上型食洗機もパナソニックがオススメ! ナノイーX搭載タイプからコンパクトなタンク式も販売中

私は断然ビルトイン派なのですが、そうは言っても工事や価格を考えると導入までのハードルは高いですよね。なので、卓上型のオススメ製品もピックアップしました。メーカーはやはりパナソニックが強いですね。タイプ別にいくつかご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。

清潔さを重視するならナノイーX搭載の『NP-TZ300』

清潔さを重視するならナノイーX搭載の『NP-TZ300』

清潔さを重視したい方にはナノイーX搭載の『NP-TZ300』がオススメ。ストリーム除菌洗浄とナノイーXでしっかり洗って除菌してくれます。さらにナノイーX送風によって庫内の臭いを抑制するので、朝使った食器を入れておいて、夕飯後に1日分の食器をまとめ洗いしても大丈夫。洗った食器をそのまま保管していても、庫内は除菌されているので安心です。手洗いした食器や消毒した哺乳瓶なども清潔に保管できますよ。価格は10万円ほどです。

置き場所に困らないスリムタイプ『NP-TSK1』

置き場所に困らないスリムタイプ『NP-TSK1』

卓上型の悩みどころは設置スペースですが、スリムタイプの『NP-TSK1』なら置き場所に困らないかもしれません。一般的な卓上型は幅34センチほどですが、こちらは29センチなので、シンク横やカウンターにも置けるくらいコンパクト。キッチンはスッキリさせたい、もしくは、一般的なサイズだと置き場所がないという方にもってこいでしょう。

庫内容積は36リットルと小さく感じますが、3〜4人家族で毎食ごとに洗うなら問題ない容量ですよ。価格は75,000円ほどになっています。

パナソニック唯一のタンク式で工事不要『NP-TSP1』

パナソニック唯一のタンク式で工事不要『NP-TSP1』

すぐ設置して使いたい方は、タンク式の『NP-TSP1』はいかがでしょうか? タンク式はその名のとおり、付属タンクに溜めた水で洗う仕組みなので、水栓工事が不要です。容量は3〜4人向けの36リットルで、価格はおよそ88,000円。ちなみに、パナソニックのサブスクサービス(月額 約2,600円)で利用できるので、使い勝手を試してみるのも良いでしょう。

工事不要&オートオープンがうれしいシロカの食器洗い乾燥機 アドバンスシリーズ『SS-MA251』

工事不要&オートオープンがうれしいシロカの食器洗い乾燥機 アドバンスシリーズ『SS-MA251』

近年では卓上型食洗機をつくるメーカーが増え、市場もますます広がっています。パナソニック以外だと、シロカ製もオススメですね。特筆すべきはタンク式の『SS-MA251』。高温で高圧の水流があらゆる角度から洗浄してくれるので、油汚れもしっかり落ちます。内蔵されたUVライトで除菌もできて衛生的。ちなみに、水を使わない除菌専用コースを使えば、マスクやスマホケースなども除菌できますよ。

オートオープン機能を搭載したシロカの食器洗い乾燥機 アドバンスシリーズ『SS-MA251』

洗浄後に自動でドアが開くオートオープン機能も便利ですね。高温で洗浄するため結露をおさえた自然乾燥が可能で、乾燥機能を使う食洗機よりも電気代の節約になります。価格も6万円ほどとリーズナブルで、工事不要なのもうれしいポイント。容量は小さめですが、その分コンパクトで設置しやすいですよ。2~3人家族やマンション住まいの方にはぴったりだと思います。

食洗機に新時代到来!? 食器洗いができる超音波洗浄機『KOONY』

食洗機に新時代到来!? 食器洗いができる超音波洗浄機『KOONY』

今まで食洗機は唯一無二の存在でしたが、ここにきてライバル登場の予感です。『KOONY』はシンクに溜めた水に超音波の振動を伝え、目に見えない超微細な気泡で食器を洗浄してくれる優れもの。シンクの近くに設置するだけで使えるので、当然工事は必要ありません。手洗いが難しい細かな部分の汚れを落としたり、プラスチックなど耐熱性が弱いものを洗ったりできるところも魅力ですね。

超微細な気泡で食器を洗浄してくれる超音波洗浄機『KOONY』

私も実際に使ってみましたが、今まで見てきた超音波洗浄機のなかでは一番洗浄力が高く、実用可能なレベルに達していました。ただ、油汚れはさすがに超音波と水だけでは完全に落とせなかったので、洗剤も使ったほうが良いでしょう。洗剤アリなら、しばらく置いてカピカピになったカレー皿もキレイになりましたよ。

この製品は2022年3月から始まったクラウドファンディングで、808人から3,000万円以上の支援を受け、開発・生産された代物です。製品到着の遅延が原因で、クラファンした方の一部はお怒り状態だったのですが……遅延しても仕方ないと思うほど、今までの超音波洗浄機とは段違いの性能だと言えるでしょう。

今のところ流通経路は少なめですが、2023年の3月くらいにはもっと市場に出回るんじゃないかと予想しています。手に入る状態になったら、購入を検討してみる価値はありますね。

最新の食洗機事情を家電アドバイザーが解説 まとめ

今後もますます食洗機は進化し、市場も広がっていくことでしょう。一度使ってみれば目から鱗、本当に楽で手放せない家電になると思います。工事不要なタイプやサブスクでの試用もできますので、気になった方はぜひ導入を検討してみてくださいね。

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