テレワークの浸透や外泊・外食などの減少で、おうちで食事をする機会が増えたご家庭も多いのではないでしょうか。できれば毎回手をかけた食事をつくりたいと思っても、時間も手間もかかり、仕事や育児があるとかなりたいへんですよね。かと言って、デリバリーや持ち帰りなども費用との相談になると思います。時短できて、かつお金も手間もかけずにおいしい食事ができあがったら、素晴らしいですよね。
今回は、IoTの利用などでめざましい進化を遂げている調理家電に注目。さまざまなメディアで活躍されている人気家電ライターの藤山哲人さんに、オススメの時短&ハイテク調理家電について伺いました。藤山さんが実際に使ってみた感想もお聞きしたので、ぜひ参考にしてみてください。
家電の紹介やしくみ、選び方や便利な使い方などを紹介するプロの家電ライター。独自の測定器やプログラムを開発して、家電の性能を数値化(見える化)し、徹底的に使ってレビューするのをモットーとしているため「体当たり家電ライター」との異名も。「マツコの知らない世界」(番組史上最多の6回出演)や「アッコにおまかせ」、「NHKごごナマ」などをはじめ、朝や昼の情報番組に多数出演。現在、インプレスの「家電Watch」「PC Watch」や「文春オンライン」「現代デジタル」などのWeb媒体、ABCラジオで連載やコーナーを持っている。
家電ライターの藤山哲人です。料理は、まず冷蔵庫をチェックして、献立を考えて、買い物に行って、下ごしらえして……と、家事のなかでも、かなりのウエイトを占めると思います。もしも、「メニューを考えるのが大変」「調理が負担」「レパートリーが少ない」という悩みをお持ちなら、調理家電を活用すれば解決するかもしれません。しかし、調理家電は高額なものが多いので「本当に役立つの?」「使いこなせるかな?」といった不安もありますよね。そこで体当たり家電ライターの私が、実際に使ったレビューを交えながらオススメの調理家電をご紹介したいと思います。
時短もできて便利なほったらかし調理家電! どっちを選ぶ? 自動調理鍋と電気圧力鍋
便利で楽々な調理家電の代表格といえば「自動調理鍋」と「電気圧力鍋」が挙げられます。自動調理鍋は、圧力をかけずに煮込むので時間がかかりますが、煮くずれも少なくお肉のジューシー感が残ります。一方で電気圧力鍋は、圧力をかけて煮込むので短時間でシチューなどができますが、煮くずれしやすくお肉がコンビーフのようになりがちです。両方とも“ほったらかし調理家電”なのですが、料理のできあがりが微妙に違うんですね。
調理時間は、自動調理鍋は通常と同じ、電気圧力鍋は圧力がかかるので短時間でできあがります。価格は耐圧機能がない分、電気圧力鍋のほうが安い傾向ですね。それぞれに魅力があるので、オススメをひとつずつピックアップしました。
毎日のメニューで悩まない! レンタルも可能! 共働き家庭にはシャープ『ヘルシオ ホットクック』がオススメ
自動調理鍋のオススメは、シャープのヘルシオ ホットクック。面倒な煮込み料理も、手間をかけずにおいしくつくれますよ。自動かき混ぜ機能があるので、材料を入れてボタンを押した後は完全にほったらかしても焦げません。調理中は別の家事をするなど、キッチンから離れて時間を使えるので、共働きや小さいお子様がいるご家庭にはもってこいでしょう。
ホットクックは圧力をかけずに素材本来の旨味を引き出してくれるのですが、なかでも肉の煮込み料理が得意です。プリセットメニューでつくったビーフシチューは、肉の旨味がしっかりと感じられてお店のような味でした。おでんに使う牛すじの面倒な下処理も、ホットクックを使えば短時間でおいしく仕上がります。とくに豚の角煮が私のお気に入り。カレーやスープをつくっても良い味が出ますね。
プリセットメニューは150種類ほどあって、他製品と比べても豊富なので、毎日の献立を考えるのにも役立ちます。料理があんまり得意じゃない方や、レパートリーが少ない方にもオススメしています。
ヘルシオ ホットクックは現在3機種が発売されていますが、違いは容量のみ。機能はほぼ同じなので、家族の人数に合わせて購入しましょう。ただ、2〜4人用の『KN-HW16G』だと、一皿の量にもよりますが、シチューのようなスープ系は足りなくなるかも。たくさん食べるご家庭は、ワンサイズ大きいほうが良いかもしれません。ホットクック本体のサイズは、一番大きい2〜6人用の『KN-HW24G』で5合炊きの炊飯器と同じくらい。意外と大きいので、購入前に設置場所を確認しておきましょう。
価格は、1〜2人用で45,000円ほど、2〜4人用が53,000円ほど、2〜6人用は60,000円ほどです。高額なのでレンタルで試してから購入するのもアリですね。ちなみにホットクックは“しゃべる家電”。いろいろな声優さんとコラボしているので面白いですよ。
おしゃれな料理好きにオススメな『Re・De Pot(リデポット) 電気圧力鍋 2L』
電気圧力鍋からはRe・De Pot(リデポット)をピックアップ。ホットクックのように自動かきまぜ機能がないので、少し手間はかかりますが、煮込み料理を短時間でおいしく仕上げてくれますよ。圧力鍋は、圧力をかけすぎると食材が溶けてしまったり焦げたりすることもあり、使いこなすにはある程度の慣れとコツが必要なので、とくに料理好きの方にオススメしたいですね。圧力鍋と言っても圧力をかけない調理もできるので、いろいろな使い方があります。
Re・De Potは煮込み料理だけでなく炊飯も得意で、25分で炊き上がります。味もおいしくて、個人的には炊飯器の一番早いモードより上だと思いますね。加えて、ガトーショコラやチーズケーキなどのスイーツ、ホットドリンクなどおしゃれなカフェメニューもつくれるマルチさも魅力。和洋中のレシピ本が付属されているほか、味噌などの調味料でおなじみ「ハナマルキ」とのコラボレシピもインターネットで公開されています。
価格は15,000円ほどとリーズナブル。デザイン性が高く、カラーバリエーションも豊富です。現在、ブラック、レッド、ネイビー、ホワイト、ヒュッゲグレーの5色を展開。マットなカラーなので、キッチンをおしゃれにコーディネートしたい方にもオススメですよ。
使いやすさNo.1! パナソニックの『スチームオーブンレンジ ビストロ』
近年どんどん進化しているオーブンレンジから、スチームオーブンレンジ ビストロの『NE-BS9A』をご紹介します。予熱いらずのヒーターに加え、発熱する専用グリル皿は“上下から火が入る”構造で、ハンバーグも焼き魚もお手軽に調理可能。一気に焼き上げ、おいしく仕上げてくれる優れものです。
70〜300℃と幅広い温度帯で使えるため、パンやおかず、お菓子までいろいろなメニューに対応できるようになっています。冷凍餃子も凍ったままグリルで蒸し焼きできるので、時短にもなりますね。また、違うメニューを同時に調理できるので、上段でチキンを焼いて、下段でパスタを茹でるなんてことも。ビストロに入れた後は、AIセンサーで火加減を調整してくれるので、ほったらかしでOKですよ。
通常の電子レンジはワット数と秒数指定で温めるものが多いんですが、ビストロは“食品の温度設定”が可能なんです。つまり、温めすぎや食べてみたらまだ冷たいなんてことがなくなるわけです。しかも、高機能センサーで冷凍のごはんと冷蔵のおかずを二品同時に温める、なんてことも。とにかく便利で時短もできるんです。
他社製品と比べて、誰にでも使いやすくわかりやすいところもオススメポイント。価格は135,000円ほどと高価ではありますが、お家にあると重宝しますよ。
ビストロのIoTモデル『UBS10A』はどんな人にオススメ?
毎日の献立を考えるのが億劫な方や料理が苦手な方には、ビストロのIoTモデル『UBS10A』がオススメです。スマホアプリと連携して、メニューを提案してくれますよ。人気カフェDEAN&DELUCAとのコラボメニューや「伝説の家政婦」志麻さん監修レシピなどもあるので、レパートリーのマンネリが気になる方にもぴったり。
価格は163,000円ほどとIoT対応しているだけあって高価ですね。スチームオーブンレンジ ビストロは、献立づくりのアシストが必要かどうかで型番を選ぶと良いでしょう。
最新コンベクションオーブン! クイジナート『エアフライ オーブントースター』
コンベクションオーブンはトースターに似ていますが、わずか数秒で庫内温度を上げ、ファンで熱風を循環させて調理する家電のことです。コンベクション機能を搭載したオーブンレンジもありますが、庫内が広いため熱の入り方が変わってきます。たとえば揚げ物の温め直しなんかは、違いがはっきりわかりますね。買ってから時間が経ったファストフードのポテトは、レンジを使うとしんなりしがちなんですが、コンベクションオーブンだと揚げたてのようにカリッと仕上がりますよ。
コンベクションオーブンのなかでもオススメは、クイジナートから発売されたばかりのエアフライ オーブントースター。通常、コンベクションオーブンのファンは後ろに付いていますが、天井に移動させることでファンを大型化、庫内の熱風を素早く均一化でき、短時間でムラなく調理できるようになっています。強い火力で一気に仕上げるので、グラタンやミートローフもすぐにできあがりますよ。一番ビックリするのは、トーストの“焼き目”でしょう。色むらがまったくない、きつね色になるので、CMに登場するようなおいしいトーストが焼けます。
私が実際につくっておいしかったのは、グリルチキンと唐揚げ。外はサクサク、中はジューシーに仕上がりました。しかもノンフライでヘルシーなので、たくさん食べられて最高です(笑)。料理好きな方はもちろん、惣菜の揚げ物をよく買うご家庭にももってこい。価格は30,000円ほどと比較的リーズナブルなのも良いですね。
生食パンや高加水パンも焼ける!? オススメ最新ホームベーカリー
ここからは、最近私が注目しているハイテク調理家電、ホームベーカリーをご紹介します。ホームベーカリーの一番のメリットは、お家で焼きたてパンを食べられること。無添加のパンをつくれるのでお子様にも安心ですよね。パン食が多いご家庭なら節約になるかもしれません。
ホームベーカリーは急速にハイテク化が進んで、ヘルシーなパンや高級パンをはじめ、発酵食品などもご家庭で楽しめるようになりました。機能はハイテクですが、構造はお手入れしやすいように進化しているので、以前の機種よりも楽チンのはず。そんな最新のホームベーカリーから、私のオススメをご紹介します。
メニューが豊富! シロカ『おうちベーカリー ベーシック プラス』
まずご紹介するのは、シロカのおうちベーカリー ベーシック プラス。なかでもオススメは『SB-2D151』です。なんと注目の高加水パンが焼けるんですよ。実は私、パンがあんまり得意じゃないのですが、これはおいしかったですね。普通の食パンなら材料を入れて1時間後には食べられますよ。
パン以外にも、ジャムやヨーグルト、焼き芋などがつくれるプリセットメニューが30種類あり、アレンジも可能。109メニュー掲載のレシピブックが付属しているので、料理の幅も広がると思いますよ。また、サイズがホームベーカリーにしては小さいので、そんなに場所を取りません。価格が18,000円ほどとリーズナブルなのもうれしいですね。
プロ仕様のパンが焼ける!? パナソニック『ホームベーカリー ビストロ』
パナソニックからはホームベーカリー ビストロの最上位機種『SD-MDX4』をご紹介します。特徴はハーフ食パンが焼けるところ。少量でもつくれるので無駄がないですね。そしてなんといっても、プロの技を再現した“練り”と“発酵”による生地のきめ細やかさが魅力。パン・ド・ミや乃が美の“生食パン”風もできますよ。大きさはシロカよりも一回りほど大きいので、購入前に寸法を確認すると良いでしょう。価格は47,000円ほどです。
どちらにするか迷ったら、パンミックスの味で決めても良いかもしれません。シロカはニップン、パナソニックは日清製粉が専用パンミックスを共同開発しています。
【おまけ】簡単キレイに切れておしゃれな盛り付け! クイジナートの『電動ナイフ』
つくった料理を盛り付けるときのお助けアイテムとして、クイジナートの電動ナイフを使ってみてはいかがでしょうか。包丁やナイフで切りにくい分厚いサンドイッチがキレイに切れますし、崩れやすい角煮も肉厚なローストビーフも簡単にカットできます。
クイジナートは調理器具の専門メーカーなので性能が高く、2枚刃を採用しているのでスパッと切れるんですね。お手入れも簡単で、刃はボタンひとつで外せるので丸洗いできます。万が一、切りにくくなっても替刃と交換するだけ。ただし、クイジナートに確認したところ、自分で研ぐのはNGだそうです。
表面がパリパリのフランスパンや鶏もも肉のグリル、ケーキや巻き寿司もキレイにカット可能。さまざまな食材に対応しているので、時短になるかもしれません。逆に切りにくいのは野菜。いろいろ試してみましたが、包丁のほうが早くてキレイだと思います。あと、持ち手部分が大きく包丁立てには入らないので、私はキッチンの引き出しに片付けています。価格は3,800円ほどとお求めやすい価格なので、興味のある方は試してみてください。
オススメ時短&ハイテク調理家電 まとめ
調理家電は洗濯機や掃除機などの生活家電とは違って、必須なものではないかもしれません。しかし、あるとめちゃめちゃ便利なアイテムです。そしておいしい(笑)。ほったらかしにできるもの、調理時間を短縮できるもの、献立をサポートしてくれるものなど選択肢はさまざまなので、ライフスタイルや料理の得意・苦手などを考慮しつつ、自分に合った調理家電を見つけてくださいね。
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