親子でつくる端午の節句の行事食~年齢別「こどもの日」レシピ!

5月5日のこどもの日は昭和23年に制定された国民の休日ですが、兜や鯉のぼりなどを飾る風習は、もっと古くから伝わる端午の節句に由来するものです。そして端午の節句には、子どもの健康や成長を願う思いを込めた行事食があるのだとか。それぞれ意味をもつ端午の節句の行事食、定番の柏餅なども親子で意味を調べながらお祝いすると、いっそう思い出に残りそうです。そこで、日本の年中行事に詳しい歳時記研究会の水谷美枝子さんと米持祐子さんに、行事食の由来と意味について伺いました。さらに料理家である米持さんには、未就学児から中高生までそれぞれの年代でチャレンジできる親子でつくる「こどもの日レシピ」も解説していただきました。「鯉のぼりサンド」「柏餅」「ブリの照り焼き」「鯛の塩釜焼き」のつくり方をご紹介しますので、ぜひチャレンジしてくださいね!

歳時記研究会プロフィール

豊かな四季のある日本。自然のリズムを大切にした、先人たちの想いや知恵が詰まっているのが年中行事です。先人たちが大切に伝えてきた暮らしの知恵や、自然との寄り添い方を見つめ、日々の暮らしに取り入れませんか。
歳時記研究会では、年中行事の意味、お料理、しつらえなどを、現代の暮らしに取り入れやすい内容で、ふたりの講師が楽しくお伝えしています。
行事食マイスター®

食空間コーディネーター&ディレクター・水谷美枝子のプロフィール
水谷美枝子

食空間コーディネーター&ディレクター

料理家・食空間コーディネーター・米持祐子のプロフィール
米持祐子

料理家・食空間コーディネーター

歳時記研究会の水谷と米持です。歳時記研究会では、日本の伝統的な年中行事の由来や意味とともに、行事食やテーブルコーディネート、しつらいなどを学ぶ講義をおこなっています。年中行事の際に食べる行事食にはそれぞれ意味があり、とくに「五節句」の食事は“神様の御力をいただく”として、厄払いになると古くから考えられているのです。端午の節句にも、先人たちの願いが込められた歴史ある行事食がいくつもあります。その由来や意味を知って、家族で共有してみませんか? さらに行事食をベースにした「こどもの日のオススメレシピ」もご紹介します。お子様の年齢に合わせたレシピなので、ぜひ参考にしてください。まずは端午の節句の行事食について、解説しましょう。

目次
1.歳時記研究会が「端午の節句」の行事食の意味や由来を解説
2.親子でつくるこどもの日レシピ【未就学児編】鯉のぼりサンド
3.親子でつくるこどもの日レシピ【小学校低学年編】柏餅
4.こどもの日にオススメ! 親子でつくる端午の節句レシピ【小学校高学年編】ブリの照り焼き
5.こどもの日にオススメ! 親子でつくる端午の節句レシピ【中高生編】鯛の塩釜焼き
6.「端午の節句」行事食の意味と親子でつくるこどもの日レシピ まとめ

歳時記研究会が「端午の節句」の行事食の意味や由来を解説

歳時記研究会が「端午の節句」の行事食の意味や由来を解説

行事食とは、季節ごとのお祝いや行事の際に食べる特別な料理や食材のこと。先人たちが伝えてきた歴史や風習から生まれ、家族の幸せや健康を願う思いが込められたものです。それぞれの料理や食材がもつ意味を知ると、よりいっそう年中行事という文化への理解が深まり、日々の暮らしが豊かになることでしょう。さらに家族で行事食をいただく際、先人から受け継がれた知識をお子様に教えることで親子のコミュニケーションにもなりますから、ぜひ覚えていただきたいと思います。

では、端午の節句にはどのような行事食があるのでしょうか? それぞれの由来や意味とともにご紹介しましょう。

粽(ちまき)や柏餅、出世魚……「端午の節句」行事食の意味とは?

「端午の節句」行事食の意味とは?

●端午の節句の行事食①粽(ちまき)
「粽」はもち米を葉で包んだ食べ物で、その起源は紀元前まで遡ります。古代中国の政治家で詩人の「屈原(くつげん)」が、旧暦5月5日に国を憂いて川に身投げし、人々がその死を悼んで米を竹筒に入れたものを川に供えたのが、粽のはじまりだそうです。しかし、竹筒に入れた米が魚に食べられてしまうことから、魚が嫌う茅(ちがや)の葉を用いるようになり、今の粽に近い形となりました。現在では手に入りやすい笹の葉を使うようになっています。

●端午の節句の行事食②柏餅
粽と並んで端午の節句の象徴的な食べ物である「柏餅」。こちらは日本が発祥で、端午の節句で食べられるようになったのは江戸時代からだと言われています。柏の木は新芽が出るまで葉を落とさないことから、「家系が絶えないように」という願いが込められた縁起物です。ちなみに、柏餅は関東、粽は関西で多く食べられる傾向があるそうです。

●端午の節句の行事食③筍(たけのこ)

端午の節句の行事食・筍(たけのこ)

初夏に旬を迎える「筍」も、端午の節句の行事食のひとつです。筍は天に向かってすくすくと真っ直ぐに育つことから、子どもの成長の象徴とされます。

●端午の節句の行事食④鰹(カツオ)

端午の節句の行事食・鰹(カツオ)

3月〜5月の春から初夏にかけて初鰹の時期となる「カツオ」。その名の響きから“勝男”とかけ、「男の子が強く元気に育つように」という願いを込めて端午の節句に食べられています。

●端午の節句の行事食⑤出世魚(ブリ、スズキなど)

端午の節句の行事食・出世魚(ブリ、スズキなど)

ブリやスズキなど、成長に伴って違う名前で呼ばれる「出世魚」も、端午の節句の行事食。その名のとおり、健やかな成長と将来の活躍を願う縁起物で、お祝いの席にもってこいの食材です。

親子でつくるこどもの日レシピ【未就学児編】鯉のぼりサンド

親子でつくるこどもの日レシピ【未就学児編】鯉のぼりサンド

未就学児のお子様と一緒につくるなら、「鯉のぼりサンド」がオススメです。鯉のぼりは急流を上りきった鯉が龍になったという伝説から、立身出世の象徴として端午の節句に用いられるようになりました。そんな鯉のぼりをモチーフにしたサンドイッチは、かわいらしさのなかに子どもの成長を願う気持ちが込められたメニューです。火を使わないので、小さなお子様でもお手伝いしやすいと思いますよ。

親子でつくるこどもの日レシピ「鯉のぼりサンド」のつくり方

●材料(鯉のぼり4匹分)
サンドイッチ用食パン 4枚

ゆで卵 2個
マヨネーズ 大さじ2
塩 少々

きゅうり 1/2本
スライスチーズ 2枚
ハム 2枚
海苔 適量

●「鯉のぼりサンド」のつくり方
① ゆで卵はボウルに入れて粗く潰し、マヨネーズと塩を加えて和える。

「鯉のぼりサンド」のつくり方 ボウルにゆで卵を入れて粗く潰す

② ①を2枚の食パンで挟む。食パンを半分に切り、一方の端を三角に切り落とす。

「鯉のぼりサンド」のつくり方 食パンを半分に切り、一方の端を三角に切り落とす

③ きゅうりは輪切りに、スライスチーズとハムは口金などで丸く抜く。パンの上に、ウロコ状になるよう並べる。目はスライスチーズと海苔でつくる。

「鯉のぼりサンド」のつくり方 具材をウロコ状に並べる

未就学児とつくる「鯉のぼりサンド」のお手伝いポイント

未就学児とつくる「鯉のぼりサンド」のお手伝いポイント

鯉のぼりサンドをつくる工程で、未就学児の子どもができるお手伝いは主に飾り付けです。ハムやきゅうり、チーズを交互に並べる作業や、あらかじめ丸くカットした海苔で目を入れる作業もお子様が楽しめるポイントだと思います。そのほか、ゆで卵のペーストをパンに塗ったり、ハムやチーズを型抜きしたりもできるのではないでしょうか。ゆで卵をつぶす作業を任せる場合は、フォークなどを使うと良いですね。未就学児はひとりひとり発達の度合いが異なるので、できる範囲で手伝ってもらうようにしましょう。

親子でつくるこどもの日レシピ【小学校低学年編】柏餅

親子でつくるこどもの日レシピ【小学校低学年編】柏餅

5月にはお店にもたくさん並ぶ「柏餅」。せっかくですからお子様と一緒に手づくりしてみましょう。小学校低学年なら甘いものが好きなお子様も多いので、きっと喜んでくれるはずです。電子レンジでつくれますし、材料も特別なものは必要ありません。柏の葉も、端午の節句の時期になると製菓材料店などで手に入ります。ネット通販で販売しているショップもあるので、近隣のお店に取り扱いがなければチェックしてみてください。

親子でつくるこどもの日レシピ「柏餅」のつくり方

●材料(4個分)
白玉粉 30グラム
上新粉 80グラム
砂糖 10グラム
水 130ミリリットル

こしあん 120グラム

柏の葉 4枚

●「柏餅」のつくり方
① こしあんを4等分し、楕円形に丸める。柏の葉はさっと洗って水気を拭き取る。

「柏餅」のつくり方 こしあんを楕円形に丸める

② 耐熱ボウルに白玉粉を入れ、水を少しずつ加えながら混ぜる。上新粉と砂糖を加え、なめらかになるまでさらに混ぜる。

「柏餅」のつくり方 耐熱ボウルに白玉粉を入れ、水を少しずつ加えながら混ぜる

③ ②にふんわりとラップをして電子レンジ(600W)で1分加熱し、よく混ぜる。再度ラップをして2分加熱し、よく混ぜる。さらに1分加熱し、よく混ぜる。

④ ③でつくった生地をチャック付きポリ袋に入れ、冷水に2~3分浸けて粗熱をとる。袋に入れたまま、なめらかになるまでよくこねる。

「柏餅」のつくり方 生地をチャック付きポリ袋に入れ、よくこねる

⑤ 生地を4等分して、楕円形に伸ばす。こしあんを包み、柏の葉で巻く。

「柏餅」のつくり方 生地を楕円形に伸ばす

小学校低学年とつくる「柏餅」のお手伝いポイント

小学校低学年とつくる「柏餅」のお手伝いポイント

②③の生地を混ぜる工程では、親御さんがボウルを押さえてあげてお子様が混ぜる、というふうに共同作業すると良いですね。加熱することで徐々に固くなってくるので、もしお子様の力が足りない場合は押さえる係と混ぜる係を交代して、真っ白な生地が半透明になるまで混ぜてください。

生地を楕円形にする作業は、見本では麺棒を使っていますが、手で伸ばしてもOKです。お子様にぜひやってほしいのが、最後にこしあんを包んで柏の葉で巻くところ。仕上げの工程はとても達成感があるので、きっと楽しんでできるはずですよ。

こどもの日にオススメ! 親子でつくる端午の節句レシピ【小学校高学年編】ブリの照り焼き

親子でつくる端午の節句レシピ【小学校高学年編】ブリの照り焼き

小学校高学年は家庭科の授業で料理を始めるころなので、少し難易度を上げて火を使うレシピをご紹介します。出世魚の代表格である「ブリの照り焼き」です。甘辛い味付けなので、魚が得意ではないお子様でも美味しく食べられるのではないでしょうか。見本では、彩りのために塩茹でしたほうれん草を添えましたが、なくても大丈夫ですし、好みの野菜に変えてもOKですよ。

親子でつくるこどもの日レシピ「ブリの照り焼き」のつくり方

●材料(4人分)
ブリ 4切れ
酒 大さじ2
小麦粉 適量
サラダ油 大さじ1

【たれ】
醤油 大さじ2
酒 大さじ2
みりん 大さじ2
砂糖 大さじ1

●「ブリの照り焼き」のつくり方
① ブリは酒をふって5分おく。キッチンペーパーで水気を拭き取り、小麦粉をまぶす。

「ブリの照り焼き」のつくり方 ブリに小麦粉をまぶす

② フライパンにサラダ油を入れて中火で熱し、ブリを入れて2分焼く。裏返してさらに2分焼く。余分な脂はキッチンペーパーで拭き取る。

③ たれの材料を合わせて回し入れ、ブリにかけながら煮絡める。

「ブリの照り焼き」のつくり方 ブリをたれで煮絡める

小学校高学年とつくる「ブリの照り焼き」 調理のポイント

小学校高学年とつくる「ブリの照り焼き」 調理のポイント

ブリの照り焼きは切り身を使うため、小学生でも比較的チャレンジしやすい魚料理です。普段から料理好きでキッチンに立つ機会が多いお子様なら、基本的な工程はすべて任せ、親御さんはサポートに回っても良いと思います。私の娘もキッチンに立つことが多かったので、小学5年生のときにはひとりでつくれました。あまり料理経験がないお子様であれば、火を使う工程は親御さんがおこないましょう。また、調理で気を付けるポイントは、たれを入れるとき。フライパンが熱くなっているので、ドバッと一気に入れるとはねてしまって危険です。一度火を止めてから、たれを絡めて仕上げるのも良いと思います。

こどもの日にオススメ! 親子でつくる端午の節句レシピ【中高生編】鯛の塩釜焼き

親子でつくる端午の節句レシピ【中高生編】鯛の塩釜焼き

端午の節句の行事食ではありませんが、鯛そのものがおめでたい縁起物! ということで、中高生向けのレシピとして「鯛の塩釜焼き」をご紹介します。いただく際にペティナイフなどで切れ目を入れると、塩釜がパカッと開いて楽しいんですよ。蒸し焼きにするので身がしっとりして美味しいですし、保温効果が高いので完成してからしばらくテーブルに置いていても冷めにくいのがグッド! 世代を問わず楽しめるパーティーにぴったりなメニューなので、いろいろなお祝いで活用できると思います。

親子でつくるこどもの日レシピ「鯛の塩釜焼き」のつくり方

●材料
鯛 1尾(30センチ程度)
粗塩 1キロ
卵白 3個分
昆布 2枚

●「鯛の塩釜焼き」のつくり方
① 鯛はウロコと内臓を取って洗い、キッチンペーパーで水気を拭き取る。昆布は水に浸けてやわらかくする。

「鯛の塩釜焼き」のつくり方 鯛はウロコと内臓を取って洗う

② 粗塩に卵白を加えて、よく混ぜる。

③ クッキングシートを敷いた天板に、②の1/3量を鯛より少し大きめに広げる。昆布、鯛、昆布の順に置き、残りの②で全体を覆う。

「鯛の塩釜焼き」のつくり方 卵白を加えた粗塩で鯛を覆う

④ 200℃に余熱したオーブンで40分焼く。

「鯛の塩釜焼き」のつくり方 200℃に余熱したオーブンで40分焼く

「鯛の塩釜焼き」 調理のポイント

「鯛の塩釜焼き」 調理のポイント

所要時間は長めですが、基本的には工程がシンプルなので、中高生ならほぼひとりでつくることができると思います。難しいポイントは①の下処理。ウロコと内臓を取るのは、お子様が魚の調理に慣れていないと苦戦しがちなので、この工程だけ親御さんが担当するか、鯛を買うときに魚屋さんに頼むと良いでしょう。

「端午の節句」行事食の意味と親子でつくるこどもの日レシピ まとめ

端午の節句にまつわる行事食の意味や由来と、親子でつくる年齢別のこどもの日レシピをご紹介しました。今回オススメした「鯉のぼりサンド」「柏餅」「ブリの照り焼き」「鯛の塩釜焼き」は、どれもシンプルながら端午の節句・こどもの日の食卓やパーティーにぴったりなものばかりです。お子様の年齢に応じて、ぜひ一緒につくってみてください。きっと素敵な思い出になるはずですし、食卓では行事食に込められた意味も共有することで、お子様の成長や幸せを願う親御さんの思いもより伝わることでしょう。

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