幼いころから、ひらがなやカタカナなどの文字や言葉に慣れ親しんでいると、自然と身に付くだけでなく、表現の幅が広がったり、思考力が身に付いたりすると言われています。しかし、小さなお子様に文字を“お勉強”として教えるのは一苦労。そこで、Benesseこどもちゃれんじの「まなびあそびレシピ」を担当されている、おもちゃ作家の佐藤蕗さんに、楽しみながら文字や言葉と親しむことができる知育遊びと手作りおもちゃについて伺いました。
手作りおもちゃ作家
2児の母。建築設計事務所勤務を経て、第1子出産を機にフリーランスに。育児をしながら作っていたおもちゃが反響を呼び、イラストレーターの活動のかたわら、造形作家として、雑誌、web、テレビで活躍中。著書に「ふきさんのおもちゃ大百科」シリーズ(偕成社)、「親子で笑顔になれる “魔法の手作りおもちゃ”レシピ」(宝島社)などがある。
ホームページ:https://note.com/fukisato
オンラインサロン:https://community.camp-fire.jp/projects/view/529758
手作りおもちゃ作家の佐藤蕗です。私には10歳と3歳の息子がいるのですが、知育につながるような遊びやおもちゃを生み出し、一緒に楽しむことで、子どもがいつの間にかひらがなを全部覚えていた! という経験があります。今回はそんな遊びやおもちゃをご紹介しますので、お子様が興味を示したらぜひ一緒に楽しんでみてください。
「学ぶ」よりも「親しむ」! 佐藤蕗さんの考える言葉と文字の知育
知育は、遊びなどを通して自然と考える力や判断力などを養っていくことを指しますが、実践するうえで何より大切なのは“楽しむこと”だと私は考えています。「この年齢なら字が読めなきゃダメ」と親が焦って無理強いしちゃうと子どもは楽しめず、大人都合のお勉強になってしまうんですね。親が学ばせたい時期ではなく、子どもが興味を持つ時期を優先してあげてください。とくに未就学児は、お子様の“楽しい”という感覚を大切にしてあげましょう。
ひらがなは、早い子だと3歳前半くらいから興味を持ち始めると言われていますが、5〜6歳くらいからという子もいるので、個人差が大きいんですね。「うちの子はまだ文字が読めない」と不安に感じている方もいるかもしれませんが、これだけ個人差があるのでほかの子と比べる必要はないと思います。また、子どもが知育おもちゃなどで遊んでいるときは様子を観察して、間違いがあっても口出しせず見守ってあげましょう。正しい文字は後々覚えていくもの。子どもがワクワクしながら自由に遊んでいることが、文字と親しんでいるサインです。
お家のなかで言葉に親しむ「くらしのひらがな」
出典:くらしのひらがな
「くらしのひらがな」は、長男がひらがなに興味を持ち始めたときに思いついた遊びで、お家のなかの家具や設備だけでなく、空間や現象も文字にして表したものです。日常生活のなかにひらがなを配置して、楽しみながら自然と親しむ「空間あいうえお表」とも言えるでしょう。外国人の友人が日本語を覚えるために、窓に「まど」、冷蔵庫に「れいぞうこ」とマスキングテープに文字を書いて貼っていたのをアレンジした感じですね。とにかく作るのが楽しいうえに子どもの反応もすごく良くて、息子はどんどん文字が読めるようになりました。文字を覚えるまでの限られた時期だからこそ一緒に楽しめる遊びなので、私自身やって良かったと思っています。
なかでも好評だったのは「ひかり」と「かげ」。私が主宰しているオンラインサロンでは、とくに児童館の先生からの反響が大きくて、実際に作ってくれた方もいます。お家だけでなく、子どもが集う場所ならどこでも楽しめるのではないでしょうか。
「くらしのひらがな」の作り方は、画用紙を文字の形に切り抜いて、弱粘性の両面テープで貼るだけ。私は後に作品として製作したのでカッティングシートを使ってクオリティを追求しましたが、お家にある材料でぜんぜんOKですし、きれいにできなくても大丈夫です。楽しむことが大切なので、完成度は気にしないでください。
冷蔵庫などの磁石がくっつくところには、マグネットシートを使うのも良いですね。ペタペタ貼って遊べるので、手の感覚も加わってさらに楽しめると思います。文字を切り抜くのが苦手な方は、100円ショップのひらがなマグネットを使ってもOK。小学校でひらがなを習い始めたら、子どもの書いた字を切り取って作ってあげるとさらに喜んでくれると思います。
お菓子でひらがな探し!? 大人も楽しい知育遊び「ひらがなくらべ」
ひらがながわかるようになったらステップアップして、身の回りの文字に注目してみるといろんな発見がありますよ。お菓子や調味料などのパッケージからひらがなを切り取って集める遊び「ひらがなくらべ」は、普段何気なく見ている文字を違う角度からとらえることができるのでオススメです。集めて見比べると、同じ文字でも見た目がまったく違っていて、不思議で面白いと思います。「この文字はどの商品の文字か? 」を当てるクイズも楽しいですね。大人と子どもだと着眼点がまったく違うので、思いも寄らない答えが返ってきて盛り上がりますよ。
「ひらがなくらべ」は、長男がひらがなを読み書きできるようになった小学1年生のころに思いついた遊びです。学校で文字のとめ・はね・はらいなどをしっかり学んだ後、実際に身の回りで使われている文字を見ると、教科書にはない“ひらがなの形”が発見できるので、興味を持ってくれるはず。「そ」や「さ」など、書体によって形が変わるひらがなは、子どもにとっては知らない文字なんですね。同じひらがなでもデザインによっておしゃれに見えたり、おいしそうに見えたりして、形が変わると表情も変わるといった面白さが味わえます。お子様の成長段階に合わせて、漢字や外国の文字でやってみるなど、いろいろと楽しんでみてくださいね。
「ぬ」は見つかる? 散歩中にできる楽しい知育遊び「もじさがし散歩」
外へ出て文字に親しむ方法もあって、「もじさがし散歩」は街中を歩きながら看板や標識、ナンバープレートから特定のひらがなを探す遊びです。なかでも「ぬ」がなかなか見つけられなくて、当時は「ぬさがし」と呼んでいましたね。「あいうえお表」だと全部の文字が同列で並んでいるのに、街中ではよく見る文字とあまり使われてない文字の差が激しくて、レアな文字を探すのが楽しいんです。大人でも夢中になって注意力散漫になってしまうことがあるので、お子様と一緒に遊ぶときは手をつないで、目を離さないようにしてくださいね。ちなみに地域差があるので、「ぬ」がたくさん見付かるなら別の文字を探すのがオススメです。
公園遊びの新アイデア! ひらがな・カタカナ・英語も作れる「小枝で図形作り」
公園などで落ちている枝を集め、文字を作る遊びが「小枝で図形作り」です。これは、息子が落ちている枝を使ってひらがなや漢字を作っていたときに思いつきました。枝と枝を組み合わせると、ひらがなやカタカナ、アルファベットなどいろんな文字を作ることができますし、「口」や「肉」といった簡単な漢字も作れるんですよ。足りない濁点などの部分は、葉っぱや木の実で補うといったアイデアが子どもから自然と生まれてくることもありますね。
枝と枝をカラフルなモールで固定するとビビッドな色がアクセントになってかわいいのですが、なくてもOK。即興でも十分楽しめる遊びです。枝を探すといろんな形のものが落ちていて、アルファベットの「Y」、ひらがなの「く」、カタカナの「イ」などの形をした枝を見つけたら、なんかラッキー! って気分になりましたね(笑)。もとの枝の形を生かして子どもたちは何ができるか想像するので、創作意欲もわき立つと思います。遊ぶときは、子どもが興味を持ったら文字だけと限定せず、台形や三角形などの図形でも何でも自由に遊ばせましょう。大人が誘導するのではなく、子どもの自由な発想で遊ばせることが、結果的に学びへとつながっていくと思います。
文字や言葉と慣れ親しむ知育遊び & 知育おもちゃの作り方 まとめ
文字を使って一緒に遊ぶと「この子はこの文字が好きなんだ」とか、「文字よりも数字や図形に興味津々なんだね」とか、気付くことが多々あります。基本的に遊び方は子どもの自由なので、危ないことでなければ制限せずに見守るようにしましょう。ぜひ今回ご紹介した遊びやおもちゃで、文字や言葉と親しんでみてくださいね。
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