猛烈な暑さだった今年の夏も終わり、涼しい季節がやってきました。これから寒い冬を迎えるわけですが、今のうちにご自宅の暖房を見直してみるのはいかがでしょう。家電ライターの藤山哲人さんに、お家を効率よく温めるオススメ暖房設備について、お話を伺いました。
お話を伺った藤山哲人さん プロフィール
家電の紹介やしくみ、選び方や便利な使い方などを紹介するプロの家電ライター。独自の測定器やプログラムを開発して、家電の性能を数値化(見える化)し、徹底的に使ってレビューするのをモットーとしているため「体当たり家電ライター」との異名も。「マツコの知らない世界」(番組史上最多の6回出演)や「アッコにおまかせ」、「NHKごごナマ」などをはじめ、朝や昼の情報番組に多数出演。現在、インプレスの「家電Watch」「PC Watch」や「文春オンライン」「現代デジタル」などのWeb媒体、ABCラジオで連載やコーナーを持っている。
最も効率がいい暖房設備はエアコン!
僕がすすめる暖房設備はなんといってもエアコンですね。今は石油もガスも値上がりしているので、ストーブよりもエアコンのほうが節約できます。メーカーごとに特色もあって、部屋を均一に温めたいなら富士通ゼネラルやダイキン。風を吹き分けて、部屋のスペースごとに温度を調整したいなら、日立かパナソニックか三菱です。最新モデルのものは暖房性能も高いので、日本だったら札幌あたりまでは寒冷地仕様のエアコン1台でいけます。それより北の寒い地域にお住まいなら、石油ファンヒーターやセラミックヒーターを併用するといいですね。
オススメの石油ファンヒーターはダイニチ工業製
石油ファンヒーターでいうと、ダイニチ工業のものがいいと思います。「秒速消臭システムプレミアム」という特許技術を使っているので、消したあとの嫌なニオイがほとんど出ません。速暖機能にも優れていて、スイッチを入れたら35~40秒くらいで着火しますね。冷えた部屋でも、すばやく温めてくれます。最近のものは「オートターボ運転」という機能も付いていて、室温が15℃以下になると自動的に最大火力になるので、利便性も高いです。
オススメのセラミックヒーターはアラジン製
セラミックヒーターはアラジンのものがオススメです。こちらは、0.2秒で発熱する特許技術「遠赤グラファイト」を搭載しているので、素早く効率的に部屋を温めてくれます。ちなみにこの特許は、トースターやホットプレートなどの調理器具にも使われていますね。アラジンはもともとストーブメーカーだったのですが、3年くらい前から電化製品も出しはじめました。安全性も考慮されていて、ヒーターの表面に付いている赤外線モジュールが異物を感知すると、自動的に電源をオフにしてくれます。なので、ちょっとした拍子に衣服やカーテンが当たってしまっても、すぐに消えるので安心ですね。
深夜の安い電力でお湯をわかして一日中保温しておくエコキュート
給湯はガスという常識を覆すエコな給湯システムがエコキュートです。深夜の安い電力を使ってお湯(最大90℃ほど)を沸かし、屋外に設置した小型のタンスのような容器にお湯を貯めておきます。お風呂や食器を洗う低温のお湯は、タンクでさめて40℃ほどになったお湯を供給し、熱いお湯がほしいときは、タンク上部の90℃のお湯を使うというわけです。
さらにエコキュートで温めたお湯を利用する暖房も販売されています。夜間の安い電力で沸かしたお湯を使うので、一般的なエアコンよりも少ないコストで運用できるわけですね(電力のタイムシフト)。普通に温風を出すものもありますが、オススメなのは床暖房。仕組みとしては床下に温水パネルを敷き詰め、そこにお湯を循環させて部屋全体を温めるといったものです。導入コストはエコキュートと合わせて100万円くらいかかりますが、寒い地域でなければ床暖房だけで冬を過ごせたりできるので、10年使用すれば元がとれて、それ以降はエアコンよりお得になります。柔らかい暖かさの熱が放出されるので、脱衣所に設置すればヒートショックの防止にもなりますし、これから一戸建てを建てるのであれば、エコキュートと床暖房は導入したほうがいいと思います。
床暖房の注意点
便利な床暖房ですが、いくつか注意点があります。通常のエアコンに比べて床に熱がたまるので、赤ちゃんのいるご家庭では高めのベビーベッドで寝かせるなどのケアが必要です。あとは犬や猫などのペットも肉球から熱を吸収して体温が上がってしまうので、対策が必要になります。それと、常に足が暖かいと頭がボーとしちゃう方もいるので、床暖房を入れたい場合は導入済みのお宅などに行って、自分は大丈夫なのか試すといいですね。
エコジョーズを導入すれば節約にもなる!
暖房設備とは少し違うのですが、給湯器の「エコジョーズ」というものを導入すると、ガス代が節約できます。エコジョーズは今まで捨てられていた排気熱を有効活用して、水を2回温める機構を持っているので、少ないガス消費量で効率よくお湯が沸かせます。今まで室外機で外に出していた熱エネルギーをリサイクルする感じですね。ガス代だけでも、年間25,000円の節約になります。
まとめ
暖房はお住いの地域やお家の性質によって、使い勝手のいいものが分かれるようです。ご自宅に合う暖房設備を選別し、効率よくお部屋を温めれば、節約にもつながりそうですね。