これからマイホーム購入を考えている方には、一戸建てだと「雨漏り」が心配という方も多いのではないでしょうか。「雨漏り」が起きると、天井や壁に染みができるなど見栄えが悪くなるのはもちろんですが、雨水が既に家の中まで浸透しているということは内部構造へのダメージも気になります。ここでは、一戸建て住宅で雨漏りが発生する原因を場所ごとに紹介し、事前の注意点を解説します。
目次
屋根
外壁
ベランダ・バルコニー
窓
施工不良
一戸建てで雨漏りが発生する主な原因は「屋根」
一般的に、雨漏りといえば、「屋根」からの雨漏りを思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。
屋根は「野地板」という下地板の上に「ルーフィング」という防水シートを敷き、そのうえに「屋根材」が乗っています。屋根材が何かの拍子にズレてしまう、ヒビが入ったり割れが生じたりした場合、その隙間から雨水が入り込みます。台風などの自然災害が原因である日突然破損してしまうこともありますし、築年数が経過したことによる劣化や破損も原因として考えられます。
屋根材は主に、昔から日本人が慣れ親しんできた「瓦」や、粘板岩を薄い板状に加工した「スレート」、アルミニウムと亜鉛を主とした合金めっき鋼板の「ガルバリウム鋼板」などがあります。瓦は割れてしまうリスクが大きく、スレートは塗膜の効果が薄れると雨水をしみ込みやすくなり、ガルバリウム鋼板は経年劣化で錆びる可能性があります。
また、屋根材の接合部を覆う「板金」の劣化や、板金を固定したビスやクギが緩んでしまったことで隙間から雨水が入り込むケースも少なくありません。
加えて、雨水は屋根材の上を通り、雨樋を流れて排水します。雨樋の経年劣化や積雪などによる破損、落ち葉などで詰まってしまうことも多く、雨水がせき止められて外壁へ溢れ出し、雨漏りに繋がることがあります。
いずれにしろ、雨水が入り込みルーフィングも通過してしまうと、野地板に雨水が染み込み、腐食やカビの原因となります。そうなる前に対処できるよう、定期的なメンテナンスが大切です。
意外と多い「外壁」からの雨漏り
意外と多いのが「外壁」からの雨漏りです。原因としては、経年劣化や大きな地震などの影響でクラック（ひび）が入ってしまうケースや、塗装が剝がれてしまうことによる防水機能の低下などが挙げられます。
また、住宅の外壁に採用されることが多いサイディングは、目地や窓枠の周囲などの隙間を樹脂系の充填剤「コーキング」で埋めて施工します。コーキングは紫外線や雨風に晒されることにより10年程度で劣化するといわれ、劣化により生じた隙間から雨水が侵入する可能性があります。定期的に、古いコーキングを剥がして打ち直しを行うようにしましょう。
一方、不要な箇所にコーキングを打ってしまうことで雨水が流れない、1ヶ所に溜まってしまうといったケースもあります。その場合は、コーキングを剥がすことで解決します。
「ベランダ」「バルコニー」も要チェック
ベランダやバルコニーで雨漏りが発生する原因として多いのが、床面の劣化です。風雨や太陽の光に晒され続けることで防水シートや防水塗装が劣化してしまうケースが多く、クラックや表層が剝がれてしまうこともあります。
その他、ドレン（排水口）にごみが詰まってしまう、壁面にクラックが入ってしまう、手すりの上を覆っている笠木が浮いたり、錆びたりしてしまった場合も、雨漏りの原因となります。ウッドデッキをひいていたり、植木鉢などの物を置いていると掃除もしづらく、床面の負担も大きくなりますので、定期的なチェックが必要です。
窓（サッシ）などの開口部も、雨漏りリスクが大
大きな窓がたくさんある家は自然の光や風を取り入れやすく、気持ちよく過ごせるでしょう。その一方で、窓（サッシ）の数が多いほど、窓と壁の隙間を埋めるために使用したコーキングの劣化が進み隙間が生じたり、窓のまわりにヒビが入ったりと、雨漏りのリスクが高まります。特に、窓の下部にヒビが入った場合はサッシの枠に溜まった雨水が伝ってヒビの中に侵入しやすく、注意が必要です。
また、「天窓」は日照条件が思わしくない家でも自然光を取り込みやすく魅力的ですが、屋根に穴を開けることになり、雨漏りのリスクとしては高くなります。コーキングのひび割れなど、経年劣化によるケースが多く、注意をしておきたいところです。
新築時の施工不良や自然災害が原因の場合の対応は？
雨漏りの原因は経年劣化や自然災害によることが多いですが、その他にも新築時の施工不良により雨漏りが起こるケースもあります。
住宅品確法により、新築住宅の売主や施工会社は、「構造上主要な部分」と「雨水の浸入を防止する部分」に対し、引き渡し時から10年間の瑕疵（かし）担保責任を負います。つまり、施工不良により雨漏りが生じた際は、賠償責任や無償補修が義務付けられています。もし、事業者が倒産している場合には、住宅瑕疵担保履行法に基づき、住宅瑕疵担保責任保険の適用を受けることができます。
こうした法律で定められた保証の他、施工会社が独自の保証制度を提供していることも多いので、住宅を購入する前にチェックしておきましょう。
また、自然災害が原因の場合は、加入されている火災保険の補償内容に「風災、雹（ひょう）災、雪災」が入っていると保証される可能性があります。最近では日本でも竜巻被害も起きていますので、火災保険は保証内容をよく検討して加入しておきましょう。
まとめ
雨漏りは、ただ「室内に雨が漏れている」というだけでなく、カビの発生により健康を害したり、高温多湿を好むシロアリの住みかとなったり、梁や柱といった構造躯体が腐食する原因にもなります。
マイホーム購入前は雨漏りが多い場所の入念なチェックや火災保険の検討を忘れずに。そして購入後は雨漏りが発生しないよう、定期的な点検やメンテナンスを心がけるとともに、万が一雨漏りを見つけたら、放置せずに一刻も早く修理を行い、被害を最小限にとどめましょう。
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