一戸建てを新築する際、電気の契約アンペア数はどうする? 選び方のポイントを解説

一戸建てを新築すると、入居前に電気やガス、水道といったライフラインの手続きを行います。電気に関しては契約アンペア数を決める必要があり、契約するアンペア数により電気代の基本料金が変わってきます。できるだけ安いものにしたいのですが、足りないのも生活が不便になってしまいます。しかし、必要なアンペア数がよく分からないという方も多いのではないでしょうか。ここでは、電気の契約アンペア数を決める際のポイントを解説します。

一戸建てに必要なアンペア数はどのように決める?

一戸建てに必要なアンペア数はどのように決める?

分電盤にはアンペアブレーカー(写真左)と漏電ブレーカー(中央)、安全ブレーカー(右)があり、電力会社との契約に基づいているのはアンペアブレーカーです。

「アンペア(A)」とは、電気の流れる量の単位のことです。契約したアンペア数が大きいほど一度に使用できる電気量が増えますが、基本料金が高くなり、電気代の高騰に繋がります。一方、契約アンペア数が少な過ぎてしまうと、容量を超えて使用してしまった際にブレーカーが落ちてしまう恐れがあります。東京電力ホールディングスのウェブサイトによると、家庭1軒あたりの契約アンペア数は、2015年度末時点で平均34.88Aとなっています。
ただし、家族人数や建物のサイズ、家にいる時間の長さ、使用する電化製品の種類など様々な要素により、必要なアンペア数は大きく変わります。

家庭1軒あたりの使用量と契約電力(1ヶ月平均)

出典:東京電力ホールディングス「家庭1軒あたりの使用量と契約電力(1ヶ月平均)

過不足のないアンペア数で契約をするために、どのようなシチュエーションで電化製品を使用するのかシミュレーションし、必要な契約アンペア数を予測する必要があります。東京電力ホールディングスによる、主な電化製品の目安となるアンペア数は、以下の通りです。

常時使用する電化製品

常時使用する電化製品

冷蔵庫は、基本的に常時稼働している電化製品です。アンペアの目安は、450Lクラスで2.5A程度です。個々の必要アンペア数は小さいですが、照明器具も部屋が暗くなれば点灯させ続けることになります。

一定の時間使用する電化製品

一定の時間使用する電化製品

「テレビを観る」「電子レンジを使用する」「炊飯器でご飯を炊く」「洗濯機を回す」「掃除機をかける」「アイロンをかける」「ドライヤーで髪を乾かす」といった一時的な行動により使用する電化製品も多数稼動しています。
アンペアの目安はそれぞれ、液晶42型テレビが2.1A・プラズマ42型テレビが4.9A、30Lクラスの電子レンジが15A、5.5合炊きのIHジャー炊飯器が13A、洗濯・脱水容量9kgのドラム式洗濯乾燥機が洗濯時2A・乾燥時13A、掃除機が弱で2A・強で10A、アイロンが14A、ヘアードライヤーが12Aです。

季節により使用する電化製品

季節により使用する電化製品

エアコンをはじめとする冷暖房器具は、ほとんど使用しない季節もあれば、終日使用している季節もあるでしょう。アンペアの目安は10畳用のインバータエアコンの場合、冷房で5.8A(立ち上がり時14A)、暖房で6.6A(立ち上がり時20A)、3畳用の電気カーペットは2分の1面で4A、全面で8Aです。

一戸建てに必要なアンペア数を計算しよう

一戸建てに必要なアンペア数を計算しよう

一戸建ての新築時に契約するアンペア数を決めるために、想定している生活ではどの程度のアンペア数が必要なのか計算をしてみましょう。

例えば、洗濯乾燥機を回しつつ、テレビを観ながら掃除機をかける場合、最大13A+4.9A+10Aで27.9A必要です。プラス、常時使用している冷蔵庫が2.5A、暖房を付ければエアコンが最大20Aと、これだけで最大時に必要な契約アンペア数は50A程度という計算となります。この他、照明器具も使用しているでしょうし、家族がパソコンで作業をしていたり、入浴してドライヤーを使用したりしていれば、その分も加味しなければなりません。
あくまで、すべての電化製品を同時に使用した場合の最大値ですから、ここまでのアンペア数がなくても、ブレーカーが落ちてしまうシーンは少ないかもしれません。しかし、アンペア数を抑えて契約した場合「洗濯乾燥機と掃除機は同時に使用しない」など日々の配慮が必要になり、不便に感じることも出てくるでしょう。

東北電力のウェブサイト内の「ご家庭のアンペアチェック」では、使用する家電製品の容量や台数を入力するだけで簡単に、契約するアンペア数の目安を知ることができます。

また、家電が使用する際の、より正確なアンペア数が知りたい場合は「消費電力(W)÷電圧(V)」の計算式で求めることができます。日本の一般的な家庭の電圧は100Vなので、例えば1,000Wの電子レンジの場合、1000W÷100V=10Aとなり、10Aが必要ということが分かります。

オール電化住宅の場合に必要なアンペア数は?

オール電化住宅の場合に必要なアンペア数は?

一戸建ての新築時に契約するアンペア数は40~60A程度が一般的ですが、オール電化住宅の場合はこの限りではありません。200VのIHクッキングヒーターを使用する場合、最大使用時58A、通常時でも20A~30Aが必要ですから、60A以上の契約が必須です。床暖房などの使用も見据え、100Aの契約をする家庭も多いようです。

新築一戸建てに必要なアンペア数 まとめ

一戸建てを新築するにあたって契約するアンペア数は、使用する電化製品などにより異なります。契約アンペア数が少なければブレーカーが落ちてしまいますし、多ければ電気代が嵩むので、過不足のないアンペア数に設定することが大切です。住み始めてから変更手続きをすることもできますが、一度変更すると基本的に1年間は再変更ができません。できれば新築時の契約段階で必要な容量を計算し、最適なアンペア数での契約を心がけましょう。

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