愛犬とのペット旅行を楽しむには? ドッグトレーナーが教える「4つのしつけ」のコツ

家族の一員であるワンちゃんとは、旅先でもずっと一緒にいたいもの。しかし、ドッグトレーナーの松本秀樹さんが実施したアンケート調査によると、愛犬と旅行に行きたいと思っている飼い主さんは全体の7割で、そのうち実際に行けた方は3割ほどしかいないそうです。行けない理由は家庭によってさまざまですが、しつけに対する不安で諦めている方も多いのだとか。そこで、しつけのお悩み相談もおこなっている松本さんに、愛犬との旅行を楽しむための「4つのしつけ」について伺いました。テレビのペット番組に始まり、プライベートでも愛犬とたくさんの旅をしてきた松本さんのアドバイスは必見ですよ! 旅行中のトラブルを減らすハウス・待て・おいで・トイレのしつけのコツ、宿泊時のマナーとして大切な吠えると噛むのしつけ方などをご紹介します。

ドッグトレーナー・松本秀樹のプロフィール
松本 秀樹 プロフィール
タレント/ドッグトレーナー/防災士

犬と旅するテレビ番組『ポチたま』の松本くん。18年5ヶ月間、ラブラドール・レトリーバーのまさお君、だいすけ君、まさはる君と旅をしていた。現在は犬関係の資格を多数取得した犬の達人であり、【犬のしつけに犬はいらない】理論提唱ドッグトレーナー。「わんちゃんと飼い主さんの笑顔を増やし、犬が苦手な方の笑顔も守りたい!」&「約20年間、育ててもらっているペット業界をもっと大きく、もっと楽しく、もっと正しく、もっと魅力的に!」するために株式会社まつもとひできを設立。
株式会社まつもとひでき: https://www.youtube.com/@inc-hm/featured

三度の飯より犬が好き! ドッグトレーナーの松本秀樹です! ペット番組への出演をきっかけにさまざまな動物に関する資格を取り、ドッグトレーナーとしての活動を始めて17年。ワンちゃんの気持ちに寄り添った“痛みや恐怖をともなわない犬のしつけ”や、飼い主としてのマインドなどを広く情報発信しています。愛犬と旅行に行きたいけれど、トラブルが心配で、諦めてしまう飼い主さんは少なくありません。しかし、これから紹介する「4つのしつけ」をクリアできていれば、飼い主さんもワンちゃんも、きっと旅行を楽しめるはず。犬のしつけトレーニングのコツなどもあわせてお話しするので、参考にしてくださいね!

目次
1.松本秀樹さんに聞く! 愛犬との旅行を楽しむための「4つのしつけ」
2.愛犬との旅行を楽しむための「4つのしつけ」①ハウス
3.愛犬との旅行を楽しむための「4つのしつけ」②待て
4.愛犬との旅行を楽しむための「4つのしつけ」③おいで
5.愛犬との旅行を楽しむための「4つのしつけ」④トイレ
6.愛犬が吠える&噛むときのしつけ方とは?
7.愛犬の行動の理由と原因を考える! しつけに関する悩みの解決法
8.多頭飼いのしつけのコツは? 大切なのは先住犬へのしつけと対応
9.ドッグトレーナーが教える「4つのしつけ」のコツ まとめ

松本秀樹さんに聞く! 愛犬との旅行を楽しむための「4つのしつけ」

松本秀樹さんに聞く! 愛犬との旅行を楽しむための「4つのしつけ」

愛犬との旅行を楽しむために必要なしつけは、ハウス・待て・おいで・トイレの4つです。慣れない土地で知らない人やワンちゃんと出会う環境では、周囲への迷惑やトラブル、愛犬へのストレスなどが心配になるもの。ですが、4つのしつけが身に付いていれば充実した楽しい旅になることでしょう。旅行中だけでなく、災害時に落ち着いて避難するためにも役立つので、ぜひ覚えていただきたいと思います。

犬は外に出ると警戒心と好奇心が高まり、しつけの精度が6分の1程度に落ちると言われているので、お家でのトレーニングは入念におこないましょう。とは言え、「しつけが完璧じゃないと旅行に行けない!」とハードルを上げすぎると、いつまでも旅が実現しなくなってしまいます。4つのしつけがお家でできるようになったら、普段の散歩中に試してみたり、日帰りで少し遠くに出かけたりしながらステップアップを目指してくださいね。

現在の犬のしつけ方とは? しつけの考え方と注意点

現在の犬のしつけ方とは? しつけの考え方と注意点

これまでの犬のしつけは“飼い主が教える”という考え方が根底にありました。しかし、現在のしつけは“飼い主と愛犬がともに課題のクリアを目指す”ものに変化しています。失敗させない環境を整えてあげるのが飼い主の役目でもあるわけですね。ハウスに入りたくなるような工夫をしたり、「待て」や「おいで」に反応したくなるような状況をつくったりと、ワンちゃんが失敗しないようにすることが理想です。

もうひとつ心に留めておきたいのが“犬は人間の言葉を理解できない”ということ。ずっと一緒に暮らしていると言葉が通じているように感じてしまうものですが、犬は言語をコミュニケーションツールとして使わない動物なんですね。そのうえで大事なのが“叱らない”ことです。厳しく𠮟られるという行為は、犬にとってはただただ怖い思いをするだけですし、信頼関係が失われてしまうので気を付けてくださいね。

愛犬との旅行を楽しむための「4つのしつけ」①ハウス

愛犬との旅行を楽しむための「4つのしつけ」 ハウス

4つのしつけのひとつ目は「ハウス」です。ケージや寝床、移動用のクレートなどに入るよう促すしつけですね。自宅以外の環境で過ごす旅行を見据えて、ハウスに入り慣れておくことはとても大切です。最初は特定のハウスを使ってしつけて、だんだんとほかのものでも飼い主さんが「ハウス」と言えば入るようにステップアップしましょう。慣れてくると、初めて訪れたホテルの部屋の一角を居場所として設定することもできますし、車を指差して「ハウス」と言うだけでサッと乗ってくれるようにもなりますよ。

ハウスのトレーニングは“飼い主と離れる”練習でもあります。コロナ禍の影響もあってか、最近のワンちゃんは飼い主さんがお家にいることに慣れていて、少し離れるだけでも不安になる子が増えています。しかし、お出かけや旅行の際には飼い主さんがトイレや食事にも行くわけですから、離れていてもストレスにならないようにしたいんですね。ハウスで待っていたら、そこに必ず飼い主さんが迎えに来てくれる、だから一時的に離れていても安心だと愛犬に覚えてもらいましょう!

愛犬をハウス好きにさせるには? しつけのコツと注意点

愛犬をハウス好きにさせるには? しつけのコツと注意点

ハウスのしつけは、ワンちゃんにとってケージや寝床が楽しい場所、良い場所だと認識させることから始まります。いきなり知らない箱をドンと置いて「ハウス」と言われても、当然ながら犬は入ってくれません。中におやつやお気に入りのおもちゃなどを置いて、好んで入ってくれるように工夫しましょう。ワンちゃんがハウスに興味を持って入口に顔を突っ込むところから、しつけはスタートします。とくに警戒心の強い子はなかなか入らないので、ゆっくり慣らしてください。ワンちゃんがケージや寝床に足を踏み入れたら、その瞬間に「ハウス」と声を掛けましょう。「ハウス」の合図を聴覚で感じ取ると同時に、触覚でもハウスの感触を認識します。このトレーニングを繰り返すことで、徐々にハウスの存在と合図を覚えていくわけですね。

ちなみに我が家では、ハウスを“食堂”としても活用しています。今ではごはんの準備をしているだけで、「ごはんですね! じゃあここに入りますね!」って感じで、中に入って待っているんですよ(笑)。ハウス = 美味しいものが出てきて、楽しいおもちゃがある大好きな場所だと覚えれば、愛犬は喜んで入ってくれるようになりますし、上手にしつけることもできるでしょう。

お仕置きとしてハウスに愛犬を閉じ込めるのはNG

やってはいけないのが、お仕置きとしてハウスに閉じ込めること。昔は犬が悪いことをしたらハウスに閉じ込める飼い主さんも多くいましたが、これは絶対にNGです。罰として入れられる牢屋のことなんて、誰も好きにはなれません。叱られるイメージとも結び付いて、犬はどんどんハウス嫌いになってしまいます。また、しつけの初期段階ではハウスの扉を閉めないようにしましょう。自由に出入りできる場所だと認識すると、より愛犬のしつけがスムーズに進みますよ。

愛犬との旅行を楽しむための「4つのしつけ」②待て

愛犬との旅行を楽しむための「4つのしつけ」 待て

ふたつ目のしつけは「待て」です。待てができるようになると、犬は合図とともに体を止めたり、行動をストップしたりすることを覚えます。首輪やハーネスが抜けて道路に走り出そうとしたり、ドッグランでほかのワンちゃんとケンカしそうになったりしたときでも、「待て」の一言で愛犬を止めることができるようになるわけです。宿泊施設では苦手な犬種のワンちゃんとすれ違うこともありますが、「待て」を覚えれば目が合わないように壁のほうを向かせることもできますよ。「待て」は普段の散歩中でも必要ですし、慣れない土地では見知らぬものとたくさん出会いますから、危険やトラブルを回避するためにもしっかりとトレーニングしましょう。

「待て」のしつけのコツはご褒美を見せてから隠すこと

「待て」のしつけのコツはご褒美を見せてから隠すこと

「待て」は合図によって犬の行動を止めることですが、しつけのトレーニングはおやつを使ってやりましょう! でも、待たせる時間が一瞬ではあまり意味がないので、30〜40秒ほどを目安にトレーニングしてみてください。しつけの仕方は、まず一度手の中にあるおやつを見せてから、手を閉じます。その後、手を犬の前に出して「待て」と声を掛ける。すると、犬は手元に鼻をフガフガと押し付けたり、爪でガジガジしたりなど、食べたい食べたいと求めてくるんですね。それでも手を閉じたまま、間を取りつつ「待て」の声を聞かせ、何をしてもおやつが出てこないと犬が諦めた瞬間におやつを出してあげましょう。この一連の流れによって、愛犬は欲しがるのをやめて身を引けば、おやつがもらえると認識します。さらに「待て」の声も聞いているので、合図が刷り込まれていくわけです。

「待て」の声掛けは連呼しないように注意

しつけの際に注意してほしいのが、「待て」の声掛けを「待て待て待て待て!」と間髪入れずに何度も言ってしまうこと。おやつを欲しがってじゃれついてくると、つい連呼しそうになりますが、これでは犬にとって「待て」が合図ではなくなってしまうんですね。犬は人間の言葉を理解できないので、おおまかな母音と文字数で合図を覚えます。「待て」と「待て待て待て待て!」くらいかけ離れていると、同じ合図として認識できないわけです。しつけをするときは連呼するのではなく、しっかりと音を聞かせるように「待て、ま、て」くらいがちょうど良いですよ。

ちなみにワンちゃんの名前が『ラテ』など、響きが「待て」に似ている場合は別のワードを合図にしましょう。日本で育った犬は母音を聞き取るのが得意なので、母音が同じだと混同しやすく「待て」が機能しなくなってしまうからです。英語で「ウェイト!」でも良いので、「待て」の代わりになる言葉を探してみてください。

愛犬との旅行を楽しむための「4つのしつけ」③おいで

愛犬との旅行を楽しむための「4つのしつけ」 おいで

「おいで」も「待て」同様、旅先の宿泊施設やドッグランなどでトラブルを避けるための大切なしつけです。うっかりリードを離してしまったり、首輪やハーネスが外れたりしたときも、「待て」と「おいで」が身に付いていれば危険を回避できます。「おいで」の合図でワンちゃんが飼い主さんのもとに来るよう、しっかりとトレーニングしましょう。

「おいで」のしつけはご褒美とセットでおこなう

「おいで」のしつけはご褒美とセットでおこなう

「おいで」のしつけは、おやつやごはんのタイミングでおこないます。方法はとても簡単で、おやつやごはんをあげるときに必ず「おいで」と言ってからあげること。おやつの袋を開けたときにワンちゃんが目の前にいたとしても「おいで」を言ってから出しましょう。ごはんの準備をしている時点で「ごはんだよね!」と愛犬がくっついてきても、必ず「おいで」と言ってください。この繰り返しによって、犬のなかで“おいで = 美味しい”の方程式ができあがるわけです。さらに繰り返せば、おやつやごはんを見せずに「おいで」と声を掛けても「ハイ! おやつですね!」とウキウキでやって来るようになりますよ。

ただし、おやつを見せずに「おいで」が成功したときは、後で必ずおやつをあげるようにしましょう。飼い主さんが「おいで」のしつけは完璧! と思っていても、おやつをあげないでいるとワンちゃんは“おいで = 美味しい”の方程式を忘れて、しつけの精度がゼロに戻ってしまう可能性があります。犬は経験していないと6週間で忘れる生き物と言われているので、毎回「おいで」で呼び寄せたらおやつをあげてください。おやつをあげるタイミングは、多少のタイムラグがあっても大丈夫なので、日常生活はもちろん、旅先でも「おいで」のご褒美は忘れないようにしましょう!

また、「おいで」と呼ぶ際は、怒気を含んだ言い方にならないよう気を付けてください。うまくいかずに、ついつい「おいで!!」と強く言う飼い主さんもいますが、それではしつけの精度は下がってしまいます。ワンちゃんが「行かないとパパ・ママが怒る」とか「叩かれちゃう」と思っていると、いざというときに「おいで」が機能しなくなるので要注意。愛犬が飼い主さんのそばに駆け寄りたくなるような「おいで」を心掛けてくださいね。

外出中の「おいで」のしつけはロングリードを活用

外出中の「おいで」のしつけはロングリードを活用

お家で「おいで」が成功したとしても、散歩中は失敗してしまうかもしれません。外ではしつけの精度が6分の1ほどに落ちると言われているからです。とくに広々としたドッグランなどでは楽しく走り回っていて、「おいで」と呼んでもなかなか来てくれないケースが多いんですね。外で「おいで」のトレーニングをする際は、ロングリードを活用してみましょう。普通のリードは1〜2メートルほどですが、ロングリードは10メートルや長いものだと30メートルくらいのタイプもあります。

広い場所で「おいで」と呼んでもワンちゃんが気付いていない、聞こえているのにピンときていない様子なら、声掛けと同時にロングリードをグッと引きます。すると、聴覚とともに触覚でも「おいで」の合図が伝わるので、ワンちゃんもハッとして戻ってくるわけです。お家ではできるのに外ではうまくいかない場合は、ぜひロングリードを検討してみてください。

愛犬との旅行を楽しむための「4つのしつけ」④トイレ

愛犬との旅行を楽しむための「4つのしつけ」 トイレ

4つのしつけ、最後は「トイレ」です。毎日の排尿・排便は健康面においても大切ですが、旅先ではいつもと違う場所でしなければなりません。普段と生活リズムが違うこともあるでしょう。ワンちゃんが自宅以外でも適切にトイレができるよう、飼い主さんがコントロールする必要があるわけです。旅先では、トイレ以外の場所で粗相すると宿泊施設や周囲の人に迷惑がかかりますし、ワンちゃん自身も強いストレスを感じてしまいます。犬も人間も楽しく過ごせる旅行にするため、トイレはしっかりとしつけてくださいね。

トイレのしつけはタイミングが重要

トイレのしつけはタイミングが重要

トイレのしつけとは、“排泄してはいけない場所でさせないこと”です。ワンちゃんには室内でのみ排泄する子や、逆に屋外でないとできない子もいますが、しつけによって中でも外でもトイレが可能になれば、旅行中でも安心して行動できますよ。そのためにも合図で排泄をコントロールできるようになりましょう。

まずは排尿・排便それぞれの合図を決めます。トイレのトレーニングでは「ワンツー、ワンツー」といった声掛けがポピュラーですが、我が家ではおしっこは「チッチッチ」、うんちは「うんち、うんち」と声掛けしていますね。声を掛け始めるのは、床からペットシーツに足を踏み入れたときです。足の感覚に変化があるので、視覚・聴覚・触覚すべてをトイレと結び付けられます。男の子なら電柱や木などにマーキングしたいという本能があるので、ペットボトルにシートを巻いたものをトイレに設置するのもオススメですよ。

トイレのしつけで最も大切なのはタイミングです。水やごはんの量、経過時間などを計算して、排泄のタイミングを見計らってトレーニングしましょう。普段から観察しておくことで、旅先でも適切にトイレをさせられるようになりますよ。トレーニングを重ねると、合図とともに排泄できるようになりますが、普段使っているトイレ以外でも大丈夫な子もいれば、そうでない子もいます。まだお出かけや旅行に慣れていないうちは、お家で使っているペットシーツを必ず持って行くようにしましょう。

愛犬が粗相してしまっても怒るのはNG

トイレのしつけでのNG行為は、やはり怒ることです。お家の中では完璧でも、出先では粗相してしまうことがあるかもしれません。それでも叱りつけないようにしてくださいね。「ここでおしっこしちゃダメでしょ!」と言ったところで人間の言葉は理解できず、ワンちゃんは「おしっこをしたらパパ・ママが怖くなった」と認識します。その結果、信頼関係は弱まり、ワンちゃんがおしっこやうんちを我慢するようになってしまうことも……。排泄がうまくできないと病気になってしまいますから、トイレに失敗しても絶対に叱りつけたり叩いたりしないようにしましょう。

ペット旅行には必須!? 犬のマナーパンツ&マナーベルト

ペット旅行には必須!? 犬のマナーパンツ&マナーベルト

トイレのしつけが順調でも、旅行の際にはマナーベルトやマナーパンツを準備してください。マナーベルトは男の子用のアイテムで、マーキングや尿もれを防ぐためのもの。散歩中などにあっちこっちでおしっこしてしまう子の場合は、布製のマナーベルトの中に吸水パッドを入れると良いですね。マナーパンツはいわゆる犬用オムツで、男女ともに使えるほか、女の子は生理のケア用品としても使用します。一度におしっこをたくさん出す子であればマナーパンツのほうが使い勝手が良いですよ。

マナーベルトやマナーパンツは犬の体にしっかりフィットさせて使うものなので、選ぶ際はサイズチェックがとても重要です。取り扱っているメーカーのホームページに測ってほしい場所と対応サイズが載っていますから、よく確認してジャストフィットするものを選びましょう。メーカーによって測る部分が違うこともあるので注意してください。また、測る際はメジャーを少し強めにギュッと巻くと、サイズ間違いを防げますよ。

愛犬が吠える&噛むときのしつけ方とは?

愛犬が吠える&噛むときのしつけ方とは?

愛犬と旅行するうえで、吠えたり噛んだりといった行動を不安視する飼い主さんも多いのではないでしょうか? まず理解しておきたいのは、吠える・噛むは犬にとって本能的な行為であり、当たり前の行動だということ。しかし人間と生きる社会では、周りへの配慮として、吠えたり噛んだりする行為を制御しなければいけません。吠える、噛むことをさせないためのしつけで重要なのは、愛犬の行動分析です。我が子がなぜ吠えるのか? なぜ噛むのか? どんな条件下で吠えたり噛んだりしてしまうのか? よ~く観察してください。犬にとっては普通の行為なので、吠えた・噛みついたから怒られたとは理解できませんから、むやみに叱らないよう気を付けてくださいね。

愛犬がインターホンに反応して吠える場合のしつけ方

よく吠えてしまう子に多いのが、インターホンに反応するケースです。たとえばお家に宅配便が届いたとき、インターホンがピンポンと鳴って、飼い主さんが玄関に向かい、ワンちゃんも反応して付いてくる。そこに知らない人がいるので、吠えるわけです。宅配業者の方は荷物を届けたらその場を去るんですが、愛犬からしてみれば「吠えて敵を追い払ってやったぜ! ママとパパを守ったぜ!」という成功体験になります。つまり、“インターホンが鳴る = 吠えて敵を追い払わなきゃ!”の方程式が犬のなかで確立してしまうんですね。

インターホンによる吠え癖をなくすには、まずインターホンの音を録音してください。そして、ワンちゃんと一緒にいるとき、さりげなく再生しましょう。するとワンちゃんは当然、吠えながら玄関へとダッシュ! 飼い主さんのほうを見つつ「今から敵が来るよね? でも大丈夫、守るからね!」という風に、いつもの行動を取るはずです。しかし、飼い主さんは玄関に向かわないし、知らない人も来ない。ワンちゃんからすると「あれっ?」となるわけです。この経験を重ねることで、“インターホンが鳴る = 吠えて敵を追い払わなきゃ!”の方程式を崩していきます。さらに、家族全員が帰宅時にインターホンを鳴らすようにしてみてください。ピンポンの音を聞いて「知らない人が来た! 敵が来た!」と玄関に向かうと、大好きな家族が帰ってくる。そうすることで、インターホンが鳴ることに対するマイナスな印象、知らない人が来るという固定観念はどんどん薄れていきますから、吠えることが少なくなりますよ。吠える機会が少なくなればなるほど、吠えるという行為を忘れていくので、お家でも外でも吠えにくい子になるはずです。

愛犬が噛んでしまうときのしつけ方

噛む行為に対しても、噛んでしまう理由や条件を見つけてあげましょう。僕が最近ご相談いただいたのは、飼い主さんが抱っこしているときに噛まれることが多いというケース。ワンちゃんを膝に乗せている状態で脚の向きを変えたときや、インターホンが鳴ったから立ち上がろうとするときに噛まれるそうです。この場合、ワンちゃんは不満があるわけではなく、おそらく反射的に行動しています。実際に噛んだときの動画も見ましたが、ワンちゃんは飼い主さんを噛んだ後「しまった……!」って表情になっていたんですね。噛みたくて噛んでいるわけではなく、飼い主さんの動きに神経が反応して、咄嗟に噛んでしまう。本能と反射による行動をやめさせることはできませんから、このケースでは膝の上に乗せないことを提案しましたね。

吠える、噛む子の件はあくまでも一例で、犬によって理由はさまざまです。普段の生活のなかで、どんなときに吠えてしまうのか? 何が起きると噛んでしまうのか? それらをよく観察して、吠える・噛む条件が揃わないように環境を整えてあげることが大切です。条件が揃いそうになったとき、気を逸らすために「おいで」で呼び寄せて、遊んであげるのも有効ですよ。

愛犬の行動の理由と原因を考える! しつけに関する悩みの解決法

愛犬の行動の理由と原因を考える! しつけに関する悩みの解決法

飼い主さんから相談されるしつけの悩みのなかで、とくに多いのが「落ち着きがなくて、こっちの声を聞いていない」という内容です。興奮しやすさは個体差がありますが、多くの犬は外へ行くとテンションが上がってしまうもの。そんなとき飼い主さんができる対処法は、“自分が落ち着くこと”です。犬が興奮状態のときに人間も大きな声を出したり慌てたりしていると、犬はもっと落ち着きがなくなり、ヒートアップしてしまいます。ワンちゃんが興奮していると思ったら、飼い主さんはテンションをできるだけ下げて対応しましょう。すると、「あれ? ここはテンション上げる場所じゃないのかな?」と気付いて、だんだんと落ち着くはずです。もちろん、ドッグランなどで安全に遊び回れる状況であれば思いっきりはしゃいで良いので、そのときには同じようにテンションを上げて遊んでくださいね。

「ウチの子は落ち着きがない」という相談のなかには、散歩中ずっと引っ張られて大変と悩む方もいます。ワンちゃんが飼い主さんをグイグイと引っ張って止まらないときにはさまざまな理由があり、単純に散歩がうれしい場合もあれば、運動不足が原因のときもあるんですね。とくに若い犬の場合、普段の散歩だけでは運動量が足りていないケースが多いので、途中で公園などに立ち寄って遊ばせてあげましょう。ヘトヘトになるくらい思いっきり走り回って遊んで満足すれば、帰り道には引っ張るようなこともなくなるでしょう。

多頭飼いのしつけのコツは? 大切なのは先住犬へのしつけと対応

多頭飼いのしつけのコツは? 大切なのは先住犬へのしつけと対応

新しい犬をお家に迎える場合も基本的なしつけ方は同じなのですが、実は先住犬のしつけができていればスムーズに進みます。犬は模倣学習するので、先住犬に真似して行動するんですね。個体差があったり、トイレの合図を変えたりする必要はあるものの、飼い主さんからのしつけ以上に先住犬から学んでくれることでしょう。

気を付ける点は、飼い主さんの先住犬への対応です。新しい子を迎えると、どうしてもその子が気になりますが、先住犬を中心に考えましょう。飼い主さんが新しい子をかまいすぎていると、先住犬はヤキモチを焼いてしまうので、できるだけ先住犬の子をたっぷりとかわいがってあげてください。新しい子の前で大事にしてあげると、「この子がいると、パパ・ママからいっぱい愛情をもらえる!」と認識するので、その存在がとてもポジティブなものになるんです。そうすると2匹の関係も良好になり、先住犬が新しい子にどんどんお家のルールやしつけを教えてくれますよ。

ドッグトレーナーが教える「4つのしつけ」のコツ まとめ

愛犬との旅行を楽しむための4つのしつけについて、お話ししました。ハウス・待て・おいで・トイレは普段の生活でも散歩中でも必ず役立つしつけです。ご紹介したコツも参考にしながら、ワンちゃんとともにしつけの課題クリアを目指しましょう。新しい土地でたくさんの出会いや発見がある旅行は、愛犬にとっても豊かな経験であり、飼い主さんとの絆を深めるものにもなりますよ。お家でのしつけができるようになったら、次は外で! 外でのしつけがある程度できるようになったら日帰り旅行から楽しむ! といった感じで、徐々にステップアップしていきましょう!

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