犯罪者に狙われにくい立地や防犯設備は? マンションの防犯対策を専門家が解説

近年、日本各地で住居を狙った犯罪事件が多発しています。なかでも連日のように報道されている強盗事件のターゲットは、一戸建て住宅が中心。インターネットの一部では「一戸建て住宅は危険」「マンションのほうが安全」という意見が発信されていますが、本当にマンションは安全なのでしょうか? 防犯アナリストの桜井礼子さんは、一戸建て住宅もマンションもそれぞれリスクがあるので、マンションだから安全だと過信せず、きちんと防犯対策をしてほしいと語っています。そこで、さまざまなメディアでご活躍中の桜井さんに、マンション選びの際にチェックすべき防犯設備やマンションの防犯対策について詳しく伺いました。桜井さんは自身の子育て経験を活かした「防犯ママ」としても活動されており、マンションでの子どもの犯罪被害や留守番についてのアドバイスもいただきましたので、子育て中の親御さんは必見です。

防犯アナリスト・桜井礼子のプロフィール
桜井 礼子 プロフィール
一般社団法人日本防犯学校 副学長、防犯アナリスト、防犯ママ

防犯専門家 日本初女性防犯アナリスト 一般社団法人日本防犯学校副学長。 防犯界の第一人者、予知防犯提唱者、テレビでお馴染み「防犯の梅さん」こと梅本正行氏の一番弟子。梅本氏とともに事件現場の検証と取材に携わる。子育て経験や高齢者の親がいた経験を活かし、子ども・女性・高齢者の防犯対策をはじめ、住宅・地域の防犯対策を分かりやすく解説。『予知防犯』を提唱する活動を展開している。
一般社団法人 日本防犯学校:https://www.j-ss.org/

「防犯ママ」こと防犯アナリストの桜井礼子です。犯罪被害に遭いやすいのは、女性や子ども、高齢者のような社会的弱者です。私は、これらの方々が犯罪被害に遭わないために、自分自身の経験を活かした防犯対策の普及に努めています。現在、賃貸マンションなどの集合住宅に住んでいる方のなかには、「オートロックだから大丈夫」「防犯カメラがあるから安心」と思っている方も少なくないでしょう。しかし、どれだけ防犯設備が充実していても、犯罪被害に遭わないとは限りません。その理由も含め、マンションを狙った犯罪事件とその防犯対策について詳しく解説していきたいと思います。現在マンションに住んでいる方はもちろん、入居先のマンションを選んでいる最中の方もぜひ参考にしてください。まずは日本防犯学校で提唱している「予知防犯」についてお話していきます。

目次
1.犯罪被害に遭わないためには自主防犯行動を日常化すること! 「知る」から始める防犯対策
2.空き巣や強盗、ストーカー予兆犯罪……マンションを狙う犯罪とは?
3.犯罪被害に遭わないための防犯対策を解説! マンションの「防犯生活」9選
4.オートロック、防犯カメラ、宅配ボックス……防犯アナリストがオススメするマンションの防犯設備とは?
5.オートロックがあっても要警戒! マンションの防犯設備×防犯対策で犯罪被害を未然に防ぐ
6.マンションの敷地内でも安全とは限らない……子どもを守る防犯対策を「防犯ママ」が解説
7.犯罪者に狙われにくい立地や防犯設備は? マンションの防犯対策 まとめ

犯罪被害に遭わないためには自主防犯行動を日常化すること! 「知る」から始める防犯対策

犯罪被害に遭わないためには自主防犯行動を日常化すること! 「知る」から始める防犯対策

毎日のように、空き巣や強盗など住宅を狙った事件がニュースで報じられています。最近の犯罪手口はどんどん巧妙化し、凶悪なケースも増えています。加えて、闇バイトに応募した素人が実行犯となるなど、犯罪の形態が複雑化を極めていることから、さまざまな防犯対策が必要となってきました。防犯対策と言えば、オートロックや防犯カメラなどのセキュリティシステムを思い浮かべる方もいることでしょう。しかし、防犯設備が整っていれば良いというものではありません。

防犯対策をおこなうにあたって重要なのが「予知防犯」という考え方です。予知防犯とは、犯罪を予知・予測して対策を施すという防犯学の考え方のひとつ。今後どのような犯罪被害に遭う可能性が高いかを予知・予測して、犯罪被害に遭わないように防犯対策を講じるのです。予知防犯は、①意識 → ②知識 → ③対策 の順でおこないます。まず、私たちに必要なのは“情報”です。今、どんな事件が世の中で起きているのかを知ると、防犯意識が高まります。たとえば空き巣のニュースを見たら、鍵をかけることの重要性に気付くはず。さらに「鍵をかけるだけで大丈夫かな? ほかに必要な防犯対策はなんだろう」と勉強することで、防犯知識が身に付きます。そして、能動的に集めた防犯知識を実践することで、具体的な防犯対策がとれるというわけです。

防犯対策を実践しながら送る生活を、日本防犯学校では「防犯生活」と呼んでいます。日常生活のなかで少しの工夫をするだけで、防犯対策につながる事柄は意外とたくさんあるのです。鍵をしっかり締める、下着は外に干さない、のような些細なことが私たちの身を守ってくれるんですね。防犯生活には60を超える項目があるため、住環境に合わせて優先度の高いものから取り組むのが効果的です。そのためにも、まずは日々起きている犯罪や事件について知り、防犯意識を高めましょう。では、マンションを狙う犯罪にはどのようなものがあるのか、解説していきます。

空き巣や強盗、ストーカー予兆犯罪……マンションを狙う犯罪とは?

空き巣や強盗、ストーカー予兆犯罪……マンションを狙う犯罪とは?

マンションなどの住居を狙う犯罪の種類として、まず挙げられるのが泥棒です。住人の不在時を狙う「空き巣」、寝静まった時間帯の「忍び込み」、日中の在宅時に入り込む「居空き」が日本では「三大侵入窃盗」と呼ばれています。また、最近は泥棒が凶悪化しています。首都圏を中心に相次いでいる強盗は、侵入した先で発見されて居直る「居直り強盗」をはじめ、住人を待って犯行に及ぶ「待ち受け強盗」、宅配業者やセールスなどを装って玄関のドアを開けさせて押し入ってくる「押し込み強盗」、住人を縄などで縛り上げて金品を奪う「緊縛(きんばく)強盗」など、悪質で危険な手口が存在します。待ち受け強盗は、警察では「入待ち強盗」とも呼ばれていますね。

そのほか、自転車・自家用車を所有している場合は車両そのものを盗まれる車両盗や車上荒らし、カーナビ・ナンバープレートなどの部品盗、自転車はサドル盗も存在します。郵便物盗やのぞき、下着泥棒はストーカーの予兆犯罪と考えられており、さらに悪質な犯罪被害に遭う可能性もあるため注意が必要です。鍵穴に接着剤を入れたり爪楊枝で破壊したりする器物損壊も、住まいで起こり得る犯罪被害ですね。

侵入窃盗の被害件数の4分の1は集合住宅で起こっている

空き巣などの侵入窃盗は一戸建て住宅が狙われるイメージが強く、「マンションなら大丈夫」と思っている方は少なくありません。しかし、警察庁の2022年犯罪統計データによると、侵入窃盗の被害件数の4分の1は集合住宅で起こっているのです。世間を騒がせている強盗事件も、今は一戸建て住宅が被害に遭っていますが、これからもマンションが狙われないとは限りません。マンションだから安心だとは、決して考えないようにしましょう。

住宅購入や引っ越しなど、これから住む土地を決める際は、ニュースや地域の犯罪情報に目を通し、犯罪被害の少ない立地を選んでください。地域ごとの犯罪統計は各都道府県警のホームページで確認できます。そして、犯罪被害が少ない立地であっても、しっかりと防犯意識を持って生活していただきたいと思います。では、マンションに住む場合の「防犯生活」は、どのようなことから始めれば良いのでしょうか?

犯罪被害に遭わないための防犯対策を解説! マンションの「防犯生活」9選

犯罪被害に遭わないための防犯対策を解説! マンションの「防犯生活」

防犯生活における基本中の基本が施錠です。当たり前のようで、実は完璧にできていないご家庭が少なくありません。実際に侵入窃盗の約半数は、無施錠のドアや窓から侵入されたというデータがあり、4階建て以上の集合住宅でも約4割は鍵が開いている場所から入られています。マンションの2階以上に住んでいたとしても、すべての窓やドアをしっかり施錠するよう家族全員で習慣付けましょう。もちろん、玄関のドアチェーンやドアガードの施錠も忘れないこと。マンション住まいの場合は「エントランスがオートロックだから」と玄関の鍵を締めない方も少なからずいますが、非常に危険です。家の中に人がいてもいなくても、必ず鍵をかけるようにしましょう。ゴミ出しなど少しの間の外出であっても、開けっ放しにせず施錠をしてくださいね。

マンションに住んでいて、エントランス内の集合ポストに置き鍵をする方もいますが、これも防犯上とても危ない行為です。オートロックであっても犯罪者が侵入する可能性は十分にありますし、同じマンションの住人に鍵を使われたり、郵便物などを抜かれたりする危険性もゼロではありません。防犯対策の一環として、絶対に置き鍵はしないようにしましょう。

マンションの防犯生活はまだまだたくさんありますが、なかでもとくに気を付けていただきたいものを挙げていきます。

マンションの防犯生活①表札にフルネームを書かない

個人情報は犯罪者にとって有益な情報であり、知られてしまうとさまざまな犯罪につながりかねません。自分や家族の個人情報を外部に漏らさないよう、表札は苗字だけにしましょう。家族全員のフルネームを記載することは絶対にしないでください。

マンションの防犯生活②ゴミは収集日の朝に出す

マンションの防犯生活 ゴミは収集日の朝に出す

家庭から出るゴミは、犯罪者にとっては情報の宝庫です。レシートを見れば、買い物の内容や生活レベルが分析できますし、ゴミとして捨てたもので家族構成や人物像、子どもの年齢層までわかります。実際に1ヶ月かけてゴミを漁り、住民の情報を集めていた犯罪者もいました。ゴミの日の前日から捨てておくと夜中に漁られる可能性が高くなるため、ゴミ捨ては当日の朝にしましょう。

マンションの防犯生活③洗濯物を見える場所に干さない

洗濯も住人の性別や家族構成などの情報を犯罪者に与えかねませんから、干す場所には気を付けてください。シーツなどの大物をベランダで干すのは仕方ありませんが、洋服類は室内で干しましょう。とくに下着類や子どもの制服は外から見えないスペースで室内干しをすること。また、洋服やインナーを洗濯するためにコインランドリーを利用する際は、持ち主が離れた隙に下着などが盗まれるケースがあるので、洗濯・乾燥が終わるまではその場で待ちましょう。

マンションの防犯生活④厚手のカーテンを使う

マンションの防犯生活 厚手のカーテンを使う

不在時や夜間は、レースカーテンだけではなく厚手のカーテンも閉めましょう。夜もレースカーテンだけで過ごしたいという方もいますが、暗くなると室内が丸見えになり危険です。どうしてもレースカーテンだけが良いのであれば、夜でも透けないタイプのカーテンが売られていますから、プライバシーが守られるものを使うようにしてください。

マンションの防犯生活⑤子ども部屋のカーテンにキャラクター物やかわいい柄はNG

お子様がいるご家庭で、子ども部屋の窓が外から見える場合は、かわいい柄やキャラクターもののカーテンは避けましょう。窓にシールを貼ったり、窓際にぬいぐるみを置いたりするのも良くありませんね。子どもを狙う犯罪者にお子様の存在を知られないようにすることも、防犯対策のひとつです。

マンションの防犯生活⑥不在時でも照明を点けておく

マンションの防犯生活 不在時でも照明を点けておく

お家に誰もいない気配が漂っていると、空き巣に狙われる可能性が高くなります。不在だと悟られないように、帰りが遅くなる日は通りに面した部屋の電気を点けておく、あるいはタイマー式の照明を活用して明るくしましょう。在宅しているように見せるため、厚手のカーテンは閉め切らず、10〜20センチほど隙間をつくって光が漏れるようにするのも良いですね。

マンションの防犯生活⑦固定電話のメッセージや設定を工夫

固定電話があるお家なら、留守番電話のメッセージを「ただいま留守にしております」から「ただいま手が離せません」に変更したり、固定電話への着信を携帯電話に転送するサービスを活用したりしましょう。空き巣は住宅に侵入する前、電話などを掛けて在宅か否かを確認します。留守だとわかってしまうような情報を犯罪者に与えないよう、注意してください。

マンションの防犯生活⑧近隣住民とのコミュニケーション

同じマンションの住民とは良好な関係を築きましょう。積極的にあいさつしたり、会う人の顔を覚えたりすることも防犯対策につながります。住人同士で日頃からコミュニケーションをとり、普段見かけない人物を敷地内で見たときなどは不審者情報を共有し、犯罪者が侵入しにくい環境づくりをしましょう。

マンションの防犯生活⑨怪しい車両を見かけたら情報共有と警察に通報

「わ」「れ」ナンバーのレンタカーや他地域ナンバーの車、前後のナンバーが異なる「ニコイチ」と呼ばれる車両などを見かけたら、不審車両の可能性があります。マンションの住民や近隣に住む方に情報共有し、ずっと停まっている、ぐるぐると徘徊するなど怪しい様子を見せるのであれば110番通報しましょう。

防犯生活は積み重ねるほど犯罪被害に遭いにくくなりますから、日々の暮らしのなかでひとつひとつ、おこなっていきましょう。「これくらいやっていれば大丈夫だろう」と安心せずに、できる防犯対策はすべてやることが重要です。卑劣な犯罪被害から家族や自分の身を守るために、防犯生活を心掛けてくださいね。

オートロック、防犯カメラ、宅配ボックス……防犯アナリストがオススメするマンションの防犯設備とは?

防犯アナリストがオススメするマンションの防犯設備

ここからは防犯の観点からマンションを選ぶ際のポイントと、チェックしていただきたい防犯設備についてお話します。防犯対策のポイントは①音 ②光 ③時間 ④目 ⑤通報 です。音や光を活用して威嚇する、侵入に時間をかけさせる、人の目につきやすい・防犯カメラがある、侵入者をすぐに通報できる……この5つの要素を組み合わせた複合的な防犯対策によって、より犯罪被害に遭いにくい住まいになります。

最近の強盗犯は、強引な手口で住宅に侵入するケースが多いので、そもそも敷地内に入りにくくさせることが犯罪被害を防ぐのに最も効果的です。防犯面で優れている立地としては、マンションの外構が見通しの良いフェンスなどで囲まれているのが良いですね。簡単に侵入できず、人目につきやすいので、犯罪者の心理としては侵入を諦める可能性が高くなります。さらに、夜間の照明が明るいマンションも犯罪者は避ける傾向にあるため、物件選びの際には夜の様子もチェックすると良いでしょう。

防犯対策になるマンション設備4選

防犯対策になるマンション設備

セキュリティ性を重視してマンション選びをする際に、備えているか否かチェックしていただきたい設備をご紹介します。

防犯対策になるマンション設備①オートロック

エントランスのオートロックは、セキュリティ性を重視するなら最低限あってほしい防犯設備です。オートロックに顔認証や指紋認証が導入されている場合や、エレベーターで階数を指定する際にも鍵やカードが必要になる「ダブルオートロック」システムであれば、さらに防犯効果が高いと言えますね。

防犯対策になるマンション設備②宅配ボックス

エントランスに共用設備として宅配ボックスが設置されていれば、対面で荷物を受け取る必要がないので、宅配業者を装った押し込み強盗を防ぐことができます。在宅時であっても、届いた荷物は宅配ボックスに入れるようお願いするのが良いでしょう。

防犯対策になるマンション設備③録画機能・モニター付きのインターホン

エントランスや各戸のインターホンがモニター付きであれば、顔を確認して解錠できるので、不審者の侵入が難しくなります。また、犯罪者は人から見られることを気にするため、録画機能付きモニターのインターホンというだけでも狙われにくくなります。

防犯対策になるマンション設備④窓が防犯ガラスやダブルロック仕様

ベランダ側の掃き出し窓は、犯罪者が侵入経路として選びやすい場所です。ダブルロックの仕様で、防犯ガラスであったり、防犯性の高いCPマーク付きの防犯フィルムが貼ってあったりする窓であれば、かなりセキュリティ性が高いマンションだと言えます。

上記の設備が備わっているほか、管理人や警備員が常駐しているマンションも不審者が侵入しにくいと考えられますね。そして、もうひとつ重要な設備が防犯カメラです。続いては、防犯カメラについて詳しく説明していきましょう。

マンションの防犯カメラは設置場所をチェック

マンションの防犯カメラは設置場所をチェック

マンションの防犯カメラはオートロック同様、あるだけで安心な設備とは言えません。着目すべきポイントは設置場所です。エントランス内で、入口に向けて防犯カメラを設置しているマンションは多いのですが、加えてエントランスの外側にも設置してあると、防犯効果はより高くなります。外に向いている防犯カメラは、犯罪者が嫌う「アピール防犯」にもつながるので、重要なポイントです。集合ポストにも防犯カメラがあると、より安全ですね。

マンションの共用廊下、非常階段などの外階段にも防犯カメラが設置されているかチェックしましょう。エレベーター内にも防犯カメラがあり、さらに映像がエレベーターホールやエントランスのモニターで見られるタイプだと、セキュリティが充実しているマンションと言えるでしょう。

最上階も犯罪者に狙われやすい!? マンションの要注意ポイント

最上階も犯罪者に狙われやすい!? マンションの要注意ポイント

構造や設備の面で、防犯の観点から避けたほうが良いマンションについてもお話ししましょう。まず屋上への出入りが容易なマンションは危険です。犯罪者の侵入する手段として、屋上から垂らしたロープなどを伝ってベランダへと降りる「下がり蜘蛛」という手口があります。マンションの上階は安全だと思われがちで、窓の鍵の施錠を怠るご家庭も多いのですが、屋上に入りやすい建物の場合は非常に危険だと覚えておきましょう。雨樋がベランダ沿いにある場合も、犯罪者の侵入経路になりかねないため警戒が必要です。

また、マンションの敷地内や、敷地を出てすぐの場所に自動販売機がある環境も要注意。犯罪者は現場をじっくり下見して犯行に及ぶケースが多いため、怪しまれずにマンションを観察できるスペースがあると危険なんですね。犯罪者が下見をする場所として利用する空き地や公園、コンビニなどが近くにある立地のマンションも気を付けねばなりません。

専門家がオススメするマンション向けの防犯グッズ

立地や費用などの理由から、どうしてもセキュリティが十分でないマンションを選ぶ場合もあると思います。窓ガラスを変えたり、共有部にカメラを設置したりという防犯対策は簡単にはできませんが、自宅で手軽に活用できる防犯グッズもあるのです。私のオススメ防犯グッズは、ELPA(エルパ)の「窓ピタッアラーム」。ガラスを破るときの衝撃を感知したら大音量で鳴るタイプと、窓が開いたときでも鳴るタイプがあります。高精度なので雨風などの振動による誤作動もなく、開放タイプは施錠忘れにも役立ちます。厚さは8ミリと薄型で、設置も付属の両面テープで貼り付けるだけと簡単ですから、ぜひご自宅に導入していただきたい防犯グッズですね。

そのほか、玄関や室内にセンサーカメラ、ベランダにセンサーライトを設置することも防犯対策として有効です。窓に防犯フィルムを貼ったり、鍵付き補助錠を付けたり、玄関をスマートロックに変えたりするなどの防犯対策もありますが、玄関と窓はマンションの共用部にあたるため、導入する際は事前にマンションの管理会社へ相談しましょう。

オートロックがあっても要警戒! マンションの防犯設備×防犯対策で犯罪被害を未然に防ぐ

マンションの防犯設備×防犯対策で犯罪被害を未然に防ぐ

セキュリティ性の高いマンションの選び方についてお話ししましたが、防犯設備だけで安心してはいけません。「防犯設備が整っているから大丈夫」と思っていると、防犯意識が薄れてしまいがちだからです。犯罪や事件から身を守るためには、防犯への意識こそが大切。たとえばエントランスにオートロックがあるからと安心し、防犯対策をないがしろにして、自宅の施錠を忘れがちになることが少なくありません。オートロックが玄関で、自宅玄関は自室のドアのような感覚になっている方も実際にいます。犯罪者はどのような手段で侵入してくるかわかりませんし、マンション内の住人によって犯行がおこなわれる可能性もあるのです。マンションに住む若い女性が殺害された痛ましい事件で、犯人が2つ隣の部屋の住人だったというケースもありました。犯人は、被害者の帰宅時にドアの開け閉めの音はしても、「ガチャン」と鍵をかける音がしなかったため、普段から無施錠であることに気付いていたそうです。

施錠の習慣をはじめ、訪問者に対して簡単にドアを開けない、個人情報を外に出さない、不在を悟らせないなど、防犯生活のひとつひとつを疎かにせず、日々取り組んでいただきたいと思います。マンションのセキュリティ性に加えて、自身でおこなう防犯生活、さらに窓のアラームやセンサーライトなどの防犯グッズも活用して、安全な暮らしを守ってくださいね。

マンションの敷地内でも安全とは限らない……子どもを守る防犯対策を「防犯ママ」が解説

マンションの敷地内でも安全とは限らない……子どもを守る防犯対策を「防犯ママ」が解説

子どもが犯罪被害に遭う事件は、屋外や大型施設などでのケースが目立ちますが、マンションの敷地内でも安心してはいけません。実際に、次のような事件が起こっています。マンションに住む子どもたちが敷地内で待ち合わせて集団登校をしていたある朝、元気に自宅を出たはずの子どもひとりが行方不明となり、のちに同じマンションの住人に連れ去られていたと判明したのです。警察が防犯カメラを調べた結果、建物の外に出た形跡がないことから、マンション内で事件が発生したと特定されました。このような事件を防ぐために必要なのは“大人の目”です。大人がついていれば犯罪者は犯行に及びにくくなるので、できる限り親御さんが集合場所まで見送るようにしましょう。

犯罪者にとって、子どもがひとりになる瞬間は絶好の機会です。昔は「知らない人について行かない」と教えられていましたが、今は「家族以外について行ってはいけない」に変化しています。残念ながら子どもを狙う犯罪者は、見知らぬ他人よりも近所の顔見知りであることが多いからです。今は共働き家庭が多く親御さんも忙しいでしょうが、お子様が誘拐や声かけ・連れ去り、または暴行事件、性犯罪などに遭わないよう、できる限り付き添うなどして、安全を確保していただきたいと思います。

親子で学ぶ防犯対策について詳しく知りたい方はコチラ

留守番は何歳から? 子どもだけで留守番させるときの注意点

留守番は何歳から? 子どもだけで留守番させるときの注意点

共働きなどで両親ともに日中不在のご家庭では、やむを得ずお子様だけで留守番させる場合もあるでしょう。その際は、電話やインターホンには必ず出るように伝えてください。「子どもに留守番をさせるときは、電話やインターホンに出ないで居留守を使わせたほうが安全」と考える方もいますが、実は逆効果なんです。大人の気配が犯罪抑止につながるため、留守番中は必ず応答するようお子様にお願いしましょう。電話やインターホンが鳴ったら「ママは今、手が離せないので後にしてください」と伝えるように教えます。メッセージを紙に書いて、電話やインターホンの近くに貼っておき、棒読みでも構いませんから読み上げてもらってください。空き巣は侵入する前に在宅かどうか確認しようと電話やインターホンを鳴らします。居留守を使わせてしまうと侵入してきた犯罪者とお子様が鉢合わせする危険性がありますので、お子様には必ず対応するようお願いし、大人が在宅していることを匂わせましょう。

お子様が留守番できるかどうかの判断基準は、電話やインターホンに出て、相手にメッセージをきちんと伝えられるかどうかです。しかし、小学校高学年であってもやはり子どもだけの留守番はできるだけ避けてほしいですね。もし、留守番中に友達から電話が掛かってきて遊びに誘われたら、遊びたい気持ちに負けて外出してしまうかもしれません。親が知らないうちに子どもだけで外出するのは非常に危険なので、「留守番中はお家から出ないでね」と強く約束しましょう。海外では、子どもだけでの留守番は虐待とみなされるほど重い罪です。小学生になったから、高学年だから大丈夫と考えず、子どもだけの留守番は極力させないでいただきたいというのが、防犯ママからのお願いです。

犯罪者に狙われにくい立地や防犯設備は? マンションの防犯対策 まとめ

マンションに関する防犯対策について解説しました。「オートロックや防犯カメラがあるマンションだから大丈夫!」なんてことは決してありません。いくら防犯設備があっても防犯意識が低ければ、犯罪被害に巻き込まれる可能性は高まります。防犯設備は、防犯生活を送るからこそ効果を発揮するのです。犯罪被害を未然に防ぐ予知防犯の考え方と、施錠の習慣などの防犯生活が、あなたとあなたの家族を守ります。最近の犯罪はどんどん複雑で凶悪化していますから、情報をしっかり把握し、防犯対策を講じることが不可欠です。私と日本防犯学校学長の梅本が出演しているYouTubeチャンネル「梅と桜の防犯チャンネル」では、さまざまな防犯に関する情報を発信しています。もし、ご質問や不安なことがあれば定期開催しているライブ配信で直接お答えしますので、ぜひ活用して防犯情報をアップデートしていきましょう。犯罪被害に遭わないよう、ひとりひとりが防犯生活を積み重ねてくださいね。

スマートキー・スマートロックの注意点を家電のプロが解説
家庭用スマートキーやスマートロックは便利?家電のプロが教えるメリット&デメリット

一戸建て住宅とマンション、どちらに住もうかお悩みなら……
一戸建てVSマンション、あなたはどちらを買う?メリット・デメリットを比較!

泥棒に狙われやすい立地とは?
備えあれば患いなし! 一戸建てを建てるならチェックしたい防犯対策