子どもたちが毎日のように通る通学路や遊び場となる公園、大勢の人で賑わう商業施設……一見安全に見えるような場所でも危険な場所があり、子どもが狙われる犯罪事件が起こっています。ニュースなどで子どもが犯罪被害に遭った事件を知り、我が子も危険な目に遭わないか不安になる親御さんも少なくないでしょう。では、親として子どもを犯罪から守るために何ができるでしょうか? 日本防犯学校の副校長であり、「防犯ママ」としてもご活躍中の桜井礼子さんに、子どもが外出先であった犯罪被害の状況や防犯対策などを伺いました。登下校時や子どもがひとりで外に出るとき、親子でお出かけする場合など、さまざまな場所での防犯対策をお聞きしたので、保護者の方は必見です。
一般社団法人日本防犯学校 副学長、防犯アナリスト、防犯ママ
防犯専門家 日本初女性防犯アナリスト 一般社団法人日本防犯学校副学長。
防犯界の第一人者、予知防犯提唱者、テレビでお馴染み「防犯の梅さん」こと梅本正行氏の一番弟子。梅本氏とともに事件現場の検証と取材に携わる。子育て経験や高齢者の親がいた経験を活かし、子ども・女性・高齢者の防犯対策をはじめ、住宅・地域の防犯対策を分かりやすく解説。『予知防犯』を提唱する活動を展開している。
一般社団法人 日本防犯学校:https://www.j-ss.org/
「防犯ママ」こと防犯アナリストの桜井礼子です。不審者による声かけや接触をはじめ、性被害や暴力など子どもが犯罪被害に遭う事件は後を絶ちません。とくに最近では商業施設など人が集まる場所での卑劣な犯行も多く見受けられ、ますます子どもたちが安心して過ごせない世の中になっています。では、そんな現代社会で大切な子どもを守るために、親がすべきことは何か? 近年の子どもの犯罪被害の傾向や基本的な防犯対策から、公園やトイレ、商業施設など外出先での注意点について解説します。
目次
1.子どもを守る防犯対策の第一歩は犯罪被害を知ること
2.下校時はとくに注意! 通学路の防犯対策と小学生の防犯ブザーの使い方
3.犯罪者が好む公園がある!? 危険な公園の特徴と子どもを遊ばせるときの注意点
4.日本のトイレは危険!? 公衆トイレの防犯対策
5.商業施設、ゲームセンター、サービスエリア……人が多い場所でも油断は禁物! 外出先での防犯対策
6.防犯アナリストに聞く子どもの防犯対策 まとめ
子どもを守る防犯対策の第一歩は犯罪被害を知ること
日本防犯学校では、犯罪を予知・予測して施す対策である「予知防犯」を提唱しています。どのような犯罪被害に遭う可能性があるのかを予測して、あらかじめ対策しておくことが予知防犯です。とくに犯罪被害に遭いやすい女性や高齢者、子どもにとっては、日々の予知防犯がとても大切になります。そして、子どもが犯罪被害に遭わないためには、まず親が防犯意識を高めることが重要です。日頃から世の中で起きている犯罪事件、住んでいる地域の危険な場所や不審者の情報などにアンテナを張って“知る”ようにしましょう。
防犯の基本は①意識 → ②知識 → ③対策と言われています。防犯意識が高まると防御策を調べて防犯知識が身に付き、防犯知識をもとに防犯対策を実践することで、初めて子どもや自分の身を守ることができるのです。知り得た情報はお子様にも共有して、普段から家族でお家の防犯対策や不審者対策について話し合ってください。その際は親が一方的に教えるのではなく、お子様の意見を尊重しながら話すのがポイント。犯罪事件の内容を伝えて「◯◯ちゃんなら、こんなときどうする?」などと聞き、もしお子様の答えが間違っていても、否定はせずに「こうしたらもっと良いと思わない?」といったようにアドバイスする形で話し合いましょう。自分で考えながら答えを出すことで、お子様の記憶にもしっかりと残り、咄嗟の防犯行動にもつながるはずですよ。
子どもが屋外で犯罪被害に遭う事案は数多く、不審者情報をチェックしてみると「声をかけられた」「腕を掴まれた」「暴力を振るわれた」「嫌なことを言われた」「唾を吐かれた」など、さまざまな犯罪被害が報告されています。突然触られたり、露出狂に遭遇したりといったケースも増加傾向で、さらに悪質な性被害に発展することも少なくありません。加えて、今では誰もがスマホを持っているため、「スマホのカメラを向けられた」という報告も急増しました。毎日のように各地で起こっている犯罪事件を知るほど、外に出るときは常に注意が必要な世の中になってしまったのだと感じます。だからこそ、親御さんは今起こっている犯罪事件や地域の情報に敏感になる必要があるのです。
もうひとつお伝えしたいのは、子どもの犯罪被害に性別は関係ない、ということです。とくに性被害に関しては「うちは男の子だから大丈夫」と思っている親御さんが少なからずいらっしゃいますが、女の子は危ない・男の子は大丈夫という認識は変えていただきたいと思います。女の子が犯罪被害に遭うケースのほうが多いとは言え、子どもの性被害は男女ともに増えているんです。男の子であっても安心せず、犯罪者からお子様を守るための防犯対策に取り組みましょう。
子どもが犯罪者に狙われるのは“ひとり”になったタイミング
子どもが犯罪者に狙われるタイミングのほとんどは、ひとりになったときです。犯罪被害を防ぐためには、犯罪者に狙う隙を与えないよう、“子どもをひとりにしない・ひとりで行動させない”ことが非常に重要となります。塾や習い事は夕方から夜の危険な時間帯になりますから、行き帰りは親御さんが送り迎えをしていただきたいです。今は共働き家庭が多く、両親ともに忙しいご家庭が多いと思いますが、できる限り時間をやりくりしてお子様をひとりにさせないようにしましょう。
ひとりでいることに加えて、下を向いて歩いている子やおとなしそうな子も犯罪者に狙われやすい傾向にあります。実際に逮捕された犯罪者の供述では、「話しかけて騒ぐ子は避け、もじもじしておとなしい子を狙った」という内容がありました。怪しいと思ったらきっぱり拒否したり、大声をあげたりできる子は、犯罪被害を防げる可能性が高くなります。普段から意思表示がはっきりできるようになるには、お家でのコミュニケーションも重要です。親御さんは忙しくてもお子様との対話の時間を大切にして、親子で何でも話せる関係性を築くようにしましょう。
子どもの防犯標語「いかのおすし」を覚えよう
「いかのおすし」は、警視庁が定めた防犯標語で、学校でも教わります。しかし、子どもの防犯対策の基本となる言葉なので、ご家庭でもしっかりと確認しましょう。
いか……ついて「いか」ない
の……車に「の」らない
お……「お」おごえを出す
す……「す」ぐに逃げる
し……大人に「し」らせる
昔はよく「知らない人にはついて行かない」と教えられていましたが、現在は変わっており、“知っている人”でもついて行かないことが基本です。子どもが犯罪被害に遭う事件は、見ず知らずの人間だけでなく、顔見知りによる犯行も少なくありません。お家から一歩出たら、家族以外にはついて行かないことを徹底して教えることが大切です。「のらない」も同様で、知り合いであっても家族以外の車には乗らないよう伝えておきましょう。いざというとき、お子様が自らの身を守れるように「いかのおすし」を親子で一緒に覚えてくださいね。
親子で防犯意識を高める方法と「いかのおすし」について詳しく知りたい方はコチラ
下校時はとくに注意! 通学路の防犯対策と小学生の防犯ブザーの使い方
小学生の場合、学校に行くときは集団登校でも下校時は少人数、あるいはひとりになるケースが多く見受けられます。とくに小学1年生は、ほかの学年よりも授業が終わる時間が早く、ひとりになりやすいので注意が必要です。安全のためには極力ひとりにならないことが重要ですが、ひとりのタイミングがあってもお子様自身で身を守れるよう防犯対策を教えていきたいですね。
子どもの登下校時の防犯対策は、通学路を知ることから始めます。親子で一緒に通学路を歩いて、不審者が潜んでいそうな場所や事故に遭いそうな道など、通学路上の危険なポイントを大人の目線でチェックし、お子様には不用意に近付かないよう伝えましょう。また、危険を感じた際に逃げ込める“安全な場所”も確認すると良いですね。とくに地域の子どもの保護を目的とする「子ども110番の家」は通学路上に多いので、事前に共有しておくとともに、お子様と一緒にあいさつにも伺ってください。「何かあったらここに逃げるんだよ」と教えるだけでは、子どもは“知らないお家”だと感じ、いざというときに駆け込めない可能性があります。一度あいさつをしておけば、お子様にとって“知っているお家”となり、助けを求めやすい場所になるんですね。
通学路の確認ができたら、次は実際にどの道を通って帰っているかのルート確認です。ママ・パパどちらかが平日に休みを取り、お子様の下校時にこっそり尾行して、普段から決められた通学路を通っているかチェックしましょう。子どもはつい、通学路と別の道を通ったり、友達と寄り道したりしてしまうもの。しかし、それは犯罪被害に遭う可能性を上げかねない危険な行動です。学校側は生徒が通学路を通って帰っていると思っているので、何かあった際の捜索が困難になります。実際に起こった例として、通学路ではない道を利用して下校していた子どもが、犬のいるお家に立ち寄るようになり、近所の住人と親しくなって性被害に遭い殺害された事件がありました。これは学校を出てから通学路ではないルートを通っていたために、事件の発覚が遅れてしまったケースでもあります。ちょっとした気の緩みで通学路を外れたり、寄り道をしたりすることが、どれほど危険で犯罪に遭うリスクが高まるかをお子様にしっかり伝え、決められた通学路を通って真っ直ぐ帰るように教えてあげてください。
通学路の防犯対策の基本は、危険な場所を避けることですが、不審者に声を掛けられた場合の対応策もお子様と共有しておきましょう。まずは「いかのおすし」を覚えることがひとつ。そして犯罪者は、ときには子どもの善意を利用しようと接触してきます。たとえば道案内を頼まれたら、知っていても「わからないので大人の人に聞いてください」と言って断ること。また、屋外で家族以外の大人に声を掛けられたときは、相手が手を伸ばしても届かない距離を保つことも重要です。何かされる前にすぐに走って逃げられる距離を保つことを徹底して教えてください。
親御さんにもやっていただきたい防犯対策があります。お子様の通学時の持ち物、ランドセルや給食袋、上履きの袋など手に持って歩くものは、外から見える部分に名前を書かないようにしてください。子どもの名前を犯罪者に教えることになりかねません。「◯◯ちゃん」と親しげに名前を呼び、親の知人を装って子どもに近付く事案も数多く起こっていますから、名前や住所などの個人情報は見えない位置に記入しましょう。もし学校の指導で目立つ場所に書かなければいけない場合は、保護者から学校へ相談していただきたいと思います。
登下校時は手で持つ! 防犯ブザーの使い方と注意点
外出時は子どもに防犯ブザーを必ず持たせて、使い方についても親子できちんと話し合っておきましょう。登下校時はランドセルに防犯ブザーを付けている子どもも多いのですが、何かあったらすぐ鳴らせるように手で持つと良いですね。危険を感じたら鳴らした防犯ブザーを投げるのが使い方のポイントです。不審者と対峙して防犯ブザーを鳴らすと、相手は音を止めようとしてくるので、鳴らしたと同時になるべく遠くに投げ、全速力でお家まで逃げるか、近くのお店や子ども110番の家に駆けこむよう教えましょう。防犯ブザーは、近くに大人が複数いたり民家があったりすれば、そこに投げるのも有効です。ちなみに、ランドセルに固定するタイプの防犯ブザーを使っている場合は、鳴らした後はランドセルを置いて逃げるように教えてあげてください。
いざというときのために、防犯ブザーを使う練習をしておくことも重要です。お家で防犯ブザーの音を鳴らすのはちょっと……と、ためらう方もいるかもしれませんが、練習なので一瞬鳴らしてすぐ止めればOKです。また、防犯ブザーが作動しなかった場合に備えて、カラオケルームや体育館などで大声を出す練習もしておきましょう。「助けて!」など具体的な言葉に限らず「ワーッ!」と叫ぶだけでも防犯効果がありますから、いざというときに大声が出せるように練習しておくのも防犯対策のひとつですよ。
防犯ブザー以外にも、見守り用のGPS端末など子ども用の防犯グッズはいろいろとあります。キッズケータイを持たせるなら、防犯ブザー機能付きのものがオススメですね。最近では子ども用のスマートウォッチも販売されています。防犯グッズは学校や習い事、友達と遊びに行くときはもちろん、家族で出かけるときにも万が一に備えて持ち歩くようにしてください。
犯罪者が好む公園がある!? 危険な公園の特徴と子どもを遊ばせるときの注意点
子どもたちがよく遊ぶ場所と言えば公園ですが、なかには犯罪者にとって居心地の良い公園もあるのです。たとえば“ベンチの位置”。犯罪者はターゲットを物色したり、子どもに接触するタイミングを図ったりするためにベンチに座ります。道路に背を向けて設置されたベンチは、通りから顔が見えにくいので、じっくり観察しながら犯行の機会を伺うことができてしまい、犯罪者にとって好都合です。さらにトイレ近くのベンチも、子どもがトイレに入るのを確認してから追いかけて犯行に及ぶことができるため要注意。実際にトイレの中まで子どもを追いかけて、性加害事件に発展したケースもありました。
ベンチの位置のほか、表通りから中の様子が見えにくい公園も、犯行がおこなわれやすい場所だと言えます。また、出入り口が複数ある広い公園も、どこからでも入れるうえに逃げ道が多いため、犯罪者にとっては都合が良い公園です。ベンチの配置や見通しの悪さ、出入り口の多さと、今挙げた特徴がひとつでも当てはまる公園は、子どもだけでは行かせないようにしましょう。行くときには必ず親御さんが付き添い、お子様から目を離さないようにしてくださいね。
子どもの服装にも要注意! 子どもが公園で遊ぶときの注意点と親ができる防犯対策
公園へ遊びに行くときは、子どもの服装にも注意が必要です。露出が多い服装、とくに下着が見えそうな短いスカートは避けるか、下にスパッツを履くなど肌を見せない工夫をしましょう。子どもは遊びに夢中になると、周囲の目が気にならなくなります。最近は子どもを狙った盗撮被害も増加しているので、できるだけ肌や下着が見えないような服を着せてあげてくださいね。
親子で公園に行く際は、まずお子様から目を離さないこと。さらに、ベンチに大人が何人か座っていたら、顔を見てあいさつをしておくと良いでしょう。万が一、犯罪者が紛れていたとき牽制の効果があります。我が子の友達も含めて、複数人の子どもを見守る際にはとにかく“ひとりにしないこと”を徹底してください。たとえば誰かがトイレに行きたくなったら、その子に付き添います。複数人でいる子が狙われる可能性は低いので、子どもたちには必ずみんなで一緒にいること、なおかつその場を動かないことを伝えましょう。もし公園内に知り合いの保護者の方がいたら、トイレに行く間だけ見守りをお願いしても良いと思いますね。
子ども同士で遊びに行くときの注意点
公園などに遊びに行くとき、基本的には保護者が付き添ってほしいのですが、小学3、4年生くらいの年頃になると友達同士で遊びに行きたがることも増えるでしょう。その際は、「誰と」「どこで」「何時まで」いるのかを必ず確認してください。さらに、その情報を一緒に遊ぶ友達の保護者とも共有し、できれば誰かが付き添えるよう相談しましょう。我が子もほかの子どもたちも守れるよう、保護者同士で連携する心構えを持ってほしいと思います。共働きで忙しい保護者の方は多いと思いますが、防犯ママの心からのお願いです。また、他の親御さんに子どもを預かってもらう際は、お子様に「わがまま言わないようにね」と約束しておくと良いでしょう。
子どもの自転車に名前や住所を書くのはNG
子ども同士で遊びに行く場合、自転車が移動手段となるケースも多いと思います。実は自転車にも、犯罪者に狙われないための注意点があるんです。それは、自転車に氏名や住所を書かないこと。個人情報を書いたシールを貼る方がいますが、非常に危険です。公園などに行くと、子どもたちは自転車を置いて遊びますよね。犯罪者は好みの子の自転車をチェックして、名前がわかると「◯◯ちゃん」と名指しで声を掛け、親の知り合いのふりをして子どもを騙して接触するわけです。住所や電話番号など細かい情報まで書かれていたら、お家を特定される可能性もあり、さらに危険だと言えます。盗難防止のためには防犯登録された番号があれば十分なので、自転車には個人情報を記さないようにしましょう。
日本のトイレは危険!? 公衆トイレの防犯対策
近年、公共施設などのトイレで、子どもが被害に遭う痛ましい犯罪事件が数多く起こっています。原因のひとつとして考えられるのは、トイレの構造です。日本のトイレは男女の入口が隣合わせであったり、ひとつの入口から分かれたりと、男性用・女性用のトイレが近いタイプが多いんですね。このような構造は、異性のトイレに侵入がしやすいうえ、もし誰かに目撃されたとしても、間違えて入ってしまったと言い訳できる環境だと言えます。海外では男女の入口を離して、間違えようのないつくりになっているトイレが多いため、日本のトイレはとくに危険だと考えられているんですね。ですから、公園や駅、商業施設など、どんな場所のトイレであっても保護者が必ず付き添ってください。お子様が低学年の間は、個室のドアの前で待ってあげると良いでしょう。イベント会場や避難所などの仮設トイレも同様ですね。
ママと男の子、パパと女の子で行動している場合は、トイレの中まで入ることはできませんから、入口で「ママ(パパ)ここで待ってるからね!」と声を掛けて待ちましょう。この声かけによって“大人の目がある”と示すことができるので、防犯につながります。トイレ以外でも、男女のスペースが分かれる場所ではどこまで付いて行くべきか迷う親御さんも多いでしょう。たとえばプールなどの更衣室は、トイレ同様に入口で待ち、入口付近で着替えさせるのが良いと思います。銭湯や温泉などは、小さな子どもなら親御さんに合わせて入るケースもありますが、7歳以上は自身の性別に合わせて入るよう定めているところが多いですね。入浴施設は、同性の保護者が付き添えない場合は行かないという選択が安全でしょう。
商業施設、ゲームセンター、サービスエリア……人が多い場所でも油断は禁物! 外出先での防犯対策
親子でお出かけする場所と言えば、商業施設やテーマパーク、イベント会場などさまざまなスポットがあります。どこも人がたくさんいて、そんな場所で犯罪者に狙われることは少ないように思いがちですが、実はまったく安心できません。逆に人がたくさんいるからこそ、不審者・犯罪者も紛れ込みやすいのです。最近では、ひとりキャンプをする方が増えたことから、キャンプ場にも不審者が潜みやすくなりました。防犯カメラがあるキャンプ場はまだまだ少なく、気を付けるべき場所だと言えますね。
どんな場所も危険ですが、とくに注意してほしいのは子どもが集まるところです。たとえば商業施設にあるキッズスペース。「ほかの子の保護者もたくさんいるから……」と、ついついスマホを見たり、その場から離れたりする親御さんを見かけますが、非常に危険なことです。子どもが集まる場所は、子どもを狙う犯罪者にとってはターゲットを探すのに最適ですし、保護者に紛れ込むのも容易いでしょう。そこでひとりで遊んでいる子どもがいたら、ターゲットにされかねません。必ずお子様から目を離さずに、ずっとそばにいましょう。おもちゃ売り場やゲームセンターなども子どもが多く集まる場所なので、同様に注意が必要ですね。
家族で遠出をする際は、高速道路を利用する方も多いでしょう。しかし、高速道路のサービスエリアやパーキングエリア、道の駅でも子どもが被害に遭う犯罪事件が多数報告されています。トイレでの性被害のほか、車での連れ去りといったケースもあるんですね。ほかの施設と同様、トイレへの付き添いやキッズスペースでの見守りを徹底して、お子様をひとりにさせないよう注意してください。また、車にお子様を残して行かないこと。車の中だから大丈夫ということはないですし、夏場は熱中症の危険もありますから、必ず一緒に行動してあげてほしいです。
防犯アナリストに聞く子どもの防犯対策 まとめ
子どもの犯罪被害の現状と、通学路や外出時などの防犯対策についてお話ししました。学校帰りに寄り道したり、親に連絡せずに子ども同士で遊びに行ったりなど、幼いころはついついやってしまいがちなことですが、親御さんはその行為がいかに危険なのかを理解して、お子様に伝えてほしいと思います。気を付けることが多いほど、子どもは面倒くさがったり、「なんでそこまでしなきゃいけないの?」と疑問を持ったりするかもしれません。そんなときには「ママ、パパはあなたに痛い思いや悲しい思いをさせたくないんだよ」と、愛情をもってお子様を守りたい気持ちを伝えてください。今の日本は、本当に安心できない国になってしまいました。横断歩道を青信号で渡っていても、信号無視の車が突っ込んでくることもあります。つまり、安全だと思っている場所でも、思わぬ危険が潜んでいるということです。同じように、日常の中にも予期せぬ犯罪被害のリスクがあるので、「家から一歩外に出たら家族以外についていかない!」をお子様に守らせる、子どもをひとりにさせないなど、日々の防犯に取り組んでいただきたいです。
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