防災専門家伝授! 新型コロナウイルス対策に必要な備蓄品とは?

防災専門家伝授! 新型コロナウイルス対策に必要な備蓄品とは?

新型コロナウイルスの感染収束の見通しは現在も立っておらず、食品や医療品などは品薄が続いているものもあります。では、今後より事態が深刻化することを想定した場合、どのような備蓄を進めていけばいいのでしょうか。防災アドバイザーで感染症パンデミック時における家庭の防災対策にも見識を持つ高荷智也さんに伺いました。

高荷智也(たかに ともや)
ソナエルワークス代表|備え・防災アドバイザー

「自分と家族が死なないための防災対策」のポイントをロジックで解説するフリーの専門家。大地震や感染症パンデミックなどの防災から、銃火器を使わないゾンビ対策まで、堅い防災を分かりやすく実践的に伝えるアドバイスに定評があり、講演・執筆・コンサルティング・メディア出演など実績多数。

公式サイト
備える.jp
https://sonaeru.jp


防災アドバイザーの高荷智也です。今回は新型コロナウイルスの感染拡大に備えて、備蓄しておきたい食料や日用品、医療品をご紹介するとともに、すでに品薄となっているマスクや消毒液などの代用品についてお伝えしていきます。今の備蓄が十分であるか心配だという方も、是非ご参考ください。

緊急時に慌てないためには「日常備蓄」の習慣が大切

緊急時に慌てないためには「日常備蓄」の習慣が大切
緊急時に慌てないためには「日常備蓄」の習慣が大切

新型コロナウイルスの感染が広がるにつれて、スーパーからものがなくなる買い占めのニュースをよく見かけます。これはパンデミック時に限ったものではなく、大地震や台風でも生じる「モノがなくなる二次災害」と言えます。そのため私はこのような緊急事態に陥ってから急いで備蓄品を蓄えるのではなく、常日頃から、必要な食料や日用品などを1~2個多めに購入し、備蓄を増やしていく習慣をオススメしています。
これは「日常備蓄」という考え方なのですが、この習慣が身に付いていれば、緊急時に外出して感染リスクを高めることも、品薄に困ることも少なくなります。まだ日常備蓄の習慣がないという方は、この機会に習慣化してみてはいかがでしょう。

日常備蓄について詳しく知りたいという方はこちらをご参照ください。

新型コロナウイルスに備えて備蓄しておきたい食料・嗜好品

新型コロナウイルスに備えて備蓄しておきたい食料・嗜好品
新型コロナウイルスに備えて備蓄しておきたい食料・嗜好品

食料品は最低3日・できれば1週間・がんばる場合は2ヶ月分を備蓄する

食料品の備蓄の目安ですが、他の自然災害に備えるためにも最低3日、できれば1週間は備蓄品だけで生活できるようにしておくことが重要です。また、より大規模なパンデミックなどに備えたいという場合は、2ヶ月程度は備蓄品だけで生活できるように準備を進めてください。

現在、コロナウイルスによって、世界は大きく戸惑いを起こしているように見えますが、実は2005年頃から、今回のような感染症パンデミックが起こる懸念は専門家の間で囁かれていました。その当時から言われているのが、感染のピーク期間が2ヶ月間だということ。これから来るかもしれない、より深刻な事態に備えて、まだ備蓄品が十分でない方は、引き続き備蓄をしていきましょう。しかし、ほかの方の生活も考慮しなければならないので、買い占めはNGです。一度に大量購入するのではなく、普段より多めに購入する、ということを意識して、徐々に備蓄を増やしていってください。

主食を中心とした備蓄が必要

今回の新型コロナウイルスのようなパンデミックは、大地震や浸水害などライフラインの停止を伴う自然災害対策とは異なりますので、食料品の備蓄すべてをそのまま食べられる非常食で揃える必要はありません。備えの中心となるのは、お米やパスタなどの主食となり得るものです。それに加える形でインスタント食品やレトルト食品などの手軽に食べられるものと、ご家庭内に感染者がでた際のことを考えて、ビタミン剤やプロテインなどの栄養補助食品も備えておきましょう。また、外出自粛要請によって、ストレスが溜まっている方も多いかと思います。ストレスを解消するためにも、普段好んで食べているお菓子や嗜好品なども足りないようであれば備えておくといいでしょう。

新型コロナウイルス対策として備えておきたい医薬品・栄養補助食品

新型コロナウイルス対策として備えておきたい医薬品・栄養補助食品
新型コロナウイルス対策として備えておきたい医薬品・栄養補助食品

基本的にはインフルエンザで倒れた場合と同じ想定で準備を行う

家庭向けの医薬品や栄養補助食品についても、まだ備えが十分でないご家庭はしっかりと備蓄するようにしましょう。基本的な備蓄の方向性は、インフルエンザで倒れた場合を想定していただくと、イメージがつきやすいかもしれません。経口補水液や各種スポーツ飲料のペットボトル、粉末タイプのスポーツ飲料、栄養補助ゼリー飲料、レトルトタイプのおかゆなど、ご家族が倒れたときに看病できるだけの物資を備えておくといいでしょう。

解熱剤のオススメは「タイレノールA」

解熱剤で医療専門家が推奨しているのは、タイレノールAという薬品です。タイレノールAに含まれているアセトアミノフェンという成分は、服用後の副作用などが小さいと言われており、安全面の観点からWHOからも推奨されています。

マスクやアルコール消毒液がなくなったときのオススメ代用品

市販のマスクがなくなった場合は手作り品で代用

市販のマスクがなくなった場合は手作り品で代用
市販のマスクがなくなった場合は手作り品で代用

ご家庭からマスクのストックがなくなってしまった場合は、タオル、ハンカチ、シャツなどの布素材を用いてつくった、手作り品で代用してください。布素材であれば特に生地の質感等に指定はありませんので、いらなくなった衣類などを再利用するのもアリですね。外出自粛の影響から家にいることが多いと思いますので、お子様がいるご家庭であれば、一緒に作ってみてもいいかもしれません。

消毒には次亜塩素酸ナトリウムの使用が効果的

ものの消毒には次亜塩素酸ナトリウムの使用が効果的
ものの消毒には次亜塩素酸ナトリウムの使用が効果的

ドアノブやスイッチなど、家庭内で触れる機会がよくあるものはこまめな消毒をしましょう。その際は布にアルコール消毒液を染み込ませて拭くという方法が効果的ですが、アルコール消毒液がなくなった場合は次亜塩素酸ナトリウムを希釈して代用します。

次亜塩素酸ナトリウムは「ハイター」や「ブリーチ」などの塩素系漂白剤に含まれている除菌効果の高い成分です。スーパーやドラッグストアなどで安価に購入できることから、厚生労働省からもアルコールがなくなった際の代用品として、新型コロナウイルス対策に推奨されています。

ただし、次亜塩素酸ナトリウムはかなり強力な成分なので、使い方には注意が必要です。必ず原液を水で0.05%の濃度(500ミリリットルのペットボトル水に希釈する場合は5ミリリットルの原液を入れる)になるまで薄めてから使用するようにしてください。 直に触れたり、手指消毒に使用したりすることは、危険なので絶対にやめましょう。皮膚が溶ける可能性があります。使用する際はゴム手袋やビニール手袋を着用し、布製の生地やキッチンペーパーに染み込ませて、対象物を拭きます。また、ドアノブやスイッチなどの消毒に使用した場合、そのまま放置しておくと、変色や腐食が起きることもありますので、5分ほど時間をあけた後、必ず水拭きも行うようにしましょう。

今後のために備えておきたい意外な日用品

補聴器が必要な方はボタン電池の備蓄を

補聴器を付けている方と一緒に暮らされているご家庭であれば、ボタン電池を備蓄しておくことをオススメしています。現在でも体温計の品薄に伴って、電池売り場からボタン電池がなくなりはじめていますが、補聴器に使われるボタン電池は体温計と同じものです。ご家庭にストックがないという場合は、食料品や医療品の買い出しに行かれた際、電池売り場も注意して見ておくようにしましょう。

お子様がいるご家庭は学習道具を備えておこう

新型コロナウイルス対策 お子様がいるご家庭は学習道具を備える
新型コロナウイルス対策 お子様がいるご家庭は学習道具を備える

お子様がいるご家庭であれば、学習用の教材や文房具を今のうちに備えておくことを検討してみてもいいかもしれません。ゴールデンウィークが終わり、仮に緊急事態宣言が解かれたからといって、学校の再開がいつになるかは正式な見通しが立っていない現状です。通われている学校から課題が配布されることもあるかと思いますが、それに並行してご家庭内で学習教材や文房具を用意し、勉強できる生活環境を整えておくといいでしょう。

新型コロナウイルス対策に必要な備蓄について まとめ

今回のような緊急事態が起きる前から、常に余裕を持った備蓄をしておくことは非常に重要です。最近では、最小限のもので生活を行う「ミニマリスト」が注目を集めていますが、この生活は高度な流通経済とIT技術があって初めて成り立つものです。今回の新型コロナウイルス騒動で、ご家庭の備蓄に少しでも物足りなさを感じられた方は、この機会に備蓄についての考え方を見直してみてください。

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