一戸建て、マンション限らず新築住宅などで見かけることが多い「エコカラット」。人気の壁材のひとつでさまざまな機能があり、デザインもバラエティに富んでいます。エコカラットの魅力はどんなところで、マイナス点はあるのでしょうか。エコカラットを設置して後悔することのないよう、エコカラットのメリット・デメリットについて、おすすめの設置場所やメンテナンス方法とともに解説します。
目次
1.エコカラットとは?
2.エコカラットを使用するメリット
3.エコカラットを使用するデメリット
4.エコカラットのおすすめ設置場所
5.エコカラットのメンテナンス
6.エコカラットで後悔しないために知っておきたい特徴やメンテナンス方法 まとめ
エコカラットとは?
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「エコカラット」とは、内装に使用するタイル状の機能性壁材のことで、INAX株式会社(現在の株式会社LIXIL)が開発しました。内部に無数の小さな孔(あな)が空いている「多孔質セラミックス」をタイル状に焼成した製品で、高温多湿な日本の気候にマッチする「土壁」の工法をヒントに作られました。調湿や脱臭といった機能性とバリエーション豊かなデザインが魅力で、広く普及しています。
なお、以前は「エコカラット」という製品と「エコカラットプラス」という製品がありましたが、現在はエコカラットプラスに一本化されています。
エコカラットを使用するメリット
エコカラットを使用することで、どのようなメリットがあるのでしょうか。ひとつずつチェックしましょう。
エコカラットのメリット1―調湿機能
エコカラットには空気を吸放出する孔(あな)があり、湿度が高いときは湿気を吸収し、乾燥しているときは放出し、湿度を調整しようとします。室内の湿度を自然とコントロールできるので、結露を抑えたり、梅雨時期のジメジメした空気の不快感を軽減したり、カビやダニの繁殖を抑制する効果も期待できます。その効果は珪藻土などの自然素材よりも高く、快適な湿度を維持できます。
エコカラットのメリット2―消臭機能
玄関の靴やキッチンの生ごみ、トイレのアンモニア臭やペットの臭いなど、家の中ではさまざまな臭いが発生しています。タバコを吸う家庭では、臭いが消えずに困っている家庭も多いのではないでしょうか。エコカラットには、臭いの原因となる成分を吸着する効果もあり、臭いを低減することができます。
エコカラットのメリット3―有害物質の低減
近年、住宅の高気密化にともない建材などから発生する有害物質が空気中に漂い、健康に影響が出る「シックハウス症候群」のリスクが増加しましたが、機械換気設備の設置が義務化し、原因となる化学物質の使用制限等でリスクは低減しました。エコカラットはそれらに加えてシックハウスの原因となるホルムアルデヒドなど空気中に漂う有害物質を吸着することで、正常な空気環境を保ちやすくなる働きがあります。
※エコカラットのメリット1~3の詳細:「エコカラット4つの特長」(株式会社LIXIL)
エコカラットのメリット4―デザイン性の高さ
エコカラットの魅力は機能性だけではありません。天然石を思わせる高級感のある色や柄の製品や、陶器のような滑らかな質感の製品、レンガを積んだ壁面のような意匠も、ナチュラルな木目柄も、北欧のテキスタイルブランドとタッグを組んだ製品もあります。多種多様なデザインテイストから部屋のイメージに合わせて選ぶことができるので、リビング・ダイニングはもちろん、和室や水廻りなど、あらゆる場所にフィットするデザインが見つかります。
エコカラットを使用するデメリット
機能性やデザインなどたくさんの魅力があるエコカラットですが、デメリットもゼロではありません。エコカラットを採用して後悔しないためには、マイナス面も考慮した上で使用を検討しましょう。
エコカラットのデメリット1―施工費用が高め
エコカラットの施工費用はエコカラットのグレードや設置場所、サイズなどの条件により異なりますが、いずれにしても一般的な壁紙を貼る場合と比べて高額です。たくさん貼れば貼るほど、調湿作用などの効果も大きくなりますが、壁一面すべてにエコカラットを貼ろうとすれば、相応に費用が嵩みます。LIXILでは、部屋の調湿効果を発揮する壁面積の目安として「部屋の床面積の4分の1以上」を推奨としています。予算や求めている機能に合わせて、貼る面積を決めてください。
エコカラットのデメリット2―割れや欠けのおそれ
エコカラットは焼き物なので、硬いものがぶつかると割れたり欠けたりすることがあります。例えば、引っ越しの際に家具をぶつけてしまったり、下部に掃除機がぶつかってしまったりすると、破損しやすいため、注意が必要です。
割れや欠けが生じてしまった場合は、専用のコーキング兼補修材「カラットコーク」が提供されています。補修材を使用することで、ある程度目立たなくすることが可能です。また、壁の下部には幅木を設置するなど、ぶつかりやすい場所にはエコカラットを貼らないようにすることをおすすめします。
※エコカラット専用コーキング兼補修材カラットコーク(株式会社LIXIL)
エコカラットのデメリット3―壁に穴を開けたり貼ったりできない
エコカラットは基本的に、上から何かを貼ったり、穴を開けたりすることができません。「壁一面にエコカラットを貼って棚を取り付ける」「エコカラットの上にポスターを貼って画びょうを刺す」といったことは基本的にできないことを覚えておきましょう。
「壁掛けテレビを設置したい」「コンセントが必要」など、どうしても何かを設置したり、穴を開けたりしたい場合は、エコカラットに開口部を設け、その部分に施工することになります。補強工事が必要になることも多いので、事前にハウスメーカーなどに確認してください。
エコカラットのデメリット4―貼り替えが難しい
一般的な壁紙は、「部屋の用途が変わった」「飽きてきた」「劣化してきた」など気になることがあれば比較的容易に剥がして貼り替えることができ、DIYにチャレンジする方も少なくありません。しかし、エコカラットは接着剤で貼り付けているため、剥がそうとすると下地が破損してしまいます。下地ごと取り替え、もしくは補修が必要となり、貼り直しは大変な作業です。基本的には、一度貼ったら貼り替えはしない前提で計画を進めましょう。
ただし、パネルタイプの「エコカラット セルフ」であればDIYが可能です。
エコカラットのおすすめ設置場所
エコカラットは住まいのあらゆる場所で効果を発揮します。「どこかに取り入れたいものの、場所を絞れない」という方のために、おすすめの設置場所を紹介します。
エコカラットのおすすめ設置場所1―リビング・ダイニング
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家族が集まり、長い時間を過ごすリビング・ダイニングはエコカラットを貼る場所として最適。上質感のあるデザインを選べば、空間のアクセントになります。壁の面積が大きく高額になりがちなので、パネルタイプを選んで部分的に取り入れることも検討しましょう。
エコカラットのおすすめ設置場所2―寝室
一日の疲れを癒す寝室は、少しでも快適な空間にしたいところです。エコカラットを貼れば、調湿機能によりほどよい湿度を保ち、結露やカビの発生を抑えます。においも気にならず、気持ちよく睡眠をとることができます。エコカラットはベッドヘッド側の壁に貼ることが多く、壁一面に貼るのはもちろん、パネルタイプの製品を絵画のように貼っても効果があります。部屋の広さと予算に合わせて決めましょう。
エコカラットのおすすめ設置場所3―洗面室・トイレ
湿気が溜まりやすい洗面室や、においが気になりがちなトイレも、エコカラットを使用すれば快適な空間になります。単調になりがちな空間のアクセントとしてもおすすめ。トイレは家のなかでもコンパクトなスペースなので、壁の面積も小さく、限られた予算でも取り入れやすいことも魅力です。
エコカラットのおすすめ設置場所4―玄関
家の顔といえる玄関にも、エコカラットの使用がおすすめです。窓がなく風通しが悪い空間であれば湿気が溜まりがちですし、靴箱の中は汗や雑菌が付着した靴のにおいが充満していることも珍しくありません。湿度調整や脱臭効果の機能があるエコカラットを貼れば、こうした悩みから解放されます。
エコカラットのメンテナンス
現在流通しているエコカラットのお手入れ方法は、水拭きで拭くだけ。「子どもが触って汚れてしまった」「コーヒーをこぼしてシミが付いた」といった場合は、家庭用洗剤で洗うこともできます。汚れが著しいときには、メラミンフォームも使いましょう。汚れは時間が経つほど落としにくくなりますので、早めの行動を心がけましょう。
エコカラットで後悔しないために知っておきたい特徴やメンテナンス方法 まとめ
エコカラットには、調湿作用や脱臭、有害物質の低減といった数多くの機能があります。デザインもおしゃれで機能性も高いためあちこちに使いたくなりますが、通常の壁紙よりも高額で費用がかかってしまいます。限られた予算内でより高い効果を得るためには、エコカラットをどこにどのように貼ればいいのか、事前に考えて検討することが必要です。また、エコカラットは一度施工すると簡単に貼り替えができません。計画の段階で家具・家電の設置位置などを想定した上で、エコカラット設置場所を選ぶのが後悔しないエコカラット採用のコツになります。
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