ウッドデッキは必要?ガーデニングの楽しみ方は?プロに教わる「子どもが喜ぶ庭づくり」

公園や広場などが街から減っていくなかで、自宅の庭が子どもにとって楽しい遊び場になれば素敵ですよね。では、子どもが喜ぶ庭をつくるには、どのようなことを意識すれば良いのでしょうか? 作庭家で三児の父でもある矢藤昭憲さんに伺いました。

作庭家・矢藤昭憲のプロフィール
矢藤 昭憲

矢藤園 四代目作庭家
造園技能士1級・造園施工管理技士1級・エクステリアプランナー1級・自然再生士・ブロック塀診断士・防災士

世田谷区生まれ。2003年中央大学理工学部土木科卒業、2005年東京農業大学大学院農学研究科造園学専攻修了。2006年、自身が手がけた杉並区の個人邸が、月刊誌「新建築」の9月号(住宅特集)に掲載される。 2007年、第3回「学生を対象とした屋上利用提案競技」で優秀賞を受賞。第10回、11回、12回「国際バラとガーデニングショウ」でガーデンコンテストB部門入賞。2016年、第18回 国際バラとガーデングショーコンテストA部門優秀賞。
矢藤園

作庭家の矢藤昭憲です。庭をつくる理由や活用方法は人それぞれですが、子どものために庭を持ちたいと考える方もいるでしょう。そこで、小さな子どもをもつ親、そして作庭家としての視点から「子どもが喜ぶ庭づくり」について考えました。これから一戸建てマイホームを建てる方や庭のリフォームを検討している方は、参考にしてみてください。

子どもが遊び方を工夫できるような“空間”を与えてあげる

子どもが遊び方を工夫できるような“空間”を与えてあげる

子どもが楽しく遊べる庭にするなら、フラットな“空間”をつくることが大切だと思います。仮にブランコやすべり台などの大掛かりな遊具を設置しても、子どもはすぐに飽きてしまうんですよね。それよりも、物が少ない平らな空間がある庭のほうが、自由に遊び方を工夫できるわけです。縄跳びやボール遊び、三輪車を乗るのも平らな空間が理想的ですし、一時的にプールや収納式の遊具を出すこともできます。

庭にフラットな空間をつくる方法は、芝生を使ったりタイルを敷いたりといろいろありますが、なかでも人気が高いのはウッドデッキ。私もお客様からよくリクエストされますし、これから庭付き一戸建てを建てられる方や庭のリフォームを考えている方にもオススメです。

ウッドデッキの楽しみ方とオススメ素材

ウッドデッキの楽しみ方とオススメ素材

ウッドデッキは庭の一部ではあるものの、外にもうひとつ部屋をつくる感覚です。ある程度の広さがあれば子どもたちが走り回ることもできますし、水遊びやバーベキューをするスペースにもなります。使用する木材は「天然木」が断然オススメ。人工の「樹脂木」は湿気や日焼けに強く、腐りにくいので耐久性は高いのですが、居心地や風合いはやはり天然木のほうが良いですね。また、樹脂木は熱がこもりやすく夏場に裸足で出られないのが難点です。天然木なら陽射しを浴びても熱くなりすぎないので、夏でも裸足で出られてプール遊びなんかもしやすいと思いますよ。

ウッドデッキの素材は質感や価格などを比較して好みの素材を選ぶのが良い

天然木は針葉樹からつくられるソフトウッドと広葉樹からつくられるハードウッドに分類されます。ソフトウッドは軽くてやわらかいので加工がしやすく、価格がお手頃ですね。私はスギを使うことが多いのですが、国産のヒノキも香りが好きな方には良いかもしれません。ハードウッドはソフトウッドと比べると腐りにくく、耐久性が高めの素材です。しかし、硬くてささくれができやすいため裸足では出にくく、価格も高価です。私個人としてはソフトウッドをオススメしますが、質感や価格などを比較して好みの素材を選ぶのが良いでしょう。

ウッドデッキのメンテナンス方法

ウッドデッキのメンテナンス方法

ウッドデッキはどんな素材でもメンテナンスが不可欠です。定期的に掃除をして砂やほこりを落とすほか、最低でも年に一度、できれば季節ごとにデッキブラシを使って水洗いをしましょう。水遊びを兼ねて、お子様と一緒にやっても楽しいと思います。もしあるなら高圧洗浄機を使っても良いですね。また、プラスアルファのケアとして3年に1回程度、防腐剤を塗ると木材の劣化を遅らせることができます。天然木でつくられたウッドデッキの耐用年数はだいたい10年程度と言われていますが、メンテナンスすれば寿命が伸びる可能性もあるので、大切に扱ってくださいね。

子どもが自然に親しめるガーデニングのアドバイス

子どもが自然に親しめるガーデニングのアドバイス

美しい庭は日々の生活を豊かに彩ります。庭の景色や季節の風情を楽しむのはどちらかと言えば大人の嗜みと言えますが、小さなころから草花や樹木の名前を覚え、植物を愛でることで豊かな感性が育てられると思います。親子でガーデニングに挑戦するときは、お子様が興味を持って楽しめるようにしてあげましょう。種や苗は一緒に買いに行き、本人に好きなものを選ばせたり、専用の花壇をつくってあげたり……そうすることで「自分で育てたい」という気持ちが生まれるはずです。

季節の行事に合わせた植物を植えるのも良い

育てる植物はお子様が選んだものが一番ではありますが、ひとつオススメをあげるならブルーベリーですね。食べられる実がなると子どもは喜びますし、落葉樹なので秋には紅葉も楽しめます。また、季節の行事に合わせた植物を植えるのも良いでしょう。ひな祭りの桃の木、十五夜のススキ、冬至の柚、春の七草など……ガーデニングを楽しみながら、日本の文化を学ぶこともできます。

楽しみの幅が広がる“水”の注意点

楽しみの幅が広がる“水”の注意点

子どもが喜ぶ庭づくりにおいて、おさえておきたいポイントが“水”です。ガーデニングをするなら水やりに必要ですし、夏場にプールで遊ぶときにも使いますよね。さらに、バーベキューや花火をするときにも水が近くにあると便利です。しかし、庭に水栓をつくらなかったり、あるいは使いたい場所から離れていたりすると、何度も水を運ぶか長いホースを伸ばさなくてはいけません。ですから、庭の設計時点で水栓の位置もよく考えることが大切です。どこで、なにをやりたいかをイメージしながら適切な配置にしましょう。

水場をつくる場合はメンテナンスも想定

水といえば、私の自宅には小さな池があり、そこには息子が川で捕まえたオタマジャクシやカエル、メダカなどを泳がせています。しかし、水を溜めておく場所にはボウフラが湧いたりヘドロなどの汚れが溜まったりするため、掃除は欠かせないですね。池などの水場をつくる際には、メンテナンスの手間も想定しておくのが大切です。

「子どもが喜ぶ庭づくり」 まとめ

子どもが喜ぶ庭についていろいろと提案しましたが、一番大切なのは「庭で子どもと一緒に何がしたいか」「どんな空間を与えてあげたいか」をしっかりと造園家に伝えることです。今回お伝えした内容を参考にしながら、子どもと庭で過ごすイメージを膨らませて、素敵な庭づくりをしてください。

プロが庭づくりの手順を解説
後悔しない庭づくりのコツは? 作庭家が考える家と庭づくりの手順

管理のしやすい庭のつくり方とは?
庭の手入れは時間と予算のバランスが大切! 作庭家が教える庭のつくり方と管理のコツ

子どもと庭で家庭菜園やガーデニングにチャレンジ!
夏休みの自由研究にも役立つ! 1ヶ月で育てられる野菜と観察に適したお花

新築一戸建て注文住宅購入者のインタビュー記事はこちら

新築一戸建て注文住宅購入者のインタビュー記事