【中級者向け】苔栽培のプロ直伝! 苔テラリウム(セミオープン型)の作り方と育て方

お家のなかで観葉植物を育てたいけれど、「部屋に置くスペースがない」「お世話が大変」「なぜか、いつも枯らしてしまう」……などの理由で諦めていませんか? そんな方にオススメなのが苔テラリウム。かわいいガラス容器のなかで苔を育てるので省スペース、お世話も簡単とあって、巣ごもり需要でさらに人気が高まっています。今回は、さまざまな種類の苔を育てられる中級者向けの 「セミオープン型」苔テラリウムについて、苔の研究家で、生産販売なども行っている「苔むすび」の園田純寛さんに伺いました。

苔むすび・園田純寛のプロフィール
園田純寛 プロフィール

苔むすび合同会社 代表

北海道大学大学院卒業(農学修士)。大学では苔を含む植物の生理生態、微生物との関係を研究。メーカーで研究開発に従事した後、独立。「苔むすび」として活動を始める。著書「はじめての苔テラリウム」(成美堂出版)

苔むすびの園田純寛です。苔はほかの植物と違って、“しっとり”とした独特な感触をしているので、眺めるだけでなく、触ることでも癒されます。基本的にゆっくり成長するので、手間がかからず気軽に楽しむことができるのも魅力のひとつ。まずは、初心者向けのクローズド型容器で育ててみて、慣れてきたら中級者向けのセミオープン型にステップアップしましょう。育てられる苔の種類が大幅に増えるので、楽しみ方の幅も広がりますよ。

【セミオープン型】苔テラリウムの特徴と育て方のコツ

【セミオープン型】苔テラリウムの特徴と育て方のコツ

苔は、同じ種類でも、容器によって育ち方が大きく変わります。かわいくコロンとした感じに育ったり、ボサボサに伸びてしまったりするので、苔テラリウムを始める際に大切なのは、容器と苔の相性だと覚えておきましょう。

容器は、蓋をして密閉する「クローズド型」、少しだけ隙間を空ける「セミオープン型」、蓋をしない「オープン型」の3種類に分けられます。苔を育てるには“光”と“湿度”が重要で、光に関してはどの容器でも条件は同じになりますが、湿度は容器によって大きく変わるわけです。苔は暗くてジメジメしたところに生えているイメージかもしれませんが、水浸しの状態は苦手な種類が多く、かといって乾燥しているのもNG。オープン型は蓋がないため湿度の調整が難しく、育てる技術が必要なので、私のワークショップではクローズド型またはセミオープン型を勧めています。

育て方のコツ「光の当て方」

セミオープン型での育て方は、初心者向けのクローズド型と基本的には同じです。苔は暑さに弱く、特に直射日光が当たると容器内が高温になって危険なので、置き場所に注意しましょう。レースなどの薄いカーテン越しでも日差しが強いので、1日を通して直射日光が当たらない北側の窓辺がオススメです。そのほかの方角は直射日光が当たる時間帯があるので、絵や写真などの物陰に置くなどして日差しを遮る工夫をしましょう。

苔を育てるには「光の当て方」が重要

とは言え、苔にとって光は人間で言う“ごはん”です。暗すぎると元気に育たないので、1日8時間程度は光が当たる環境を整えてあげる必要があります。自然光を当てるのが難しい場合は、照明器具でも代用可能、オススメはデスクライトやテープLEDです。1000〜5000ルクス程度の光量が苔を育てるのに適しているので、照明器具の光量を確認して使いましょう。苔むすびでも便利なライトを取り扱っていますので、良かったら検討してみてください。

クローズド型との違いは「湿度の保ち方」

クローズド型とセミオープン型の違いは“湿度”です。湿度100%の状態が長く続くクローズド型と比較すると、セミオープン型は蓋と容器の間に隙間がある分、水分の蒸発が早いので、水やりの頻度は高くなります。目安としては、2週間に1度くらい水差しで水を与える感じでしょうか。セミオープン型の場合は霧吹きではなく、水差しを使うことをオススメします。

定期的な水やりをして②〜③のような状態を保つ

定期的な水やりをすることで、②〜③のような状態を維持できるのが理想ですが、水やりが足らず、④の状態のように乾いてしまったときは、水差しでしっかり水をあげましょう。逆にあげすぎて①のようにぐしょぐしょ状態になってしまったら、ティッシュで水を何度も染み込ませて水を抜いてあげます。

いろいろな種類が楽しめる! セミオープン型テラリウムでオススメの苔

セミオープン型の場合、テラリウム用の苔なら基本的にどの種類でもキレイに育ちますが、なかでもとくにオススメなものをご紹介します。道端に生えている苔は雑菌などの処理が必要になるので、販売されているものを使うと良いでしょう。種類にもよりますが、うまく育てれば2年〜5年ほど生きますよ。

コツボゴケ

セミオープン型テラリウムでオススメの苔①コツボゴケ

霧吹きで水を吹きかけるとキラキラと光ってキレイで、透明感があります。地面に這うように育っていくタイプの苔で、公園などにもよく生えていますよ。

カサゴケ

セミオープン型テラリウムでオススメの苔②カサゴケ

バラのような見た目がかわいく、存在感もあるので人気があります。クローズド型で育てると新芽が生えずに茎だけになってしまいますが、セミオープン型なら長く楽しめるでしょう。

ホソバオキナゴケ

セミオープン型テラリウムでオススメの苔③ホソバオキナゴケ

葉が小ぶりで、芝生のようにフサフサと育ちます。ほかの苔に比べると水浸しの状態が特に苦手ですが、水をあげすぎないように注意すれば、違う種類の苔と一緒に植えても問題なく共存可能です。

ムチゴケ

セミオープン型テラリウムでオススメの苔④ムチゴケ

二股に分かれて育つ不思議な苔です。SF映画に出てくる地球外生命体のようなおもしろい形をしているので、容器のなかで独自の世界観を表現できます。

タチゴケ

セミオープン型テラリウムでオススメの苔⑤タチゴケ

植え付けると土のなかで繋がって育ちます。植えた場所とは別のところから突然生えてくるので、サプライズ感たっぷりのおもしろい苔です。

セミオープン型苔テラリウムを始めるために必要なものは?

容器以外のたいていのツールは、お家にあるもので代用できたり、100円ショップで購入できたりするので、まずは身の回りにあるものを探してから、足りないものを揃えていきましょう。苔むすびでは、すべてのツールを取り扱っていますので迷ったら覗いてみてくださいね。

苔テラリウムのツール

●容器

苔テラリウムのツール・蓋が特殊なセミオープン型容器

セミオープン型の苔テラリウムは、蓋の下部に隙間がある特殊な容器を使います。クローズド型やオープン型の容器とは異なり、雑貨屋さんや100円ショップでは取り扱われていないので、専門店で購入しましょう。苔むすびで販売しているものは、隙間を1ミリで統一しています。

●ピンセット

苔テラリウムのツール・ピンセット

苔を植えるときは、必ずピンセットを使いましょう。セミオープン型の場合、苔をしっかり植え付けないとうまく育たないので、必須アイテムです。初めてでも比較的使いやすいのは先が丸くて太いタイプで、苔を束ねて植えるときに重宝します。
先が尖っていて細いタイプは、苔を1本〜数本単位で少しずつ植えるときに使いましょう。扱いがちょっと難しいですが、繊細な作業はこのピンセットでないとなかなかうまくいきません。しかし、慣れるといろいろな用途に使えるようになりますよ。また、先の内側がギザギザしているものや閉じるときに力がいるものは作業しづらいのでオススメできません。購入する場合は、よく形状を確認してくださいね。

●はさみ

苔テラリウムのツール・はさみ

苔テラリウムを始めるときは、植える苔をカットするだけなので一般的なはさみで十分です。苔が育ってきたら、伸びた苔をカットするといったこまかい作業がありますので、刃が細くて先が曲がっているタイプがあると良いでしょう。

●スプーン

苔テラリウムのツール・スプーン

材質は問いませんが、サイズは大小2種類用意します。大きいものは土台の土を入れる用、小さいものは小石や化粧砂などこまかい素材を入れる用に使い分けます。大きいスプーンは食事用のもので代用可能で、小さいスプーンは理化学用のものが使いやすくてオススメです。

●木の丸棒

苔テラリウムのツール・木の丸棒

土台を整えるのに使いますが、割り箸などでも代用可能です。水で土を濡らした後に、この棒でトントンと軽く押さえると土が締まって、しっかりとした土台ができあがります。

●水差し

苔テラリウムのツール・水差し

苔テラリウム制作時の土台固めと、水やりに使います。霧吹きに比べて出る量が多いので、セミオープン型の水やりはこちらを使いましょう。

●霧吹き

苔テラリウムのツール・霧吹き

セミオープン型で育てる場合は、制作時の仕上げや苔の表面を潤すときに使います。苔の表面に細かい水滴が付いていると、写真を撮ったときにキラキラするのでとてもキレイですよ。

苔テラリウムの素材

●土

苔テラリウムの素材・土

外から採ってきた土は雑菌がいてカビが生えやすいので、専門店などで売っている土を使いましょう。苔むすびでは雑菌が少なく、苔の植え付けやすさや造形性などを考慮したオリジナルの土を用意しています。

●石

苔テラリウムの素材・石

石はテラリウム用で売られているものがオススメです。アクアリウム用でも代用できますが、サイズが思ったより大きい場合もあるので、よく確認してから購入しましょう。外で採ってきた石を使うときは、土が残っているとカビが生えやすいのでよく洗ってくださいね。

●化粧砂

苔テラリウムの素材・化粧砂

苔テラリウム制作時、仕上げに化粧砂を使います。苔や石のまわりに入れればアクセントになって、良い雰囲気が出ますよ。さまざまな色や形状のものが売られているので、好みに応じて準備しましょう。

セミオープン型苔テラリウムの作り方

苔テラリウムの作り方

セミオープン型苔テラリウムの作り方は、基本的にはクローズド型と同じですが、苔の植え付けをしっかりする必要があるので、中級者向けとしています。

工程①土台作り

セミオープン型苔テラリウムの作り方①土台作り

まずは、大きいスプーンで容器に土を入れます。土の量や勾配の角度などは自由ですが、少なくても底から1センチ以上は土を入れましょう。

次は大きめの石を配置し、石の裏側に土を足します。見栄えを良くするために、石と土で坂を作るイメージですね。土を固めた後は石を動かせないので、この段階でじっくり調整しましょう。

石の配置や坂の角度が決まったら、水を入れて土台を固めます。水差しを使って注入し、かけ終わったら1分ほど待機。1分経っても固まってない部分が残っていたら、木の丸棒や割り箸の裏側を使ってトントンと軽く押さえて固めてください。作っている途中で土が崩れたときは、同じように固め直すと良いですよ。

工程②苔の植え付け

セミオープン型苔テラリウムの作り方②苔の植え付け

苔を植え付けるときのコツは、ピンセットの先端と苔の基部(一番下の部分)の先端とをしっかり合わせることです。ピンセットと苔が平行になるようにつまむと良いでしょう。挟むようにつまんだり、平行にしていても苔がはみ出していたりするとしっかり植え付けることができません。セミオープン型で育てる場合は、土にしっかり植え込む必要があります。ちなみに、コツボゴケやツルチョウチンゴケといった“這う”タイプの苔は、植え込まなくても土にしっかりと密着させていれば育ちますよ。

工程③仕上げ

セミオープン型苔テラリウムの作り方③仕上げ

最後に小さいスプーンを使い、小石や化粧砂を入れて仕上げていきます。容器を傾けて、砂や小石を入れたい場所にスプーンを近づけてそっと入れましょう。最後に霧吹きを使って容器についた土を落とし、水気を拭き取ったら完成です!

さらにフィギュアなどを飾れば、自分だけの世界観が作れるので、より楽しいですよ。フィギュアはプラスチック製、ソフトビニール製、ゴム製、ガラス製がオススメです。紙粘土や木製、金属製のものはカビが発生したり、錆びたりと苔との相性が悪いので避けましょう。

【中級者向け】苔栽培のプロ直伝! 苔テラリウム(セミオープン型)の作り方と育て方 まとめ

セミオープン型は水やりの頻度が高くなり、苔の植え付けにも少しコツがいりますが、密閉されていないので容器が曇りにくく、いろいろな種類の苔が楽しめます。クローズド型で育てるのに慣れてきたら、ぜひセミオープン型にもチャレンジして、自分の好きな世界を生み出してみてくださいね。

苔むすび

クローズド型苔テラリウムの作り方はコチラ
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