【苔を活かした庭作り】苔栽培のプロが解説する「坪庭」「苔玉」「苔鉢」の作り方

おうち時間の楽しみ方のひとつとして、ガーデニングや家庭菜園が注目されるようになりました。庭の広さや用途によって、樹木や作物など植えるものは異なりますが、和風や癒しの雰囲気を目指すなら苔を育ててみてはいかがでしょう? そこで、本格的な苔庭の施工にも携わっている「苔むすび」の園田純寛さんに、苔を活かした庭作りについて解説していただきました。苔テラリウムで苔の魅力に気付いた方や苔玉を作ってみたいという方もぜひご覧ください!

苔むすび・園田純寛のプロフィール
園田純寛 プロフィール

苔むすび合同会社 代表

北海道大学大学院卒業(農学修士)。大学では苔を含む植物の生理生態、微生物との関係を研究。メーカーで研究開発に従事した後、独立。「苔むすび」として活動を始める。著書「はじめての苔テラリウム」(成美堂出版)

苔むすびの園田純寛です。苔むすびのある鎌倉には苔の美しいお寺がいくつもあるのですが、そのような苔スポットは、雨あがりにこそ美しさが際立ちます。雨粒の残るモスグリーンの苔が太陽に反射してキラキラと輝き、思わず息を呑む美しさなんですね。そんなステキな光景を自宅でも味わっていただきたいので、今回は苔を活かした庭作りについて解説したいと思います。小さいスペースで楽しむ「坪庭」の作り方を中心に、坪庭と相性抜群な「苔玉」「苔鉢」の作り方や育て方についても説明しますので、ぜひ参考にしてみてください。

苔を楽しむための「坪庭」の作り方

苔を楽しむための「坪庭」の作り方

坪庭は壁や塀、垣根などに囲まれた2〜3坪程度の庭のことで、樹木や草花のほか、苔を育てて楽しむ方も多いですね。苔によっては日陰でも問題なく育ちますので、庭の一部を有効活用することができます。苔をうまく育てるためのポイントは湿度と光、そして、植える場所によって種類を選定することです。

防草シートの上に土をのせて苔を植える

苔を育てるための庭の作り方は、面積に関わらず基本的には同じです。まずは除草をして整地し、防草シートを敷きます。これは、苔と苔の間から雑草が生えてきたり、モグラに荒らされたりするのを防ぐためですね。防草シートを敷いたら、その上に土をのせ、苔を植えていきます。苔は根がないので薄く敷いた土でも育ちますが、合わせて樹木も育てたい場合は、木を植える部分の防草シートを切り抜くようにしましょう。

下準備ができたら庭の景観を作っていきますが、今回は日本庭園をベースに解説していきます。日本庭園は、「山」「水」「石」「木」を作ることで、自然の景色を凝縮して表現する日本独自のものですね。

伊勢砂利を使った苔庭

ひとつずつ紹介していくと、「山」は土を盛って山に見立てることを指し、庭を立体的に見せる効果があります。次に「水」ですが、実際に池や川を作るのは大変なので、砂利を使うのがオススメです。日本庭園の様式のひとつ、枯山水も砂利を使って水を表現していますね。苔だけだと平坦な印象になるのですが、砂利を効果的に使えば庭に豊かな表情が出て、洗練された景色になります。さまざまな種類の砂利があるので、好みのものを使いましょう。私は白っぽい錆色をした「伊勢砂利」を良く使います。「石」はホームセンターにも売っていますが、小さく見えても意外と重くて設置が大変なので、購入する前に庭への搬入ルートや方法などを確認しておきましょう。最後に「木」は、地植えするのが一般的ですが、オススメは苔玉を使う方法です。こちらは後ほど詳しく紹介しますね。

坪庭で苔を楽しもう! 育て方のポイント

オススメの苔はハイゴケ

ハイゴケは野外でも育てやすい

苔は植える場所の日当たり条件などによって種類を選ぶ必要がありますが、広範囲に植えるならハイゴケが良いでしょう。名前のとおり“這い”ながら、平面に広がるように育つ苔で、日なたでも日陰でも、石やコンクリート、レンガの上でも場所を選ばず育ちます。安価で手に入りやすく、マット状のものも販売されているので、土の上に貼っていくだけで簡単に植え付けられますよ。ただし、剥がれやすいので、踏まないように気を付けましょう。

育てるうえでの注意点

坪庭で苔を育てるときは、虫対策が必要です。苔テラリウムにはキノコバエなどが発生しますが、屋外の場合はダンゴムシが寄って来ることが多いですね。とくに植えたてのときに集まりやすく、どんどん苔を食べられてしまうので、庭が完成したら早めに忌避剤を撒いておきましょう。忌避剤は苔に直接ではなく、苔のまわりの砂利や石に撒いて使用できるタイプが良いと思います。また、猫や鳥が多くいる地域では、あまり近づかせないように防鳥ネットも活用しましょう。

苔玉の作り方と育て方

苔玉の作り方と育て方

人気の「苔玉」は、植物の根を土で丸く包み、周りに苔を巻き付けたものです。キッチンカウンターや棚などに飾るとおしゃれでかわいいのですが、屋内だと湿度や光の調節が難しいんですね。苔は基本的に屋外のほうが育ちやすいので、坪庭と一緒に、またはベランダで苔玉を作ってみるのはいかがでしょう? 一般的には、石や皿状の容器の上で育てますが、実は苔がたくさん生えている場所って、苔玉にとっても良い環境なんです。育ちやすいのはもちろん、苔の上に直置きして、苔同士が一体化するまでの変化も楽しめるので、ぜひ坪庭に置いてみてください。

ほかの苔に比べて熱や日差しに強いハイゴケ

野外用の苔玉は、庭作りでも紹介したハイゴケを使うのがオススメです。苔は暑さに弱いため、直射日光の当たらないところに置くのが基本ですが、ハイゴケはほかの苔に比べて熱や日差しに強いんですね。ただし、日中ずっと直射日光にさらされるような場所におくと、茶色くなってしまうので注意しましょう。

苔玉の水やり方法とは?

水やりは、水をためたバケツなどに苔玉を浸す「どぶ漬け」という方法で行います。樹木を植えているため、水分を切らさないように気を付けてください。「どぶ漬け」の頻度は1日1回くらいが目安ですが、雨が降ったらその日は水をあげなくて大丈夫ですよ。

苔鉢の作り方とオススメの苔

苔鉢の作り方とオススメの苔

苔鉢は土の入った植木鉢などに苔を植えたもので、「苔盆栽」とも呼ばれています。苔鉢も屋内より屋外のほうが育てやすく、盆栽と同じように庭の棚に飾ることが多いですが、坪庭に設置するのも風情があって良いでしょう。這うタイプの苔やシート状の苔であれば初心者でも植え付けやすく、土に密着させるように貼り付けます。オススメの苔は、日なたに置くか日陰に置くかによって変わってきますね。

日なたで育てるのにオススメの苔は「ハイゴケ」「スナゴケ」

日なたにオススメの苔は、ハイゴケとスナゴケです。スナゴケは、小さな星がたくさん集まったようなかわいらしい見た目で、日差しや乾燥に強いのが特徴です。ブロック塀などに自生することもありますね。

日陰で育てるのにオススメの苔は「ホソバオキナゴケ」「ツヤゴケ」

日陰で育てるのにオススメの苔は「ホソバオキナゴケ」「ツヤゴケ」

陽の光にあまり当たらなくても育つホソバオキナゴケとツヤゴケは、日陰で育てるのに適しています。ホソバオキナゴケは葉が細かく密に生えていて、芝生のようにフサフサとしていますね。常に濡れている状態は苦手ですが、水浸しの状態にしなければ違う種類の苔とも共存可能です。
ツヤゴケは、魚の骨のようなかたちをした這うタイプの苔で、乾燥するとツヤツヤと光沢があるように見えることからツヤゴケという名が付いています。こちらは極端な乾燥を繰り返すと葉先が枯れやすいので、水やりを忘れないようにしましょう。

水やりは基本的に土が乾いてきたら行ないます。野外で育てる苔鉢は環境によって水やりの頻度が変わるため、特に目安はないんですよね。土を見て、触って、乾燥具合を確認しながら水を与えましょう。注意点は水をあげるタイミング。日陰の苔はどの時間帯に水やりしても良いのですが、夏場での日なたの苔は、直射日光が当たらない日の出前や日没後に水をあげるようにしましょう。

「坪庭」「苔玉」「苔鉢」の作り方 まとめ

苔には、いつもの景色を魅力的に変える不思議な力があります。庭に苔があると、雨の日が憂鬱な方は待ち遠しくなり、雨が好きな方はもっと魅力的に感じることでしょう。苔は大地だけでなく、人の心も潤す力があるんですね。さまざまな使い方ができる苔。自宅の庭を見て、触れて、癒される、世界でひとつだけの庭にしてみるのもオススメです。

苔むすび

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