神宮館鑑定師に聞いてみた!家相・地相にまつわる都市伝説のウソ?ホント?特集

「北玄関は夫婦仲を悪くする」「墓地の近くに住むと良くないことが起こる」……こういった、家相や土地に関する都市伝説を耳にしたことはありませんか? 気になって調べてみると真逆の説が発見されることもあり、何がウソで何がホントなのか、わからなくなりますよね。そこで、100年以上の歴史を誇る神宮館の鑑定師・松本象湧さんに、家相や地相にまつわる都市伝説の真偽について伺いました。

松本象湧のプロフィール
松本 象湧(マツモトショウユウ) プロフィール

神宮館鑑定師・神宮館高島暦著者

九星気学をはじめ易経、姓名学、家相学、印相学、墓相学などを学ぶ。鑑定師として20年あまりにわたり、数々の著名人を含む年間1,000人以上の鑑定を行い、悩みを解決している。近年は国際易学連合会の栄誉理事の称号を持ち、易学を通して文化交流にも努めている。
主な著書は『運を引き寄せる わかりやすい家相と間取り』、『運を引き寄せる わかりやすい姓名判断と名前の付け方』(神宮館)などがある。
松本象湧先生の鑑定のお問い合わせは、株式会社神宮館鑑定部 TEL03-3831-1638まで。

神宮館鑑定師の松本象湧です。以前は住宅メーカーで家の設計や建築に携わり、今は神宮館で家相鑑定をおこなっています。さまざまな学術的要素と実生活に則した面をもつ家相ですが、やはり迷信的なものとしてとらえる方も少なくありません。さらにインターネットが普及してからは、ウソかホントかわからない情報が広まりやすくなり、家相にまつわる都市伝説のような噂がいくつも存在するようです。噂を検証する前に、まずは家相の基本について解説いたします。

風水とは違う? 知っておきたい家相と地相の基本

家相とは、方位や間取りから家の吉凶を判断するものです。古くから世界中の人々は“安全で幸せな暮らし”を求めて住居を進化させてきました。日本でも家を守る思想は成長し、そこに中国から伝わった九星気学や陰陽五行説などを取り入れて発展した“学問”が家相です。地形や環境などからその土地の運気を鑑定するものは「地相」と呼ばれ、家相を構成する要素のひとつに数えられます。

家相は風水と同一視されることもありますが、もともと都市レベルの規模を対象にしていた風水と、1軒の家とその敷地を基準とする家相では、吉凶を占う範囲が異なります。家相には風水の考え方も取り入れられていますが、まったく同じものというわけではないですね。

また、家相では「良い気」「悪い気」というように「気」について言及することが多くあります。気とは、家相を構成する九星気学や風水にも存在する概念で“人間には左右できない自然のエネルギー”のこと。色や形はなく、目に見えないものですが、人間の生命や生活に影響を与える力が「気」と呼ばれているわけです。

家の運気を鑑定する、というと非現実的で迷信だと思う方もいらっしゃいますが、家相は自然哲学や統計学を踏まえた家づくりのための学問です。さらに私の場合、防犯やコミュニケーション学などの実生活を想定した観点からも鑑定をおこなっています。その点を踏まえ、ネット上でたびたび見かける家相の噂や都市伝説について、私の考えを解説いたします。

丁字路やY字路の周りは運気が下がる土地って……ウソ? ホント?

丁字路やY字路の周りは運気が下がる?

A.ホントです。お家を建てる土地としてはあまりオススメできません。

丁字路の突き当たりは、道路を走る車が向かってくる場所なので、とても強い気を受けてしまいます。その気は自然エネルギーではないため、家相では悪影響を及ぼすと言われており、家が悪い気に圧迫されて運気を下げてしまうというわけです。

Y字路は、“逆三角形”にあたる部分が地相的に良くありません。尖っている部分は凶相で、さらにそこから悪い気が出て近所トラブルが起こりやすいとされています。また、家を建てた際にデッドスペースが多くなるという意味でもあまり良い土地ではないのです。

墓地の近くに家を建てると良くないことが起こるって……ウソ? ホント?

墓地の近くに家を建てると良くないことが起こる?

A.ウソです。仏様が眠る場所は良い土地だと思ってください。

墓地に対して、霊がいる怖い場所というイメージをもつ方は少なくないでしょう。そのような印象から、墓地やお寺の近くを「家を建てるには不吉な場所」と考えている方もいますが、死者がきちんと供養されていればまったく問題ありません。家相では、供養された霊は仏様となり、その近辺は神聖な場所になると考えられています。

神社にも漠然と怖いイメージを抱いて「近くに家を建てたくない」という方がいますが、これも誤解ですね。神社には神様が宿り、そこに祀られる氏神様が家を守ってくれるので、周辺はとくに良い土地だと言えます。

また、墓地やお寺、神社の近くにはビルやマンションが建つことは少ないです。お家を建てた後で日照時間が短くなるといったトラブルが起きにくい土地でもありますね。

「北玄関」のお家は夫婦仲が悪くなるって……ウソ? ホント?

「北玄関」のお家は夫婦仲が悪くなる?

A.ホントです。北玄関は避けたほうが吉。

「北玄関」は家族の健康運を下げる良くない家相とされており、「家相の始まりは玄関」と言われるほど、玄関の位置は重要になってきます。吉相に玄関があれば、外気から良い運気を取り込むことができ、凶相に玄関があれば運気を逃がしてしまうからです。家族運や健康運に関わるので、できるだけ玄関は良い方位を選ぶことが重要です。 北に玄関があると日が当たりにくく良い気が入りにくい、暗さや寒さで悪い気が充満しやすくなるので、家族運や健康運に影響が出ると伝えられています。すでに北に玄関があるお家は、こまめに掃除や換気をして悪い気が溜まらないようにしたり、観葉植物を置いて悪い気を吸ってもらうようにしたりすると良いでしょう。

間取りの“欠け”を補うには鏡を置くと良いって……ウソ? ホント?

「北玄関」のお家は夫婦仲が悪くなる?

A.ウソです。“欠け”を補うなら別の方法にしましょう。

家相では、建物の出っ張り部分を“張り”、へこんだ部分を“欠け”と呼び、張りは吉相で欠けは凶相であると言われています。欠けに鏡を置くという説は、部屋に奥行きがあるように見せることで、欠けを補うという考えのようですが、家相における欠けは家の外側の問題なので、室内に鏡を置いても補うことはできません。運気が下がるのを防ぐのなら、家の外の欠け部分にプランターや物置を設置すると良いでしょう。景観の美化や収納スペースの拡張といった現実的なメリットもあります。

お家に観葉植物を置くと運気が上がるって……ウソ? ホント?

お家に観葉植物を置くと運気が上がる?

A.ホントです。観葉植物の「気」は運気を上げてくれます。

家相では、「(もっ)()土金(どこん)(すい)」の“木”のエネルギーをもつ観葉植物は、成長をもたらす良いものだとされています。「木火土金水」とは中国の陰陽五行説における根幹で、風水や東洋医学とも深い関係があり、家相を鑑定するうえでも重要な要素のひとつ。運気を上げるため、観葉植物はぜひ置きましょう。また、鬼門の北東や裏鬼門である西南の方位に置くと魔除けにもなるので、とくにオススメですね。現実的な面でも、お家に植物を置くことでリラックスしやすくなると言われています。

二世帯住宅は嫁と姑の関係が悪くなる「鬼の住処」って……ウソ? ホント?

二世帯住宅は嫁と姑の関係が悪くなる?

A.ウソ……だと思いたいですね。

この説、私はウソだと思います。おそらく、家相において「母」を意味する西南の方位が「裏鬼門」であることから、拡大解釈されてこのような風説が広がったのではないでしょうか。しかし、私の知る家相には、「二世帯住宅が鬼の住処」という根拠は何一つありません。長く住宅設計に携わった過程で、二世帯住宅も多く見てきましたが、お嫁さんとお姑さんの関係が良好なご家庭はたくさんありました。人それぞれに育った環境や人格の違いがあるので、二世帯住宅になるだけで関係が悪化するという説はウソだと考えて良いでしょう。

ただ、家相において「表鬼門」の東北と「裏鬼門」の西南にキッチンを配置するのは、家族間のトラブルが起こりやすくなる凶相とされているので、そこは注意していただきたいですね。

換気をするだけで運気が上がるって……ウソ? ホント?

換気をするだけで運気が上がる?

A.ホントです。換気はどんどんしましょう。

家相では、湿気や悪臭は邪気を持ち、お家の運気を下げると考えられています。そのため、換気は悪い気を外に出して良い気を取り込むことにつながるのです。湿気がこもったままのお家はカビなどが発生しやすく、家族の健康を害するおそれがあるので、換気は運気を上げるためにも健康のためにも大切なことだと言えるでしょう。また、換気の際にはカーテンを開けて太陽の日差しがたくさん入るようにすると、より運気アップにつながりますよ。

庭は良いけど「中庭」をつくってはいけないって……ウソ? ホント?

庭は良いけど「中庭」をつくってはいけない?

A.ホントです。とくに家の真ん中は良くないですね。

まず中庭があると、住まいのなかに湿気がこもりやすくなるというのが理由のひとつ。湿気がこもってジメジメしたお家は居心地が悪く、邪気もたまりやすくなるので良くありません。とくに避けていただきたいのが、家の中央に中庭をつくることです。

家相は、間取り図に対角線を引き、中心点を導き出してから鑑定するのですが、家の中央に中庭があると、中心点が“外”ということになり、その家の家相が無くなってしまうのです。これでは家相の良いお家をつくることができません。さらに家の中心に空間があると、そこから良い気が抜けていくとも考えられているため、家の中央に中庭をつくるのは避けたほうが良いでしょう。

一戸建てとマンションでは家相のルールが変わるって……ウソ? ホント?

一戸建てとマンションでは家相のルールが変わる?

A.ホントです。一戸建てとマンションでは重視するポイントが違います。

家相は一戸建ての住宅だけが対象ではなく、マンションにも存在します。しかし、それぞれに重視するポイントが異なるため、ルールも少し変わってくるのです。一戸建ての場合は、玄関の方位が最も重要とされ、表鬼門である東北に配置されないよう設計しますが、マンションにおいて最重要視されるのはバルコニーの方位。

バルコニーが日当たりの良い南側になるよう設計されるのが吉なので、どうしても玄関は北側に配置されやすくなるわけですね。東北が表鬼門である、ということは一戸建てでもマンションでも同じなのですが、マンションの場合は東北に玄関が配置されていても、南にバルコニーが配置されていれば吉相とされます。

ペットにとっても良い家相、悪い家相があるって……ウソ? ホント?

ペットにとっても良い家相、悪い家相がある?

A.ウソです。家相は人間が対象になります。

家相や地相、そしてそれらを構成する要素である九星気学などは、あくまでも人間の運気を占うために発達したもので、動物に当てはめて考えることはできないでしょう。ペットも家族の一員であることに間違いはないのですが、家相は人間を基準に鑑定するものだと覚えておきましょう。

昔話「桃太郎」に家相が関係しているって……ウソ? ホント?

昔話「桃太郎」に家相が関係している?
©『運を引き寄せる わかりやすい家相と間取り』(神宮館)

A.おそらくホントです。

比叡山延暦寺にて、桃太郎と家相に関係するような説法を聴いたことがあるので、私はホントだと思います。方位にはそれぞれ干支があり、表鬼門である東北は丑寅(うしとら)の方位とされていて、これは「牛の角が生えていて虎柄のパンツを履いている」という鬼のイメージに合致します。鬼は表鬼門から入って裏鬼門から出ていくのですが、そのルートを遮るように西南から西北にかけての方位に申(さる)、酉(とり)、戌(いぬ)が配置されているのです。桃太郎のお供である動物たちが、鬼を邪魔していると言えますね。このことから、桃太郎のお供は家相を元に決められた、家相と何らかの関係があると言えるのではないでしょうか。

家相・地相にまつわる都市伝説のウソ? ホント? 特集 まとめ

家相や地相にまつわる都市伝説は、本当にたくさん存在し、風水などに関わるものと合わせるとさらに多くなります。今回は私の考えをもとに解説しましたが、鑑定師によって判断が異なる部分はあるので、ひとつの見解として楽しんでいただければと思います。

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