巣ごもり需要でブーム到来!?家電ライターがオススメする最新家庭用プロジェクター

「プロジェクター」と聞くと、どんなシーンが思い浮かびますか? オフィスでの会議や学校の授業、あるいは講演会などで使われているイメージを持つ方が多いのではないでしょうか。しかし最近では、若い世代を中心に「家庭用プロジェクター」が流行し始めているそうです。そこで、家電ライター兼アドバイザーとしてさまざまなメディアで活躍されている藤山哲人さんに最新の家庭用プロジェクターについて伺いました。

お話を伺った藤山哲人さん プロフィール

家電アドバイザー藤山哲人のプロフィール
藤山哲人さん

家電の紹介やしくみ、選び方や便利な使い方などを紹介するプロの家電ライター。独自の測定器やプログラムを開発して、家電の性能を数値化(見える化)し、徹底的に使ってレビューするのをモットーとしているため「体当たり家電ライター」との異名も。「マツコの知らない世界」(番組史上最多の6回出演)や「アッコにおまかせ」、「NHKごごナマ」などをはじめ、朝や昼の情報番組に多数出演。現在、インプレスの「家電Watch」「PC Watch」や「文春オンライン」「現代デジタル」などのWeb媒体、ABCラジオで連載やコーナーを持っている。

家電ライターの藤山哲人です。今、人気が高まっている「家庭用プロジェクター」は、ここ1〜2年のいわゆる“巣ごもり需要”もありますが、より高性能かつ便利になったことで流行しているのだと思います。今回は家庭用プロジェクター流行の経緯や最新家庭用プロジェクターに搭載されている驚きの機能などをご紹介しますので、今まで興味のなかった方も参考にしてみてくださいね。

「家庭用プロジェクター」が流行った経緯とは?

「家庭用プロジェクター」が流行った経緯とは?

日本にプロジェクターが登場したのは30年ほど前になります。当時はLEDが開発されておらず、暗い部屋で専用スクリーンを用意しないと使えないといった不便さがあったので、一般家庭に浸透することはありませんでした。しかし月日は流れ、プロジェクターもどんどん進化して、もともとプロジェクターにマイナスイメージがなかった中国や韓国で流行し始めたんです。さらに2018年にベンチャー企業のpopIn(ポップイン)が“プロジェクターとスピーカーを内蔵したシーリングライト”を開発し、販売に向けたクラウドファンディングを実施。そのときは、なんと27時間で目標額100万円を大きく上回る2,500万円を集めました。このクラウドファンディングは日本でも支持され、スクリーン要らずで本体も場所を取らないという手軽さも相まって、現在の家庭用プロジェクターの流行へとつながったわけです。さらに最近モデルはandroidなどのOS内蔵で最初からYouTubeやNetflixなどのアプリが入っているものや、Bluetoothで自分のスマホと接続できるものもありますね。

ちなみにプロジェクターと言えばオフィスでの使用をイメージする方が多いかもしれませんが、ビシネス用と家庭用ではいくつかの違いがあります。ビジネス用は様々な映像信号が入れられるコネクタが豊富ですが、アプリなどが入っておらず単なる投影機。家庭用はyoutubeなどのアプリが入っているネットワークコンテンツブラウザという位置づけですね。また、ビジネス用はとにかく明るさ重視ですが、家庭用は映像の“再現性”を大切にするために画質が重視されてきました。ところが、最新の家庭用プロジェクターは明るさの点でもクオリティが上がっており、部屋の電気がついていても映像がしっかり投影されるものも多いんですよ。ただ、西日が入る部屋だとさすがに見づらいと思うので、家庭用プロジェクターを設置するのはお家の北側にある部屋が良いんじゃないかなと思います。それから、映像を映すにはやっぱり白い壁がオススメです。ベージュやライトグレーなんかも良いと思いますが、ブルー系はNG。青い壁に映像を投影すると、ドラマの登場人物の顔が青くなったりして見ていられないですよ(笑)。

壁には多少の凹凸があってもOKですが、カーテンに投影するとさすがに違和感があるように思います。それから、投影する壁とプロジェクターとの距離も重要。プロジェクターが対応する距離をしっかり確認して設置場所を決めることが大切です。また、ちょうど良い大きな壁がない場合は、投影用スクリーンを買っても良いかもしれません。安いものだと1万円以下で手に入りますし、じゃまになるようならロールカーテンのようにクルクルと自動で天井に巻き取れるものもありますよ。

オススメ家庭用プロジェクター①カンタン天井設置! 「popIn Aladdin(ポップインアラジン)」

家電ライターのオススメ家庭用プロジェクター①「popIn Aladdin(ポップインアラジン)」

「popIn Aladdin(ポップインアラジン)」は天井に設置するシーリングライトに高性能プロジェクターと高音質スピーカーを内蔵した“照明一体型3in1プロジェクター”で、家庭用プロジェクターブームの火付け役メーカーpopInが開発しました。現在は『popIn Aladdin2』と『popIn Aladdin SE』が発売されています。
映し出される映像は明るくて画質も良く、設定や操作も簡単。引掛シーリングに取り付けるだけなので設置も簡単で、電源コードが必要ないのもうれしいポイントです。動画系のアプリ以外にも子ども向けの絵本や図鑑、学習系のアプリも内蔵されているのでお子様のいるご家庭にもオススメですね。ミラーリング用アプリの「Miracast(ミラキャスト)」で、自分のスマホやパソコン、ゲーム機などの映像も表示可能。ただし、遅延が発生するのでアクション系ゲームより、「どうぶつの森」のようなコミュニケーションゲームやシミュレーションゲームの方が向いていると思います。

1.82メートルの距離で100インチの映像が投影できる『popIn Aladdin2』

少し前のプロジェクターの場合、100インチの映像を投影するには3メートル弱の距離が必要でしたが、popIn Aladdin2では1.82メートルの距離で投影可能となっています。サイズと投影距離については公式サイトでも紹介されているので、取り付ける際は参考にしてくださいね。また、天井に本体を設置するため、音声は映像からではなく上から聞こえてきます。木造建築の場合は上の階に音が響くかもしれないので、音量には気を付けましょう。映像から音を出したい場合は、Bluetoothで連携できるスピーカーを併用すると良いですよ。

どちらがオススメ? 『popIn Aladdin2』と『popIn Aladdin SE』

『popIn Aladdin2』と『popIn AladdinSE』の違いはいろいろありますが、まずは明るさですね。2の700ANSIルーメン※1に対して、SEは500ANSIルーメンと少し暗めなので、日中に使いたい方は2のほうがオススメです。投影距離も異なっていて、たとえば70インチの映像を映す場合、2なら本体から壁までの距離は1.5メートルで足りますが、SEの場合は2.04メートル必要となります。これらの要素から考えると2のほうが使い勝手が良いのですが、SEはなんと言っても価格がお手頃。2の価格が約10万円なのに対してSEは約6万円となっています。システムや本体寿命などは同じなので、ある程度のスペースが確保できて夜に使うことが多い方ならSEでも十分楽しめるんじゃないでしょうか。

※1 ANSI(アンシ)ルーメン…ANSI(アメリカ国家規格協会)が定めた明るさの規格。

オススメ家庭用プロジェクター②寝ながら見られる!? 『Aladdin Vase(アラジンベース)』

家電ライターのオススメ家庭用プロジェクター②『Aladdin Vase(アラジンベース)』

『Aladdin Vase(アラジンベース)』は2021年12月に発売された新商品です。「popIn Aladdin」シリーズはシーリングライトとして天井に設置するタイプでしたが、Aladdin Vaseは置型でスマートライトの要素も備えたインテリアタイプ。メーカーはとくに“寝室向け”としてオススメしているようで、入眠を促す光を出してくれるスリープモードなども搭載しています。そして、特筆すべき点は“天井にも映像が映し出せる”ということです。

『Aladdin Vase(アラジンベース)』は寝室での使用に向いている

明るさは200ANSIルーメンとやや暗めですが、電気を消した寝室で寝転がって見る分には問題ないと思います。もちろん壁にも映像を投影できるので、通常のプロジェクターと同様の使い方もできますよ。花瓶のような形状でカラーリングはキャメルブラウンとなっており、メカっぽさがないデザインなので部屋のインテリアにこだわりたい方にもオススメです。価格は約7万円で、popIn AladdinSEに近い価格帯ですね。

オススメ家庭用プロジェクター③4Kで超高画質! 『AURA(オーラ)』

家電ライターのオススメ家庭用プロジェクター③『AURA(オーラ)』

より高画質な映像を求める方にはXGIMI(エクスジミー)というメーカーの4K プロジェクター『AURA(オーラ)』が一押しです。4K ULTRA HD画質と2400ANSIルーメンの明るさで、とても鮮明な映像が楽しめます。さらに超短焦点レンズが使われているので投影距離が短くて済むのも魅力で、なんと100インチの大きさの映像を壁から20センチの距離で映し出すことができるんです。本体のサイズは少し大きめですが、投影距離を取るためのスペースが必要ないので、置き場所に困ることはあまりないでしょう。また、フェラーリなどのカーステレオを手掛けるオーディオ機器ブランドHarman/Kardon(ハーマン・カードン)の高級スピーカーを内蔵していて、音質がかなり良いこともオススメポイントです。価格は約30万円とお高めですが、それだけの性能は備えていますね。

臨場感のある大画面が魅力の『AURA(オーラ)』

AURAは画質や音質にこだわりたい方はもちろん、ゲーム好きな方にも向いていると思います。私もAURAの映像でゲームをやってみましたが、やはり大画面だと迫力があって臨場感が桁違いでした。AURAは4K対応ですから、とくにPS5のプレイにはもってこいじゃないでしょうか。RPGなんかは世界観に没頭できて楽しめますよ。ただし、「popIn Aladdin」同様、アクション系のゲームは遅延が発生するので要注意。また、迫力がとにかくすごいので、慣れるまでは長時間のプレイによるゲーム酔いには気を付けましょう。

家庭用プロジェクターがあればこんなこともできる!?

家庭用プロジェクターがあればこんなこともできる!?

プロジェクターがあれば大画面で映画やドラマを観たり、スポーツ中継やゲームを楽しんだりできますが、それ以外にもオススメの使い方があります。それは景色の動画を見ること。沖縄の海や海外の街並みなんかを映し出すと、まるで大きな窓の外にその景色が広がっているように見えるんですね。景色の動画はYouTubeで探せばいろいろと出てくるので、手軽に旅行気分が味わえます。さらに、部屋を真っ暗にして壁や天井に星空を映すとプラネタリウムのような空間をつくり出すことも。工夫次第でいろいろな使い方ができるので、お家にプロジェクターがあると家族みんなで楽しめると思いますよ。

プロジェクターはテレビの代わりになる?

家庭用プロジェクターについて、たびたび耳にするのが「テレビの代わりになる?」といった疑問。たとえば今回紹介したpopIn AladdinやAURAは、テレビ用チューナーにつなげれば地上デジタル放送などを視聴することができます。しかし、私はテレビとしてプロジェクターを使うのはあまりオススメしません。ドラマなんかを見る分には良いのですが、ニュースやバラエティなどテロップがたくさん出るような番組は大画面だと見づらかったんですよね。投影距離を縮めればその分画面も小さくなりますが、テレビくらいの大きさで映そうとすると、プロジェクター本体がけっこう邪魔な位置になることも。感じ方に個人差はあると思いますが、完全なるテレビの代わりにはならないんじゃないでしょうか。

家電ライターがオススメする最新家庭用プロジェクター まとめ

少し前まで「シアタールーム」と言えば、映画鑑賞を趣味とする方やお金持ちのお家にある部屋、というイメージが強かったように思います。しかし、高性能で使いやすい家庭用プロジェクターが登場した今、いつものリビングがシアタールームに早変わり。おうち時間を豊かにするアイテムとして、家庭用プロジェクターをお迎えしてみるのも面白いと思いますよ。

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