年末の大掃除は、普段なかなか手が回らないキッチンのレンジフードやコンロをキレイにしたり、浴室のカビ対策をしたりなど、時間と手間がかかる大仕事です。仕事や育児、介護などで忙しい生活のなかで、大掃除の時間をつくるのはとても大変ですよね。加えて、一年の汚れを一気に掃除するわけですから、効率的にやらないと時間ばかりがかかり、全部が終わらないこともあるかもしれません。しかし、家事の効率化を提唱する知的家事プロデューサーの本間 朝子さんによると、大掃除を楽にする革新的な方法があるそうです。その方法とは、「予防掃除」と「ついで掃除」を習慣化すること。いったいどういうことなのでしょうか? 本間さんに詳細をお聞きしました。
知的家事プロデューサー。
自分自身が仕事と家事の両立に苦労した経験から、時間と無駄な労力を省く家事メソッド「知的家事」を考案。「時間がない」「家事が大変」と嘆く多くの主婦の悩みを解決している。NHK「あさイチ」、日本テレビ「ヒルナンデス! 」などのテレビ、「クロワッサン」「ESSE」等の雑誌で活躍中。オンライン上に集まってみんなで楽しく家事をするコミュニティ「家事トモ☆サロン」を主宰。著書に「60歳からの疲れない家事」(青春出版社)など計12冊がある。
オフィシャルサイト:http://honma-asako.com
知的家事プロデューサーの本間 朝子です。私自身、仕事と家事の両立に苦労したことから、家事がもっと楽になるメソッドを発信しています。実は、家事のなかで私が最も苦手なのが掃除です。以前は掃除道具をしまい込んでしまうほどの掃除嫌いだったんですよ。しかし、掃除嫌いを謳っていたら、コミュニティなどを通して掃除に関する情報が集まってくるようになりました。今では集まった掃除アイデアを広く共有し、多くのご家庭で大掃除の負担を減らせることを目指しています。知識や技術がなくても、コツさえ掴めば大掃除はきっと楽になるはず。どなたでも実践しやすい掃除のコツや考え方をご紹介しますので、大掃除の概念を変えていきましょう!
目次
1.大掃除をNO掃除にするコツは「予防掃除」と「ついで掃除」
2.大掃除の負担を減らす「予防掃除」とは?
3.浴室はカビ対策をするだけで大掃除が楽になる! お風呂場の予防掃除のコツ
4.お風呂場の予防掃除に効果的! 知的家事プロデューサーのオススメグッズ
5.大掃除の難易度を下げる! 「ついで掃除」を習慣化するコツ
6.時短家事のプロが教える予防掃除とついで掃除のコツ まとめ
大掃除をNO掃除にするコツは「予防掃除」と「ついで掃除」
大掃除は、お家の一年の汚れをすっきりキレイにして新年を迎えましょう、というものです。しかし、一気に掃除しようと思うと、かなりの労力が必要ですよね。掃除は難易度が上がれば上がるほど、時間と労力がかかります。たとえば油でギトギトになったキッチンのコンロ。強力な洗剤を使い、ゴシゴシ洗ってもなかなかキレイになりません。掃除が大変な箇所ほど放置してしまいがちですが、実は汚れには段階があるんです。
たとえば単なるホコリならサッと「から拭き」すれば良いのですが、ホコリを放置してしまい、そこに水分や油分がくっつくと次第にベタベタした“汚れ”に変わります。軽い汚れであれば「水拭き」で落とせますが、さらに放置すると“こびりついた汚れ”になり、洗剤を使わないと落とせなくなります。それでも掃除をせずに放っておくと、素材に汚れが染み込んでしまい、ハウスクリーニングなどのプロでないと落とせない状態になってしまうのです。つまり、から拭きでキレイになる“ホコリの段階”で手を打っておけば、大掃除をグッと楽にできるというわけですね。
しかし、普段からきちんと掃除するなんて、言うは易く行うは難しです。そのことは、おそらく私が一番わかっています(笑)。そこで重要となるのが、「予防掃除」と「ついで掃除」を習慣化すること。私の主催するコミュニティでは、「予防掃除とついで掃除で、大掃除をNO大掃除に」なんて話も出ているんですよ。大掃除をする必要がないほどキレイな状態を保つのは難しいかもしれませんが、大掃除の難易度を下げ、掃除する箇所を減らすことは可能です。“いつの間にかお家がキレイになっている”、そして“そもそも掃除しなくても大丈夫”を目指すための具体的な方法を解説していきましょう。
大掃除の負担を減らす「予防掃除」とは?
予防掃除とは、一言で言うと“汚れを防ぐための工夫”です。たとえばキッチン。レンジフードの傘がベタベタになると掃除が大変ですが、予防掃除をしておけば怖くありません。大掃除が終わったら、レンジフードの傘にラップを敷いておきましょう。汚れたらラップを交換するだけであっという間に掃除が完了! 以降の大掃除では本体をサッと拭くだけで済むので、このひと手間だけで格段に負担が減るはずです。ほかにもオススメの予防掃除があるので、場所別にいくつかご紹介しましょう。
お家全体の予防掃除のコツ
本棚や食器棚のような高い棚の上には新聞紙を敷きます。チェストやカラーボックスなど背の低い棚は普段から目に付くので、好みの布を敷くと良いでしょう。新聞紙は捨てるだけ、布はたまに洗濯機すればOKです。
照明のスイッチプレートも意外と汚れやすいので、マスキングテープを貼って汚れを予防しましょう。とくに小さなお子様がいるご家庭は、手垢が付きやすいのでオススメです。マスキングテープによる予防掃除は窓のサッシにも有効ですね。大掃除の後、汚れやすい溝に貼っておけばホコリや砂がたまるのを防いでくれますし、貼り替えるだけで簡単にキレイになりますよ。窓サッシのマスキングテープは半年ほどを目安に貼り替えてください。
家電やシンクの大掃除をグッと楽に! キッチンの予防掃除のコツ
冷蔵庫内のソースやケチャップ、知らないうちに液垂れしていませんか? 調味料が垂れて固まってしまうと、落とすのはなかなか大変です。そうなる前に、ドアポケットにキッチンペーパーを敷きましょう。さらに我が家では、紙コップにマヨネーズやケチャップを逆さに入れています。残量が少なくなっても最後まで使いやすいですし、液垂れしても対処がしやすくなるからです。野菜室にも新聞紙を敷いて、汚れを予防しましょう。
レンジフードと同様、冷蔵庫の天板にラップを敷くのも忘れずに。ただし、上部に吹き出し口などがある冷蔵庫は、そこを避けて敷いてくださいね。
また、調理中はどうしても手が濡れたり汚れたりします。そのまま電子レンジや冷蔵庫、食器棚を開け閉めすれば汚れるのも当然です。汚れを防止するため、台ふきんを持ちながら触るようにしましょう。
シンクも予防掃除がしやすい場所です。使用前、水でザッと流すだけで汚れ防止になりますよ。これはプロの料理人のテクニックで、水の膜を張ることで油汚れが付きにくくなるそうです。さらに野菜は皮をむいてから洗うことで、臭気の予防につながります。生ゴミは水気が多いほど腐敗しやすくなるので、濡らさずにそのままポリ袋などに入れて捨てましょう。生ゴミを三角コーナーなどにためておくのもNG。臭いや汚れのもとになるため、その都度の処分をオススメします。
排水口ネットを取り替えるとき、新しいネットに食器用洗剤をつけ、シンクを洗う方法も試してみてください。スポンジだと落ちにくいような細かい部分も指でこすれますし、手の感触で目に見えにくい汚れもしっかりと落とせますよ。掃除が終わったら排水口にネットをセットして完了。シンク専用スポンジが不要になるので、衛生的かつお財布にも優しいテクニックです。
浴室はカビ対策をするだけで大掃除が楽になる! お風呂場の予防掃除のコツ
お風呂場の掃除は壁や床をしっかり除菌しても、天井にカビが生えていると、そこから放出された胞子によってカビはまた繁殖してしまいます。「うちの天井にはカビは生えていない」という方も多いと思いますが、天井のカビは薄く広がっているためわかりにくく、肉眼で見えなくても繁殖していることがよくあります。なので、お風呂場のカビを防ぐには、天井の掃除が欠かせないというわけです。天井のカビは、フローリングワイパーを使って掃除しましょう。キッチンペーパーを2枚重ねて装着し、そこに濃度70~80%のアルコール除菌スプレーを吹きかけ、天井を拭きます。お風呂場全体のカビの発生を防ぎやすくなりますよ。さらに防カビグッズも使用すると良いでしょう。カビの発生を防ぐだけで、お風呂場の大掃除の負担をかなり減らせますよ。
カビの発生を防ぐには通気口の予防掃除もオススメ
お風呂場の換気は、換気扇を回しておけばOKというわけではありません。給気と排気の両方ができているからこそ空気は循環し、カビが発生しにくくなるのです。換気扇を回しても排気だけになるので、あわせて入り口も掃除して、空気の流れをつくってください。
お風呂場のドアには空気の入り口となる通気口があるのですが、意外とホコリがたまりやすいので、塞がらないようにこまめに掃除をします。しかし、通気口は狭くて深さがあるため、歯ブラシや綿棒ではキレイに取れないんですね。そこでオススメなのが「急須注ぎ口ブラシ」。ブラシを溝に差し込んで左右に動かすだけで、面白いほどホコリが取れますよ! 100円ショップでも買えるので、ぜひ探してみてください。
賃貸住宅などでドアに通気口がない場合は、換気扇を回すときにドアを少しだけ開けておきましょう。ドアを全開にするとお風呂場のカビなどが脱衣室に流れ込んでくるので、握りこぶし一個分くらいが良いですね。また、換気のときは浴室の窓を閉めておきます。浴室全体を乾燥させることで、カビが発生しにくくなりますよ。
重曹風呂で入浴しながら予防掃除
重曹はお風呂場の予防掃除にも役立ちます。入浴剤代わりに重曹を入れてみてください。皮脂や角質が落ちるので肌がスベスベになるうえ、汗などの臭いを抑制してくれますし、浴槽に汚れが付きづらくなりますよ。入浴しながら浴槽の汚れを予防することができるので、大さじ1〜3杯を目安に重曹を入れると良いでしょう。
さらに、お風呂からあがるときに喫水線を手でこすって排水すれば、普段の浴室掃除も楽になります。残り湯をためて置く場合は、入浴時に使用した桶や椅子をそこに一晩浸けておくと、汚れが落ちやすくなりますよ。また、熱いシャワーをお風呂場の床や壁にかけると、カビの餌となる皮脂や石けんカスを洗い流してくれるので、カビ予防にもなります。
ただし、重曹風呂に毎日入ると身体の皮脂が取れすぎてしまうので、肌の弱い方や乾燥肌の方は気をつけてください。身体の様子を見ながら、多くても週1~2回にしておきましょう。また、重曹がしっかり溶けていれば残り湯での洗濯もできますが、最後のすすぎにはキレイな水道水を使ってくださいね。
お風呂場の予防掃除に効果的! 知的家事プロデューサーのオススメグッズ
●ファブリーズ 防カビ消臭剤 お風呂用 防カビ&ぬめり
お風呂場全体のカビ予防としてオススメなのが、P&Gのヒット商品「ファブリーズ 防カビ消臭剤 お風呂用 防カビ&ぬめり」です。掃除をした後に置くだけで、カビの増殖を抑えてくれますよ。
●らくハピ お風呂の排水口用 ピンクヌメリ予防 防カビプラス
「ファブリーズ 防カビ消臭剤 お風呂用 防カビ&ぬめり」とぜひセットで使っていただきたいのが、「らくハピ お風呂の排水口用 ピンクヌメリ予防 防カビプラス」です。こちらも排水口に置くだけなので、とっても簡単。成分が植物由来だから小さなお子様がいても安心して使えます。
●ホコリとりフィルターお風呂のドア用
お風呂場のドアの通気口を急須注ぎ口ブラシで掃除した後は、東洋アルミエコープロダクツの「ホコリとりフィルターお風呂のドア用」を貼っておきましょう。我が家は1ヶ月経たないうちにフィルターが真っ黒になるんですよ。いかに通気口にホコリが詰まりやすいのかがわかると思います。
大掃除の難易度を下げる! 「ついで掃除」を習慣化するコツ
予防掃除に加えて、「ついで掃除」も習慣化することで、大掃除は劇的に楽になります。たとえ“ついで”でも、掃除している場所は汚れがたまりにくくなるので、少ない労力でキレイにすることができるからです。日々の生活に上手く組み込んで、“掃除をしている感覚はないけれど、いつの間にかキレイになっている”を目指しましょう。ついで掃除を習慣化するポイントは次の3つです。
①掃除道具をあちこちに置く
②重い家具や家電はキャスターなどを付けて移動できるようにする
③床にものを置かない
ついで掃除のコツ①水回りはサッとひと拭き
冷蔵庫は、食材を買い足す前の空いている時に、ついで掃除をおこないましょう。スペースが空いているところを、アルコール除菌スプレーを使ってサッと掃除すればOK! 思い立ったときに掃除ができるよう、キッチンに掃除道具を備えてみてください。棚などに入っている鍋を使ったついでに、引き出しを拭く習慣も身に付けておくと良いですね。
トイレは汚れやすく、掃除も億劫になりがちな場所です。そこでオススメなのは、1回のトイレ使用につき1箇所拭く、という方法。何回かトイレに行くうちに、ざっくりですがトイレ全体の掃除ができているんです! 気付いたらキレイになっているので、大掃除の負担が軽減できるはずですよ。
髪の毛が落ちやすい洗面所には、ハンディクリーナーや粘着クリーナーを備えておくと便利です。髪をとかすついでに掃除する、この習慣が身に付いているだけでキレイが保てますよ。手を洗ったついでに、泡が付いた手で洗面ボウルを撫でて掃除するのもオススメです。
ついで掃除のコツ②リビングや寝室、廊下は移動のついでに掃除
ホコリの舞いやすいリビングや寝室、廊下は、手に取りやすい場所にフローリングワイパーやハンディモップを用意しておきましょう。たとえば寝室にフローリングワイパーを立てかけておき、朝起きたら廊下、洗面所、リビングと掃除しながら進みます。階段の近くにワイパーがあれば、昇り降りのついでに掃除ができますね。このついで掃除は、床に置いてあるものが少なければ少ないほど効果を発揮しますよ。
さらに出勤時には、ハンディモップで棚の上などを掃除しながら玄関へ向かいましょう。ここで活躍するのがロボット掃除機。出勤後、ちょうどホコリが落ちたころに作動するようタイマーをセットしておくのがコツです。
そのほか、テレビの裏にハンディモップを引っ掛けておけば、視聴のついでにホコリをサッと払ったり、CMのときにキャスターを付けた家具を移動させて掃除したりといった習慣が身に付きやすくなりますよ。
ついで掃除のコツ③燃えるゴミの日に玄関掃除
燃えるゴミを出すとき、ついでに玄関も掃除しましょう。玄関のゴミは、室内に持ち込みたくありませんよね。そこで、燃えるゴミの日に玄関掃除をして、出たゴミはそのままゴミ袋に入れて捨ててしまうわけです。玄関掃除には、刷毛(ハケ)を使うのがオススメ。我が家では靴箱の扉の裏にペンキ用の刷毛を吊るしています。ドアや表札、インターホンなどに付いた砂やホコリをゴミ出しのときに刷毛でサッと掃くだけで、汚れのたまり具合はかなり違ってきます。
時短家事のプロが教える予防掃除とついで掃除のコツ まとめ
一年間の汚れがたまり続けると、大掃除はとても大変になります。汚れの始まりであるホコリを放置せず、難易度が上がらないうちに取り除くことが、大掃除を楽にするための極意です。単なるホコリの段階なら、拭き掃除だけで済みますからね。大掃除が終わったら、ホコリよけのカバーをするなどの予防掃除もしましょう。ついで掃除を生活に組み込んで習慣化することも重要ですね。お家の至るところに掃除道具を配置し、ちょっとした行動と掃除をセットにできれば、いつの間にか掃除ができているはずです。効率良く予防掃除とついで掃除ができるようになったら、いつか大掃除が必要なくなるかもしれませんよ。
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