おしゃれなインテリアとして人気がある観葉植物。目で楽しめるだけでなく、空気清浄作用やリラックス効果などもあり、植物を育てる充実感も得ることができます。しかし、多くの種類からなんとなく選び、枯らしてしまった経験がある方も多いのではないでしょうか。そこで、ガーデンキュレーターの小島理恵さんに、観葉植物の基礎知識や選び方などを伺いました。北欧ナチュラルやブルックリンスタイル、アジアンテイストや和モダンなど、インテリアスタイル別のオススメ観葉植物と鉢カバー・プランター、飾り方もご紹介します。
株式会社Q-GARDEN代表
信州大学農学部森林科学科卒業後、大手造園会社に入社。その後、独立し、2011年に株式会社Q-GARDENを設立。庭づくりに関わる多方面の関係者と同時に双方向の調整・仲介をおこない、お客様の理想により近いお庭の提供を目指す日本初のガーデンキュレーターとして活躍中。
2023年2月、著書『はじめてのオーガニックな庭づくり ~植物の力を引き出すガーデニング術』を家の光協会より出版。
ガーデンキュレーターの小島理恵です。さまざまな空間を彩る観葉植物は、インテリアとしても非常に人気があります。しかし、インテリアと言っても植物ですから、生育に適した環境で適切な手入れをしなければいけません。まずは環境に合わせた観葉植物の選び方や育て方のポイントなどを解説しますので、ぜひ参考にしてください。
目次
1.植物のプロに聞く観葉植物の選び方&育て方のポイント
2.【インテリアスタイル別】オススメ観葉植物&鉢カバー・プランター
3.「北欧ナチュラル」に合う観葉植物&鉢カバー・プランター
4.「ブルックリンスタイル」に合う観葉植物&鉢カバー・プランター
5.「アジアンテイスト」に合う観葉植物&鉢カバー・プランター
6.「フレンチシック」に合う観葉植物&鉢カバー・プランター
7.「和モダン」に合う観葉植物&鉢カバー・プランター
8.「スパニッシュスタイル」に合う観葉植物&鉢カバー
9.「フレンチアンティーク」に合う観葉植物&鉢カバー
10.環境に合わせた観葉植物の選び方 まとめ
植物のプロに聞く観葉植物の選び方&育て方のポイント
観葉植物を選ぶ際、まずは“どこに置きたいのか?”を決めましょう。植物を育てるにあたって重要なのは、それぞれに合う生育環境です。日なたを好むのか、日陰でも育つのか、湿度が高いほうが良いのか乾燥に強いのか、暑さや寒さにどれくらい耐えられるのか……環境によって植物の育ち方は大きく左右されます。土地に合った植物を育てることを「適地適木(てきちてきぼく)」と言いますが、室内で育てる観葉植物も同様です。日当たりの良い部屋、暗めの寝室、湿度の高い洗面所など、お家の中でも環境は異なるので、観葉植物をどこに置きたいか決めてから、その環境に合った品種を選びましょう。
環境に合った観葉植物選びのポイントは主にふたつあって、ひとつ目は“照度”です。植物を育てるうえで光は必要不可欠なものですが、「ベンジャミン」や「アレカヤシ」のように明るい場所を好む観葉植物もあれば、暗い室内でも育てられる「アジアンタム」や「スパティフィラム」などもあります。
もうひとつ重要なのが“最低温度”です。植物にはそれぞれ生育に適した温度帯があり、冬越しができる温度かどうかは欠かせないチェックポイントです。とくに観葉植物は熱帯や亜熱帯を原産としている品種が多いので、冬越しに必要な最低温度と置きたいスペースの室温はよく確認しましょう。各部屋の1日の日当たり・照度と室温を考えて観葉植物を選べば、園芸初心者の方でも失敗する確率は低くなります。
観葉植物を育てるコツと注意点
観葉植物の水やりは“土が乾いたらたっぷりあげる”が基本です。「観葉植物をよく枯らしてしまう」という悩みを抱える方の多くが、実は水をあげ過ぎています。土の加湿状態が続くと、植物の根は酸素が吸収できず根腐れを起こして、やがて枯れてしまうので要注意。土の乾き具合を確認するには、鉢の中に指を第一関節くらいまで入れてみましょう。指に土が付いてくればまだ湿っていますし、何も付いてこないようなら十分に乾いています。土が乾いているのを確認したら、水やりのタイミングです。観葉植物は過湿を好むものから乾燥に強いものまでさまざまなので、性質を理解したうえで、基本は“乾いたらたっぷりあげる”を意識して水やりしてください。また、水やりの後で受け皿に溜まった水は根腐れやカビ、病害虫などの原因となるため必ず捨てましょう。
1日のなかで大きな寒暖差が生じるときは、観葉植物の置き場所を移動する必要があります。たとえば日なたが好きで寒さに弱い観葉植物を南側の窓際に置いている場合、日中は温度が高く日差しも十分に当たります。しかし、冬場の明け方などは冷え込みが厳しいため、急激な温度差に耐えられないケースも。季節や天候に応じて場所を移し、常に植物に合った環境にしてあげましょう。
植物を育てるうえで欠かせないのが病害虫対策です。病気や害虫の発生を防ぐポイントは風通しを良くすること。基本的に観葉植物は屋内に置くものですが、暖かい季節にはときどき外に出して、風に当ててください。サーキュレーターなどを活用しても良いでしょう。観葉植物に付着したホコリを水で洗い流すのも害虫対策になります。アブラムシやカイガラムシなどを見つけた際は、殺虫剤などを使わなくてもウエットティッシュで拭き取ってしまえば問題ありません。
【インテリアスタイル別】オススメ観葉植物&鉢カバー・プランター
観葉植物は部屋の環境に合うものを選ぶのが前提ですが、インテリアスタイルにマッチする植物を飾ると、よりおしゃれな空間になることでしょう。さらに、観葉植物のビジュアルだけでなく鉢カバー・プランターのデザインをインテリアテイストに合わせると、いっそう部屋のコーディネートが楽しめます。
「北欧ナチュラル」に合う観葉植物&鉢カバー・プランター
北欧ナチュラルは、根強い人気を誇るインテリアスタイルです。北欧ナチュラルテイストのインテリアには、「フィカス・ウンベラータ」や「ゲッキツ」など、葉が軽い雰囲気の観葉植物が似合うでしょう。
フィカス・ウンベラータは、ゴムノキやガジュマルの仲間で、人気の高い観葉植物のひとつ。寒さに弱く、明るい場所を好むため、最低温度は10℃以上をキープして日当たりの良い場所で育てましょう。ゲッキツは、比較的暗い場所でも生育可能なので、寝室などに置くこともできます。ただし、日光は必要なので、日中は日に当ててあげましょう。
北欧ナチュラルに合う鉢カバー・プランター
家具やインテリアの素材が生かされた北欧ナチュラルスタイルの部屋には、シンプルなデザインの鉢カバーがオススメです。やわらかい印象のカラー、曲線のあるデザインなどを検討してみてください。
●ヤマテー「アユラニ パトン」
落ち着いたホワイトのカラーと円形のラインが美しい鉢カバーです。塗装ではなく原料のホワイトセメントによる色なので、ナチュラルで上質な印象を与えてくれます。
●ヤマテー「フェルム レギッド」
パウダーコートされたスチール製の鉢カバーで、ツヤ消しのマットなカラーが魅力的です。カラーが豊富なのでインテリアや植物に合わせていろいろ選べます。シックなオリーブグリーンがとくにオススメです。
「ブルックリンスタイル」に合う観葉植物&鉢カバー・プランター
ブルックリンスタイルは、ニューヨークのブルックリンをイメージしたテイストです。雑多な雰囲気のブルックリンスタイルには、「クロトン」や「グリーンアラレア」(ディゴジセカ)、「サンスベリア」など、葉に模様や切れ込みなどの特徴がある観葉植物が良いアクセントになります。
クロトンは、鮮やかなグリーンに黄色やオレンジなどの色が入ったカラフルな葉が特徴。品種によって色や形状もさまざまなので、好みのものを選びましょう。マレー半島や太平洋諸島の温暖な地域が原産のため、明るい場所を好みます。寒さには弱いので、冬場の管理にはくれぐれもご注意ください。グリーンアラレア(ディゴジセカ)は、ギザギザとしたカエデのような葉が特徴で、日当たりが強すぎない場所を好むため、強い直射日光は避けると良いでしょう。サンスベリアは、多肉質で革のような質感の葉が特徴で、品種ごとにさまざまな形状であったり、独特な模様があったりします。乾燥した土を好み、とくに冬場はあまり水やりを必要としませんし、比較的暗い場所でも生育可能です。
ブルックリンスタイルに合う鉢カバー・プランター
無骨感のあるブルックリンスタイルの部屋には、ラフな雰囲気の鉢がぴったりです。
●DULTON「ガルバナイズド タンク」
シンプルなデザインで植物を活かしてくれる魅力的な鉢カバーです。ドラム缶のようなどっしりとした質感は、大きめの植物にも合います。
●ミュールミル「セドナスクエア」
セメントをナチュラルファイバーで固めた鉢カバー。コンクリートの質感そのままに軽量化されているので、使い勝手の良さも魅力的です。
「アジアンテイスト」に合う観葉植物&鉢カバー・プランター
東南アジアのリゾートをイメージしたアジアンテイストは、ラグジュアリーかつ開放感があり、自然を感じさせる雰囲気には観葉植物が欠かせません。観葉植物はヤシやシダなど、アジアの景色をイメージさせる品種を選ぶのがポイントです。
たとえば「アレカヤシ」は、高さ2メートルほどにもなるヤシ科の植物。ボリューム感はあるものの軽やかな葉が特徴的で、南国のムードを演出してくれます。寒さに弱く明るい場所を好むため、日当たりの良いところに置いて、温度が0℃以下にならないように調整して生育しましょう。「カンノンチク」は、オリエンタルな美しさが魅力のヤシ科の植物で、比較的暗い場所でも育ちます。ただし、乾燥と過湿には注意してください。「リュウビンタイ」は、九州や沖縄などの暖地に自生するシダの仲間で、「ウロコシダ」とも呼ばれる植物です。湿気を好む性質があるので、水やりや霧吹きはこまめにおこないましょう。日当たりと風通しの良い場所でよく育ちますが、葉焼けしやすいので西日が当たる場所は避けてください。
アジアンテイストに合う鉢カバー・プランター
南国を思わせるダイナミックな植物には、存在感のある鉢カバーを選びましょう。とくに自然の風合いがあるものがマッチします。
●グリーンポット「ジャヤ シャロー」
地割れのようなクラックが目を引く鉢カバーです。アートのようなデザインと重厚感のある陶器は、ラグジュアリーなアジアンテイストの空間に合うでしょう。
●ヤマテー「コーテス ジャー」
ナチュラルなセメントの質感と表面の大胆な加工が魅力的で、植物の存在感をより引き立ててくれます。屋外向けですが、防水インナーをセットすれば屋内でも使えます。
「フレンチシック」に合う観葉植物&鉢カバー・プランター
上品で落ち着いたフレンチシックに合う観葉植物は、葉の色が濃い「ベンガルボダイジュ」のような品種です。ただし、部屋とのバランスによっては「スパティフィラム」や「アンスリウム」など軽やかな印象の花ものが似合うと思います。
ベンガルボダイジュは、ゴムの木やガジュマルの仲間で、20センチほどにもなる大きな葉がとても美しい観葉植物です。明るい場所を好む傾向にありますが、直射日光には当てないよう注意しましょう。スパティフィラムは、葉が変形した「仏炎苞(ぶつえんほう)」が美しく、白い花びらのように見えます。原産地は熱帯雨林ですが、木漏れ日を浴びて生育しているため、直射日光が苦手。比較的暗いところでも生育できるので、室内でも育てやすいでしょう。アンスリウムも鮮やかな仏炎苞が特徴で、日なた~半日陰で育てるのが適しています。
フレンチシックに合う鉢カバー・プランター
フレンチシックスタイルには重厚感のある陶器の鉢カバーが合うでしょう。インテリアの色使いによっては、陶器の表面を覆う「釉薬(ゆうやく)」が金色のものなどもマッチすると思います。
●グリーンポット「ノード」
風化した砂岩のような見た目は、フレンチシックにぴったり。ノードには「コニック」「エッグ」「ラウンド」の3種の商品がありますが、どれも質感がオススメなので、インテリアの雰囲気に合わせて選んでいただければと思います。
●グリーンポット「ループ ラウンド」
グリーンポットからもう1種類、釉薬陶器の鉢カバーを紹介します。職人の手作業による成形で生まれた釉薬(ゆうやく)のムラが、味わい深く美しい造形をつくり出しています。どっしりとした佇まいで観葉植物を引き立ててくれることでしょう。ループ ラウンドには4色のカラーがありますが、とくにオススメなのはカッパーです。
「和モダン」に合う観葉植物&鉢カバー・プランター
和モダンは、日本の伝統的なインテリア様式に現代的な要素をミックスしたスタイルで、オススメの観葉植物は日本の野山に生えていそうなサトイモやシダの仲間などです。
「クワズイモ」はサトイモの仲間で、大きな葉とぐねっと曲がった根茎が個性的な観葉植物です。熱帯雨林の木陰で自生するため、暗めの場所でも比較的育ちます。シダの仲間の「プテリス」も和モダンにオススメ。葉に白い斑が入るものや切れ込みが入るものなど、さまざまな種類があります。熱帯や亜熱帯が原産なので、直射日光の当たらない、明るめの室内に置きましょう。
和モダンに合う鉢カバー・プランター
和モダンには、日本の伝統的かつ自然を感じさせる天然素材のようなテイストが合います。シンプルでありながら味のある鉢カバーを選ぶと良いでしょう。
●グリーンポット「ロッカー Uポット」
コンクリートとは思えない天然石のような風合いが特徴の鉢カバー。特徴的なフォルムを持つ「クワズイモ」などの観葉植物を引き立ててくれるデザインです。
●ヤマテー「コーテス オブロング」
ナチュラルなセメントの重厚感と、表面に小石を研ぎ出したデザインが和モダンにぴったり。「プテリス」の特徴的な葉を際立たせてくれることでしょう。
「スパニッシュスタイル」に合う観葉植物&鉢カバー
地中海の明るく開放的な空間がイメージされるスパニッシュスタイルには、インテリアに見劣りしないような観葉植物を選びましょう。「カシワバゴムノキ」や「アグラオネマ」など、目を引くような大きい葉をもつ観葉植物がオススメです。
カシワバゴムノキは、美しい波状の大きな葉が空間をおしゃれに彩ってくれます。曲がった樹形に仕立てられたものを選ぶと、インテリアに負けない存在感が出ることでしょう。耐陰性が強いのでやや暗い場所でも育てられますが、どちらかというと日なたが好きな植物なので明るい場所に置くのがベスト。ただし、葉焼けを防ぐために直射日光は避けましょう。「アグラオネマ」は大きめの葉に白い模様が特徴的で、葉の模様はストライプ柄や迷彩柄など品種によってさまざまです。暗い室内でも育てられますが、寒さには弱いので冬はできるだけ暖かい部屋で管理するようにしてください。
スパニッシュスタイルに合う鉢カバー・プランター
スパニッシュスタイルの重厚な家具に合わせて、同じようなどっしりとした印象の鉢カバーを選ぶのがオススメです。
●グリーンポット「リッジ」
多面的造形のおしゃれで個性的なフォルムは、重厚感と高級感を合わせ持っています。繊維強化プラスチック素材なので、軽量で耐久性もあります。
●TIS TOU(ティストゥー)「BASTIA(バスティア)」
直線と曲線のバランスが計算し尽くされたBASTIA(バスティア)は、オランダの彫刻家ポール・オーデケルケン氏が手掛けたもの。マットな質感で洗練された存在感を放つプランターです。BASTIAを含むベルギー発のデザインプランターDOMANI(ドマーニ)は、「TIS TOU」が扱っています。
「フレンチアンティーク」に合う観葉植物&鉢カバー
フランスの田舎を彷彿とさせるフレンチアンティークには、「カラテア」の仲間や「シッサス・エレンダニカ」など、葉に特徴のある草ものがオススメです。床置きにするよりもコンソールや暖炉の上に置くと良いでしょう。
カラテアの仲間は、葉の表面に独特な模様が入り、裏は紫がかった色をしているインテリア性が高い観葉植物です。品種によって葉の模様も形も違うので、好みで選びましょう。熱帯アメリカ原産の多年草で、比較的暗いところでも育てられますが寒さに弱く、冬は室内の暖かい場所で管理する必要があります。シッサス・エレンダニカは、ツルを垂らすように家具の上に置くなど、高めの位置に飾ると良いでしょう。熱帯原産のブドウ科植物で、暗めの部屋でも育てられます。
フレンチアンティークに合う鉢カバー・プランター
インテリアに合わせ、表面をスクラッチしたようなアンティークな質感の鉢カバーを取り入れてみましょう。
●ミュールミル「エッグプランター」
古びた石の器のような趣を感じさせる鉢カバー。独創的で観葉植物にも負けない、エッジの効いた風格がフレンチアンティークスタイルのなかで静かに光ります。
●グリーンポット「スクーロ トール」
表面が劣化したように仕上げられたアンティーク調のセメントポットです。シンプルでありながら個性的なので、フレンチアンティークスタイルにうまく調和するでしょう。
環境に合わせた観葉植物の選び方 まとめ
インテリアとしての人気が高い観葉植物ですが、植物である以上、適切な生育環境に置く必要があります。観葉植物が好む環境は品種により異なるため、特徴をよく知ったうえで置きたい部屋の環境に合ったものを選びましょう。さまざまな性質をもつ観葉植物たちは、見た目も個性があり、各インテリアスタイルに彩りを与えてくれるはずです。おしゃれな鉢カバーやプランターも活用すれば、さらにワンランク上の部屋づくりが叶うことでしょう。ご紹介した内容を参考に、ぜひお家に観葉植物を取り入れてみてください。
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