日没の時間が早くなり、寒さが身に染みる今日この頃。冬になると気になるのが乾燥です。風邪をひいて喉を痛めたり、肌荒れを起こしたりした経験がある人は多いでしょう。体温調整が自分ではまだできない赤ちゃんがいるご家庭では、乾燥による皮膚トラブルなども気になるところだと思います。そこで今回は、お部屋の中の乾燥対策をご紹介。今日から始めることができる簡単な方法から、家づくりに役立つヒントまでまとめました。
冬は空気が乾燥する季節
下のグラフは2019年の気温と湿度のグラフです。
1月から5月までは50~60%程度で、6月以降は80%前後に上がり、11月くらいからまた60%程度に下がってきます。
乾燥を感じ始めるのも11月過ぎくらいからが多いのではないでしょうか。
外気が乾燥してくると、換気に伴い部屋の中にも乾燥した空気が入ってきてしまいます。
外が乾燥してもお部屋の中は乾燥させず、快適に保つための対策にはどういったものがあるのかご紹介していきます。
エアコンを付けると空気が乾燥する?
冬の寒い時期は、暖房が欠かせません。暖房にはさまざまな種類がありますが、エアコンをメインの暖房にしている家庭が多いのではないでしょうか。
エアコンをつけると室内の空気の温度が上がります。空気が暖かくなるほど、たくさんの水分を含むことができますが、空気中の水分量は変わらないため、湿度(相対湿度)が下がる=乾燥することになります。
相対湿度という言葉はあまり聞きなれないかもしれませんが、湿度には絶対湿度と相対湿度があり、どちらも乾燥を感じるのに影響があります。
絶対湿度:空気に実際に含まれている水蒸気の割合
相対湿度:飽和水蒸気量(空気中に含むことができる最大の水蒸気量)に対する空気に実際に含まれている水蒸気の割合
飽和水蒸気量は、気温が高いほど多い性質があります。暖房により気温が上がると飽和水蒸気量が多くなりますが、空気中に含まれている水蒸気量は気温が変化しても変わらないため、相対湿度が低くなり乾燥するのです。
気温 | 飽和水蒸気量(g/㎡) |
25℃ | 23.0 |
20℃ | 17.3 |
15℃ | 12.8 |
10℃ | 9.4 |
5℃ | 6.8 |
0℃ | 4.8 |
「エアコン以外の暖房でも乾燥するのは同じなのでは?」と感じますが、石油ストーブやガスファンヒーターなどの場合、燃料が燃焼すると二酸化炭素と同時に水蒸気を発生するので、温度が上がると同時に加湿され、空気が乾燥することはありません。
加湿器の正しい使い方は?
エアコンを使用するときには、加湿器も同時に使用して湿度を一定に保ちましょう。同じ温度でも、加湿を行うことで体感温度が上がります。また、加湿器を置く場所によって効果が変わってくることにも注意が必要です。 部屋全体に潤った空気を行き渡らせるには、部屋の中央に加湿器を設置したいところですが、限られたスペースの中心に加湿器を置けば動線の妨げになるでしょう。加湿した空気をエアコンの風が部屋全体に送ってくれるように「エアコンの吸気口の近く」、結露防止の観点から「窓から離れた場所」、カビ発生のリスクから「壁から離れた場所」に置くことをおすすめします。 暖房中、暖かい空気は上がっていく性質があるので、部屋全体の空気を循環させることが難しい小型の加湿器を使用する場合は「床に置かない」ことも心がけましょう。 また、精密機器が水蒸気で故障しないよう「家電の近くには設置しない」ことも忘れずに。
加湿器がなくてもできる乾燥対策
エアコンを使用する際は同時に乾燥対策として加湿したいものです。加湿器があれば、室内をほどよい湿度に保つことができます。 厚生労働省が発表している「建築物環境衛生管理基準」によると、部屋の中の適正な湿度は40%~70%です。
とはいえ「加湿器をもっていない」「加湿器の手入れが面倒」「日常生活の中で自然に乾燥対策をしたい」という方もいらっしゃいますよね。加湿器なしでも日々の暮らしの中で乾燥を防げる対策もあります。
洗濯物を部屋干しにする
洗濯物を室内に干しておくだけで、加湿の効果があります。洗濯物もエアコンを使用しているときの方が早く乾くので合理的です。空気清浄機やサーキュレーターの風を洗濯物にあてることで風の通り道を作ると、より効果的です。
洗濯物を干す場所や量により、生活感が出てしまうこともあるかもしれないですね。洗濯物が無い時は、濡れたタオルを干しておくのも効果があります。
床の水拭きや洗う前の食器を大きなたらいに漬けおきなど、加湿効果が見込める家事をする方法もあります。また、間取り次第ですが、入浴後にドアを敢えて開けておくことで居住空間を加湿することができます。
観葉植物などを飾る
観葉植物を置いたり生花を飾ったりすることで、葉の裏側から水が蒸発するとともに空気清浄の役割も果たします。葉の面積が広いほど水分の放出量が多くなるので、加湿効果を見込めるでしょう。乾いた土に水をあげたり、葉に霧吹きで水をかけたりといった日常的な手入れも加湿の一助となります。
同様に、アクアリウムなどの水を使ったインテリアを飾ってもよいでしょう。
家づくりに自然素材を取り入れる
最後に、家づくりの際に参考にしたい乾燥対策です。壁や天井を珪藻土や漆喰といった調湿作用がある自然素材の塗り壁にすることで、冬の空気が乾いた季節には夏場に蓄えた水分を吐き出します。 湿度を保つことができるだけでなく、意匠性の高さも特徴です。また、壁紙の上から自分で塗装することができる気軽さも魅力です。(下地の状態により、クロスを剥がしてから施工した方が良い場合や下地処理が必要なこともあるため注意が必要です)。
まとめ
新型コロナウイルスの感染拡大により、お部屋で過ごす時間が増えています。
これから来る冬本番に備えて、乾燥対策をすることでお部屋を快適に過ごせるように整えておきましょう。
暖かい飲食物やお風呂にゆったりつかるなど、体の中から温めるのも良いですね。
コロナウイルスへの備えが気になる方は「防災専門家が解説! 各家庭で行うべき新型コロナウイルスへの対策と備え」 と「防災専門家伝授! 新型コロナウイルス対策に必要な備蓄品とは?」もご参照ください。
室内干し置き場をこれから検討されている方は、洗濯物を干す~アイロンをかける~しまう家事動線を意識した間取りの例がある「家事動線の工夫で毎日を暮らしやすく! 場所ごとに見る間取りのポイント」 「女性一級建築士が解説!家事を楽にする間取りと室内干しに適したお家づくりのポイント」をご覧ください。
また、毎日のお洗濯を時短したい方には「洗濯物はたたまなくて良い⁉知的家事プロデューサーが勧める洗濯の時短法!」を一読いただくことをお勧めします。
観葉植物を育ててみようと思われる方は「土を使わずに水だけで育つ! ガーデニングのプロが勧める「観葉植物の育て方」と「水耕栽培」」を見てみてください。
冬場の寒さ対策も気になる方はこちら「新築の一戸建ては寒い!? 購入前と住み始め、後悔しないそれぞれの寒さ対策とは?」もご覧ください。
ラジオパーソナリティを経てフリーライターに。
住宅・インテリア・不動産分野を中心として、介護・グルメ・トラベルなどのジャンルでも執筆。
リフォームや注文住宅関連の住宅情報誌をはじめ、雑誌、書籍、新聞、インターネットなどのさまざまな媒体で取材・執筆を手掛けている。