一戸建て住宅を新築するなら、お風呂場の窓はどうする?お風呂場に窓があるメリットとデメリットを解説

一戸建て住宅で長く暮らしてきた人にとって、お風呂場に窓があるのは「当たり前」と感じるかもしれません。しかし、マンションではお風呂場に窓のない物件が少なくありませんし、最近は一戸建て住宅の新築時、お風呂場に窓を設けないケースが増えています。これから一戸建て住宅を新築する場合、お風呂場に窓は必要なのでしょうか。この記事では、お風呂場に窓を設けるメリットやデメリットについて解説します。

目次
1.お風呂場に窓がなくても問題はない?
2.お風呂場に窓を設けるメリット
3.お風呂場に窓を設けるデメリット
4.お風呂場に窓を設ける?設けない?
5.お風呂場の窓 まとめ

お風呂場に窓がなくても問題はない?

お風呂場に窓がなくても問題はない?

そもそも、お風呂場に窓がなくても問題はないのでしょうか。「建築基準法第28条」によると、1項では「居室には、採光のための窓その他の開口部を設け、その採光に有効な部分の面積は、その居室の床面積に対して、5分の1から10分の1までの間において居室の種類に応じ政令で定める割合以上としなければならない」、2項では「居室には換気のための窓その他の開口部を設け、その換気に有効な部分の面積は、その居室の床面積に対して、20分の1以上としなければならない」と記載があります。採光や換気のため、居室には窓の設置が必要ですが、お風呂場は居室に該当しないので、この規定には当てはまりません。そのため、お風呂場に窓を設けなくても法的には問題がないのです。

お風呂場に窓を設けるメリット

お風呂場に窓を設けることで、どのようなメリットがあるのでしょうか。順にチェックしていきましょう。

お風呂場に窓を設けるメリット1―換気がしやすい

お風呂場に窓を設けるメリット1―換気がしやすい

お風呂場に窓がない場合、換気をする際は換気扇を回す必要がありますが、窓があれば開けるだけで空気を入れ替えることができます。暑いときには自然の風を入れることもでき、気軽にクールダウンできます。換気扇を使用するときのように、電気代がかからないことも魅力です。
ただし、窓を開けて効果的に換気をするには、対角線上にある2ヶ所以上の窓やドアを開けることで空気を循環させる必要があります。窓を開けたらセットでドアも少し開けて、風が自然に流れるように工夫しましょう。
また、入浴直後に換気扇を使用しながら窓を開けてしまうと、窓から入った空気がそのまま換気扇へと流れてしまい、湿気を含んだ空気を入れ替えることができません。換気扇である程度乾かしてから窓を開けると良いでしょう。
24時間換気等換気扇を使用する際は、説明書に記載の注意点をご確認ください。

お風呂場に窓を設けるメリット2―自然光が入り明るい

お風呂場に窓を設けるメリット2―自然光が入り明るい

お風呂場に窓がない場合、入浴時は天候や時間を問わず、電気を付けなければなりません。窓があれば、日中は太陽の光を感じながら入浴を楽しめます。朝風呂を日課にしている方や入浴時間が不規則な方などは特に、お風呂場に窓があることで自然光による明るさや心地よさを満喫できるでしょう。
ただし、太陽が沈んだ夜以外に入浴する機会がない場合は、せっかく窓があってもあまり活用できない可能性があります。家族のライフスタイルに合わせて選びましょう。

お風呂場に窓を設けるメリット3―窓からの景色を楽しめる

お風呂場に窓を設けるメリット3―窓からの景色を楽しめる

お風呂場が2階以上にある場合や庭に面している場合など、窓を設けることで景色を楽しむことができます。窓のないお風呂場と比べて広さや開放感も得ることができ、入浴時にゆったりとくつろぎたい人に向いています。一戸建てを新築するタイミングで計画するのであれば、お風呂場の窓から鑑賞することを目的に坪庭を設けるという選択もあります。

お風呂場に窓を設けるデメリット

お風呂場に窓を設けることによってさまざまなメリットがある反面、デメリットもあります。どのような点に注意をするべきなのか見ていきましょう。

お風呂場に窓を設けるデメリット1―外気の影響を受けやすい

お風呂場に窓を設けるデメリット1―外気の影響を受けやすい

窓は外と内の気温差があると結露しやすいため、外の気温が低いときはお風呂場の窓は結露しやすく、結露はカビが発生する原因となります。
また、お風呂場に窓があることで夏は外部から熱が流入しやすく、冬は熱が流出しやすくなります。お風呂場の窓が大きいほどに外気の影響を受けやすくなることを念頭に、断熱性が高く温度差に耐えうる窓を選ぶことが大切です。

お風呂場に窓を設けるデメリット2―こまめな掃除が必要

お風呂場に窓を設けるデメリット2―こまめな掃除が必要

前述の通り、お風呂場に窓があるとカビが発生するリスクが増えます。また、窓を開けているとほこりや花粉、黄砂など空気中に浮遊している物質がお風呂場に入り込みやすくなります。そのため、こまめな掃除で汚れを取り除く必要が生じます。日々を忙しく暮らしているなかで、掃除の頻度が増えることが負担になってしまう可能性があります。

お風呂場に窓を設けるデメリット3―防犯やプライバシーの不安

お風呂場に窓を設けるデメリット3―防犯やプライバシーの不安

お風呂場の窓が家の外から見て目立つ場所にある場合、外にいる人の気配が気になり落ち着いて入浴できない可能性があります。そのため、お風呂場の窓は一般的に、外から見えにくい位置に設置します。しかし、そうすることで犯罪者にとって絶好の侵入経路となってしまうこともあります。風通しなどを考えて窓を開けたままにしておけば、その分だけリスクは高まります。お風呂場に窓を設けても防犯上の問題はないか、どのような窓なら防犯リスクを軽減してプライバシーを守れるか、周辺環境や間取りをもとに慎重に考えましょう。

お風呂場に窓を設ける?設けない?

窓あり 窓なし
眺望 ×
採光 ×
通風 ×
換気
熱の流出入
防犯性
プライバシー
掃除のしやすさ
建築コスト
お風呂場に窓を設ける?設けない?

結局のところ、お風呂場に窓が必要なのか、不要なのか判断が難しいと感じている方は多いでしょう。「お風呂場に窓を設けない」という選択をした場合、後悔することはないのでしょうか?
「眺望を楽しみたい」「自然の光や風を感じながら入浴したい」という方は、お風呂場に窓を設けることで毎日の入浴タイムが充実します。一方で換気に関しては、窓があれば換気扇と窓のどちらでも換気ができる反面、換気扇のみで行う強制換気の方が換気量は安定する側面もあり、甲乙つけ難いでしょう。外気の影響や防犯面、プライバシーへの配慮、掃除のしやすさ、建築コストといった面では窓がない方が有利です。

お風呂場に窓を設ける場合の注意点

お風呂場に窓を設ける場合の注意点

お風呂場に窓を設ける場合は、外気の影響を最小限に抑えるため、断熱性や気密性が高い窓を採用しましょう。
また、防犯対策として、侵入しづらい内倒し窓や上げ下げ窓を検討することをおすすめします。お風呂場の窓は通風のため開けたままにしておく可能性も踏まえ、ルーバーなどを設置して人が入れないようにする対策も有効です。同時に、浴室用のカーテンやブラインドを設置すれば、プライバシー対策になります。

お風呂場の窓 まとめ

お風呂場に窓があれば、景色を眺めつつ、心地よい自然の光や風を感じながらの入浴が可能です。しかし、敷地の広さや周辺環境などさまざまな問題により、せっかく窓を設けても開ける機会がないケースが多いことも事実です。これから一戸建て住宅を新築する方は、お風呂場の窓が必要かどうか、改めて考えてみてはいかがでしょうか。

住宅ライター 斎藤 若菜
住宅ライター 斎藤 若菜

ラジオパーソナリティを経てフリーライターに。
住宅・インテリア・不動産分野を中心として、介護・グルメ・トラベルなどのジャンルでも執筆。
リフォームや注文住宅関連の住宅情報誌をはじめ、雑誌、書籍、新聞、インターネットなどのさまざまな媒体で取材・執筆を手掛けている。

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