一戸建て住宅の新築時に行う「地縄張り」とは?地縄立ち合いのチェックポイントも解説

一戸建て住宅を新築するとき、建築工事の前に「地縄張り(じなわばり)」を行います。地縄張りという言葉を耳にしたことがなくても、 住宅の建設予定地に縄やロープが張ってある様子を見かけたことがある方は多いでしょう。地縄張りによって、建物の配置や大きさを目で見て確認することができます。この記事では、地縄張りとはどのような作業なのか、地縄立ち合いの際にチェックすべきポイントについても解説します。

目次
1. 地縄張りとは?
2. 地縄張りに立ち合いが必要な理由
3. 地縄立ち合いのチェックポイント
4. 地縄立ち合い まとめ

地縄張りとは?

地縄張りとは?

「地縄張り」とは、設計図面を確認しながら敷地に杭を打ち込み、縄やロープ、ビニール紐などを張って建物の配置を決めていく作業のことで、地縄張りに施主が立ち会うことを「地縄立ち合い」と言います。敷地内のどこに建物が配置されるのか、隣地や道路の境界線がどこにあるのかを施工業者と施主で確認していきます。同時に、地盤の高さも確認します。高さの基準とするBM(ベンチマーク)を定め、BMを基準に建物が建つ地盤面の高さの基準となるGL(グランドレベル)を決めていきます。BMは工事期間を通して動かないものにする必要があり、一般的には道路のマンホールなどが多いです。
地縄張りを行うタイミングは工事着手前で、地鎮祭の当日、神事に先立って「地縄立ち合い」を行い、施主が建物の位置を確認するケースが一般的です。地鎮祭を実施しない場合も、設計書通りに工事が進められるのか確認するために「地縄立ち合い」を行います。

地縄張りに立ち合いが必要な理由

地縄張りに立ち合いが必要な理由

敷地内のどこに建物が建つのか、平面図や配置図を見れば確認できますが、地縄張りに立ち合い、目で見て確認をすることで設計内容をより正確に把握できます。建物や境界線が図面通りに設定されているのか施工業者とともにチェックする大切な機会と捉え、地鎮祭を行わない場合でも地縄立ち合いは必ず参加しましょう。基礎工事の着工後に配置や境界線を変更することは難しいため、間違いがないかこのタイミングでしっかりと見ておくことが大切です。

地縄立ち合いのチェックポイント

地縄立ち合いの際は、どのようなポイントをチェックすればよいのでしょうか。順に見ていきましょう。

地縄立ち合いのチェックポイント1―建物の配置

地縄立ち合いのチェックポイント1―建物の配置

まずは敷地内のどこに建物が配置されるのか、設計図面と見比べながら確認します。玄関やLDKなど、主なスペースがどの辺りになるのかイメージしてみましょう。特に寝室など静かに過ごしたいスペースは、場合によっては壁や窓の防音対策が必要なこともあり、周辺環境に問題がないか把握しておきたいところです。
また、外周に壁やフェンスを設置する場合は、その厚みも加味してイメージすることが大切です。物置、物干しなどを外に設ける場合は位置や出入り、エアコンの室外機やエコキュートなどを設置するスペースにゆとりがあるか確認します。

地縄立ち合いのチェックポイント2―境界線

地縄立ち合いのチェックポイント2―境界線

地縄張りを行う際は、敷地に境界杭を設置します。これをもとに、隣地境界線や道路境界線を確認し、隣地との距離が適切か判断します。民法第234条第1項で「建物を築造するには、境界線から50センチメートル以上の距離を保たなければならない」と定められています。また、一部の用途地域ではより厳しい基準が定められているケースもあります。実際に住宅を建てる前に境界線を確認することで、隣地とのトラブルを防ぎましょう。

参照:柏市「民法の相隣関係の規定」

地縄立ち合いのチェックポイント3―隣地との距離感

地縄立ち合いのチェックポイント3―隣地との距離感

隣地との距離が法律を遵守したものであっても、隣家の位置や高さ、窓の位置などにより、採光や風通し、眺望、騒音といった問題が生じる可能性があります。隣家の距離が近い場合は「日照を遮っていないか」「どこが影となるのか」「プライバシーは保てるか」「隣家に迷惑をかける可能性はないか」など確認をしましょう。円滑なご近所付き合いのために、場合によっては事前に隣家へ相談し、合意の上で家を建てることができれば、近隣住民と揉めるリスクを軽減できます。

地縄立ち合いのチェックポイント4―駐車場

地縄立ち合いのチェックポイント4―駐車場

駐車場を設ける予定がある場合は、駐車スペースの確認も重要です。スムーズに車を出し入れできそうか、シミュレーションしてみましょう。可能であれば、実際に運転する車で車庫入れしてみることをおすすめします。車種に合ったスペースを確保できているのか、運転席だけでなく助手席や後部座席から乗り降りをする際に狭いところはないか、荷物の搬出動線なども確認できます。駐輪場も兼ねている場合は、自転車を何台停めるのか、動線や屋根の有無なども合わせて確認しておきましょう。

地縄立ち合い まとめ

一戸建て住宅を新築するまで、地縄張りをどこかで目にしたことはあっても「あまり意識したことはなかった」という方が多いと思います。そのため、地縄立ち合いも「言われるがまま何となく参加し、いつの間にか終わってしまった」という方が少なくありません。しかし、地縄立ち合いでどこに建物が建つのか、隣地境界線や隣家との距離、駐車場などを確認することは、紙の設計図から住宅工事に入る初めの大切な工程です。駐車場の出入りなどご紹介した地縄立ち合いでのチェックポイントをふまえて、思い描いた家づくりを実現する第一歩として、万全の態勢で地縄立ち合いに臨んでくださいね。

住宅ライター 斎藤 若菜
住宅ライター 斎藤 若菜

ラジオパーソナリティを経てフリーライターに。
住宅・インテリア・不動産分野を中心として、介護・グルメ・トラベルなどのジャンルでも執筆。
リフォームや注文住宅関連の住宅情報誌をはじめ、雑誌、書籍、新聞、インターネットなどのさまざまな媒体で取材・執筆を手掛けている。

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