新築一戸建ての価格高騰や工期遅れも? マイホーム購入を検討するなら知っておきたい「ウッドショック」とは

今、世界的に木材の価格が高騰しています。林野庁の発表によると、日本の2020年の木材自給率は41.8%で、木造住宅を建てる際に使用する木材の多くを輸入木材が担っています。日本でも住宅建築などに使用する輸入木材の価格上昇や供給の遅れが生じていますが、これから一戸建てを建てようと思っている方にとって、どのような影響があるのでしょうか。

輸入木材の価格が高騰「ウッドショック」とは?

輸入木材の価格が高騰「ウッドショック」とは?

2020年以降、輸入木材の需給がひっ迫し価格が高騰しています。そうした現象を、1970年代に原油価格が高騰し、世界経済が大混乱に陥ったオイルショックになぞらえて「ウッドショック」と呼ぶようになりました。

ウッドショックの背景に、住宅建築の需要増加や原料不足

ウッドショックの背景は?住宅建築の需要増加や原料不足が原因

経済産業省が発表した「新型コロナがもたらす供給制約 ; ウッドショックの影響」によると、アメリカでは2020年5月のロックダウン解除以降、住宅建築の需要が増加しました。リモートワークで自宅に籠るようになった人々が郊外の住宅を購入したり、リフォームを行ったりする流れが進んだ影響と言われ、2020年後半以降、住宅建築許可件数は高水準で推移しています。
もともと、虫害や山火事といった理由で木材が減産傾向にあったところに、新型コロナウイルス感染症の影響による労働力の減少などから製材所が相次いで休業に追い込まれました。そして、前述の通り自宅で過ごす人が増えたことから住宅建築の需要が高まり、世界各国で木材価格が高騰するようになったのです。

ウッドショックによる影響は?

世界各地で大きな影響を及ぼしているウッドショックですが、日本にはどのような影響があるのでしょうか

ウッドショックの影響で 5 割を超える新築⼯事が遅延

ウッドショックの影響で 5 割を超える新築⼯事が遅延

神谷コーポレーション湘南株式会社「ウッドショックの影響に関するアンケート」の詳細はこちら

ドア専門メーカーの神谷コーポレーション湘南株式会社が実施した「ウッドショックの影響に関するアンケート」によると、ウッドショックが発生する前は、88.4%の物件が工務店から⾒積り依頼が入って3ヶ月以内に注⽂があったところ、ウッドショック後はわずか37.7%まで減少していることが明らかになりました。ウッドショックの影響で 5 割を超える新築⼯事に遅れが生じている様子が伺えます。

木材価格の高騰により、施工費用が増加の恐れ

全建総連が発表した「ウッドショックによる工務店影響調査(第2回)」によると、2021年5月と比較して9割以上の業者が木材価格の値上がりを実感しており、4割弱の業者が値上がり分の負担を施主に求めています。
また、木材調達の見通しについては約8割、木材の価格高騰に関しては約9割が、先行きが分からず不安に感じている現状も明らかになっており、これから一戸建てを建てる人は、ウッドショックによる影響を見据えて計画を検討する必要があることが分かります。

木材調達のカギは、国産の木材?

ウッドショック下での木材調達のカギは、国産の木材?

構造材に国産の杉を使用している、トヨタホーム愛知「MOKUA-J (モクア-J)」の詳細はこちら

輸入木材の価格が高騰し、需要に対して供給が追い付かない状況を鑑み「住宅用の木材を国産で賄うことができないか」という考えが広まっています。政府は2021年6月「森林・林業基本計画」のなかで、国産材の供給量や利用量を大幅に増やす計画を立てています。国産木材の利用が増えることで、木材不足を解決することができるかもしれません。

これから一戸建てを建てる人が注意すべきポイントは?

マイホームを検討しているものの、ウッドショックの影響を心配している人もいることでしょう。これから一戸建てを建てるにあたり、どのようなことに気を付ければ良いのでしょうか。

スケジュールを把握する

ウッドショック下で新築一戸建てを建てる人が注意すべきポイント①スケジュールを把握する

ウッドショック問題の有無にかかわらず大切なことですが、ハウスメーカーにスケジュールを任せきりにするのではなく「いつから工事が始まり、いつまでに完成するのか」「いつ入居ができるのか」といった予定と進捗状況を把握するよう心がけましょう。ハウスメーカーサイドと情報を共有し、コミュニケーションを重ねておけば、工期の遅れが生じても早めに対応策を考えることができるでしょう。

「住宅完成保証制度」に登録している事業者を選ぶ

ウッドショック下で新築一戸建てを建てる人が注意すべきポイント②「住宅完成保証制度」に登録している事業者を選ぶ

コロナ禍の長期化により経営状態が悪化する、いわゆる「コロナ倒産」は増加の一途をたどっています。帝国データバンクによると、2021年11月11日現在、新型コロナウイルス関連による倒産は、全国で2,362件。うち245件が「建設・工事業」です。
注文住宅を建てる場合、工事をするために多額な費用が必要となるため、請負契約時や着工時、上棟時といったタイミングに支払われたお金を次の工事費用に充てるケースが少なくありません。「資材の調達が遅れる」「人手が足りない」といった理由で工事に遅れが生じると、小さな工務店などは資金繰りが悪化しがちです。

住宅メーカーやその下請け会社が倒産し、着工後に工事を続けることができなくなるというリスクを回避するために、依頼する事業者が「住宅完成保証制度」に登録しているか、事前に確認をしておくと、いざというときに安心です。

工期遅れが心配なら、木造住宅以外も視野に入れる

ウッドショック下で新築一戸建てを建てる人が注意すべきポイント③工期遅れが心配なら、木造住宅以外も視野に入れる

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「木材の入荷が遅れて着工できないというリスクを軽減したい」「木造であることに特にこだわりがない」という方は、構造に木材を使用しない家づくりも選択肢に入れることをおすすめします。「鉄骨造(S造)」や「鉄筋コンクリート造(RC造)」などの家であれば、木材と比べて材料が調達しやすく、予定通りの家づくりを行いやすいでしょう。

まとめ

コロナ禍の暮らしと同様に、ウッドショックによる影響も今後しばらく続くことが予想されます。国産木材への切り替えなど対策を講じているハウスメーカーもありますので、マイホームを検討する際は、事前にヒアリングを行い、後悔のない家づくりができるよう努めましょう。

新築一戸建て注文住宅購入者へのインタビュー

新築一戸建て注文住宅購入者のインタビュー記事