一戸建ての寒さ対策-コロナ禍の冬は「部屋を暖めながら換気」で快適に

2020年は世界中の人々にとって、新型コロナウイルス対策が大きな課題となりました。気温が下がり、空気の乾燥が気になる冬場は特に、感染対策が欠かせません。室内では密閉空間を避け、定期的に換気をすることが推奨されていますが、効率よく換気をしながら暖かい室内で過ごすには、どうすればよいのでしょうか。

換気の前に暖房を入れることで、窓を開けても暖かく快適に

ダイキン工業株式会社 コロナ禍における「換気に対する意識調査」
ダイキン工業株式会社 コロナ禍における「換気に対する意識調査」

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ダイキンの調査によると、コロナ禍により換気に対する意識が高まり、75%の方が「冬に家で窓開け換気をしたい」と考えています。その一方で「冬に家で窓開け換気をしたくない」と感じている人も多く、その理由として約8割が「寒くなる」、約4割が「暖房の電気代が高くなる」と回答しています。
新しい生活様式で習慣化された換気を実践しながら快適に過ごすには、どうすれば良いのでしょうか。ダイキンによると、冬場の朝や外から帰ってきた場合には、タイマー機能を活用し、あらかじめエアコンの暖房を入れて部屋が暖かくなってから換気をすると良いとのこと。 窓を開けて換気し、冷たい空気が入ってきても、冷えた壁や床、天井を暖めておくことで部屋の温度が下がりにくくなります。
また、昼間は窓からの日差しを取り入れ、夜はカーテンを閉めて窓からの冷気を抑えることで暖房効果が高まるとのこと。部屋の温度が上がる前に窓を開けてしまうと、室温とエアコンの設定温度の差が広がり、エアコンにかかる負荷が大きくなってしまいます。電気代が嵩む原因になりますので注意しましょう。

窓の断熱性能を高めることで、エアコン効率をアップ

YKK AP株式会社 窓の断熱性能
YKK AP株式会社 窓の断熱性能

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家の防寒対策として、ほとんどの家庭でエアコンを使用していると思います。暖房効率を高めるためには、家の断熱性能を上げることが重要です。YKK APによると、住宅の外壁・屋根・窓などから熱が出入りしますが、窓の断熱性能が十分ではない場合、冬は約52%の熱が流出してしまいます。 窓の性能を高めることで熱の流出を防ぎ、暖房効率が上がることがわかります。

YKK AP株式会社 「APW」樹脂窓シリーズ
YKK AP株式会社 「APW」樹脂窓シリーズ

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窓ガラスは、単板ガラスや複層ガラス、Low-E複層ガラスなど種類がありますが、3枚のガラスが層になっている「トリプルサッシ」が最も断熱性能を期待できます。また、樹脂製の窓であれば、アルミ製などと比べ断熱性能や気密性能を期待でき、結露も生じにくいでしょう。

高気密・高断熱をあらわす住宅性能数値「Q値」「UA値」「C値」とは?

Q値、UA値、C値とはそれぞれ、住宅の断熱性能を判断するために必要な数値です。主要なハウスメーカーがこれらの数値を発表しているので、断熱性能の優れたハウスメーカーを探している場合は確認してみると良いでしょう。

高気密・高断熱をあらわす住宅性能数値「Q値」「UA値」「C値」
高気密・高断熱をあらわす住宅性能数値「Q値」「UA値」「C値」

Q値=熱損失係数

Q値とは「どのくらい熱が逃げにくい家なのか」を表す数値のこと。住宅の断熱性能が高いほどQ値の数値は小さくなり、熱損失が少ない、つまり冷暖房効率がよい家であることを意味します。Q値は建物の熱損失量(W/K)を床延べ面積(㎡)で割ることで算出できます。

UA値=外皮平均熱貫流率

UA値は「外壁や屋根、開口部などを通じ、どのくらいの熱量が建物の外部に逃げやすいのか」を表す数値です。Q値に似ていますが、Q値が住宅の表面と換気によりどのくらい熱が逃げやすいのかを表しているのに対し、UA値は換気を対象とせず、家の表面からの熱損失のみを対象とします。 Q値同様、数値が小さくなるほど熱損失が少ないということになります。UA値は建物の熱損失量(W/K)を総外皮面積(㎡)で割ることで算出できます。

C値=相当すき間面積

C値は、「家にどのくらいすき間があるのか」を示した数値です。C値が低いほどすき間が少ない、高気密な家ということになります。C値は建物全体のすき間の合計面積(㎠)を延べ床面積(㎡) で割ることで算出できます。

家の中で最も寒い? 吹き抜けの寒さ対策

吹き抜けの寒さ対策
吹き抜けの寒さ対策

上階と下階を連続させた「吹き抜け」がある空間は、圧倒的な開放感が魅力です。家中に自然光が行き渡り、風の通り道もつくりやすく、ゆったりとした気持ちで過ごせそうです。ただし、天井が高く広い空間であるがゆえ、冷暖房効率が落ち「冬は寒い」という印象が強い方が多いのではないでしょうか。
吹き抜けが寒い原因は、暖かい室内の空気が窓ガラスに触れて冷え、床に降りてくる「コールドドラフト現象」です。解消するには、天井にシーリングファンを設置して空気を循環させる、窓の断熱性能を高める、カーテンを引くことで空気が窓ガラスに直接触れないようにするといった方法があります。 床暖房を導入し、足元から室内を暖める方法も有効です。お住まいの家の吹き抜けが寒く悩んでいる方は、吹き抜けに天幕カーテンを設置する方法もあります。新築時やリフォーム時のタイミングではなく事態の改善を図るのであれば、サーキュレーターで空気を循環させる方法もあります。

まとめ

家庭内を暖かく快適に保ちながら、感染対策としての換気も十分にして、コロナ禍の冬を乗り切りたいですね。暖房を使用して暖めた空気を逃さず、快適に過ごせる空間づくりをしていきましょう。

一戸建ての寒さ対策については「新築の一戸建ては寒い!? 購入前と住み始め、後悔しないそれぞれの寒さ対策とは?」もご参照ください。
ご家庭でのコロナ対策は「防災専門家が解説! 各家庭で行うべき新型コロナウイルスへの対策と備え」でご確認ください。

住宅ライター 斎藤 若菜
住宅ライター 斎藤 若菜

ラジオパーソナリティを経てフリーライターに。
住宅・インテリア・不動産分野を中心として、介護・グルメ・トラベルなどのジャンルでも執筆。
リフォームや注文住宅関連の住宅情報誌をはじめ、雑誌、書籍、新聞、インターネットなどのさまざまな媒体で取材・執筆を手掛けている。