手作りおもちゃ作家が教える! 数字や図形と慣れ親しむ知育おもちゃの作り方と遊び方

算数や数学は得意不得意が分かれやすい教科なので、子どもにはできるだけ苦手意識を持ってほしくないものです。では、小さなお子様に算数を好きになってもらうにはどうすれば良いのでしょう? 手作りおもちゃ作家で、Benesseこどもちゃれんじの「まなびあそびレシピ」も担当されている佐藤蕗さんに、数や図形に慣れ親しむことができる知育おもちゃの作り方や遊び方などを伺いました。

手作りおもちゃ作家・佐藤 蕗(さとう ふき)のプロフィール
佐藤蕗 (さとうふき) プロフィール

手作りおもちゃ作家

2児の母。建築設計事務所勤務を経て、第1子出産を機にフリーランスに。育児をしながら作っていたおもちゃが反響を呼び、イラストレーターの活動のかたわら、造形作家として、雑誌、web、テレビで活躍中。著書に「ふきさんのおもちゃ大百科」シリーズ(偕成社)、「親子で笑顔になれる “魔法の手作りおもちゃ”レシピ」(宝島社)などがある。
ホームページ:https://note.com/fukisato
オンラインサロン:https://community.camp-fire.jp/projects/view/529758

手作りおもちゃ作家の佐藤蕗です。私には10歳と3歳の息子がいて、もともとは子どもたちのためにおもちゃを作っていましたが、現在はそれが仕事にもなっていますね。今回は、息子が数字や図形に興味を持ち始めたときに生み出したオリジナルおもちゃの作り方と、子どもに楽しく学んでもらうために私が大切にしている考え方をお伝えしたいと思います。

子どもの“楽しい”を大切に! 佐藤蕗さんが考える「知育おもちゃ」とは?

子どもの“楽しい”を大切に! 佐藤蕗さんが考える「知育おもちゃ」とは?

おもちゃで子どもの学びをサポートするとき、大切なことがふたつあります。ひとつは“タイミング”。未就学児は数字に限らず、興味のないことは覚えようとしません。興味のないものを無理に教えようとしても身に付かないんですね。なので、親が学ばせたいときではなく、子どもが興味を持ったときが学びにつながるタイミングだといえます。そして数字や図形に興味を持つタイミングは、子どもによってさまざま。日常生活のコミュニケーションを大切にし、よく観察することで、お子様自身が楽しく親しめる時期が見えてくるはずです。

もうひとつ大切なのが、未就学児のときは“正しさ”よりも“楽しさ”を優先すること。子どもが数字を反対向きに書いたり、図形の名前を誤って覚えたりすると、大人は思わず「それは違うよ」と言いたくなるものですが、おもちゃはあくまでもおもちゃ。親が勉強を意識しすぎて正しさにとらわれるのは良いことではありません。まずはおもちゃで楽しく遊ばせて、子どもが新しい知識に対して興味を持つことを見守りましょう。

マグネットシートで手軽に楽しく親しむ! 数字の知育おもちゃ

マグネットシートは、おもちゃ作りにオススメの素材です。切るのに力は必要ないし、手軽に加工できて安全に遊べるおもちゃが作れます。我が家でもマグネットシートでいろいろなものを作り、たくさん遊んできました。そのなかでも、数字や図形にまつわるおもちゃを紹介しますね。

こどもナンバープレート

マグネットシートで手軽に楽しく親しむ! 数字の知育おもちゃ

【材料】
・ホワイトボード
・粘着剤付きのマグネットシート
・画用紙(黒)
・油性ペン(黒) or ビニールテープ(黒)

【道具】
・カッター or ハサミ

【作り方】
1.粘着剤付きのマグネットシートに画用紙(黒)を貼る。
2.1から4×8センチの長方形を10枚切り出す。下書きをして「0〜9」の数字に切る。
3.A4サイズのホワイトボードに油性ペンやビニールテープで『品川88 た』などの字を書いたら完成!

数字の知育おもちゃ「こどもナンバープレート」

【作り方のヒント】
ホワイトボードはマグネットが付くタイプを選びましょう。ナンバープレートの数字は独特な形なので、インターネットなどで確認しながら作ると本物っぽくできます。また、数字の裏側に小さく印を付けておくと、裏表がわかりやすくなりますよ。

子どもって、とつぜん数字を好きになるタイミングがありますよね。我が家の長男は2歳くらいのときに数字ブームがおとずれ、外に出ると車のナンバープレートに興味津々でした。そんな姿を見て作ったのが「こどもナンバープレート」です。「数字を覚えてほしい」という想いがあったわけではなく、「そんなに好きなら」と作ったものですが、結果的に数字に親しむにはちょうど良いおもちゃになりましたね。自家用車があるなら、地名の部分を同じにするのもオススメ。よりリアルに作ると子どもが喜びますし、実物に近いほうが理解もしやすいんじゃないかと思います。

デジタルすうじマグネット

数字の知育おもちゃ「デジタルすうじマグネット」

【材料】
・ホワイトボード
・粘着剤付きのマグネットシート
・画用紙(黒)
・ビニールテープ(白)

【道具】
・カッター or ハサミ

【作り方】

「デジタルすうじマグネット」の作り方

1.白いビニールテープを7センチに切って角を落とし、A4サイズのホワイトボードに「88」になるよう貼る。
2.接着剤付きのマグネットシートに画用紙(黒)を貼る。
3.2を7×1.5センチに切り出し、角を落としたものを14本作る。これをホワイトボード上で組み合わせて数字にする。

【作り方のヒント】
ナンバープレートと同じく、ホワイトボードはマグネットが付けられるものを選んでください。デジタル数字っぽくなるように黒で作っていますが、どんな色で作ってもOK。もともと色が付いているマグネットで作るのも良いと思います。

「デジタルすうじマグネット」は数字に興味を持った次の段階でオススメしたいおもちゃ。パズル感覚で遊びながら数字に親しむことができます。お家にデジタル時計があるなら身近に感じられるし、デジタル数字をあまり見たことがない子なら「こんな数字もあるんだ」と、興味を持ってくれるはず。ホワイトボードに白いビニールテープで数字のベースを作りますが、正しく位置に置かなくても注意せず、見守りましょう。このおもちゃで遊んでから、街の中にあるデジタル数字を探してみるのも良いですね。数字のなかには斜め線の入ったものなどがあるので、そういう発見をお子様と一緒に楽しんでみてください。

図形マグネットでいろいろ作ってみよう

図形マグネットでいろいろ作ってみよう

【材料】
・マグネットシート

【道具】
・カッター or ハサミ

自然と図形に親しむきっかけにもなる図形マグネット

我が家の子どもたちは、カットしたマグネットシートを冷蔵庫に貼っておくだけで、けっこう楽しく遊んでくれます。カラフルな四角形のマグネットシートを積み上げるように高層マンションを作ったり、丸や三角などを組み合わせて独自の世界観を表現したり。いろいろな形に切ったマグネットは、それだけで自由に遊べるおもちゃになりますし、自然と図形に親しむきっかけにもなるんじゃないでしょうか。冷蔵庫以外にも、磁石が付く家電なら何に貼っても良いと思いますが、コンロの近くは危険なので避けてくださいね。

色と図形で遊ぶ知育おもちゃ「色の影絵遊び」

色と図形で遊ぶ知育おもちゃ「色の影絵遊び」

【材料】
・紙皿
・セロハン紙

【道具】
・セロハンテープ
・カッター

【作り方】
1.紙皿の真ん中をカッターで○△□などの形に切り抜く。
2.色付きのセロハン紙をテープで貼って、できあがり!

【作り方のヒント】
小さなお子様と一緒に遊ぶなら丸や三角、四角などのシンプルな図形がオススメ。カッターは危ないので親御さんが切ってあげましょう。丸を3つ並べて、それぞれに赤、黄色、緑のセロハン紙を貼って信号機のようにアレンジしても楽しいと思います。「赤+青=紫」のようなセロハンを重ねたときの変化も、お子様にとって新しい発見になるかもしれません。

これは “図形と色”にフォーカスしたおもちゃで、太陽の光を通すと、カラフルな影を地面に映すことができます。図形や色の名前を認識し始めたころは、とくに喜んでくれるんじゃないでしょうか。「これは青色の三角」「これは赤色の四角」と影の色と形を判別するだけでも、小さな子ってすごく楽しそうなんですよね。小学生になったら「二等辺三角形」や「正方形」「長方形」のように、レベルアップした内容で遊ぶのも面白いと思います。

1枚のピザを3人で分けると……? くるくる回すと形が変わる「紙皿ピザ」

1枚のピザを3人で分けると……? くるくる回すと形が変わる「紙皿ピザ」

【材料】
・紙皿(3枚)
・色画用紙
・割ピン

【道具】
・のり
・ハサミ
・キリ or 画びょう

【作り方】
1.1枚の紙皿に色画用紙を貼って、ピザを作る(A)。
2.3枚の紙皿の中心にキリや画びょうで穴を開ける。Aの紙皿ともう1枚(B)には、中心から端までの半径部分に切り込みを入れる。
3.Aの切り込みにBを差し込む。AとBの端に色画用紙などで持ち手を付ける。
4.残った紙皿(C)を一番下に置き、3枚まとめて割ピンでとめる。

【作り方のヒント】

「紙皿ピザ」は割ピンを軸にしてピザがグルリと回るように仕上げる

このおもちゃを作るときには、割ピンがとても重要なアイテムになります。常備しているお家はあまりないかもしれませんが、文房具店やホームセンター、インターネットなどで買えますよ。割ピンを軸にしてグルリと回るように仕上げますが、回りにくいときは真ん中の穴を少し広げてみてください。

「紙皿ピザ」の持ち手は回しやすい形にする

もうひとつ大切なのが持ち手の部分。回しやすくするためにはマストです。それから、ピザの具など画用紙で作ったパーツはしっかりと糊付けするようにしましょう。きちんと貼れていないとパーツが剥がれてしまうかもしれません。

紙皿ピザは「丸いピザを切ると三角になる」とか、「このピザを○人で分けるなら……」という風に、数や図形を絡めた遊び方もできると思いピックアップしました。食べると減っちゃう、という考え方も算数の基本になると思います。分数がわかる年ごろのお子様なら「これは何分の1でしょう?」みたいに、クイズ形式で遊んでもみるのも良いですね。

「紙皿ピザ」はアレンジ自在

紙皿ピザはけっこう手順が多いので、土台だけ親御さんが作って、お子様には飾り付けを任せてあげましょう。ワークショップでもこの紙皿ピザを取り扱ったことがあるのですが、子どもたちの飾り付けの発想はとても豊か。ピザを作るのでも、私が見本として作ったマルゲリータだけでなく、照り焼きチキンなど自分が好きなピザを自由に作っていましたね。ピザだけでなく、魚の群れが動いていくストーリーものを作ってくれた子もいて、子どもの発想力と想像力にあらためて感心させられました。

数字や図形と慣れ親しむ知育おもちゃの作り方と遊び方 まとめ

今回紹介した手作りおもちゃは「何かを学んでほしい」という気持ちではなく、「数字や図形で子どもと一緒に楽しく遊ぼう!」という想いで作ったものばかりです。我が家の長男も数字や図形に興味を持ったころ、本当に楽しく遊んでくれました。きっとそのなかで、親しみから自然と学びにつながったことがあると思います。どのおもちゃもアレンジ次第でいろいろな遊び方ができるので、ぜひお子様と一緒に楽しんでみてくださいね。

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