過去記事「消費税の増税を控え、マイホームの買い時は? 10%に増税しても救済措置がある!?」では、住宅購入時に活用したい「住宅ローン減税(住宅借入金等特別控除)」や「すまい給付金」、そして「次世代住宅ポイント制度」についてご紹介しました。これらはお住まいの地域を問わず活用できる制度ですが、この他にも、居住地の自治体が独自で実施している住宅購入支援制度があります。どのようなものがあるのか見ていきましょう。
住宅購入時に利用したい、各種補助金制度をおさらい
まずは、住宅購入時に一定の条件を満たせば補助金を得ることができる国の制度をおさらいしましょう。
住宅ローン減税
返済期間10年以上の住宅ローンを利用している場合、年末の住宅ローン残高に控除率を乗じた金額が所得税などから控除される制度です。控除を受けることができる期間は最長10年でしたが、消費税の増税にともない、2021年12月31日までに入居した場合、3年間延長となりました。控除率は1%ですが、11~13年目に関しては「住宅ローン残高か住宅の取得対価(上限4,000万円)のうち、いずれか少ない方の1%」もしくは「建物の取得対価(上限4,000万円)の2%÷3」のどちらか少ない額が適用されます。
すまい給付金
住宅を購入した人が給付金を受け取れる制度です。給付額は住宅取得者の収入と持分割合によって決まり、所得が少ないほど給付金額が増えます。収入と給付金の目安は、概ね450万円以下なら最大の50万円、450万円超~525万円で40万円、525万円超~600万円で30万円、600万円超~675万円で20万円、675万円超~775万円で10万円です。
次世代住宅ポイント制度
一定の条件を満たした住宅の新築もしくはリフォームした人に対し、さまざまな商品などと交換できるポイントを発行する制度です。新築の場合は最大35万ポイント、リフォームの場合は30万ポイント(40歳未満の若年世帯や18歳未満の子を有する子育て世帯は45万ポイント)を上限としてポイントが発行されます。
詳しくは、次世代住宅ポイント制度の概要(※1)をご確認ください。
この他にも、長期優良住宅や低炭素住宅など省エネ性や耐久性に優れた木造住宅の新築時に補助金が支給される「地域型住宅グリーン化事業」や、太陽光発電などでエネルギーを創出することで消費エネルギーゼロを目指す住宅、ZEH(Net Zero Energy House)を対象とした「ZEH補助金」、インスペクション(住宅診断)後、耐震性や劣化対策、省エネ対策など住宅性能を向上させるリフォームを実施した場合に補助金が支給される「長期優良住宅化リフォーム推進事業」などがあります。
地方自治体の住宅購入支援制度
多くの地方自治体では、前述のような国の制度に加え、住宅購入者に対する支援制度を用意しています。住宅購入を検討している自治体に、利用できる制度があるか事前に確認しておくと良いでしょう。ここでは、いくつかの具体例をご紹介します。
緑化を推進するための助成金制度
「生垣や花壇を作りたいものの、予算が足りない」と悩んでいる方は、地域で緑化助成制度があるか調べてみましょう。緑が少ないエリアや住宅密集地では、緑化を推奨するために助成金を出しているケースがあります。 例えば東京都世田谷区(※2)の場合、「生垣助成」「植栽帯助成」「シンボルツリー助成」で最大25万円、「屋上・壁面緑化助成」で最大50万円が助成されます。
子育て世帯を支援する助成金制度
少子高齢化にともない、家族が支え合うことによって子育てや老後に対する不安を軽減する「同居」や「近居」を推奨する動きが加速しています。例えば、東京都墨田区(※3)の「墨田区三世代同居・近居住宅取得支援制度」が適用されれば、3世代同居者・近居の住宅取得者は新築住宅の取得で50万円、中古住宅の場合は30万円を受け取れます。千葉県千葉市(※4)の「千葉市三世代同居等支援事業」もほぼ同様の制度です。1年目に最大50万円(市内の業者による施工の場合は最大100万円)、2・3年目には最大15万円を受け取れます。
また、東京都福生市(※5)では、長期優良住宅を取得して居住する子育て世帯に対し、最長5年間、固定資産税・都市計画税相当額として10万円を上限に助成金が支給されます。
これらの制度は、全期間固定型の住宅ローン【フラット35】の金利を当初5年間、0.25%引き下げる「子育て支援型・地域活性化型」とセットで利用することができます。詳しい要件は、各市町村のホームページからご確認ください。
耐震やバリアフリー、環境対策など、特定のリフォームに関する支援制度
築年数の経過した建物で暮らす場合、耐震補強やアスベスト問題への対策が必要です。マイホームを終の棲家と考えれば、老後に向けて手すりの設置など、バリアフリー対策も必要になってきます。また、近年は太陽光発電や家庭用燃料電池などを取り入れ、省エネや地球環境問題に配慮した住宅にすることも求められています。 こうした問題を解消するため、全国の地方自治体で補助金制度を設けています。補助金の支給という形だけでなく、住宅ローン金利を補填してくれる「利子補給」や「専門家の派遣」などお金ではなくサービスとして支援するケースも少なくありません。まずはお住まいの地域でどのような制度が利用できるのか「地方公共団体における住宅リフォームに係わる支援制度検索サイト(※6)」からご確認ください。
まとめ
地方自治体による住宅支援制度は広く告知されていないことが多く「せっかく利用できる制度なのに気付かなかった」という方が多いようです。また、国の支援制度と地方自治体の制度を併用できる場合と、どちらか一方しか利用できない場合があり、どちらの制度を優先して利用するか判断が必要なケースもあります。最善の選択ができるように、地域の支援制度をしっかり把握しておきたいですね。
【参照】
※1) 警次世代住宅ポイントとは
https://www.jisedai-points.jp/user/about/
※2) 生垣・植栽帯・シンボルツリー,屋上・壁面緑化助成
https://www.city.setagaya.lg.jp/mokuji/sumai/010/003/003/d00007924.html
※3) 墨田区三世代同居・近居住宅取得支援制度
https://www.city.sumida.lg.jp/kurashi/zyuutaku/jyutaku_shien/sansedai.html
※4) 千葉市三世代同居等支援事業
https://www.city.chiba.jp/hokenfukushi/koreishogai/korei/sansedai.html
※5)【子育て世帯向け】長期優良住宅の固定資産税相当額の補助について
https://www.city.fussa.tokyo.jp/life/residence/house/1002898.html
※6) 一般社団法人住宅リフォーム推進協議会 地方公共団体における住宅リフォームに係わる支援制度検索サイト
http://www.j-reform.com/reform-support/