毎日の食事の準備に欠かせないキッチンは、1日のなかでも重要な時間を過ごす場所です。キッチンを使いやすく快適な空間とするために、どんなところに注意をすればよいのでしょうか。前回記事「新築の注文住宅を建てる前に考えたい、キッチンは何型がいい?」でキッチンの種類を紹介しましたが、今回はキッチンのサイズやレイアウトにフォーカスを当ててみましょう。
目次
最適なキッチンのサイズは?
キッチンの作業をスムーズにする「ワークトライアングル」
キッチンで後悔しないための3つのポイントとは?
キッチンのサイズ まとめ
最適なキッチンのサイズは?
キッチンの間口(横幅)やワークトップの高さ、奥行き、通路幅といったサイズがキッチンの使い勝手に直結します。キッチンのサイズを決めるために知っておきたいポイントを紹介します。
キッチンの最適な間口(横幅)は?
コンロとシンクの間に設けた作業スペースは、まな板をゆったりと置けるように60cm程度は欲しいところです。
標準的なシステムキッチンの間口(横幅)は、165~300cm程度。「2100」「2400」「2550」「2700」などミリ単位で表記されることが多く、注文住宅のキッチンは、「2550」(255cm)が標準的なサイズです。一般的なI型キッチンの場合、間口を長くとれば作業スペースが増えますがシンクとコンロの移動距離も増えるので作業効率が落ちます。キッチンでは普段どのように料理をするのかを想定しながら最適なサイズを選びましょう。
キッチンカウンターのワークトップの高さは?
キッチンカウンターのワークトップの高さが身長に合っていれば、体に負担をかけずにラクな姿勢で調理ができます。
キッチンカウンターのワークトップの高さは、身長を2で割った数字に5cmを足した高さがベストと言われています。例えばキッチンを最もよく使う人の身長が160㎝の場合、160÷2+5=85cmが使い勝手のよいワークトップの高さです。ただし、キッチンに立つときに履くスリッパの高さにより若干使用感が変わります。ショールームなどで実物のキッチンを見て高さを決める場合は、普段履き慣れているスリッパを持参し履いたうえで選ぶことをおすすめします。
キッチンカウンターの使いやすい奥行きは?
一般的なキッチンの奥行きは65cmで、コンパクトな空間に合わせた55~60cmの商品もあります。キッチンカウンターの奥行きがあるほど作業スペースや物を置くスペースが増えますが、奥まで手が届きづらく使いにくい一面もあるので注意が必要です。
ペニンシュラ型やアイランド型のキッチンは、両側から作業ができるので奥行き80~100cm程度が標準サイズです。フラットな対面式キッチンの場合は、シンクの水ハネやコンロの油汚れがリビング・ダイニングに及びやすいので、キッチンカウンターの奥行きにゆとりをもたせることでそれらを防いでいる側面もあります。
キッチンの最適な通路の幅は?
キッチンの通路幅は、狭過ぎても広過ぎても作業効率に影響が出ます
キッチンの通路幅は、キッチンに立つ人がひとりであれば80cm程度、2人で立つことが多いのであれば120cm程度欲しいところです。また、キッチンカウンターの背面に壁面収納がある場合、キッチンの引き出しと壁面収納の引き出しを同時に開けてもぶつかることのない通路幅を確保したほうがよいでしょう。ただし、通路幅が広ければ広いほど家事動線が長くなり作業効率が落ちますので、ショールームなどで実際の距離を体感したうえで決めることをおすすめします。
キッチンに吊戸棚は必要? 設置するならどのくらいのサイズがいい?
吊戸棚は壁付け型キッチンとの相性がよく、限られたスペースでも大きな収納量を確保できます。
キッチンの上部に吊戸棚を設置するかしないか、そのサイズもキッチンの使い勝手に大きく影響します。吊戸棚のサイズが大きいほど収納量が増え、目線の高さに吊戸棚があれば収納した食器の視認がしやすくスムーズに出し入れができます。しかし、大きすぎると洗い物などの作業中は邪魔に感じることもあるかもしれません。また、対面式キッチンの場合は、吊戸棚を設置すると視界が遮られるため設置をしないケースが一般的です。
キッチンの作業をスムーズにする「ワークトライアングル」
キッチンのコンロ、シンク、冷蔵庫を結ぶワークトライアングルは、その3辺を合計して600cm以内が目安です。
キッチンのレイアウトを決めるにあたり考えたいのが、作業中の動線です。調理をスムーズに行うために、シンク・コンロ・冷蔵庫それぞれの中心部を線で結ぶとできあがる三角形「ワークトライアングル」を意識しましょう。コンロの中心からシンクの中心まで120〜180cm、シンクの中心から冷蔵庫の中心まで120〜210cm、冷蔵庫の中心からコンロの中心まで120〜270cm程度が目安で、これよりも長いと調理や収納の度に移動する距離が長くなり無駄な動作が増えます。バランスがとれた配置のキッチンを目指したいところです。
キッチンで後悔しないための3つのポイントとは?
ここまでキッチンのサイズやレイアウトについて紹介してきましたが、この他にもチェックすべきポイントがたくさんあります。
キッチンで後悔しないポイント1:しまう物や量に合わせた収納スペースを確保
キッチンには、カトラリー類のような小さなものから大きな鍋まで大小様々な調理器具があります。調味料や食材のストックを置く場所も、キッチン家電の置き場所も必要です。片付けに自信がない人におすすめなのが、キッチンの隣にパントリーを作ること。ウォークイン型のパントリーは収納力が抜群ですし、キッチン背面を収納として引き戸で仕切れば、すっきりとした印象を保てます。精米や水など重いものをストックする場合は、玄関から近い位置に収納できると便利です。
キッチンで後悔しないポイント2:ごみ箱の設置場所を決めておく
キッチンのレイアウトを考えるにあたり、忘れてしまいがちなのがごみ箱を設置するスペースの確保です。「空いたところに置けばいい」と考えていると、いざごみ箱を置こうとしても場所がなく「動線を遮ってしまう」、「目に触れやすい場所しか空いていなくて目立つ」といった事態が起こります。キッチン収納の下部などに専用のスペースを設け、使いやすくかつ目立たないように設置できるのがベストです。
キッチンで後悔しないポイント3:使う場所に合わせてコンセントを設置
コンセントの数と位置も重要です。中でも、常時電源を必要とする冷蔵庫やオーブンレンジに関しては、コンセントの位置=設置場所となるため慎重に決めましょう。ウォーターサーバーを設置する場合は、そのためのコンセントとスペースも必要です。 合わせて、ミキサー類や電気ケトル、トースターといった使用時のみコンセントを挿すキッチン家電についても考慮が必要です。抜き差しをしやすい位置にコンセントを設置しましょう。
キッチンのサイズ まとめ
キッチンは、大き過ぎても小さ過ぎても使いづらく作業効率が落ちてしまいます。コンロ、シンク、冷蔵庫を結ぶワークトライアングルを意識してキッチンのレイアウトを決めましょう。どのようなキッチン家電を設置するのか、食材のストックは何がどの程度必要か、食器はどうするかといった様々な要素を総合的に考えることで、コンセントの位置や数、パントリーや吊戸棚の有無を検討し、長く使える使い勝手のいいキッチンを作りましょう。
ラジオパーソナリティを経てフリーライターに。
住宅・インテリア・不動産分野を中心として、介護・グルメ・トラベルなどのジャンルでも執筆。
リフォームや注文住宅関連の住宅情報誌をはじめ、雑誌、書籍、新聞、インターネットなどのさまざまな媒体で取材・執筆を手掛けている。