働き方改革の施策として、時間や場所の制約を受けず柔軟に働く「テレワーク」に注目が集まっています。中でも急速に広まっているのが、在宅勤務のワークスタイル。そのために「新築でマイホームを建てるなら、書斎などのワークスペースが欲しい」と考えている方が多いのではないでしょうか。今回は、書斎を設ける意味や書斎の確保を検討する際に参考になる一戸建ての間取りなどをご紹介いたします。
書斎とは?︎
「書斎」を辞書で引くと、読書や執筆をするための部屋と記載されています。実際には、仕事や趣味のための場所など、もう少し広い意味で捉えている方が多いのではないでしょうか。家の間取り図には「DEN」「Study room」「Library space」などと表記されることが多く、必須ではないもののあると便利なスペースです。それでは、書斎にはどのようなメリットやデメリットがあるのでしょうか?
書斎を設けるメリット
書斎を設けるメリット | |
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集中できる環境 | 在宅ワークなどの作業に没頭しやすい |
プライバシーの確保 | 周囲に気を遣わずプライベートを大切にできる |
メリハリのある生活 | 気持ちのON・OFFを切り替えやすい |
書斎を設けるメリットとして、まずは作業に集中して取り組みやすいことが挙げられます。書斎がなくてもダイニングテーブルなどで作業を行うことはできますが、食事の度にパソコンや書類を片づけるのは面倒で非効率的です。落ち着いて作業できるスペースがあると便利です。
プライバシーを大切にしたいと思っている方は、独立型の書斎があると便利です。家族といえど、四六時中一緒にいては息が詰まってしまうこともあります。ほどよい距離を保ちときにはひとりの時間を過ごせる環境をととのえることで、ストレスフリーな毎日に近づけるかもしれません。また、家計簿などゲストには見られたくないものを収納するにも、書斎があると重宝します。
書斎があることで気持ちのON・OFFを切り替えやすいこともメリットです。在宅ワーカーは日常生活と仕事のどちらも家の中で行う必要がありますが、書斎があればメリハリを付けやすくなります。
書斎を設けるデメリット
書斎を設けるデメリット | |
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周囲と隔離された空間 | 室内に籠りがちになりコミュニケーションがとりづらい |
用途の限定 | コンパクトな空間は使用しなくなるとデッドスペースになりがち |
建築コストや光熱費 | 内装や照明、空調など余分な建築費用がかかり住み始めてからは毎月の光熱費が余分に必要 |
書斎は集中して作業をするのに最適なスペースです。しかし、使う方の性格やライフスタイルによっては書斎を設けることで室内に籠りがちになってしまうケースもあります。 家族で過ごす時間が減ってしまい、コミュニケーション不足とならないよう注意しましょう。
書斎は1~2畳程度のミニマムなスペースでも成立します。他のスペースを広くとるため、できるだけコンパクトな書斎を設けるケースが少なくありません。しかし、狭いゆえ用途が限定され使用しなくなるとデッドスペースになりがちな側面もあります。子ども部屋などに転用する予定がある場合は、ある程度の広さを確保しておくとよいでしょう。
どんなに小さな居室でも、部屋数が増えればそれだけ建築費用が嵩むことは避けられません。住み始めてからは照明やエアコンなどの光熱費も余分にかかることも頭の片隅にいれておきましょう。
一戸建ての書斎はどんな間取り?
一口に書斎と言っても間取り次第で使い勝手が大きく変わります。ここでは具体的な施工例とともに、どこにどんな書斎があるといいのか考えてみましょう。
独立した「個室タイプ」の書斎
独立している個室タイプの書斎ならば、中に籠って仕事に集中しやすいでしょう。2畳ほどのスペースがあれば、デスクと椅子、本棚も設置できます。日当たりが良すぎると本棚に収納した書物の劣化が心配されるため、北側の居室や窓のない居室を活用するのが良いでしょう。
独立した個室を確保できれば、静かな環境の中に籠って作業ができるので在宅ワークが捗りやすいでしょう。最近は在宅でパソコンやスマートフォン、タブレットを使ったWeb会議を行うケースが増えています。独立した書斎であれば、生活感を見せず自宅からWeb会議に参加しやすい点もポイントです。
居室の一部に設ける「オープンタイプ」の書斎
リビング・ダイニングや寝室など、比較的広さにゆとりがある空間の一部を利用して書斎とする方法もあります。個室タイプよりもスペースを確保しやすく、完全な個室にすることはできなくても袖壁や格子を入れて半プライベート空間としたり、レイアウトやインテリアを工夫したりすることにより個室に近い空間を作り出すことができます。
ダイニングの傍らにスタディーカウンターを設置することにより、在宅ワークはもちろん子どもの宿題スペースとしても利用できます。
キッチン奥に設けたミセスコーナーがあれば、家事の合間にレシピを確認したり、家計簿をつけたり、さらには学校の書類を確認したりいろんな用途で利用できます。キッチンにも洗面室にも近いので、家事動線を重視したレイアウトもポイントです。
寝室とバルコニーの間にデスクを設置しています。手前は化粧やネイルをするのに適したドレッサーとして、奥はアイロンなどの家事をするスペースとして重宝します。
上記2例は、いずれも2階の廊下に設けた書斎です。家族共用のパソコンスペースや就寝前の読書スペースとして、多目的に利用できます。
ファミリースペースの一角にデスクを設置したケースです。大人の仕事場として、趣味の洋裁のためのスペースとして、子どもが勉強する場として、家族がそれぞれの用途で利用できます。
書斎を設けるときに考えたいポイントとは?
デスクと椅子を設置すればどこにでも書斎を設けることはできますが、快適に仕事や勉強をできるようにするにはいくつかのポイントがあります。以下に注意点をまとめました。
パソコン作業を想定している場合の注意点
書斎を設ける目的として、パソコンの利用を想定している方が多いのではないでしょうか。合わせてプリンターを設置したり、スマートフォンを充電したり、デスクライトを設置したりすることを考えるとコンセントの数は多めに確保したいところ。また、設置する位置も重要です。無線LANルーターの設置場所として書斎を選ぶケースも多く、事前に利用方法を想定した上で設置することが大切です。
デスクや椅子はどうやって選ぶ?
書斎のデスクやカウンターは、空間にぴったりと合うサイズで作り付けにすれば最小限のスペースで設置できます。作り付けでも置き家具でも、パソコンや周辺機器のコードをすっきりとまとめることができるように配線を通す穴を開けたり、ケーブルタップを収納する棚を目立たないように設けたりといった工夫をすればすっきりとしたデスクまわりを保てます。
椅子は長時間座ることを想定して、身長やテーブルの高さに合った椅子を選ぶことで体の負担を軽減できます。座面の座り心地やヘッドレスト・アームレストの有無も確認し、できれば事前に座ってみてから購入したいところです。
【まとめ】生活スタイルに合わせた書斎づくりを
一口に「書斎」と言っても独立した「個室タイプ」なのか、居室の一部に設ける「オープンタイプ」なのか、設置場所によっても使い勝手が大きく異なります。自身にベストなタイプは長時間作業をしたいのか、家族と語り合いながら利用したいのかなど生活スタイルによって変わってきます。まずはこの記事を参考にしていただいて理想の書斎を考えてみてはいかがでしょうか。
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ラジオパーソナリティを経てフリーライターに。
住宅・インテリア・不動産分野を中心として、介護・グルメ・トラベルなどのジャンルでも執筆。
リフォームや注文住宅関連の住宅情報誌をはじめ、雑誌、書籍、新聞、インターネットなどのさまざまな媒体で取材・執筆を手掛けている。