観光名所やマイホームを上手に撮る方法とは? プロが推奨する建物の撮影テクニック

観光名所をめぐるときやマイホーム新築時など、建物を撮る機会は意外とあるのではないでしょうか。しかし、大きな建物を写真におさめようとしても、なんだかパッとしなかったり、本来の美しさが伝わらなかったりすることも……。そこで今回は、プロカメラマンの瀬川陣市さんにスマホで建物を上手に撮る方法について、解説していただきました。

プロカメラマン瀬川陣市のプロフィール
瀬川陣市 プロフィール

フォトグラファー、フォトララ写真未来研究所(https://photolala.net)代表。
米国ウィスコンシン州立大学などで写真を学び、帰国後1995年よりフォトグラファーとして活動。2006年よりAll About写真撮影ガイドなど、各種メディア等で写真に関する執筆、講座を行う。「動画撮影の教科書」(秀和システム刊)など著書も多数。現在は、動画、ドローン撮影も含めた映像コンテンツについての講師、コンサルなどでも活動中。

みなさん、こんにちは。瀬川陣市です。建物を撮影する場合は、その建物の大きさや高さを意識しながら、どのような構図をつくるのかが重要になってきます。スマホカメラの特性をしっかりと把握し、ワンランク上の写真を目指しましょう!

プロカメラマン直伝! 建物を印象づける構図の作り方

下からのアングルで撮影された東京タワー

建物を撮影するときは、シチュエーションに応じて構図とアングルを使い分けることが重要となります。構図は簡単に言うと、写真におさめる人や物を、画面上のどこに配置するかを表したものです。

例えば、東京タワーなどの高い建物をダイナミックに表現したい場合は、近い距離で正面から、被写体を中央に配置して撮影するといいでしょう。その際はカメラを地面と同じくらいの位置に構えて、広い範囲をとらえることができる「広角レンズ」で下から撮影します。スマホのカメラの場合、ほとんどの機種で広角レンズが使われていますので、特別な機器を用意することなく、高さが際立つ印象的な写真を撮ることができるでしょう。

一方、神社や仏閣など、建物本来の美しさを写真におさめたい場合は、少し離れた斜めの位置から、被写体を手前に配置して撮影することをオススメします。広角レンズは広い範囲を撮影することに適していますが、大きい建物を近くで撮ると、被写体が歪んで写ってしまうので注意が必要です。
歪みをなくすためには、被写体から一定の距離をとって、ズーム撮影をしましょう。しかし、ここで気をつけていただきたいのは、ズームは2倍から3倍程度におさえるということ。スマホの場合は一眼レフなどのカメラと違い、焦点距離を縮めて被写体を拡大しているわけではありません。レンズに映る画像をデジタル処理で拡大している「電子ズーム」なので、3倍以上になると画像が荒れやすくなってしまいます。

記念写真を撮る際にオススメの構図とは⁉︎

観光地では建物単体だけでなく、人物も映った記念写真を撮るケースが多いでしょう。その際は建物を中心に撮影するのか、人物を中心に撮影するのか、シャッターボタンを押す前に考えてみてください。

例えば、背景となる建物の中心と人物が被ってしまっては、主役がどちらなのか曖昧になってしまい、あまりいい構図にはなりません。記念撮影では建物のどこを中心として際立たせたいのかを明確にしながら、人物の立ち位置を端に寄せるなどの工夫を行いましょう。そうすることで、おさまりのいい写真を撮ることができます。

建物の撮影時は水平・垂直を保つことが大切

垂直を意識して撮影された建物

建物は生物と比べて、縦横のラインがしっかり定まっていることが多いので、水平、もしくは垂直のラインを意識して、ラインに合わせて撮ると、まとまりのある写真に仕上げることができます。建物がどのような形かで、ラインを決める際のポイントは変わってきます。簡単に言うと、建物が横に広いのであれば水平のラインを、建物が縦に長いのであれば垂直のラインをそれぞれ意識して、合わせるようにしてください。そうすることで、建物の中心がまっすぐ見える整った写真になるでしょう。

iPhoneのグリッド線

撮影時はスマホにグリッド線を表示させることを忘れないようにしましょう。グリッド線はiPhoneでもAndroid携帯でも簡単に設定することができます。画面に垂直・水平に引かれたラインが2本ずつ表示されるので、バランスの整った写真が撮りやすくなります。

プロカメラマンが教える!! 夜景を撮影するテクニック

夜景は全体の広がりを意識して撮影‼︎

夜景は全体の広がりを意識して撮影

建物といえば、昼だけでなく夜に撮ることもあるでしょう。夜景を撮影する場合は、画面のなかに全体の風景が映るよう心掛けます。昼間の撮影と比べて、どこに何があるのかが判別しづらい分、画面いっぱいに広がりを見せて、印象づけることが重要です。構図をつくる際も、まずは撮影したいポイントを中心にして、あたり一面に広がる光が写真のなかに収まるよう意識してみてください。

手ブレ対策にはスマホスタンドが便利

夜景を撮影する場合は手ブレが起きやすいので注意が必要です。夜などのあたりが暗い環境で撮影を行うと、カメラが光を取り込むのに時間がかかり、シャッタースピードが遅くなってしまうので、結果的に手ブレが起きやすくなってしまうのです。
なので、スマホスタンドなどを利用して、しっかりと固定するようにしましょう。スマホスタンドは最近だと、100円ショップなどでも販売されており、手頃な価格で購入することができます。まだお持ちでない方も、この機会に購入を検討してみてはいかがでしょう。

天候によって写真の印象は大きく変わる

撮影に向いている天候は曇りの日⁉︎

野外で撮影を行う際は、天候によって写真の印象は大きく変わります。実は、晴天時は建物に大きな影ができてしまうので、本来の形を撮影したいときにはあまり適していません。一番撮影に適している天候は曇りです。新築時など、建物の外観を記録用にしっかりと残しておきたい場合は、あまり影が目立たないような曇りの日に撮影するといいでしょう。

雨を巧みに使った効果的な撮影法

雨を巧みに使った効果的な撮影法

一方、雨の日だからこそ撮影できる風景もあります。観光地に行った際に雨が降っていてガッカリした経験はありませんか?そんなときは水たまりに注目してみてください。水たまりに近くの建物が反射して映り込む幻想的な写真を撮影することができるかもしれません。

スマホで建物の写真を上手に撮るポイント まとめ

建物は生物と違い、移動することやリアクションをとることがありません。なので、構図やアングルが写真の仕上がりに直結すると言えるでしょう。被写体となる建物のどんな部分を強調し、どんな表現をしたいのか。慣れないうちは考えるのも難しいかもしれませんが、その分、うまく撮れたときの喜びは格別です。スマホでも素晴らしい写真は撮れますので、ぜひチャレンジしてください。